家電製品ミニレビュー

ユーイング「1ドア冷蔵庫 MR-D05BB」

~猫専用に購入した小型冷蔵庫の実力
by 大原 雄介
ユーイング「1ドア冷蔵庫 MR-D05BB」

えー、のっけから私事で恐縮なのですが、当家のスタッフ一号(♀)とその兄(♂)が、共に昨年から腎不全で闘病中であります。猫にはつきものの病気で、治ることは無い(一度機能を失った腎臓は復活しないというのは人間と同じ)ので、尿毒症にまで進んだりしないように、とは言っても猫が大人しく人工透析なんかさせてくれる訳も無いので、定期的な輸液で何とかカバーしております。

 ただ2人とも腎不全が結構進行しており、今年3月くらいから普通のご飯を一切食べてくれなくなりました。幸い、というか「普通でない」ご飯はそれでも食べてくれるので、鯵のたたきやカツオ/マグロの赤身、焼いたサンマや鯵など、明らかに人間より良いものが優先的に2匹に廻り、人間が残り物 (時間がたった赤身とか、焼いた魚の解体後の残り、余った骨で取ったスープなど)を頂くという、これまた腎不全の猫を抱えたご家庭では良く見られる光景がここ半年ほど続いております。

 ということで本題。3月くらいはそれでも居室の冷蔵庫だけで間に合っていたのだが、4月に入りみるみる気温が急上昇すると、こうした「普通でない」ご飯は冷蔵保存しないとすぐに痛んでしまうし、だからといって居室と(2人が居る)仕事場はちょっと離れており、また居室の冷蔵庫も結構一杯である。

 特に猫は一度ご飯を食べなくなると、好みが煩雑に変わるため(さっきは鯵を食ったけど、今度は赤身が食べたい、etc)、保存すべき食事の量がかなりの容量になってしまい、別の収容方法を考えなければいけなくなった。そんな訳で仕事場に「猫専用」(いや、一応人間用飲み物なども冷蔵したりしているが)冷蔵庫を導入する必要が出てきた。

 そんな訳で幾つか冷蔵庫を物色していたのだが、メインが猫用だからそれほど大きな容量は要らないし、大体デカイ冷蔵庫は入らない。1ドアの、それも背が低いタイプで十分である。容量的には50Lも要らない程度で十分である。最終的に選択したのはユーイングの「1ドア冷蔵庫 MR-D05BB」だ。ちなみにユーイングというのは、元森田電工のこと。森田電工は、6月1日に社名をユーイングに変更している。


メーカーユーイング
製品名1ドア冷蔵庫 MR-D05BB
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格11,800円


 今回MR-D05BBを選んだ理由は主に2つある。

・安い:最終的にはAmazon経由でJoshin webから購入したが、当時の価格で送料込みで\11,800(最近はもう少し上がっているようだ)と比較的手頃であった。これより安いものはペルチェを使ったドリンククーラーが殆どで、これだと冷却能力と収容能力の両方に不安があった。

・低ランニングコスト:年間消費電力が120kWhという低コストが売りであり、この数字は同クラスの他社製品より低めであった。

 また、発注時にちょうど在庫があった点が決め手になった。最終的には4月27日の夜に発注、4/30の朝には品物が到着した。梱包は小型で比較的軽量(単体で18Kg)とはいえ、やはり冷蔵庫らしく底が残るタイプ。付属品は多くなく、説明書とトレイ、製氷皿のみ。冷蔵庫内部のサイズ(実測)は、上段が400×280×160mm(幅×奥行き×高さ)、下段は400×160mm×200mm(同)といったところ。

梱包サイズは縦・横・高さ全て520mm。梱包材まで込みの重量は20Kgほどこの他、上にやはり発泡スチロールの板が入る。総じて梱包材の量は少なく、好感が持てるまぁこのクラスの冷蔵庫としては、こんなものだろう

 製氷室は上開きの扉を持ち上げる形でアクセスする。900ccのアイスコーヒーのペットボトルだと、頑張れば7本ほど上段には納められる感じだ。下段はペットボトルに不向き(奥行きが無いので、横に寝かす形になる)だが、逆に猫のご飯とかには案外に適した感じである(これについては後述)。

製氷室の真下が高さ60mmほど。あまり高さのあるものは置けない製氷室は幅が225mmほどだが、実質的なサイズは180×270×100mm(幅×奥行き×高さ)といったところ。左下がラウンド形状になっているので、案外に狭いペットボトルは縦横が70mmほどで、計算上は製氷室の下には収まらない筈だが、入れてみたら入った。この状態で更に製氷室の左側の空間に2本ほど入れられる計算

 次は扉だが、以下の写真のような感じである。容量としては、いずれも実測値で
上段右:幅180mm×奥行き60mm×高さ80mm
上段左:幅135mm×奥行き75mm×高さ45mm
下段:幅345mmm×奥行き80mm(左端のみ90mm)×高さ255mm(右側)/300mm(左側)
といったところ。やはりペットボトルが5本ほど入る感じだ。

1.5Lクラスまでのペットボトルは一番左のくぼんだ部分にいれられるが、2Lクラスは流石に無理だった「どれだけBLACK無糖が好きなんだ?」といわれそうだが、好きである。もっとも最近は冷蔵庫のお陰で、まとめ買いをして後で冷やすことが出来るようになったため、同じUCCの「職人の珈琲(無糖)」に切り替えている

 さて、冷蔵庫到着直後からフル稼働した事は言うまでもない。今もなお続く猛暑(朝晩はともかく、昼間はまだ残暑という感じからは程遠い)の時期にこれを導入したお陰で、ここ4カ月ほど続く2人の偏食にもなんとか対応できた。

ある日の冷蔵庫の例。タッパーには魚を焼いたもののストック、右に積み重ねたのが食べかけのご飯である。上段には魚屋から買ってきたトレイをそのまま入れてある。普段は容量に不足を感じることは殆どないお食事風景。左がスタッフ1号、右が兄。この頃はまだ焼いた魚が結構お気に入りだった

 ちなみに、どの程度冷えたかをデジタル温度計を使って測定してみた。測定箇所は上段の左奥、下段右手前、及び製氷室の中で、一度ドアを開けてから約3時間後の温度を計測。結果は以下の写真の通りだ。

T-Zone秋葉原店で売っていた、PCケース用の温度計(\980)。精度は当然それなりだが、まぁそこまで精密測定をするわけではないから十分である。これを3つほど購入してきたちょっとラベルが見えなくなっているが、1番の温度計センサーはで上段左奥に設置2番の温度計センサーは、下段右端、ドアに近い部分に設置
3番の温度計センサーは、製氷室の脇のコントローラに取り付け。ちなみに3番の温度計のみ、他に比べて0.5℃ほど高い数値を出す傾向があるので、実際には3番は8.8℃程度と予想される稼動状態も何段階かあるようで、68W/75W/83Wという数値をよく見かける。ちなみに反応はかなりダル。概ね1分毎程度に調整をかけているようで、例えばドアを開けっ放しにしても、稼動状態に入るまで1分程度のディレイがある

 ちなみに、温度調節のつまみは1.5℃度に設定している。これより強くすると霜が非常に出来やすくなり、2.5を超えると液体物がしばしば凍りつく事を経験した(当初3くらいで稼動させたところ、刺身が全部凍ってしまった)ので、筆者の様な使い方では1.5~2くらいが適当なようだ。

 消費電力に関して言えば、稼動時は最大で80W程度。ただし非稼動時は0Wになっており、トータルでの消費電力は多くない。ためしに積算モードで測定したところ、積算時間70時間14分で合計消費電力は1.22kWhとなった。1年間が365日計算で8760時間だから、ここから算出すると年間 152.2kWhという計算になる。公称性能の120kWhよりは若干多いが、毎日開け閉めが激しい(最近は1回の食事で食べる量が減った代わりに回数がやたら増えており、プラス人間も飲み物を冷やすのに使っている関係で、多分毎日30回位開け閉めしているはずだ)し、なにより今は異様に気温が高いことも影響あるだろう。冬場はもっと消費電力は減るだろうと期待できるので、それを勘案すると通年ではやはり120kWh程度に収まりそうに思える。

 というわけで、良い点を色々書き連ねてきたが、当然欠点もある。まずは製氷室。「製氷室」という書き方をしてきたが、正確には「冷却器」であって、少々の氷は作れるが、いわゆる冷凍室を想像するのは正しくない。もっと言えば「室」という表現も問題ある。というのはこの製氷室の奥は開放状態になっており、また手前の蓋もそれほどしっかりとはしていない。

 なので、直接冷却器に接している部分は結構温度が下がるが、製氷室内部温度は冷蔵庫の他の場所とそれほど変わらない。実際説明書にも「冷却器内には、冷凍食品やアイスクリームは貯蔵できませんので入れないでくだい。」と明記されている。実際、内部に保冷剤を積み重ねてみたところ、冷却器と接している保冷剤は見事に凍りついたが、その上に積み重ねた保冷剤は全然凍らなかった。どうしても、というのであればつまみを5とか6にすれば結構いけるかもしれないが、その場合は冷蔵庫全体が冷凍庫化すると思われる。

これを撮影した時期は、気温と湿度の両方が高かった頃で、まぁ霜が出来る出来る。ただ幸いに庫内が小さいし、上段は非常に目の粗い網なので、霜を取るのは非常に簡単だ

 霜もまた問題である。霜取り機能は無いので、数日放置しておくとこんな具合に見事に霜が出来あがる。これを放置すると冷却能力が落ちるので、「手動で」霜取りの必要がある。筆者の場合、製氷室は事実上使ってないので、内部の霜は放置して、この外側の霜だけ3~4日に一度そげ落としている。といっても、冷却能力がそれほど強くないので、布巾あたりで拭いてやれば霜は簡単にこそげ落とすことができるから、たいした手間ではないのだが。

 霜ができるということは、当然水滴も発生しやすい。霜に起因する水滴対策のため、庫内に食器などを収納する場合、必ず蓋をする必要がある。ラップをかぶせるだけでもいいが、後で水を払うのはカバーの方が楽である。このあたりは、普通の冷蔵庫の感覚で使おうとするとちょっと不便に感じるかもしれない。

 最後が扉のラッチ機構である。ラッチ、といっても恐らくはマグネットで止めているだけなのだが、このラッチが結構弱いため、扉を「閉めたつもり」で開いていたという事故(笑)が結構頻発した。気をつけて閉めれば問題ないのだが、軽く押しただけとか、冷蔵庫の中にものが一杯つまっているといった時には開いたままになることが多い。この製品に対する一番の不満はこのラッチ機構の弱さである。とはいえ、ちょっとした工夫でどうにかなる事柄でもないので、こればっかりは「気をつけて使う」しかないのだが。

 というわけで、あまり例の無い「猫用冷蔵庫」という観点でMR-D05BBを評価させていただいたが、この用途に関する限り満足である。恐らくペルチェベースの電子クーラーではここまでの容量は確保できなかっただろうし、冷却能力ももっと劣っていたと思われる。ということで、専用冷蔵庫まで用意したので、スタッフどもにはもう少し頑張って生き続けて欲しいと切に願う次第である。

新鮮な刺身をがっつく兄(手前)と妹(奥)スープ類の保存にも便利。ちなみに左が鯛あら、右がチキンで取ったスープ



2010年9月1日 00:00