家電製品ミニレビュー

日立「ふとん乾燥機 アッとドライ HFK-PD1」

~短時間で布団がフカフカ、気持ちよく眠れる
by 但見 裕子
日立「ふとん乾燥機 アッとドライ HFK-PD1」

 猛暑から、急転直下で秋雨の季節に入ってしまった。秋の天気は変わりやすく、朝方晴れていても急に降り出したりして油断がならない。そんなわけでふとん干しもままならないこの季節に、便利に使えそうなふとん乾燥機を見つけたので試してみた。日立の「ふとん乾燥機 アッとドライ HFK-PD1」(以下、アッとドライ)という製品だ。

 この製品の一番の特徴は、製品名が表すように乾燥時間が短いということ。羊毛布団の場合、枕と一緒に約38分で乾燥させることができるという。その秘密は、マットの形状にある。新開発の「トリプルピローマット」は、温風の通り道を3つに分けてあるので、短時間で均一にむらなく乾燥でき、枕も一緒に乾燥させることができるという。

 


メーカー日立リビングサプライ
製品名ふとん乾燥機 アッとドライ HFK-PD1
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格5,649円


 アッとドライは、一般的なふとん乾燥機と同様、温風を吹き出す本体と、大きな袋状の乾燥マットとで成り立っている。マットの大きさは1,850×880mm(縦×横)。セミダブルのベッドに置いてみたが、十分な大きさがあると感じた。

 本体は操作ダイヤルが前面に配置された、ごく一般的な造り。このダイヤルでタイマーがセットできるという。とりあえず「トリプルピローマット」の送風とはどんな感じなのか見たいので、ふとんを掛けない状態で運転させてみることにした。

製品パッケージ三層に分けて送風する「トリプルピローマット」の模式図
セミダブルのベッドに置いてみたが、十分な大きさがある本体上部のフタを開けたところ。蛇腹状のパイプの下に収納されているのがトリプルピローマット

まずは、ふくらませてみた

 まずは、本体から蛇腹のホースを出し、ファスナーで乾燥マットに取り付ける。マットの接続口は、マットの短い辺のまん中にあるが、もう1つ、その横の、長い辺の上部にもある。これは、ベッドの配置によっては乾燥機本体の置き場所に無理が出るため、接続口を2カ所にして対応してあるらしい。親切な工夫だ。

送風口は、設置場所に応じて使えるよう2つある上部中心の送風口にパイプをつないだところカドのところの送風口につないだところ

 マットの片面上部には「かけふとん側」という指定が書かれているので、こちらを上にして置く。ダイヤルをセットし、送風を始めると、まず、ステッチで区切られたまん中を残して、周囲がドーナツ状にふくらみ始めた。

「かけふとん側」と指定された方を上にして使用する最初、外側がドーナツ状にふくらむだんだん全体的にふくらむ

 さらに見ていると、だんだん、まん中も持ち上がってふくらみ始めた。まん中の部分は袋になっていないにもかからわずふくらむのは、温風の吹き出し穴が真ん中の裏側部分に設けられているからだ。そこから出る温風が行き場を失って、マットを持ち上げているわけだ。温風が、直接敷きぶとんに当たり、吹き抜けていく流れになる。

 温風の吹き出し穴は反対側にもある。かなり大きく口が開いていて、一見、こんなに気前よく温風を逃がしていいのかなという感じだ。この吹き出し穴をを抜けて、温風が直接掛けぶとんと敷きぶとんの両方に当たるようになっている。

かなり大きく開いている吹き出し口もう一方の吹き出し口は、こんな感じ

 温風の流れは、マットの中をドーナツ型に回るものと、吹き出し口から敷きぶとんに直接当たるもの、掛けぶとんに直接当たるものの3つがある。この3つの温風の流れを指して「トリプル」ということのようだ。

ふとんと枕を温風乾燥する

 さて、いよいよふとんと枕をセットして、本格的にふとん乾燥を試してみよう。

 本体付属のトリプルピローマットには、枕を入れるための「まくらポケット」が設けられている。ここに枕を入れ、ファスナーで口を閉じれば準備は完了だ。40×60cm(縦×横)の大きめな枕でも、問題なく入れることができた。

 今まで、ふとん乾燥機で枕を乾燥させるときは、ふとんと一緒に何となく、まぎれ込ませるような、中途半端な気持ちで入れていたので、こういうちゃんとした定位置があるのは、気分的にいい。

「まくらポケット」から枕を入れているところ。大きめの枕だったが十分入った。枕は吹き出し口下に収納される
「アッとドライ」のダイヤルの表示パネル。夏コースと冬コースの2つに分かれている

 次に、ダイヤルをセットして運転を始める。綿ふとんの場合の標準的な運転時間は、約47分とされている。前に使っていたふとん乾燥機では、乾燥に1時間以上かかっていたので、アッとドライという製品名の通り、乾燥時間は確かに短くなっているわけだ。

 ダイヤルのパネルは、右回しの「夏コース」と、左に回す「冬コース」に分かれている。夏コースの最大の特徴は、乾燥が終わったあと熱を取るために送風を約30分行なうことだ。そのため、冬コースに比べて運転時間が30分長くなる。

 冬コースでは送風は行なわない。羽・羊毛ふとんの乾燥時間は約38分、綿ふとんで約47分かかることになっていて、この乾燥時間そのものは夏コースの時も変わらない。冬コースには、ほかに所要時間約120分の「ダニ退治」、そして、後述する「おやすみ前の暖め」がある。

 軽い運転音とともに、乾燥マットが膨らみ、だんだん掛け布団を押し上げ始めた。大きく開いていて少し気になった吹き出し口だが、上からふとんで押さえられているせいだろう、温風を無駄に逃すようなことはなく、運転に問題はないようだ。

温風でふくらんだマットがふとんを押し上げている

 こうして、ふとんが温風でぬくぬくと持ち上がっている景色は、なかなか平和な感じでいいものだ。

 「アッとドライ」の消費電力は680Wだ。小さな電気ストーブかホットプレートくらいはあるので、電子レンジなど消費電力の高いものと同時に使うときには容量に気をつけたい。ちなみに一回あたりの電気代は、約9.5円となっている。

 運転がはじまってしまったら、ただ見ていても仕方がないので、洗濯など別な用事をしていたら、いつのまにか運転は終わっていた。ふとんに手を入れてみると、ホカホカと暖かい。

 乾燥前よりフワッとなって、心なしか手ざわりも軽くなったように思う。「まくらポケット」に入れておいた枕も同様にホカホカだ。

 ベランダで干し物をして寒かったので、これ幸いとふとんに入ってみた。一気に暖かく包まれて、実にいい感じだ。温泉に入ったみたいである。

 温かくて、ふかふかとした布団は眠気を誘う。いい気持ちになっているうちに、実際ちょっと寝てしまった。アッとドライには、乾燥以外にも「おやすみ前の暖め」というコースが設定されていて、寝る前にふとんを暖める使い方が推奨されているのだ。「暖め」の運転時間は15分間となっている。

 たしかに冬場は、寝具の肌ざわりがひんやりして、寝床の中が温まるまで時間がかかり、目がさえてしまうことがある。ふとんを暖めておけば、気持ちよく眠りに入れるというわけだ。非常におすすめできる使い方だと思う。なお、この「暖め」など、短時間だけ運転するときは、タイマーを「羽毛・羊毛」の目盛り以上まで回し、戻しながら合わせることになっている。

マットをパイプにつないだまま収納できる

 使用後、乾燥マットはホースに取り付けたまま小さくたたんで(または丸めて)収納できる仕様になっている。マットの取り付け取り外し、そして収納は、じっさい面倒で、毎日使う時期は出しっぱなしにしたくなるものだから、これは助かる。さっとしまってフタをしておけば、ベッドサイドに置いてあってもだらしなくない。

 ただ、あまり大ざっぱにたたむと、やっぱりフタがうまく閉まらないようだ。

「まくらポケット」と「暖め」機能がおすすめ

 短時間で布団をふわふわの温かい状態に仕上げてくれる乾燥機能には、十分満足できた。まくらポケットもいい工夫である。枕は顔や髪が触れるものだから、いつも乾燥させて気持ちよくしていたい。また、この季節、何よりおすすめなのが、就寝前に短時間で布団を暖めてくれる「おやすみ前の暖め」である。

 現在ふとん乾燥機を持っていない人、しかも冬場のふとんは冷たいと感じている人なら、迷わず購入を考えられていいと思う。




2010年10月4日 00:00