家電製品ミニレビュー

ドレッシングフォーマーで調味料を泡にしたら、見た目と味が一気に高級料理!

 「エスプーマ」という調理方法をご存知だろうか? 数年前に大ブームとなった、料理にメレンゲのような泡ソースをかけていただく料理やそのソースの調理法だ。

きめ細かい泡状のソースで、これまでにない食感と風味が楽しめるエスプーマを使った料理

 生クリームが一瞬でホイップできるのはもちろん、あらゆるジュースやスープなど、液状のものはほとんどを一瞬にしてムースのようにきめ細かい泡状にできるとあって、スペイン料理を皮切りにフランス料理などにも爆発的に広がりを見せた。身近なところでは、スターバックスコーヒーのふわふわクリームが乗ったラテが有名だろう。

 ただ、これまでエスプーマを作ろうとすると、数万円の高圧密閉ボトル(高圧に耐えられるスプレーボトル)や高圧炭酸(窒素)ガスなどが必要で、一般家庭で楽しむのは無理だった。何しろ簡易版の安いもので2万円(ただし二酸化炭素を使うので全部に酸味が付いちゃう)、本格的なものになると10万円(素材の風味を損なわない)もかかったのだ。

 ところが、今回紹介するレコルトの「ミルク&ドレッシングフォーマー」なら、たった2,700円の本体だけで、エスプーマならぬエセ(似非)プーマ(笑い)が楽しめる。

 しかも素材の味は損なわない、高級タイプのエスプーマに近い食感と風味なのだ! シャレで「エセプーマ」なんて言ってらんないくらいの完成度に驚愕! 料理好きなら、楽しめない要素がないので、ここにオススメしたい。

レコルトの「ミルク&ドレッシングフォーマー」
メーカー名レコルト
製品名ミルク&ドレッシングフォーマー
実勢価格2,700円

楽々減塩できちゃう! 泡しょうゆや泡ポン酢

 まず作ってみたのが、NHKの「ためしてガッテン!」などでも紹介されていた"泡しょうゆ"だ。付属のレシピには、だいたい3分で作れる泡しょうゆの作り方が書かれている。そこでまず、レシピどおりに作ってみた。

1)30ccの水に粉ゼラチン小さじ半分を入れる。水を入れたらゼラチンをよくかき混ぜると、次の工程で溶けやすくなる
2)600Wの電子レンジで40秒温める。レンジから出し、溶け残りがある場合はかき混ぜる
3)氷を入れたボウルの中にカップを入れ、冷やしながら泡立てる。カップにシリコン製のフタをして、その中に攪拌器を差し込む。ボウルには氷を入れ冷やしながら攪拌する。攪拌器の赤い部分を押すとON/OFFができる
4)最後にしょうゆを小さじ2杯入れ再び攪拌してできあがり。しょうゆの代わりにポン酢や白だしなどを混ぜれば、泡ポン酢や泡白だしなどができる
昆布ポン酢でも泡ポン酢を作ってみた

 ご覧の通り、目盛り付きのガラスのカップは、可愛くておしゃれなだけでなく、レンジ対応の耐熱ガラス。しかも内側には、ミキサーみたいな凹凸がついているので、攪拌が早く泡立ちもいいのだ。

 一方の攪拌器は、「100円ショップ売ってるヤツじゃん!」という人もいるかもしれない。がっ! 100均のものとは、軸(シャフト)の精度がまったく違うのだ。シャフトが回転軸のど真ん中にあるので、先端の泡立て部分が、バタつかず安定して高速で回転する。つまり、おのずと泡立ちも違ってくるというわけ。

ガラスコップの内側には、ミキサーのような凹凸がついている
スローシャッターで攪拌器を撮影しても、まったく軸がぶれていないのが分かる。100均のヤツだと、軸がぶれてるので回転すると暴れまくるんだよねー
電源は単三電池2本。エネループなどの充電電池は電圧が低く大電流が出ないので、重いソースは作れない。だからアルカリ乾電池がおすすめ

泡立てたしょうゆやポン酢は減塩しても味がしっかり!

 さっそく泡しょうゆと泡ポン酢で、小さな手まり寿司を食べてみた。

左奥の卵に巻かれた甘エビと、右前のマグロには泡しょうゆを、イカとエビには泡ポン酢を盛ってみた
娘にも大好評! 「なにこれ!? うまっ!!」

 このきめ細かい泡を見よ! この世の寿司とは思えないフォルム! が! 食べてみるとうまいじゃん! なのだ。しょうゆはゼラチン入りの水で薄められているにもかかわらず、しっかりした風味と塩味があり、舌の上に最後まで残って、塩分の足りなさを感じることはない。コレ、確実に減塩できます! 高血圧の人にオススメ。

 その秘密は、ゼラチンを入れて泡立てているところにある。見た目も食感もクリーム状の泡だが、ゼラチンを泡立てて氷水で固めているので、実際には泡立ったゼリーなのだ。なので口に入れた瞬間、体温でゼリーが溶け出し、舌の上にゼリーが絡みつくので、味がしっかり感じられ、コクが長持ちするというわけ。

 ポン酢も試してみたが、味の薄さを感じることはなく、コクが増すのに驚いた。数年前にポン酢ジュレが流行ったが、アレより口に入れたときの風味が強く、鼻を抜ける柑橘系の香りがめっちゃ、さわやかテイスティ!

 お寿司に泡はネェだろ? という保守派の方は、おひたしやカルパッチョに添えるといいだろう。ちょっとした薬味の代わりに添えてもいい。

ジュースにノンオイルドレッシングなどなど可能性は無限大

 次に作ってみたのは、ローストビーフ用のソース。これもレシピにあったものをそのまま作ってみた。作り方は簡単で、30ccの水で小さじ半分のゼラチンを溶かすまでは一緒。ここに小さじ1杯のマスタードと、2杯のはちみつを加えて攪拌。これでハニーマスタードのできあがりだ。

 ローストビーフなどの肉系に合うだけでなく、やさしい甘さとほのかな酸味なので、魚のソテーやサラダのドレッシングとしてもおいしい。ディルとあわせて、鮭のムニエルなんかいいかも! あーっ! 食いたくなってきた!!

 またレシピにはなかった筆者オリジナルのレシピとしてオススメしたいのは、トマトやパイナップルといった野菜、フルーツの泡ソースだ。

 パイナップルの泡ソースは、ゼラチンを水で溶かすのではなく、50ccのパイナップルジュースに溶かすだけ。ほんのり甘くパインの香りがするので、ポークソテーなどに添えるだけで、グレードアップしたサプライズメニューになる。

ステーキにパイナップルの泡ソースをのせて、ハワイアンな感じに♪ 家族は不思議がって、食べると驚くから面白い

 家族に大人気だったのはトマトの泡ソース。これもパイナップルと同じようにゼラチンをトマトジュースで溶かすだけ。ここでは肉料理にさわやかさを添えたかったので、ポッカレモン&塩を軽く入れている。トマトの赤も映えるので、白い鶏肉や白身のカルパッチョ、モッツァレラチーズに添えても絶対おいしいはず!

さらっとしたトマトジュースより、濃いトマトジュースの方が発色がよかった。おすすめは伊藤園の「理想のトマト」。これに塩とレモンを加えるだけ
彩り美しいトマトの泡ソース。見た目は明太子みたいだけど……

 野菜やフルーツの泡ソースによく合うのは、コンビニエンスストアで売っている、チキンのスープ煮込み。鶏むね肉なのであっさりして、最後のほうは飽きてしまうが、泡ソースを乗せて食べると、一流レストランのオードブルのようになる。何よりいろんなフレーバーで飽きないのが魅力。

泡ソースを手軽に楽しむなら、コンビニとかで売ってる鶏むね肉のスープ煮込み(サラダチキン)。これに泡ソースを乗せると、ソースが主役のオードブルになる
いろんな泡ソースを作ってテイスティングしてみるのも楽しい! 緑の抹茶エスプーマを、天ぷらに盛るのなんかもあり

 もう1つおススメの泡ソースは、アリオリソース。フランス料理で定番のニンニク・マヨネーズだ。自家製マヨネーズに、にんにくチューブを2cmほど混ぜるだけでOK。あれば彩りにパセリなど加えてもいい。

ゼラチンを使わなくても、卵の黄身とニンニクが酢と油をうまく混ぜてくれるので、きれいな泡状になる

 サラダ油を使ったフレンチドレッシングなどは泡ソースにできないが、ジュースやスープなど、油をさほど含まない液体なら、たいてい泡ソースにできる。レシピの可能性は、無限大といってもいいだろう。レモンやわさび、しょうが汁など、薬味系を泡ソースにしても楽しい。

 さて、こうしてできあがった泡ソースだが、残ってしまったら冷蔵庫で保存しておける。ただし冷やすと食感が変わってしまうので注意。使うときはレンジで20秒ほど再加熱してセラチンを溶かしてから使おう。もし泡が消えてしまった場合は、再び氷水につけながら攪拌してやればいい。

正統派の「乳化」でオリジナルドレッシング作りもOK

 ゼラチンを使った泡ソースの弱点は、油が多いものは泡状にできないこと。でもサラダのドレッシングには、やっぱり油が欠かせない! という場合は、「乳化」がオススメ。

 乳化とは、通常では混ざり合わない水と油でも、あるものを媒介にすると混ざるという現象。簡単に言うと、酢と油は通常では分離してしまうが、卵の黄身を媒介にするとマヨネーズになる。これが乳化作用だ。

 そこで乳化を使った筆者オリジナルレシピをご紹介! まずは定番の自家製マヨネーズから。

1)卵の黄身とお酢でまず攪拌。卵の黄身を入れたカップに酢を30ccになるまで加える。この状態でまず攪拌。お酢は、クセの少ない穀物酢がおすすめ
2)油を少しずつ入れて乳化させつつ攪拌。これは筆者の経験談なのだが、普通のサラダ油を使うより、オリーブオイルを使った方が、乳化しやすくなるようだ。油は固さを見つつ80ccぐらいまで入れるといい
3)乳化してとろみが付いたら塩と砂糖で味を調える。市販のマヨネーズのように固くすると、重くて攪拌できなくなるのでちょっと薄めのマヨネーズにするのがポイント。最後は塩で味を調整。酸っぱすぎる場合は、砂糖を小さじ半分ずつぐらい入れて、酸味を調整する(蜂蜜でもOK)

 乳化は卵の黄身だけではなく、すりおろした玉ねぎでもできるので、フレンチドレッシングなんかも3分でできちゃう。

1)玉ねぎ1/4をすりおろす。玉ねぎは1/4個程度でOK。これをボトルに入れる
2)酢を50ccまで加え、塩コショウで味付け。塩は小さじ1杯程度。コショウは、粗挽きではなくパウダー状のものがベター
3)少しずつ油を入れながら攪拌・乳化させる。使うのは失敗の少ないオリーブオイル。だいたい100ccぐらいまでオリーブオイルを数回に分けて入れて攪拌する。できあがりを舐めてみて、酸っぱすぎるようなら砂糖を小さじ1杯ぐらい入れて、酸味を調整する

 この何の変哲もないオニオン・フレンチドレッシングは、家族みんなに大好評。今まで必死になって密閉容器を振ってドレッシングを作っていたが、ミルク&ドレッシングフォーマーのおかげでエレガントに乳化できるので超助かっている。

 続けて紹介するのは、乳化はまったく関係ないけど「乳」つながりで、チーズソース。強引なのは、見て見ぬ方向で……。

1)だいたい大さじ2杯のクリームチーズを電子レンジでチン! 600Wで30秒ぐらいチンすれば、やわやわになる
2)カップには生クリームを50ccほどいれておく。コクを出すなら生クリームで。手近な牛乳を利用する場合は、チーズを2倍に増やす
3)溶かしたクリームチーズをINして塩で味付け。おつまみクリームチーズにある、にんにくやハーブなどで風味を加えても楽しい。攪拌して滑らかチーズソースのできあがり

 こうしてドレッシングも簡単に作れちゃうのが、ミルク&ドレッシングフォーマーのいいところ。黄身や玉ねぎ以外にも、乳化ができる食材として、味噌、マスタード、ニンニク、ケチャップ、チーズなど利用できるので、いろいろ試してみると面白いだろう。驚きのドレッシングが作れるはず!

シンプルにクレソンのサラダでテイスティング
これはオニオン・フレンチドレッシング。キレイに乳化して、酢と油が完全に混ざっている
チーズソースは、肉から野菜まで万能。クラッカーにつけてもいいし、焼き鳥の塩につけてもOK。さらには温野菜やトマトの輪切りに添えても、ウマー!

ティータイムや料理がワンランク上になるアイテム

 ここでは紹介しなかったが、ミルクを泡立てるミルクフォーマーとしても利用できる。

ミルクフォーマーとして使う場合は、ガラスのコップに手順が書いてあるので、この通りにすればOK
泡ソースの作り方もプリントされている
ミルクを入れる分量や目盛りもバッチリ使いやすい
いろいろな泡ソースをめちゃめちゃ作りまくってテイスティングして、おなかいっぱい!

 これらを使えば、これまでレストランでしか食べられなかったような、泡ソースを使ったワンランク上の料理が可能になる。料理好きなら是非欲しいアイテムだ。

 加えてドレッシングやソース作りが簡単になる、時短調理アイテムとしても便利。2,700円という価格は、料理をご馳走した相手を驚かせられるという楽しみを考えたら、かなり安い買い物になるのは間違いない。

藤山 哲人