家電製品ミニレビュー

阪和「Re:ctro Lantern mini BIG-16」

~タッチすると明るさが変わるLEDインテリアライト
by 伊達 浩二

バッテリー駆動できるインテリアライト

阪和「Re:ctro Lantern mini BIG-16」

 バッテリー駆動ができて、持ち運びのできる照明器具は、蛍光灯を使った無印良品の「持ち運びできるあかり」あたりが始まりだろう。光源がLEDになってから、ぐっと製品数が増えてきた。

 光源が蛍光灯だと、1時間前後しか使用できなかったのだが、省電力のLEDを使うことにより、その10倍以上もバッテリー駆動できるようになって、実用性が上がったからだ。

 今回は、そんなLED光源の持ち運びできる照明器具として、阪和の「Re:ctro(レクトロ)」ブランドから「Lantern mini BIG-16(ランタン ミニ)」という製品を紹介する。

 Re:ctroは、「ホワイトとグレーの調和」がテーマのブランドで、シンプルなデザインと配色を特徴とする。「部屋にそして空気に溶け込むイメージ」なのだという。


メーカー阪和
製品名Re:ctro Lantern mini BIG-16
希望小売価格7,800円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格4,650円

 

存在感のある大きさとデザイン

 この製品の名前は「Lantern mini BIG-16」で、BigとMiniという相反する単語が入っているが、Bigの方が実体を表している。

 BIG-16の箱が届いたときに、想像していたよりも大きいので驚いた。形がシンプルなので、写真では、手の平に乗るぐらいのサイズを想像していたのだ。

 実物のサイズは180×180×290mm(幅×奥行き×高さ)、重さは1,035gある。直径が20cm弱、高さが約30cm、重さが1kgというところだ。補助照明用のインテリアライトとしても、大きめといえるだろう。パッケージには充電台も入っているので、箱も大きいのだ。

本体と充電台本体の裏側。右に見える小さいボタンが主電源。分解禁止のシールが貼ってある本体上部にはスイッチ類はない。生活防水ではあるが水に注意するようシールが貼られている
充電台の表側には、輪の形をした電極が2重になっている充電台の裏側の真ん中にACアダプタのプラグを差し込む。ACアダプターのケーブルはかなり長いACアダプタは5V型。小さめだが、プラグは固定式
30cm定規との比較。写真だと小さく見えるが、それなりのマスがある重さは本体のみで935g提灯のように下げるイメージの大きさだ

 ついでに言うと、製品名はランタンとなっているが、この製品はバッテリー駆動できるインテリアライトというべきだろう。

 いわゆるランタンが、アウトドアで実用的に使える明かりをめざしているのに対し、この製品は、持ち運ぶ範囲が室内や自宅の庭程度に留まっており、絶対的な明るさよりも照明による雰囲気作りを重視しているからだ。

 パッケージには、BIG-16本体、充電台、ACアダプター、取扱説明書が入っている。

 まず、ACアダプターの端子を、充電台の裏側に差し込む。ACアダプターのケーブルは1.7mあるので、壁面のコンセントから、テーブルの上まで届く長さだ。続いて、充電台に本体を置く。充電中は、オレンジ色のLEDが小さく点く。充電時間は、約8時間だ。

 本体には、底面にプッシュ式の電源スイッチがあるだけで、それ以外のスイッチ類はない。本体に振動感知型のセンサーが入っており、ポンっと叩くと、モードが切り替わるようになっている。

 つまり、電源スイッチを入れた状態で、1回叩くと強く光る、もう1回叩くと、明るさが弱くなる。さらに叩くと、「イルミネーションモード」と言って、LEDの色が順番に7色に変わる。もう1度叩くと、消灯する。つまり、「強」→「弱」→イルミネーション→消灯という順番だ。


本体を叩くと、順番にモードが変わる。イルミネーションモードは何もしなくても色が変わっていく

 そして、充電台から持ち上げた時と、停電などでACアダプターの電源が切れたときは、自動的に点灯する。


充電台から持ち上げると、明かりが点く停電すると、明かりが点く

 LEDの明るさは「強」だと、6畳間全体を照らすほど明るい。本を読むには暗いが、日常生活に不自由はない。「弱」モードは、テーブルの真中に置いて、食事をするぐらいはできる。

玄関のような小さなコーナーには十分な明かり同じ場所で弱にした場合。強とは明暗の差が大きい机の上に置くにはやや本体が大きいが、明るさは十分にある
同じ場所で弱にした場合。肉眼だともう少し明るく見えるが、暗めではあるA4版の資料集を開いたところ。強でも周囲はやや暗くなる文庫本だと、なんとか読める

 点灯時間は、「強」で約2.5時間、「弱」で約50時間と大差がある。手元で実測したところ、「強」で3時間ちょっと持った。内蔵バッテリーはニッケル水素充電池だが、初期状態ではカタログ値を信じてよさそうだ。なお、バッテリー部分は分解禁止となっており、充電池の交換はサポート窓口経由となる。

良くも悪くも操作方法が特徴

 この製品をしばらく使っていると、振動感知式の操作方法が最大の特徴であることがわかった。

 パッと充電台から持ち上げて、テーブルの上などに移動し、ポンポンと本体を軽く叩いモード設定をするのは楽しい。この製品ならではの体験であり、楽しさだ。

 一方で、センサーの感度は、敏感すぎるときと鈍感すぎるときがあるように感じられた。目的のモードにするのは、慣れが必要だ。ポンポンと叩いて「弱」にするつもりが、1回多くカウントされて「イルミネーション」になることが多かった。同様に、消灯にするつもりなのに「強」で点灯することも多い。

 これは、振動センサーがボディ全体を見ているわけではなく、主に底部の部品の動きをみているためだ。つまり、本体上部のほうを叩いていると、反応が鈍く感じる。逆に、底部に近い方は敏感で、明かりを置いているのと同じテーブルの上に、ガチャっと鍋を置いただけでモードが変わったこともあった。ベッドサイドに置くときは、しっかりした台の上に置くことをお勧めする。振動が伝わりやすいと、思わぬ動きをすることがあるからだ。

「強」で点灯した状態「弱」で点灯した状態イルミネーションモードの一例。7つの色がゆっくりと入れ替わっていく
本体の周囲を囲む透明な樹脂板が反射して、独特の表情となる真っ暗な部屋の真ん中に強で置いた状態。周囲に何があるかはわかる

 意外なことに、提灯のように下げて歩いているときは、さほどモードが変わらない。むしろ、床から持ち上げたり、床に置くときの方がモードが変わりやすい。

 きっと設計者は、趣味の製品としての面白さを優先して、この操作方法を選んだのだと思う。慣れてくると、モードが変わっても、ポンポンと叩いて指定のモードにできるようになるし、それはそれで楽しい操作ではある。また、本体を充電台から持ち上げるだけで、点灯するのも、この構造ならば簡単にできる。

 ただ、実用性だけで言えば、モード切替を静電容量式のタッチスイッチか、思い切ってスライドスイッチなどにしてもよかったのではないかという気もする。面白さを取るか、実用性を取るかという問題だが、趣味の要素の強いインテリアライトなので、難しいところだ。

 また、改良時に追加して欲しい機能が2つある。

 1つは明るさの「強/弱」の差が大きすぎて中間がほしいことだ。いまの「弱」より2倍ぐらいの明るさで、バッテリーが丸1日もつ設定ができないだろうか。そういうモードがあると実用性が上がると思う。現状の「弱」は、バッテリーが持つのは良いのだが、ちょっと暗すぎる。

 2つ目は、「イルミネーション」設定は、現状だと用途が限られてしまう。色が変化し続けるのではなく、特定の色で固定できれば、もう少し用途が広がると思う。操作方法をどうするかは問題だが、叩く位置を変えるとか、スイッチを増やすとか手はあると思う。

 発売から1年以上経過し、価格的にもこなれてきているので、遊びの要素のあるLED照明器具として面白い製品だ。防災用品というわけではないが、停電時に自動点灯する機能を生かして寝室の常夜灯にも向いていると思う。






2012年9月20日 00:00