家電製品ロングレビュー

扉を開けても「エアカーテン」が庫内の冷気を守るAQUAの冷蔵庫 前編

ハイアールアクアセールス「AQR-FG50C」

 年が明け、消費増税が目前に迫ってきた。今のうちに、大きな買い物は済ませておきたい……そう思って、買い替えたのが冷蔵庫だ。

 新しい冷蔵庫は、ハイアールアクアセールス(AQUA)の定格内容積495Lの冷蔵庫「AQR-FG50C」。イマドキの製品は、どれもこれも省エネ機能に優れているが、AQR-FG50Cを選んだポイントは、ズバリ「スマートエアカーテン」機能だ。

 これは冷蔵室のドアを開くと冷蔵室の天井から冷気を循環させ、さながらカーテンのように、庫内の温度上昇を抑えることができるというもの。これにより、ドアの開閉による無駄な電力消費を防げるのだ。特に、我が家のようなスペースに限りのあるダイニングキッチンで、冷蔵庫の近くで暖房を使わざるをえない部屋にはピッタリかも! というわけで、導入を決めた。

メーカーハイアールアクアセールス
製品名冷蔵庫 AQR-FG50C
希望小売価格オープン価格
購入場所ヨドバシ.com
購入価格239,600円

壁ギリギリまで設置できる

 本体のスペックを確認する前に、設置の話にも軽く触れておこう。我が家で以前使っていたのは、富士通ゼネラル製のマンション向け幅60cmの冷蔵庫だった。富士通ゼネラル製……というだけでだいぶ古い製品であることをお察しいただけるかもしれない。同社が冷蔵庫の製造をやめたのはもう10年以上前のことだ。古い冷蔵庫はまだ使えたが、容量が少ない割に消費電力を食うので、消費増税を前に勇退してもらうことにした。

以前の冷蔵庫は、富士通ゼネラルの「ER-B33W」。借りていたマンションでは、2005年モデルの三菱電機製冷蔵庫を使っていたことも
古すぎて、表示がほとんど読めない
壁に沿って設置できるので、省スペースだ

 新しくやってきたAQR-FG50Cの容量は495L、本体サイズは685×713×1,836mm(幅×奥行き×高さ)、本体重量は126kgだ。

 本体は壁にピッタリと沿って設置できる。設置業者の方によると「昔の冷蔵庫は本体後方から熱を排出していたので、背後にスペースが必要でしたが、最近の冷蔵庫は本体の上部や左右から放熱するので壁に沿わせて設置できるんですよ」とのことだ。実際、本体の上側に5cm、左右に0.5cm以上の隙間があれば設置できるので、無駄なスペースは取らない。

冷凍室はたっぷりと収納できる

 設置が済んだら、各室の様子を見ていこう。本体は6ドアで、上から両開きドアの冷蔵室、その下にアイスルームと冷凍室、さらに下にも冷凍室があり、一番下段に野菜室を備えている。

 冷蔵室の庫内容量は計264Lで、4段の収納棚を備え、各設定温度は約3~5℃となっている。中央の仕切り棚は、引き出せば多くの食品をのせることができるし、畳めば下段に高さのある食材を入れることができる。

 最下段のフレッシュルームの容量は、このクラスとしてはかなり大きめの24L。約マイナス1~2℃に設定され、刺身や肉の保存に適しているという。

両開きドアの冷蔵室。右扉のほうが横幅がある
中央の仕切り棚は、引き出して広げたり、畳んだりして使える
最下段の右側2つの引き出しが、フレッシュルーム。冷蔵室よりも低い約マイナス1~2℃で食材を保存できる
製氷機も搭載。ここに水を入れるだけで、氷を作れる

 冷蔵室の庫内灯は左右に2列を配置し、奥まで明るく見やすい。左右扉には、各3段の棚が付属し、最下段には2Lの大きなペットボトルを立てたまま入れられる。

庫内灯は8灯搭載し、明るい
さっそく食材を入れてみた
2Lの大きなペットボトルも、扉側に立てて入れられる

 冷蔵室の下には、2段にわたって冷凍室がレイアウトされている。全ての庫内容量を合わせると142Lで、たっぷりと余裕がある。上段は左側にアイスルーム、右側にジェットフリージング(急速冷凍)ができる冷凍室を配置し、下段は大きな冷凍室が1つある。下段の冷凍室には引き出しがついていて、冷凍食品を取り出しやすい。

左が容量18Lのアイスルーム、右が容量21Lの冷凍室。冷凍室の底面には、熱伝導性に優れたアルミトレイを敷いている
下段の容量103Lの冷凍室には引き出しを内蔵する
引き出しを収めたところ
アイスルームには氷が溜まる
浅い引き出しは食材を取り出しやすい
下段の冷凍室には、カニなど大きな食材もまるごと入る
野菜や果物が傷む原因になるエチレンガスを遮断するフィルター「エチレンガスカットフィルター」を搭載する

 さらに、冷蔵庫の最下段には容量89Lの野菜室を用意する。野菜室の特徴は、野菜や果物の劣化を早めるエチレンガスを遮断する、交換不要のフィルターを搭載していること。エチレンガスがフィルターの成分と反応し、水と酸化物になって空気中に還元されるという。これにより、野菜や果物の鮮度やビタミンを守る。

 また、冷凍室と同様に、内部に引き出しを設けた。背の低い野菜を上段に、かさばる野菜は下段に入れれば、一目で取り出せる。

容量89Lの野菜室にも引き出しを内蔵し、上下2段で収納できる
上の引き出しを収納したところ
食材を収納した様子
高さのある野菜は下段に入れる

最新の冷蔵庫は期待以上に省エネ!

 さて、ここでAQR-FG50Cの省エネ性を確認しておこう。AQR-FG50Cの年間消費電力量は、220kWh。これがどれだけ省エネに力を入れている数字かというと、約5年前は、ほぼ同容量の冷蔵庫の年間消費電力量が、370kWh~520kWhだった(※過去の冷蔵庫レビューを参照)。

 つまり、たった5年で、年間消費電力量を半分近くまで削減しているのだ。冷蔵庫は常に電源を入れっぱなしを前提として使うものなので、この消費電力量の違いは、そのまま家庭の電気代に直結すると考えて良いだろう。

 さらに、AQR-FG50Cにはこだわりの省エネ機能を搭載している。それが、冒頭にも触れた「スマートエアカーテン」だ。

 スマートエアカーテン機能では、ドア開閉時に庫内の温度が上がるのを防ぐため、冷蔵室の庫内上部に冷気の吹き出し口を設けている。ドアを開けると、吹き出し口のルーバーが自動で開き、下方向へ冷気を送り始める。この送風は約60秒続き、以降は送風がストップして、ドアを閉めるよう促すアラーム音が鳴り始める。ドアを閉じると、冷気を送ってドアポケットの食材を効率良く冷やす。

スマートエアカーテン機能のイメージ。ハイアールアクアセールスのホームページより抜粋
庫内上部には、スマートエアカーテンによる冷気の吹き出し口を搭載
ルーバーは真下に向かって開き、冷気を送る

 吹き出し口に手を当てると、微風ながら冷たい風を感じる。さらに庫内の奥へと手をいれると、部屋が暖房で温かいのとは対照的に、奥までムラなく冷えていた。

 また、以前の古い冷蔵庫では、ドアを開けっ放しにしていると、食材の保存容器の内側に水滴がつくことがあったが、新しい冷蔵庫でスマートエアカーテンが作動していると、それがない。温度差が生じにくくなっているためだろう。

吹き出し口から出てくる冷気は微風だ
食材の鮮度の低下を防ぐ効果もあるという

 ハイアールアクアセールスによると、スマートエアカーテンは、庫内の温度を維持するほかに、食材の鮮度の低下を防ぐ効果もあるとしている。庫内温度を維持することが、食材を長持ちさせることに通じるわけだ。

 我が家のダイニングキッチンの間取りでは、暖房と冷蔵庫の設置距離が近いため、スマートエアカーテンに助けられている。以前の冷蔵庫では、なるべくドアを開ける時間を短く済ませるよう、焦って食品を収納していた。きれいに整頓して収納する余裕などなく、正直、収納棚の奥のほうはゴチャゴチャ。その点、AQR-FG50Cは収納量も増え、落ち着いて食品を出し入れできるようになって、すきりきれいに収納できるようになったと感じている。

電気代も、食材もムダにしない

 AQR-FG50Cは省エネだけでなく、食材を無駄なく使う、という点にも配慮された冷蔵庫だ。食品もたっぷり入り、庫内温度を保って食材を長持ちさせる。これからこの冷蔵庫を使ってどんなものを料理しようか、夢が膨らむ。

 後編では、実際の使い勝手と、急速冷凍や節電モードなどの便利な機能についてご紹介しよう。

小林 樹