家電製品ミニレビュー
東芝「SuiPanDa ABP-R100X」 前編
~生米から作る「炊パン」搭載のホームベーカリー
by 戸井田 園子(2013/3/14 00:00)
主婦が欲しい家電として相変わらず人気を集めているベーカリー。各社さまざまな提案をのせた新製品が登場しています。今回、東芝ホームアプライアンスから新発売になったホームベーカリー「SuiPanDa(スイパンダ) ABP-R100X」は、お米からパンを焼く「炊飯」ならぬ「炊パン」が目玉。今回は、その「炊パン」をはじめ、ベーシックな小麦パンや定番になりつつある米粉パンなどその実力を試した結果を、前後編2回に分けてお届けします。前編では、注目の「炊パン」とご飯を材料にしたコースからご紹介します!
メーカー名 | 東芝ホームアプライアンス |
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製品名 | SuiPanDa ABP-R100X |
販売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 25,816円 |
パンの具材投入ケースがついて、さらに便利に
まずは、ベーカリーの構造から。基本的には、パンケースに材料を入れるというスタンダードな構造ですが、従来の東芝ベーカリーと異なり上フタが2重になっていて「投入ケース」が付いているのが新しい点。これは「炊パン」や「具入りパン」の際、追加の材料を途中でパンケースに落とすためのもの。これがあれば、工程中に具を入れる必要がなく、焼き上がりまで全てお任せできるという便利な機能です。投入ケース自体は取り外せるので、お手入れもしやすいです。操作も至ってシンプルなので、初心者でも迷うことなく使えるでしょう。
また、取扱説明書とレシピブックの2冊が同梱されています。取り扱い説明書は基本的なセットの仕方がメインで、レシピブックはアレンジなどの詳しい材料がメインとなっています。しかし、内容が被っている部分があったり、片方にしか載っていないこともあり、結局2冊とも広げなくてはならず使い難く感じました。取扱説明書に掲載されている基本的な手順が習得できたら、後はレシピブックだけでOKという使い分けを前提にしているのかもしれませんが、やはり1冊で全て分かる方が使いやすいのでは? と感じました。
米から作る「炊パン」~所要時間4時間50分
それではまず、注目の「炊パン」から作ってみましょう。「米から作るパン」と聞くと、ついつい米粒だけでできるんだ! と思ってしまいますが、SuiPanDaの炊パンは、米に加えて、小麦粉(強力粉)も使います。白米90gを水洗いし、水・砂糖・塩・バターと合わせてパンケースにセット。強力粉とドライイーストは、投入ケースにセットします。
材料をセットした後は、コース選択ボタンで該当のコースを選びます。「炊パン」はこの製品の一番の“売り”のコースでもあるため、独立キーがあり一発選択が可能。次に、焼き色を選択したい場合は(標準・薄・濃)から選んで設定完了。操作はとても簡単です。
パネルには時間が表示されますが、この機種は「焼き上がりの目安時刻」が表示されます。大半のベーカリーは所要時間なので、完成時刻が表示されるのは珍しい仕様です。今回は、12時55分にセットし17時45分の完成時間。所要時間は約4時間50分ということになります。ご飯を加熱してペースト状にする時間があるので、小麦パン(3時間25分)より1時間以上長くなるようです。所要時間4時間50分は、正直かなり長いと感じますが、タイマーセットで作れば問題なしと割り切りましょう。
スタートボタンを押すと運転開始。米を加熱して炊き、おかゆ状の柔らかい状態にするまで約45分くらい。この間、羽根が回転するウィンウィンという音が時々します。米のペーストが完成すると、投入ケースの底が開くパシッパシッという音がし、強力粉とドライイーストが投入されます。その後、本格的なこねが開始されます。
投入ケースの開く音や羽根が回転する音など、焼き上がるまで特に大きな音を感じることなく、総じて静かな印象でした。これなら予約で朝方に運転が開始されても大丈夫でしよう。焼き上がると電子音でお知らせしてくれます。ちなみに、完成後直ぐに取り出せない場合、自動的に保温に移行しますが、1時間で自動的にOFFに。また、完成時にパンケースを取り出しても「切」ボタンを押さないと保温状態になってしまうのですが、内釜が冷めてくると、自動的に停止するので、消し忘れ防止の心配はありません。
では、早速フタを開けてみてみましょう! フタ裏は、投入ケースの底が開いた状態になっています。パンケースを覗くと、やや小ぶりな焼きあがり。イースト菌が新品ではなかったからか? と心配しつつ取り出してみました(※この後、イースト菌を新品にて焼いてみましたが、このサイズが標準的なようです)。熱風を庫内に循環させるコンベクション方式の効果か、ムラ無くこんがりと上面までちゃんと焼き色がついていて、とても美味しそうです。
パンの底にはパン羽根が生地の中に食い込んでいました。外からは取れないので、そのままカット! パン切りナイフを入れると、外側はパリパリで側面はやや固めですが、トップはふわふわ。切り口の生地を見ると、キメが細かくて密な印象です。ちょっと重さを感じる、米を使ったパン特有の焼きあがりです。そしていよいよ試食。食感はもっちりとしていて、甘みがとてもあります。米粉とはまた違う印象で、非常に美味しいパンです。これは絶品です!
アレンジ「ほうれん草炊パン」~所要時間4時間50分
続けて、「炊パン」第2弾! 先の「炊パン」は、手元に残っていたドライイースト(と言っても決して古い物ではありません)を使ったので、念のため新しいドライイーストを買ってきて作り直すことに。せっかくなので、今度は具を練り込んだアレンジパンを試してみました。と言っても、パンケースに混ぜたい材料を刻んで入れるだけと、とても簡単。今回は、ほうれん草をチョイス。2株くらいをみじん切りにして、白米と一緒にセットしてスタートです。
約5時間後、焼き上がりをチェックすると、やはり高さはパンケースの2/3~3/4程度と小ぶりの仕上がりです。これでイースト菌のせいではないことを確認。米を使うと、ふくらみが少なく高さはやや低くなるようです。米粉パンと比べてみると、よりキメが細かくやや重めなのが特徴です。生地はうすーく緑色になっていますが、ほうれん草の味や香りは、ほんのり感じられる程度なので、野菜が苦手な人でも気にならずにおいしく頂けるでしょう。
「炊パン」はこの他、かぼちゃ・さつまいも・じゃがいもを混ぜたり、米を五分づき・七分づき・雑穀入りにするなどのアレンジが可能です。実は、最初は焼きたてパンを喜んでいた家族も、立て続けに焼いていると「また、パン焼いてるの~」と喜ばれなくなることが判明。そんなマンネリ解消にも、アレンジパンは有効だと実感します。
炊いたごはんで作る「小麦ごはんパン」~所要時間2時間50分
続いて、米つながりで「ごはんパン」をお試し。こちらは米粒からではなく、炊いたごはんを混ぜてつくるタイプ。材料は、小麦パンの材料にごはんを追加した感じです。材料の入れ方は、粉類の間にごはんを入れるのがポイント。ごはんが水に浸ってしまわないのがコツということでしょう。
今回は、タイマーで焼くことに。炊飯器の様に焼き上がりの時間でタイマーが設定できるのは便利でした。予約は最長13時間後まで。翌日が休日だったので、寝る前に準備をして、昼ごはんに食べられるように、仕上がり時間を12時にすると、セット可能なのは前夜の11時以後となります。例えば、働く主婦が夕飯に炊きたてパンを食べたい場合でも、朝6時にセットして、最長なら夜7時仕上がりなので、何とか対応できそうですね。
寝ること12時間(笑)…・・目覚めると、昼ごはんに焼き立てパンができあがっていました。焼き立てのパンの香りが漂いなんとも幸せな気分です。機能の善し悪しとは関係ありませんが、焼き立てパンの香りが家中に漂うことが、ベーカリーの大きな魅力のひとつと実感!
肝心のできばえですが、パンケースから頭を出すほどにしっかり膨らんでいて、「炊パン」とは対照的な高さになっていました。焼き色もしっかりつき、トップは少々焦げ色が濃くなっています。生地のキメは見た感じあまり細かくはなく、かなり大きくふくらんで水分が少なめの小麦パンに似ています。
これはボソボソしているのでは?と懸念しつつ口に入れると……なんと!見た目とは違い、とってもモチモチしています。実は筆者、炊いたごはんをわざわざパンにしなくてもいいのに……と思っていたのですが、意外なおいしさにビックリでした。ご飯が余った時、翌日の食パンに変身させるというだけでなく、おいしく食べるという意味でも有効です。「炊パン」より2時間も早く焼けるので、これはおすすめのコースです。
後編では、スタンダードに、小麦粉・米粉を使った食パンを試した結果をご報告します。