シャープ、イオン濃度を高めたプラズマクラスター加湿空気清浄機
プラズマクラスター機能を搭載した加湿空気清浄機とイオン発生機の3製品 |
シャープは、イオン発生機能を強化した加湿空気清浄機「プラズマクラスター加湿空気清浄機 KI-AX80/KI-AX70」の2機種を、11月10日より発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は、適用床面積21畳のKI-AX80が95,000円、17畳のKI-AX70が75,000円前後。
■プラズマクラスター製品の“最高峰モデル”
シャープ独自の除菌・脱臭技術「高濃度プラズマクラスターイオン」の放出機能を備えた、加湿機能つきの空気清浄機。プラズマクラスターイオンは、空気中の浮遊ウイルスやカビ菌の除去、ダニのふんや死がいなどのアレル物質の作用の抑制、タバコやペットなどの臭いの脱臭、肌の保湿などの効果があるとされる。
新製品では、1立方cm当たりのイオン濃度が25,000個の「高濃度プラズマクラスター25000」発生ユニットを搭載した点が特徴。これにより、空気清浄機の集塵、加湿効果に加え、イオン発生専用機と同レベルの高濃度イオンによる除菌、脱臭、美肌効果も1台で可能となったという。
昨年モデルに搭載された「高濃度プラズマクラスター7000」と比較して、イオン濃度は約3.5倍、浮遊菌の抑制スピードは約1.5倍、付着臭脱臭スピードは約1.3倍に向上。同社では、プラズマクラスター搭載製品の“最高峰モデル”と位置づけている。
プラズマクラスター加湿空気清浄機 KI-AX80/KI-AX70 | イオン発生機能による除菌、脱臭、美肌効果と、空気清浄機の集塵、加湿効果を1台で期待できるという | 本体前面には湿度のほか、1日あたりの電気代の目安も表示できる |
使用場所にはリビングを想定。同社では、家族が集うリビングで、部屋のホコリやカビを取り除き、ペットやタバコのニオイを脱臭し、花粉などのアレル物質を抑えるなど、家族それぞれのニーズがあるとしている。KI-AX80/KI-AX70は、幅広いニーズに応える“オールインワン空気清浄機”になったという。
イオン放出機構と空気清浄機構には、それぞれ別のファンを設けた。イオンを放出させるためのファンとして、「クロスフローファン」を新たに本体前面に搭載した。集塵用のシロッコファンと使い分けることで、高濃度のイオン発生と素早い集塵機能を両立させ、空気を効率的に引き寄せて、吸塵スピードを20%早めるという。
さらに、ホコリ/ニオイ/温度/湿度を検知する各種センサーが部屋の空気の状態を検知するため、部屋の空気が汚れた時は、フィルター集じん機構の風量を強めて「スピード集じん」を行なう。
イオン放出機構とフィルター集塵機構には、それぞれ別のファンを設けた | イオン放出専用のファンと、集塵用のシロッコファンを分けることで、空気を効率的に引き寄せて、吸塵スピードを20%早めた |
KI-AX80のカットモデル | 横から見た図。シロッコファンとクロスフローファンという2つのファンが別個に動く |
加湿では、ローター気化式を採用している。ローター気化式とは、円盤状の回転フィルターに水を吸着させて送風し、湿った空気を吹き出す加湿方式。KI-AX80では1時間当たり760mlの「本格うるおい加湿」を行なう。
さらに部屋が乾燥する冬場には、本格うるおい加湿に加えて、プラズマクラスターイオンの効果も期待できるとしている。具体的には、イオンを取り囲む水分子が肌に付着して水分子コートを形成し、角質層の水分を保ったり、肌にツヤやハリを与えたり、肌のキメを整えるといった美肌効果もあるという。
脱臭機能では、昨年モデルに引き続き、部屋のイオン濃度を60分間で急速に高める「プラズマクラスターシャワー運転」機能を搭載。調理後や洗濯物の室内干し時、カーテンや壁に染み付いたニオイを素早く取りたい時などに効果的だという。
フィルターのうち、脱臭フィルターは、10年間手入れの必要がない「トリプル機能脱臭フィルター」を採用した。トリプル機能脱臭フィルターは、活性炭と無機吸着材の2つの素材を合わせることで、吸着量を昨年モデル「洗える脱臭フィルター」よりも約3倍に向上させ、悪臭のもととなる物質を小さく分解して吸着させたり、悪臭物質を別の物質に変化させて吸着する作用があるという。
集塵フィルターには、0.3μmのハウスダストを99.97%以上集塵できるという「HEPAフィルター」を搭載。HEPAフィルターも10年間交換不要で、手入れも不要。
さらに、トリプル機能脱臭フィルターとHEPAフィルターを覆うカバー部の「抗菌・防カビ後ろパネル」は、500μm以上の大きなホコリをキャッチでき、フィルターを付けたままの掃除が可能という。
トリプル機能脱臭フィルターの構造 | トリプル機能脱臭フィルターは、活性炭と無機吸着材の2つの素材を合わせることで、吸着量を約3倍に向上させた | 左から「抗菌・防カビ後ろパネル/トリプル機能脱臭フィルター/集じんフィルター」 |
省エネ面では、部屋の状態に合わせて加湿や送風を行なう「自動エコ運転」を搭載。湿度が低い時には加湿ローターの回転数を増やし、目標湿度に近づくと回転数を減らし、消費電力を抑える。風量も部屋の空気の状態に応じて自動制御する。
部屋の状態に合わせて加湿や送風を行なう「自動エコ運転」機能を搭載 | 「自動エコ運転」で消費電力と電気代を抑える | 加湿ローターと水タンクも展示されていた |
また、1日あたりの電気代の目安も「電気代モニター」で見える化する機能も搭載する。選択した運転モードを24時間続けた場合の電気代を操作パネルに表示する。
同社では、イオン発生機と加湿空気清浄機を同時に使用した場合より、低消費電力で省スペースを実現したとしている。
このほか、使いやすいよう給水タンクにはハンドルを設け、本体底面にはストッパー付きのキャスターを付けている。
24時間あたりの電気代の目安も「電気代モニター」で見える化する | 使いやすいよう給水タンクにはハンドルを設けた |
KI-AX80の本体サイズは420×340×684mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約13kg。加湿空気清浄時の運転音は25~49dB。消費電力は7.7~60W。水タンク容量は約4.0L。最大加湿量は、1時間当たり760mL。加湿の適用床面積はプレハブ洋室で21畳まで、木造和室で13畳まで。8畳の空気清浄にかかる時間は約9分。加湿なしの場合、運転音は22~51dB。消費電力は4.9~81W。
■イオン発生機の加湿機能も強化。湿度を約60%に保つ寝室用イオン発生機
同社ではまた、加湿機能を加えたイオン発生機のラインナップも強化する。新たに発売されるのは「高濃度プラズマクラスター25000」を搭載した、寝室用の「プラズマクラスターイオン発生機 IG-DK100」と、デスクトップ用の「プラズマクラスターイオン発生機 IG-DK1S」の2製品。価格はいずれもオープンプライス。市場想定価格はIG-DK100が35,000円前後、IG-DK1Sが15,000円前後。
寝室用の「プラズマクラスターイオン発生機 IG-DK100」 | デスクトップ用の「プラズマクラスターイオン発生機 IG-DK1S」 |
寝室用の「プラズマクラスターイオン発生機 IG-DK100」では、イオン発生機能に加えて、1時間あたり300mLの加湿運転を行ない、湿度を約60%に保てる点が特徴となる。
1時間あたり300mLの加湿運転を行なう | 設置イメージ | 操作パネルとイオン吹出口の様子 |
加湿には、ローター気化式を採用。湿度センサーが部屋の湿度を検知し、自動的に加湿のON/OFFをコントロールして部屋の湿度を保つ。プラズマクラスターイオンで部屋の空気を除菌・脱臭しながら、湿度を保つことで、のどや鼻を乾燥から守る効果があるという。
機能面ではほかに、空気の汚れを約1.5倍の高濃度イオンでスピーディに浄化する「フルパワーモード」や、部屋の湿度に応じて、加湿ローターの回転と風量を自動制御する「自動エコ」運転も搭載している。
消費電力は、加湿イオン運転で風量が「標準」の場合、11W。イオン放出と加湿を1つのファンで制御することで、従来モデルの半分以下の抑えた。1日24時間あたりの電気代は約5.8円になるという。
従来の加湿イオン発生機は、寝室で使っているユーザーが半数以上を占めるという。同社では、家に滞在する時間の少ない20~40代の世帯に需要があると見込んでいる。
部屋の湿度に応じて、加湿ローターの回転と風量を自動制御する | 家に滞在する時間の少ない20~40代の世帯に新たな需要があるとみている |
IG-DK100の本体サイズは201×309×332mm(同)。重量は約4.2kg。運転音は25~42dB。消費電力は3~18W(イオン運転時)。水タンク容量は約2.1L。最大加湿量は、1時間当たり300mL。イオンの適用床面積は約6畳、加湿の適用床面積はプレハブ洋室で8畳まで、木造和室で5畳まで。
■デスクに置いても邪魔にならない、コンパクトなデスク用イオン発生機
デスクトップ用の「プラズマクラスターイオン発生機 IG-DK1S」は、デスク上で「高濃度プラズマクラスター25000」の保湿機能を使えるよう、コンパクトな本体を採用した点が特徴。
開発の背景には、冬場のオフィスでは、エアコンの暖房で空気の乾燥が気になることから、自分の身の回りを加湿したいというニーズがあるという。
冬場のオフィスでは、自分の身の回りを加湿したいというニーズがあるという | デスクの上でも置きやすい、コンパクト設計を採用した | 設置イメージ |
運転音は、オフィスのデスクや書斎、勉強部屋でも使いやすいよう、最大28dBに抑えた。
電源は、USBとACアダプターから給電できる。パソコンのUSBに接続すれば、パソコンの電源ON/OFFに連動するため、電源の切り忘れを防げるという。ACアダプター使用時の消費電力は最大1.3W。1日24時間あたりの電気代は約0.7円。また、停電時やブレーカーが落ちたときでも、電源の供給再開に合わせて運転を再開する「運転自動復帰機能」も搭載している。
USBとACアダプターから給電できるため、電源が取りづらいオフィスでも手軽に使える | 停電時でも、電源の供給再開に合わせて運転を再開する「運転自動復帰機能」も搭載 |
操作パネルとイオン吹出口の様子 | デスクに載せておける、コンパクトな本体 |
本体サイズは、124×166×182mm(同)で、デスク上で邪魔になりにくいコンパクト設計となっている。重量は約0.82kg。水タンク容量は約300mL。最大加湿量は、1時間当たり30mL。
健康・環境システム事業本部プラズマクラスター機器事業部の鈴木隆事業部長 |
シャープの健康・環境システム事業本部プラズマクラスター機器事業部の鈴木隆事業部長は、「加湿機能を搭載した空気清浄機や、保湿効果のあるイオン発生機の需要は、堅調に伸びている。特にここ数年、インフルエンザの流行や花粉の飛散量の増加のほか、都市部の空気の乾燥化などにも関心が高まっている。“乾き対策”は時代のトレンド」と語った。
加湿機能付きの空気清浄機の需要が拡大 | 同社の調べでは、イオン発生機と空気清浄機を合わせた市場も伸びているという | 今回は、加湿空気清浄機のイオン発生機能を強化し、イオン発生器の加湿機能を強化した |
(小林 樹)
2011年10月6日 18:26