家電製品ミニレビュー
泉精器製作所「Cleancut IZF-201」
~千円ちょっとで買った“T字カミソリ風シェーバー”の実力
泉精器製作所「Cleancut イズミ往復式シェーバー IZF-201」 |
男には二種類の人間がいる。カミソリによる“手剃り派”か、電気カミソリを使った“シェーバー派”か、だ。何の話かというと、「ヒゲを剃る際に何を使うか」である。
たかがヒゲ剃りに大げさかもしれないが、知人に聞いてみてもこれが意外と分かれる。たとえば、手剃り派が“自在に剃れる”、“シェーバーだと痛い”と主張すれば、シェーバー派は“早く剃れる”、“カミソリだと血が出る”などなど。ヒゲの濃淡や肌の特徴などはそれぞれ違うのだから、このように分かれるのも当然。だからこそ、さまざまな種類のカミソリやシェーバーが世に出ているのだろう。
それなら、手剃りと電気カミソリの良さを兼ね備えたシェーバーがあれば、誰でも使いやすいのではないか。そこで今回は、手剃りとシェーバーの良さを兼ね備えた、泉精器製作所の電気シェーバー「Cleancut(クリーンカット) イズミ往復式シェーバー IZF-201」を取り上げてみたい。
この製品、電池で動く電気シェーバーなのだが、デザインはまるでT字カミソリのようにスリム。“T字カミソリ風”の電気シェーバーということになる。しかも、楽天市場での価格は1,379円と、電気シェーバーとしては破格の安さ。T字カミソリの「ジレット フュージョン5+1」とほとんど同じ価格で買えてしまう。ものは試し、さっそく購入した。
ちなみに「Cleancut」はもともとセイコーのブランドだが、泉精器はセイコーより2008年に理美容家電部門の事業譲渡を受けている。セイコー製品は2009年に販売を終了しているが、ブランドだけ残っている形だ。
メーカー | 泉精器製作所 |
製品名 | Cleancut イズミ往復式シェーバー |
品番 | IZF-201 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | 楽天市場 |
購入価格 | 1,379円 |
中央がCleancut。シェーバーとT字カミソリの間を取ったような形状をしている。(左は「ラムダッシュ ES-GA21」、右はP&G「ジレットフュージョン 5+1」) |
ヘッドの外刃は1枚だけ。しかし、外刃のすぐ下には、くせヒゲを捕らえるためのトリマー刃が付いているため、実質的には「2枚刃」となる。高額な製品になれば、4枚刃や3枚刃が当たり前になってくるが、なにぶん低価格な製品のため、このあたりは仕方がない。むしろ、この価格帯でトリマー刃まで付いていることを歓迎すべきかもしれない。
ヘッドの機能としては、前後に動く「フレキシブルフロートヘッド」を備えている。肌に密着しやすいためのものだが、低価格のシェーバーにはあまり見られない珍しい機能だ。ただし、左右に動かない点は、高級機種とは異なる。
本体側面にはゴムのグリップが用意されている。コンパクトさ、軽さとの相乗効果で非常に持ちやすい。 | ヘッド(写真上)は往復式の外羽とくせヒゲ用トリマーという“2枚刃”。ボタンを押せばカバーが開く(写真下)。手入れの際はカバーを開けた状態で水を当てる | ヘッドは前後に動くことで、肌への密着性を高めている「フレキシブルフロートヘッド」を採用 |
本体中央の電源スイッチをスライドすると、運転がスタート。音は「ブーン」という、往復式シェーバーにありがちなごく普通のものだ。さっそく肌に当てると、トリマー刃はアゴ下のくせヒゲをしっかりと捕らえているし、可動ヘッドも顔の凹凸に合わせて自在に動いてくれる。意外と言っては失礼だが、なかなかの好印象だ。
しかし、外刃の面積は狭いため、パワーやスピードははっきり言って物足りない。しっかりとした深剃りを求める人には向かないだろう。逆に言えば、剃りすぎることが無いため、小回りが利く。頬や鼻下は剃り、アゴヒゲだけを伸ばしている私には好都合だった。
使っていて気付いたのが、肌の追従が滑らかでなく、スルッといかないところ。これは、外刃の両サイドのプラスチック部分が盛り上がっており、肌に当たって引っかかっているためかもしれない。そこで、ウェットシェービングで使用したところ、シェービングフォームが潤滑油となり、ヘッドがスルッスルッと進んでいった。スムーズに剃りたい場合、剃り負けも防ぎたい場合は、シェービングフォームやウェットシェービングを利用することをお勧めしたい。
本体はウェットシェービングにも対応している | T字カミソリのように手軽に使える。ドライだとカバーが肌に引っかかりやすいため、ウェットシェービングの方がスムーズに使えた |
使用するに当たっては、電源のニカド電池の性質に気を付けたい。電池に詳しい方なら既にご存知だろうが、ニカド電池は自己放電(使用しなくても電池容量が減っていく現象)が起こりやすいため、すぐに電池がなくなってしまう。そのため、いざ使うときに電源をONにしても反応がない、なんてことも考えられる。もちろん、充電催促ランプもない。最近のシェーバーでは、自己放電が起こりにくいリチウムイオン電池やニッケル水素電池を採用しているケースが多いが、それらと比較すれば明らかに使いづらい。製品自体の取り回しが良いだけに、何とも残念な話だ。
電源はニカド電池。自己放電に加えて、「使い切ってから充電する」、「12時間以上充電しない」など、ニッケル水素やリチウムイオン電池と比べて制約が多い | ちなみに充電は、写真のように付属の充電台にセットして行なう。本体にケーブルの差込口がないため、充電しながらシェービングする、といったことはできない |
とはいっても、高価な製品と比べるのは野暮な話だ。T字カミソリのように手軽に扱えて、千円ちょっとで買えるという安さを考えれば、十分に価値のある製品といえるだろう。
2010年1月8日 00:00
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