家電製品ミニレビュー

パナソニック「ナノケア EH-NA92」

~ドライヤーというよりももはや美容機器!
by 阿部 夏子
パナソニック「ナノケア EH-NA92」

 最近、祖母と下町の銭湯に出かけた時に、銭湯常設のドライヤーがイオン放出機能付きだったのに驚いた。イオンを使った美容機器というのはもはや珍しいものではないが、その中でもドライヤーは普及率が高く、色々なところで見かけるようになった。その中でも私が愛用しているのがパナソニックのドライヤー「ナノケア」だ。


メーカーパナソニック
製品名ナノケア EH-NA92
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格14,400円


 パナソニック独自のイオン「ナノイー」を搭載しているこの製品。毎年のようにバージョンアップしているが、今年のモデルチェンジには驚いた。なんと、3つの電極を搭載し、ナノイーイオン、プラチナマイナスイオン、ミネラルマイナスイオンの3つのイオンを放出し、髪をケアするというのだ。

 そのメカニズムを簡単に説明すると、一般的に髪はプラスに停電しやすい性質を持っている。そこにマイナスの電気を帯びたナノイー、プラチナマイナスイオン、ミネラルマイナスイオンが引きつけられ、髪を弱酸性に保ち、ダメージに強い髪を作るという。

 パナソニックのホームページでは、これらのイオンによる効果を分かりやすく説明している。まずは、髪の表面にあるキューティクルの密着性を高めること。これによりキューティクルがはがれにくくなり、外部からのダメージに強い髪になるという。また、キューティクルが強くなることで、紫外線による髪への影響も抑えられるとする。

イオンが髪に浸透することによって、髪の表面のキューティクルの密着性が高まり、髪からはがれにくくなるという

 また、ナノイーが髪の水分バランスを整えることで髪の「うねり」も軽減し、さらに地肌の余分な皮脂を低減しやすくさせる効果もあるというのだ。と、ここまでざっと書いただけでも機能が盛りだくさんなのがわかる。約15,000円と、ドライヤーとしては破格の価格もこの機能が実感できるなら、納得できるというものだ。

 というわけで、さっそく使ってみた。3つの電極を搭載しているだけあって、本体サイズは207×86×246mm(幅×奥行き×高さ)とかなり大きめ。普通のヘアードライヤーを想像しているとその大きさに少々驚いてしまうかもしれない。複雑な機構を採用してはいるが、本体の操作は至ってシンプルなもの。OFF/SET/DRY/TURBO4つのモードを搭載し、操作はハンドル部分のスイッチで行なう。温風/冷風の切り替えボタンは別に設けられている。

製品パッケージ製品本体吹き出し口の裏側。同シリーズではひし形のような独特の形状を採用している
操作ボタンはハンドル部分に設置されている吹き出し口本体付属の置き台を使って収納したところ。本体は大きめなので収納場所をあらかじめ確保した方が良さそうだ

 普通のドライヤーと違うのは、ナノイーのON/OFFボタンがあることと、ナノイーチャージがハンドル部分に備えられているところだ。ナノイーチャージパネルは、髪のマイナス帯電を解消するためのパネルで、使用時にパネル部分を握るだけでマイナスの電気を逃がすことができるというものだ。ナノイーなどのイオンを髪に当て続けると、髪はマイナスになってしまい、イオンが引きつけられにくくなってしまうという。ここらへんの仕様は、前モデルから変わっていない。

 見た目でわかる前モデルからの変化は、風の吹き出し口上に設けられているイオン放出口の中身。3つの電極をそれぞれ確認することはできないが、前より明らかに複雑になっている。

 本体にはこのほか、設置用のスタンド、掃除用のブラシ、セット時に本体に取り付けて使用するノズルが付属する。

ナノイーのON/OFFボタンハンドルの裏にはナノイーチャージパネルが備えられている吹き出し口の上のイオン放出口

とにかく乾くのが速い!

 スイッチを入れてまず感じるのは運転音の大きさ。ドライヤーはもともと音を伴う家電製品だが、それにしても音が大きい。洗面所で使っていると、リビングのテレビの音は全く聞こえない。使用中は人と話すのも難しい。ただし、それだけにパワーも強力だ。

 私は髪の毛が多く、美容院では毎回驚かれるほどだが、そんな私でも乾かすまでにかかった時間はなんと約2分30秒ほど。ものぐさな私は、就寝前に髪を乾かす時は、時間がかかるのが嫌で、毎回根本部分を中心に乾かして毛先が少し湿っているくらいでやめてしまっていた。EH-NA92を使った場合、毛先までしっかり乾かしてもかかる時間は3分以下。今回、レビューのために実際タイマーで時間を計ったが、改めて、その早さに驚いてしまった。

本体の電源を入れるとイオン放出口が青く光る。風の吹き出し口は3つに分かれている。中央部分からは温風、外側からは冷風を出す

 その秘密は、1,200Wというハイパワーともう一つは吹き出し口の機構にある。EH-NA92の吹き出し口は中央の縦穴2つと、それを囲むような円形に分かれている。中央部分で、風を縦に分けることで、濡れた髪の毛束を分けるようにして髪を素早く乾かしていく。また、乾燥時に髪の艶を出すために、中央部分からは温風、外側からは冷風を出している。

 美容院でセットする時のことを思い出して欲しい。最初はドライヤーの温風で髪をざっと乾かしたあと、冷風に切り替えて髪をセットしている。こうすることで、髪の流れを整えて、セットが長持ちするという。EH-NA92では、独自の機構でそれを乾燥時にやってくれるのだ。

髪のハリが違う!

 新機能のトリプルイオンの効果は、髪を乾かした直後から感じる。髪を乾かすというのは当然、髪の水分も同時に飛ばしていくので、どうしても毛先の方がパサついてしまうものだが、EH-NA92で乾かすと毛先の手触りが明らかに違う。1本、1本に水分が行き渡って、毛先まで潤っている感じなのだ。

 さらに変化を感じるのは次の日に起きた時だ。まずは寝ぐせが付きにくい。髪全体にまとまりがあるので、朝のセットが格段に楽になる。

 EH-NA92では様々な効果を謳っているが、その中でも私が最も実感している効果は髪のハリだ。少しクセがあって、太くて、量が多い私の髪は、お世辞にもキレイとは言えないが、EH-NA92を使い始めてからは、髪が格段に扱いやすくなった。ブラッシングをして後は前髪に少しワックスを付けるだけで、セットが終わる。

本体にはセット時に使用するセットノズルが付属するセットノズルを本体に取り付けたところ。吹き出し口部分に手で簡単に取り付けられるセットノズルを付けることで、風が集中的に集まって前髪などのクセを付けやすくなる

 髪のケアをするために様々なトリートメントやリンス、シャンプーを試してきたが、次の日の朝の変化だけでいえば、EH-NA92が一番効果を実感できた。

 実力を思い知ったのはGWに家族で旅行に出かけた時だ。久しぶりにナノケア以外のドライヤーで髪を乾かしたら、次の日の朝、寝ぐせがひどく、手を付けられない状態になっていた。同じように乾かしているのに、ここまで差が出るなんて! 少々サイズが大きくても旅行先にも持参する価値は充分ある。

ナノケアならではの使い方

取り扱い説明書では、乾燥の直前に頭頂部から風を当てる独自の使い方を推奨している

 髪を乾かすという本来の目的と同時に、髪のケアもしてしまうEH-NA92では、普通のドライヤーとはちょっと違う使い方も推奨している。それが、髪の乾燥が終わる直前に一度髪をブラッシングして整え、その後温風を頭頂部から1分程度あてることだ。髪に付着しているプラスのイオンをブラッシングによって除去することで、イオンが髪の表面に付着しやすくなるという。

 髪を乾燥しているときからイオンを放出しているので、この行為による効果を実証するのは難しいが、私の場合は出掛ける前のセットのときにこの方法を使っている。

 最初は、頭皮に風を当てるなんて、頭皮の乾燥を招くんじゃないかと思ったが、使ってみると効果を実感。髪がまとまりやすくなるので、セットが格段に楽になる。ヘアアイロンなどで髪を巻く前などに使うのも良さそうだ。

 本体のお手入れは月1回ほど、付属のブラシを使って行なう。吹き出し口や、フィルター部分にたまったホコリをブラシでかき出すようにするだけなので、ほとんど手間はかからない。本体後方部分のフィルターのホコリは、掃除機で吸い取っても良いそうだが、フィルターは柔らかく、繊細なつくりなので、破れないように注意したい。

フィルター部分フィルターは手で簡単に取り外しできる付属のブラシでホコリをかきだすように掃除する

もはやドライヤーというより髪の美容機器

 ナノケアシリーズは、毎年新しい製品を発表しているが、EH-NA92は、ここ何年かで一番機能の進化を感じた。これまでは、古いモデルから買い替えるほどではないと思っていたが、今年の製品はすぐに買い替えたくなってしまった。

 何より嬉しいのは、使用時間は短いのにしっかりと効果を実感できるところ。トリートメントや、髪用の美容液などを使って手間を掛ければ、髪の状態が良くなるのは誰でも分かっている。それを短時間で実現してしまうところにこの製品のすごさがある。もはやドライヤーというよりも、髪の美容機器といっていいだろう。イオン放出機能が搭載されたドライヤーを使ったことがない人にはぜひ一度試してほしい。きっと驚きの効果を実感できるはずだ。





2010年5月21日 00:00