家電製品ミニレビュー
タイガー魔法瓶「蒸気レスVE電気まほうびん とく子さん」
タイガー魔法瓶「蒸気レスVE電気まほうびん とく子さんPIA-A220」 |
我が家では、自宅で仕事することが多いので、1日に何度もでお茶やコーヒーを飲む。そんな時、沸かしたお湯を保温できる電気ポットは便利だ。飲みたい時に、いつでも熱いお湯が出てくる。
だが、電気ポットは蒸気が出るので、我が家では電話など精密機器の近くしか置く場所がなく、なかなか購入できずにいた。
そこで気になったのが、発売されたばかりのタイガー魔法瓶の「蒸気レスVE電気まほうびん とく子さん PIA-A220」だ。蒸気の出ない電気ポットは“業界初”とのことだが、さっそく試してみよう。
メーカー | タイガー魔法瓶 |
製品名 | 蒸気レスVEまほうびん とく子さん PIA-A220 |
希望小売価格 | 26,250円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 16,435円 |
■本当に蒸気が出ない! 音も静かな湯沸し
蒸気レスとく子さんの最大の特徴は、外部に蒸気を一切出さないこと。蒸気孔をなくした新開発の「蒸気キャッチャー構造」を採用し、蒸気を水滴に変えてポット内に戻すので、蒸気を本体の外に出さないのだ。
実際に使ってみる前に、仕様を確認しておこう。蒸気レスとく子さんは、容量2.2Lと3.0Lの2種類を揃える。今回我が家で使ったのは、容量2.2Lの「PIA-A220」だ。本体サイズは218×308×276mm(幅×奥行き×高さ)、重さは3.2kg。
デザインは、従来の電気ポットのイメージとは違い、モダンな印象の角ばった形だ。カラーはブラックとレッドの2種類があり、今回はレッドを選んだ。
黒と赤の斬新なモデル。角ばった形とカラーは電気ポットとしては珍しいのでは | ボタンは上面にあって押しやすい | スクエアフォルムで後ろは角張っている |
使い方は、従来の電気ポットと同じだ。水を入れ、ふたを閉めてからプラグを差し込むと、自動的に湯沸かしが始まる。湯沸かし中は、5℃刻みの現在の湯温と沸騰するまでの残時間が10秒ごとに交互に表示される。
プラグ差し込み口 | ワイドレバー式電動給湯 | フタを取り外すときは後ろのフタ着脱レバーを押す |
フタは簡単に外れる | 底の穴への異物混入を防ぐため、メッシュフィルターが付いている | 取っ手も角張っていてオシャレ |
さっそく満水にしてお湯を沸かしてみると、沸騰しても蒸気が全く出ないので感動してしまった。沸騰してくるとゴーッという音がするものの、昔の電気ポットに比べると音はとても静かだ。沸騰したときのボコボコという音もしない。
上のフタはそんなに熱くなっていない。触っても、ほんのりあたたかい程度だ。これなら小さな子供がうっかりさわってしまっても安心。電話機やテレビなどがあるリビングでも、場所を選ばずに置くことができそうだ。
また、冬場に結露でお悩みのご家庭でも、蒸気レスとく子さんなら壁や家具への負担を軽減できるだろう。
沸騰するまでの時間がわかる。オレンジクリア液晶で見やすい | 蒸気が全く出ていない! おそるおそるフタをさわってみたが、少しあたたかい程度 |
本体正面にある横長給湯レバーも使いやすい。左右どちらからでも、置き場所や利き手によって押しやすい方から給湯でき、軽く押すだけでお湯が出てくる。液晶画面には給湯量が一目でわかるので、料理の下ごしらえなどにも便利だ。
給湯後にレバーを離した後もポタポタ垂れることはなかった。
給湯ワイドレバーは軽く押すだけでお湯が出てくる |
コーヒーをいれてみることにした | 給湯レバーは指で押すのも簡単 | お湯の残量をお知らせする水量計にバックライトを採用。光っているので見やすい |
お湯を沸かしたあとの保温機能では、湯温が98/90/80/70℃に調節できる。緑茶や上煎茶は70℃から80℃で煎れるのがおいしいと言われているので、いつでもおいしく飲めるよう、低めの温度設定にすることもできる。飲み物によって、美味しく味わえる湯温は異なるから、4段階から選べるのは嬉しい。また、低めの温度を選べば、高めの設定よりも電気代がかからないため、電気代の節約効果もある。
■気になる保温時の消費電力と電気代は、「省エネコース」で大幅にカット
気になるのは消費電力と電気代だ。
蒸気レスとく子さんの湯沸かし時の消費電力は最大700Wで、一般的な電気ポットの多くが1,000W前後であることに比べると、控えめだ。
容量いっぱいの2.2Lの水を沸かすのにかかる時間は、約23分だった。その時の消費電力量は、ワットチェッカーの値では0.20kWh。単純計算で、一度沸かすのにかかる電気代は、約4.4円で、そんなに高くない。
保温時については、保温時の消費電力を抑える「まほうびん保温」コースを搭載している。
まほうびん保温コースは、電源を切っても電気ポット内部のまほうびん容器が保温してくれる。お湯を入れる容器に、保温効果の高いステンレス製の「真空2重構造」のVEまほうびんを採用しており、プラグを抜いてから2時間経過しても、約90℃以上の湯温をキープするという。
実際に、保温時の湯温を1時間ごとに計測した。4時間経過しても80℃をキープしていることに驚いた。結果は以下の表の通りだ。
まほうびん保温の計測結果 (本体液晶表示で確認) | |
1時間後 | 95℃ |
2時間後 | 90℃ |
3時間後 | 85℃ |
4時間後 | 80℃ |
4時間後、湯温80℃の状態から再沸騰させると、約9分後に沸騰。かかった消費電力量と電気代は、0.06kWhで約1.32円だった。まほうびん保温にしておけば、液晶表示などの最低限の消費電力量しか使わず、かなりの節電につながる。
省エネコースを選ぶと液晶画面に表示される |
98℃で約6時間保温した後に再沸騰させた場合は、水を沸騰させるときの消費電力量は0.20kWhで、電気代は約4.4円、6時間の保温にかかった消費電力量は0.09kWhで、電気代は約2円となる計算だ。
このほか、外出時や就寝前にあらかじめタイマーを設定しておくことで、ヒーターが自動で切れる「節電タイマー」も備える。ヒーターがOFFになると、まほうびんや設定されている温度で自動的に保温するので無駄がない。タイマーは、6時間から10時間まで1時間きざみで設定できる。
省エネ面ではほかにも、沸とうする前に98℃でヒーターを切って保温する「省エネ湯沸かし」や、2時間以上使用しない場合には設定温度より5℃下げて保温する「省エネ保温」がある。それぞれの生活スタイルに合わせて保温方法を選べるのも助かる。
■蒸気レスはやっぱり便利! 一度使うと他のものが使えなくなる電気ポット
正直なところ、沸騰スピードについては、電気ケトルのほうが早い。カップ1杯分のお湯を沸かすだけなら電気ケトルのほうが便利だ。
だが、我が家のように家にいる時間が長く、家でよくお茶を飲むという人には、いつでもお湯を使えると便利だ。小さな赤ちゃんがいる家庭では、赤ちゃんにミルクを作る時に電気ポットを使用する人も多いが、温度も設定できるうえに本体が熱くならないので安全だ。我が家では、子供がよくココアを飲むようになった。
価格は実売価格で16,435円と、電気ポットの中では比較的高価だ。しかし、省エネコースで使用すれば、一般的な電気ポットに比べ、電気代が半分以下に抑えられる。
何より蒸気レスは快適だ。この安全性と快適さを一度知ってしまうと、別のものを買う気にはなれない。小さな子供がいる家では、数千円の差なら安心して使えるこちらを選びたいと思うのではないだろうか。
電気ポットはお年寄りに愛用者も多いので、プレゼントとしても喜ばれそうだ。蒸気レスで安全な電気ポットは、幅広い世代の生活に合う製品。これからの季節、自宅で温かい飲み物を飲むときに、そばに置いてみてはいかがだろうか。
2011年9月26日 00:00