家電製品ミニレビュー

シャープ「ウォーターオーブン HEALSIO(ヘルシオ) AX-PX2」 後編

~本格的な煮魚がスイッチ1つでできる!
by 阿部 夏子
シャープ「ウォーターオーブン HEALSIO(ヘルシオ) AX-PX2」

 シャープ「ウォーターオーブン HEALSIO(ヘルシオ) AX-PX2」のレビューをお伝えしている。前回はAX-PX2の基本機能やウォーターオーブン技術を使った減塩・脱油メニューをレポートしたが、後編となる今回は、仕上がりに感動すら覚えた「骨まで柔らか」機能や米粉で作ったロールケーキなどをご紹介しよう。

苦手な煮魚がこんなにおいしくできた!

 まず、紹介するのはAX-PX2に新しく搭載された「骨まで柔らか」機能で作ったサンマだ。骨まで柔らか機能とは、サンマやイワシなど小骨の多い魚の骨まで丸ごと食べられるように、過熱水蒸気でじっくり調理するというもの。過熱水蒸気を使用することで、魚の身を焦がすことなく、時間をかけて骨をじっくり加熱することができるという。その代わり、加熱時間は2時間50分とかなり長めになっている。

 材料はさんま4尾、みりん、しょうゆ、酒、しょうがだけとごくシンプルなもの。まずは、さんまの頭と内臓を取り除き、4等分に切る。あとはタレと生姜と一緒に金属バットに入れて、落とし蓋代わりのクッキングシートを上からかぶせる。後は、給水タンクに所定の量の水を入れて、スイッチを入れるだけだ。

さんまの頭と内臓部分は取り除く4等分して調味料と生姜と一緒に金属バットに入れる落とし蓋代わりにクッキングシートをかぶせる

 ちょうどこの日は、外出の予定があったので、スイッチを入れたらそのまま外出した。家に戻って、ヘルシオの中を見てみると、予想以上の出来だった。

 見た目はもちろんだが、味が完璧! 骨まで違和感なく食べられるくらい柔らかいのに、身はふっくらとして食べ応え十分。買ってきた甘露煮なんかよりもよっぽどおいしい。圧力鍋などを使って、骨まで柔らかくしようとしたら、必ず身崩れしてしまうが、ヘルシオで調理したさんまは一切の煮崩れがない。

出来上がり煮崩れが全くないのにも関わらず中まで柔らかく、魚の臭みも全くない

 もう1つ感動したのは、味付けの部分。実は下ごしらえの段階で、「こんなに調味料が少なくて大丈夫なのかな」と心配していたのだ。しかし、出来上がった煮つけは、しっかり味がついていた。少量の調味料で食材の中までしっかり味付けできるのも、ヘルシオ独自のウォーターオーブン技術の特徴だ。

 料理はかなりする方だが、実は煮魚だけは苦手分野だった。何度もチャレンジはしているのだが、自分が納得いくものができたことがない。自然と作る回数も減って、煮魚は自分の母親に作ってもらうか、外食で食べるものに変わっていった。それが、ヘルシオの煮魚に出会って、大げさではなく感動してしまった。この煮魚だけを目当てにヘルシオを買っても良いかもしれないと思ったくらいだ。

 サンマに味をしめて、次に挑戦したのは「サバの味噌煮」。これまた苦い思い出のあるメニューだ。作り方はこれまた簡単。サバの切り身に生姜と合わせ調味料(赤味噌、みりん、醤油、酒、砂糖など)を入れて、クッキングシートで落とし蓋し、その上から更にアルミホイルで蓋をする。後は、ヘルシオのスイッチを押すだけだ。レシピブックには指示がなかったが、今回は表面に切れ目を入れた。

サバの味噌煮に挑戦。サバの切り身に合わせ調味料と、生姜を入れる先ほどと同じように金属バットに入れて、クッキングシートで落とし蓋。最後にアルミホイルで蓋をする自動メニューでサバの味噌煮を選択

 サバの味噌煮は「骨まで柔らか」機能を使ったものではないので、調理時間は30分以内と短め。炊飯器のお急ぎ炊飯している間に出来上がってしまう。

 出来上がりはこれまた絶品。さんまの時と同様、身崩れが全くなくふんわりと仕上がっている。味付けもちょうど良く、中までしっかり味が染み込んでいる。正直、完敗だ。ヘルシオで作った煮魚には勝てる気がしない。

出来上がり中までしっかり味が染みていて、煮崩れは一切ない

ヘルシオは電子レンジとは全く違う

 煮魚のレシピを紹介した時に、もしかしたら気付いている人もいるかもしれないが、ヘルシオでは金属バットやアルミホイルをそのまま加熱することができる。普通のオーブンレンジでは、絶対にやってはいけないことだが、ヘルシオでは電磁波は全く使わずに、純粋に過熱水蒸気だけを使って調理しているので、これができるのだ。

 電子レンジではやっていけないこと――といえば、卵をそのまま加熱するのもタブーだ。もちろん、ヘルシオではこれも大丈夫。ヘルシオを使ってゆで卵を作るなんてことまでできるのだ。

 ゆで卵を使ったレシピとしてご紹介するのは「マカロニサラダ」。お弁当のおかずとしても使えるし、男性が好きなレシピでもある。加熱する前にいくつか、下ごしらえをする必要がある。まずニンジンと玉ねぎを切って耐熱皿に入れ、ささみに塩コショウして、金属網に卵と一緒に入れる。マカロニ70gは、塩水と一緒に耐熱容器に入れる。これら全てを1つの角皿に入れたら後はスイッチを入れるだけ。

マカロニは4人分で70g。耐熱皿に入れて、塩水を入れておく材料の下ごしらえをしたら1つの角皿に全て載せる加熱後の様子

 加熱後は、それぞれの材料を水切りし、ささみは細かくカット、卵は冷やしてから殻をむく。ゆで卵の仕上がりはこれまた見事! 固めに茹であがっていて、サラダの付け合わせとしてはぴったりだ。今回は付け合わせ用に半分残して、後は細かく切ってサラダの中に入れた。

加熱後の野菜は水切りしておくささみは細かく切る卵は固茹でに仕上がっていた
出来上がり。ささみがよく絡んでいて、食べ応えのある一品となった

 なお、マカロニサラダでは、味付けは加熱後に行なう。材料を全てボウルの中に入れて、塩・こしょう・マヨネーズで味付け。ここらへんは普通にマカロニサラダを作る時と同様だ。

 野菜や肉、卵、マカロニと、種類の異なる材料を一気に加熱して、加熱後は混ぜ合わせるだけなので、工程はかなり省略できる。いつも自分でマカロニサラダを作るときはツナやハムを使うので、ささみを入れたのは今回が初めてだったが、これが意外に合う。細かく刻むことで、マヨネーズにもよく絡むし、食べ応えも増す。

しっとり米粉ロールケーキを作ってみた!

 最後にご紹介するのは米粉を使った「あずき入り抹茶米粉ロールケーキ」だ。ロールケーキも米粉を使ったケーキを作るのも初めてだったが、ヘルシオのレシピブックに多数掲載されているデザートメニューの中でも、ひと際おいしそうだったので、あえてチャレンジしてみた。

 ヘルシオに搭載されている多くの自動メニューでは、下ごしらえして、後は加熱するだけというスタイルだが、ケーキやパンの場合、やっぱりそれなりに手間はかかる。今回作ったロールケーキの場合、まずは卵白と卵黄を分けて卵白をツノが立つまで泡立てる。その後に、卵黄を湯せんしながら砂糖を加えて、卵白と卵黄を混ぜて、それから粉をふるって――というように、工程も作業内容も大変だった。何しろ初めてだったので、レシピ通りに作った。

卵白と卵黄を分けて、卵白だけをツノが立つまで泡立てる卵黄に湯せんしながら砂糖を加えて、卵白と一緒にする。写真はその状態に米粉を加えたもの中の生クリームには抹茶とあずき(レシピでは黒豆だったが、なかったためあずきで代用した)を入れる

 ロールケーキで面白いと思ったのは、角皿に直接生地を入れてしまうこと。直接と言っても、もちろん、キッチンペーパーなどは敷くのだが、ロールケーキ用の型などを用意する必要はない。ヘルシオの場合、生地が焦げ付くのを防ぐために、角皿を2枚重ねて使用するにという指示があった。

角皿にキッチンペーパーを敷いて、生地を流し込む焼き過ぎないように角皿は2枚重ねて使う焼きあがり

 生地の焼き上がりを見て、感動。お店にあるようなキメの整ったロールケーキが完成した。ウォーターオーブン技術で焼き上げているからなのか、生地がしっとりしていて、パサツキがまったくない。初めてでも、失敗することなく立派なケーキを作ることができた。

中にクリームを入れて巻いたところ、見た目は立派なロールケーキだ中にはクリームがたっぷり入っている市販のロールケーキに比べるとちょっと横に広がってしまった

アプリがあったらもっと使いこなせる

 1カ月以上に渡ってヘルシオを使い続けてきたが、多くのメニューで「自分で作るよりヘルシオ使った方が良い」と感じた。料理の腕がどうこうというよりも、それくらいヘルシオの過熱水蒸気技術はすごいのだ。使い続けていくうちに、自分流のアレンジもできるようになるだろうし、ヘルシオクラスの高級製品を買ったのなら、毎日でも使わないともったいない。

 その一方で、これがあるから使い続けられないんだよなーと感じたところもあった。まずは、レシピの細かさ。たとえばマカロニサラダを作る時でも玉ねぎが100g単位で指定されている。ところが、実際の玉ねぎ1/2は162gで、100gだけを使うのは無駄が出るし、手間もかかる。前編でご紹介した春巻きを作ったときもそうだ。レシピの指定ではニラは2/3束。じゃあ、残りの1/3束はどうすればいいのだ――

 私の場合、多いのを承知で材料に加えてしまったが、神経質な人の場合は食材をきっちり計って、その都度、無駄な食材が出るというのを繰り返していたら自然と自動メニューから遠ざかってしまうかもしれない。ヘルシオのレシピでは2人分、4人分のレシピがそれぞれ掲載されているが、もうちょっとその辺の融通が効く内容にしてほしい。

レシピには玉ねぎ100gとあったが、玉ねぎ1/2でも162gある春巻きのレシピではニラは2/3束と指示されている加熱は2人分、4人分から選べる
付属のレシピブック。本体に搭載されている自動メニューのレシピは全てここに掲載されている

 もう1つは、自動メニューの多さ。本体に搭載されている自動メニューだけでも299あるのでとてもじゃないが、全部のメニューを使いこなせない。今回、レビューのためにクックブックとにらめっこしながら、材料をピックアップしたが、それを毎回やるのはやはり現実的ではない。

 そこで提案したいのが、モバイルメールや、スマートフォンアプリの開発だ。携帯電話でレシピを確認できたり、今週のお勧めメニューとして、ヘルシオ側から提案してくれるような仕組みが欲しい。ヘルシオは新モデルが出るたびに進化をつづけているので、ここは今後に期待したいところだ。






2011年12月6日 00:00