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家電製品ミニレビュー

象印マホービン「電気ケトル CK-FS08」

〜1時間の保温にお湯が溢れない設計、機能満載の電気ケトル
by 正藤 慶一
象印マホービン「CK-FS08」

 電気ケトルは海外発の製品ジャンルであるためか、これまでは海外メーカーの製品が目立っていた。しかしこのところ、日本国内で電気ポットを販売してきた家電メーカーが次々に市場に参入。日本らしい機能を多く搭載することで、徐々に海外メーカーに食い込みはじめている。

 象印マホービンが昨秋に発売した「CK−FS08」も、国内メーカーらしい多機能性が特徴。倒れてもお湯がこぼれにくい安全設計に、1時間の保温や、カルキ飛ばし、はたまた沸騰完了を知らせるメロディが変えられるなど、一般的な電気ケトルには搭載されていない機能が多く備わっている。

 今回はこの“多機能”電気ケトルを試し、その使い勝手などを見ていこう。


メーカー 象印マホービン
製品名 電気ケトル CK-FS08-WB
希望小売価格 13,650円
購入店舗 Amazon.co.jp
購入価格 6,678円


800mlを4分44秒で沸騰。運転終了をメロディでお知らせ。

 CK-FS08の本体サイズは230×145×205mm(幅×奥行き×高さ)で、電気ケトルとしては並みの大きさだ。本体を通電した円形の台座に載せる、というのも一般的だ。本体重量は1kgとやや重め。容量は800mlだが、このほかに1Lタイプも用意されている。

 とりあえず、一度お湯を沸かしてみよう。蓋を開け、容量いっぱいの800mlまで入れた。フタは全開するため、水が投入しやすい。広口なので、手入れの際にも便利そうだ。

まずはフタを取り外す。ツマミを挟んで、フタ全体を開ける この状態で水を注ぎ入れる。フタが完全に開くので、手も簡単に入る

 沸騰をスタートするには、取っ手にあるオレンジ色のボタン「沸かす」を押すだけ。ONにすると“ピッ”というビープ音が鳴り、ボタン左上の赤いランプも点灯する。消費電力を測ってみると、通電中は1,230W前後だった。

 沸騰が終了すると、チャイムが鳴って知らせてくれる。曲調はバッハのメヌエット。最初は、単なるビープ音だけしか鳴らないものだと勝手に思い込んでいたので、きれいな旋律にびっくりしてしまったが、これなら遠くに居ても分かりそうだ。運転終了時の音はOFFにもできる。

運転ボタンは、取っ手部分についている。オレンジ色のボタンを押して運転がスタートだ 運転中の消費電力は「1,229W」を示した

沸騰終了後に鳴るチャイム。保温ボタンを長押しすることでサイレントにもできる

 沸騰するまでの時間は、200ml時で1分45秒、満杯の800ml時で4分44秒。このあたりは過去に取り上げたティファール「アプレシア」や東芝「PHK-800R」とほとんど同じ。素早く沸騰するという、電気ケトルの基本性能はしっかり備えている。

 なお運転中は、「ゴー」だったり「シュー」という蒸気音や、水が沸騰する「ボコボコ」という音が聞こえるが、うるさいというほどではない。ほかのケトルでもよくあることだ。

意外に省エネの保温機能

通常の運転だと、沸騰完了後に自動的に保温がスタートする

 では次に、本製品の特徴の1つである保温機能を見ていこう。この保温機能は、沸騰後のケトル内部の湯温を、約1時間、約90℃にキープするというもの。2杯目のお茶やコーヒーもアツアツで飲めるというものだ。

 この保温機能を使うのはとにかく簡単。運転をONにすると同時に、「保温」ボタンも自動で点灯する。これが点灯していれば、沸騰後に保温モードへ自動的に移行することになる。保温は1時間で自動OFFになる。不要の場合は、保温ボタンを押してOFFにできる。

 しかし、この保温機能、本当に効果があるのだろうか。試しに、沸騰直後の温度「98.4℃」からの変化を測ってみた。すると、保温なしの場合は1時間で76.9℃だったのに対し、保温ありは88.6℃と、何と10℃以上も差がついている。76.9℃でもそれなりに熱いが、88.6℃の方が当然アッツアツだ。これなら、謳い文句どおり、2杯目のお茶・コーヒーも楽しめるだろう。

【保温の有無による
湯の温度変化】

時間経過 沸騰直後 30分 1時間
保温あり 98.4℃ 89.5℃ 88.6℃
保温なし 98.4℃ 86℃ 76.9℃

 ここで気になるのが電気代。電気ケトルはタダでさえ消費電力が高いため、これに保温をつけるとなると、さらに電気を使ってしまいそうだ。

 しかしこの保温機能では、ワットチェッカーの消費電力表示はほとんどが0Wだった。しばらく見ていると、一瞬だけ表示が1,300Wほどに上がる時があったが、すぐに0Wに下がった。

 保温のみの単独運転はできないため、電気代がどれだけになるかは不明だが、ワットチェッカーの電気料金の目安は、沸騰直後が「2円」で、保温終了後も「2円」のままだった。少なくとも、もう一度沸騰をスタートするよりも電気代は抑えられるだろう。

 電気代の話が出たついでに紹介すると、本製品は待機電力もゼロ。使う時だけ電気代が掛かるので、プラグを挿しっぱなしでも特に問題はないだろう。


カルキ除去機能に、お湯が溢れない安全機構

 本製品にはまだまだ機能がある。まずは、水道水に含まれるカルキ(塩素)を除去する「カルキとばしコース」だ。「沸かす」ボタンを長押しして運転をスタートすることで、沸騰後に約2分半、カルキを飛ばす運転に移行するというものだ。

 総運転時間を測ってみると、800ml時で7分5秒。沸騰だけで4分44秒掛かったため、カルキ飛ばしに掛かった時間は2分21秒ということになる。沸騰に7分も掛かるのは、個人的には長すぎと感じられるが、沸かした後で冷めた水を飲むと、水道水独特のツーンとした香りが少ないように感じられた。水にこだわる人向けのモードだろう。なお、カルキ飛ばし中の消費電力はゼロだった。

【カルキ飛ばしの有無による運転時間】
内容量 カルキ飛ばし運転
なし
カルキ飛ばし運転
あり
800ml 4分44秒 7分05秒
200ml 1分45秒 4分04秒

 また、象印の電気ケトルではおなじみの「湯量調節レバー」もある。レバーを押している時だけお湯が注げるので、広口の器には強く押してドバッと注ぎ、ペットボトルなど狭口の器には、弱めに押してチョロチョロ注げば良い。おまけに、使わない時は自動的でロックがかかるので、本体が倒れてもお湯はほとんど溢れない。

 この湯量調節レバーは、大手家電メーカーでは象印以外にはあまり見られない機構だ。便利さと安全さを兼ね備えており、本当に使いやすい。また沸騰後の本体も、熱くなりすぎないため、手で触れても特に問題なかった(ただし、蒸気口と注ぎ口は熱い点には注意)。

 細かいところでは、内容器の水位線がはっきり見やすいところも良かった。内容器は汚れがつきにくいフッ素加工で、水アカが付くこともなかった。 

象印のケトルの特徴である、湯量調節レバー。この状態は、ロックが掛かっている レバーを強く押すと、お湯が多めに出てくる レバーをちょっとだけ押すと、お湯もちょっとだけしか出てこない。ココアを溶かす際など、お湯は少しだけで良い場面にちょうど良かった

わざと本体を倒したところ。熱湯が入っているものの、お湯は漏れない
蒸気口と注ぎ口は、沸騰前後はとても熱くなる。触らないように気をつけよう 意外と良かったのが、ケトル内部の目盛り。はっきり書かれているため、認識しやすかった

便利さと安全性を兼ね備えた優秀な電気ケトル。買ってハズレはないはず

 保温もできて、安全性も高くて、注ぎやすく、カルキも抜ける……と、全般的に見てかなりレベルの高い電気ケトルといえるだろう。

 特に保温機能は、個人的に嬉しかった。私はコーヒーやココアやお茶をおかわりして飲むことが多いが、1杯が飲み終わった頃には、やかんで沸かしたお湯が冷めてしまって、もう一度沸かすまでに時間がかかることがあった。しかし本製品なら、普通に使うだけで保温をしてくれて、再度沸かす手間を省いてくれる。もう一度沸かすよりも消費電力は少ないし、また1時間で切れるので、保温の切り忘れもない。正直、今までなかったのが不思議なくらいだ。

 全体的に褒めまくってしまったが、まだまだ物足りないところもある。本体が重めなところ、フタが開いていても運転できてしまうところ、蒸気の噴出口がまだまだ熱いところなどは、他社の電気ケトルにも言えることだと知っていても、やっぱり気になってしまう。

 とはいえ、ここまでの便利機能と安全仕様を採用した製品は、現状の電気ケトル市場では珍しい。電気ケトルの購入に迷ったときは、これを買っておけばまずハズレはないだろう。






2012年1月27日 00:00