ぷーこの家電日記

第153回

お弁当が100倍美味しくなったできごと。感謝の気持ちで相乗効果

 私は仕事にお弁当を持参するのがあまり好きではなかった。元々冷めた食べ物があまり好きではないということもあるし、朝が非常に弱いので、朝起きてお弁当を詰めるというのも苦痛だ。そしてあまり好きでない一番の理由は「全然ワクワクしない」からだ。何が入っているかも知っている。もちろん味も想像が付く。開く時も食べるときも何もワクワクしないのだ。

 かと言って毎日お昼に外食するのもバランス的にもお財布的にもあまり良くないなって思って、定期的に「よし、お弁当持って行こう」と思って準備する。

 ワクワクしないお弁当に対して少しでもワクワクできるように、新しいお弁当箱を買ってみたり、美味しそうに見えるように綺麗に盛り付けてみたりと、それなりに工夫はしてみる。それでもイマイチ気持ちは盛り上がらない。

 ただ、以前買ったランチボウルはそこそこよかった気はする。

 でも、そんなランチボウルよりも何倍も何倍もお弁当が美味しくて楽しくなる出来事が起きたのです。

 私は「来週はお弁当もっていくぞ」と決めた時は、大体日曜日の夜に5~6品おかずを作って保存容器に入れて冷蔵庫に入れておく。当日はお弁当箱にご飯を入れて、作っておいたおかずをいくつか適当に埋めて完成というパターンだ。

 その時も週末にまとめてたくさんのおかずを作っておいた。そして週明けの朝。いつものように頭はぼーっとするし、「あぁ、面倒臭いなぁ」と早速思ってしまう私。すると夫が「適当でよかったら詰めてあげようか?」と申し出てくれたのです。「まじで?!」と喜んでお願いした。そしてランチタイム。

 なんだこのワクワクは?! どんな感じに仕上がっているんだろうか? お弁当を開ける時の楽しみなんて、かれこれ20年ぶりくらいだろうか。パカッと開けると、不慣れな夫が詰めてくれたお弁当、ご飯は詰めすぎて潰れてるし、もちろん彩りなんかもまるで無視。一面が茶色く、これでもかというくらいに詰め込まれたスタミナ弁当! 思わず吹き出す。

 でも、その日に食べたお弁当は、自分が作ったおかずなのに、いつもの数倍美味しく感じたのです。

 本当に嬉しかったので、感動と感謝を夫に伝えると、「そんなに嬉しいなら、詰めてあげるよ」と毎日詰めてくれるようになった。詰めてる時は絶対見ずにお昼までお楽しみ。毎日のお昼がとっても楽しみなものになった。

 「ご飯はもう少し少なめがいいな」くらいのリクエストはしちゃったけれど、日に日にお弁当を詰めるのが上達していってて、毎日「すごーい!」と感動の連続。普段日中に夫のことを思い出すことなんてほぼ無いけれど、このお弁当を食べると嫌でも毎日思い出すし、感謝の気持ちが増していく。愛妻弁当ならず愛夫弁当効果すごい!

 その週末もおかずを作り溜めして、ご飯を炊いてワクワクして就寝。翌朝起きるとちゃんとお弁当が用意されてた! 嬉しい。そして1品、2品とおかずを使い切り始めた週の中盤。家に帰ると、先に帰ってた夫がキッチンに立ってる。

 「おつまみでも作ってるの?」と聞いたら、「お弁当のおかずが少なくなってきたから、だし巻き卵でも作ってあげようかなって思って」との返事。なんて人だ! もう我が夫ながら素敵すぎる。

 毎日のお弁当が楽しくなった最中、週末忙しくて作り溜めできなかったり、帰省してお休みだったりして2週間ほど空いた。そして「来週またお弁当持って行こうかな」と、週末におかずを作り溜めするつもりで言った。

 日曜に私は家でゆっくりと過ごして、夫は外に遊びに行ってたんだけれど、「ただいまー」って帰ってきた夫の手にはスーパーの袋。「お弁当持っていきたいって言ってたから、作ってあげようかなと思って」と。本当にびっくり! とうとう夫手作りのお弁当が用意されたのだ。

 もう嬉しいなんてもんじゃない!人が自分のために作ってくれた料理ってこんなに美味しいんだ。と、ちょっと涙が出そうになっちゃったよ。

 こんなに嬉しいもんなんだね! と、お礼の言葉じゃ足りないので、私も美味しいもの食べさせてあげたい! って思って、夜ご飯や週末のご飯は食べる人の事を今までよりももっと考えて作るようになって気がするし、感謝の気持ちがもっともっと増した。

 お弁当って、ただの空腹を満たす食事じゃなくて、特別な「お弁当」という存在なんだなと、初めて気づいた気がしている。「お料理できないや」って人も、詰めるだけでもいいから、時々誰かに「お弁当」を作ってあげて欲しい! 本当に嬉しくなってしまうから!

 そして20数年前の反抗期の私に言いたい。むしろ殴りたい。「卵焼きばっかり飽きたー」とか、「お弁当よりも学食代ちょうだいよー」とか何度も母親に言っちゃった気がするよ。思い出しただけで泣きそう。またもう一度、母親のお弁当を持ってどこかにお出かけしたいなぁ。