大河原克行の「白物家電 業界展望」
三洋電機、今日からGOPANの再出荷を開始
三洋電機が、本日4月27日から、ライスブレッドクッカー「GOPAN(ゴパン)」を再出荷する。
三洋「ライスブレッドクッカー GOPAN」。発売当時はプレミアムレッドとプレミアムホワイトの2色展開だった | 今後は生産性を重視して、プレミアムホワイト1色となる |
もともとGOPANは、2010年10月8日から出荷を開始する予定だったが、同日だけで数千台の予約に達するなど、予想を上回る予約数量となったことで、発売日を11月11日に延期して発売。さらに、その後も予想を上回る注文が殺到したことで、増産体制を敷くために12月1日以降、予約と出荷を停止。このほど、ようやく再出荷を開始することになった。
GOPANは、通常のベーカリーに比べて2倍以上となる異例の価格設定ながら、家庭にある米から、直接、パンを作れるという点が高い評価を受け、11月11日から3週間で、当初出荷計画を超える58,000台の注文数に達していた。これは、同社が今年3月までに予定していた出荷台数に当たる数だ。また、GOPAN購入者の93%が「米粒からパンが焼けること」を購入理由にあげているという。
再出荷モデルでは、プレミアムホワイトカラーの製品に一本化することで生産の効率性を高め、今後の安定出荷を目指すとしている。
三洋電機によると、これまでの中国での生産に加えて、鳥取でも生産を開始。従来の月産1万台体制を、2万台体制へと引き上げているという。
GOPANを購入する決め手として90%以上の人が「米粒からパンが焼ける」を挙げた |
■98%のユーザーがお米からパンを作ることに満足
では、購入者は、GOPANに対してどんな評価をしているのだろうか。三洋電機の資料から、その傾向を追ってみたい。
調査結果から明らかなのは、やはり米からパンを作れることに対する満足度が高いことだ。
実に、購入者の98.3%が「お米からパンを作れることに満足」と回答しており、「小麦アレルギーの子供がいるが、家族揃って同じパンを食べることができる幸せを感じる」、「炊飯器でご飯を炊く感じでパンが焼ける」、「玄米、雑穀といままでよりもバリエーションが広がるとともに、米を食べているという安心感もあり、一石二鳥」といった声のほか、「小麦だと、どこの小麦粉を買おうか悩んでしまうが、米だと自分の家の米で済み、手軽につくれる」、「我が家の米がパンになったと自慢している」などという声が出ていた。
購入者の88%が「満足」「やや満足」と回答している |
一方、GOPAN購入後の総合満足度では、40%のユーザーが「満足」と回答。さらに48%のユーザーが「やや満足」と回答したという。
満足と回答したユーザーからは、「GOPANを購入してから毎日パンを焼いているが、全然飽きがこない」、「新感覚のパンになる。噛めば噛むほどおいしい」、「子供に家で焼いたパンが一番おいしいといわれた」といった声のほか、「お米のおいしさを実感できる。様々な地域によってお米の味が違う」、「腹持ちがいいので、おやつを食べなくて済み、結果としてダイエットにつながる」という回答もあった。
GOPANで作った米パンに対する評価も高い。
米パンの味に対しては、65%が満足、26%がやや満足と回答。9割の購入者が味に満足していることがわかった。
【米(白米)パンの味の満足度について】(三洋調べ)
満足 65%
やや満足 26%
ふつう 4%
やや不満 2%
不満 1%
使ったことがない 2%
「もちもち感を生かして、なにもつけずに食べるのが一番」、「食感がよく、お米の甘みを感じる」といった声があがっている。
今回の調査では、GOPAN購入者のうち、29%がホームベーカリーを所有していたと回答。以前からホームベーカリーを利用していたユーザに、ホームベーカリーの使用頻度を聞いたところ、以前の機種では週に1回以上利用していたというユーザーが38%だったものが、GOPANでは週1回以上利用しているというユーザーがなんと94%に達しているという。
毎日利用しているというユーザーも多く、日本の食文化に馴染みの深い米を使ったGOPANならではの傾向が出ているといっていいだろう。
■動作音に小麦グルテンなど、GOPANにはいくつかの課題も
今回公表された調査結果からは明らかにはなっていないが、GOPANにはいくつかの課題があるのも事実だ。
1つは、動作音がうるさい点だ。
GOPANの動作中の音は、ミル工程では約70db、こね工程でも60dbの騒音が出る。60dbでふつうの会話、70dbで電話のベルやミキサーの音というレベルである。
ミル工程では約30秒動作、約5分停止を10回繰り返す。動作と停止をあわせて約50分間の間、約70dbの音が繰り返されることになる。また、こね工程でも3回に渡って音がする。パンを焼き上げるまでには約4時間。朝、焼き上がりのパンを食べるために予約タイマーをセットした場合、深夜あるいは早朝に、それだけの音が出ることになる。
そしてもう1つは、小麦グルテンが手に入りにくいことである。
最近では都心部を中心にグルテンを扱っている店舗が増えたが、まだまだ入手が難しい。購入前には、グルテンがどこで販売されているのかを確認しておく必要があるだろう。GOPANを購入しても、グルテンがないためにおいしいパンが焼けないということにもなりかねない。
小麦グルテンは三洋電機でも商品化している |
小麦グルテンは、三洋が製品化しており、ネットを通じて購入が可能なGOPAN広場や、三洋電機製品取り扱い店などで購入できるようにしている。
一方、グルテンには小麦成分が含まれるため、小麦アレルギーを持った人は上新粉による小麦ゼロコースを使用する必要がある。また、グルテンを使わないと、ふっくらとしたパンに焼き上げるのは難しい。
また、調理の際に気を付けたい点が、材料を正確に計ること。GOPANには、米パン専用の2種類のスプーン、小麦パン専用の計量スプーン、計量カップを付属しているが、同社では、「デジタルはかりなどを利用していただき、正確に計ることがポイント」としている。
これは何もGOPANに限ったことではないが、米をそのまま使うことで、一般的なホームベーカリー以上に分量に気を付ける必要があるようだ。
三洋電機では、予約開始前から、GOPANのホームページを開設し、その1つに「GOPAN Q&A」コーナーを用意。「GOPANについて知っておきたいこと」と題した告知を行なっている。
ここでは、GOPANの稼働時の騒音や、小麦アレルギーの人には小麦ゼロコースを利用してもらうようにといった告知を行なっている。
「話題ばかりが先行し、GOPANが持つ負の部分が隠れてしまわないことを心がけた。ネガティブ情報は、むしろ積極的に出していく考えであり、GOPANを購入してがっかりしたということがないようにしたい」と、同社では語る。
いよいよ再出荷が始まったGOPAN。おいしいお米のパンを焼き上げるベーカリーとして、今回の再出荷で、改めて注目を集めることになるか。今後の動向を見守りたい。
2011年4月27日 00:00