やじうまミニレビュー
Direct Designs「ノートブック Black」
DLDの薄型BBQグリル「ノートブック Black」。ちなみに、より頑丈なステンレスでできた「ノートブックSS」というのもある |
「このバーベキューコンロは驚くほど薄い!」
今回紹介する「ノートブック Black」の第一印象だ。4~5人用のグリルなのに、折りたたむと1m四方になり、厚さはわずか3cmしかない。筆者はこれまに20台ほどのバーベキュー(以下、BBQ)コンロを買ったが、これほどまでにコンパクトなものは見たことがない。キャンプ用品店でも見たことない上に、なんかオシャレなのだ。
DLDは、海外の薪ストーブやガーデニング用品の代理店。このノートブック Blackは、イギリスの「DirectDesigns」社から輸入したものを販売している。このDirectDesigns社は、アウトドア用品のほかにも、家具やバッグなども製造していて、オーナー自らデザインを手がけているというのだ。どうりで、オシャレなワケ。
でも、デザイン重視の商品では、強度が弱かったり機能性が欠けていたりすることもありがち。ここでは、本当に使えるBBQグリルなのかを見ていこう。
メーカー | Direct Design |
国内販売代理店 | DLD |
製品名 | ノートブック Black |
購入店舗 | 楽天市場 |
購入価格 | 4,980円 |
■組み立ては1分でOK! しかも焼き網まで中に収納できる!
まずは、見た目は什器の仕切り棚にしか見えないBBQコンロがどうやって変形するのかを、以下の写真とキャプションで見てもらおう。
(1)取っ手を持って左右に開くと、ほぼBBQコンロの形になる。この中に炭床(炭を置く網のこと)と焼き網も収納できることに驚く |
(2)左右の風防兼ロック機構をセットする。ちょうど炭床の下が通風口になっており、かなり風通しもいいので火力が衰えることもないだろう |
(3)炭床をセット。網目は2×7.5cmとなっていて、小さく割れたクズの炭は落ちてしまう | (4)焼き網をセットして完成。焼き網は折りたたみ式になっていて、広げてセットするだけでいい。これで38×47cmのBBQグリルが完成 |
組み立ては1分で完了した。安定性と強度も高いようで、凸凹が少ないコンクリートの上では、この上なく安定性している上に、上からグイグイ押してみてもビクともしない。一般的な4本足のグリルより頑丈という印象だ。
砂利の上に置いてみたが、設置場所の砂利を取り除けば高い安定性がある。キャンプ場などは、小さな小砂利であったり土であることが多いが、それでも十分安定するだろう。また、砂地で使う場合でも、面で地面を捉えるため、一般的な4本足のコンロのようにめり込んだり不安定になったるすることもない。
コンクリートの上での安定性は◎。上からグイグイ押してみたがビクともしなかった | 砂利の上でも安定する。暗闇のキャンプ場で、夜中トイレに行くときに足に引っ掛けても、ひっくり返ることはないだろう |
車への収納性も抜群だ。3泊4日のファミリーキャンプともなると、大量の食料でトランクいっぱいになるが、4~5人用のBBQコンロがここまで小さく折りたためるので、わずかな隙間があれば車への積み込みも簡単。車種によっては、デッドスペースになるシート下にも滑り込ませられるだろう。
BBQを終えて再び車に積み込むときも便利そうだ。ふつうのコンロは焼き網を新聞紙で包まないと油だらけになってしまう。しかしこのコンロは、コンロの中に焼き網を収納できるので、新聞紙て包む手間も省ける。携帯性は抜群と言えるだろう。
また、キャンプ用品は何かと倉庫の場所を取りがちだが、これならオフシーズンでも省スペースでイイ。
一方で、重量は3.7kgほどある。サイトまで車を入れられるオートキャンプなら問題ないが、公園などで駐車場からBBQエリアまで運ばなければならないときは、台車や背負子を用意したほうがよさそうだ。
■炭の下から種火を入れられるので火起こしが楽
では実際に火を起こして、家族5人分のBBQをしてみよう。
実際に使ってこのコンロのよさを感じたのは、とにかく火起こしが簡単という点だ。炭床の下に大きな通風口があるため、そこから種火を入れ、火が簡単に起こせるのだ。
一般的なコンロだと、固く絞った新聞紙の上に炭を組むようにして置いて着火するが、これだと種火となる新聞紙の奥まで空気は入り辛く、なかなか炭に火がつかない。
炭床の上に炭を置き、その下に通風孔から硬くしぼった新聞紙を3面分ほど入れる | 新聞紙を両側から着火すると、15分ほどで火が起こせる |
しかしこのコンロは、まず炭床に炭を置き、硬く絞った新聞紙(見開き3面分)を炭床の下に滑り込ませるだけでいい。炭床の下にある新聞紙に両側から火をつけると、空気の流れを阻害する炭が宙に浮いた状態になっているため、種火が勢いよく燃えるのだ。キャンプ場では火起こしに苦労している人をよく見かけるが、このコンロは初心者でも楽に火が起こせるだろう。
火が起きたらいよいよBBQの始まり。焼き網をよく焼いたら具材をどんどん網に乗せていく。ここでは鳥のモモ肉と手羽中、そして豚のヒレ肉1本まるまるをコンロに乗せたが、まだ野菜を焼くスペースが残っている。
ヒレ肉1本に軽く塩とコショウ、ナツメグを振って、あとはベーコンで巻いていく | モモ肉は切らずに丸ごと1枚を網に乗せる!焼き網が広いので豪華なBBQを楽しめる。ポイントは脂の部分を下にして、炭の火が弱い部分に置くこと。こうすると脂が落ちるだけでなく、火がつきやすくなる |
試しにどのぐらいまで乗せられるかをやってみた。これだけ乗れば、家族5人のお腹も十分に満たせる | ヒレ肉まるごと1本もいい感じにピンク色に火が入った。うまそー! |
このまま食べてもおいしいが、今日はちょっと洒落てバジル&パセリソースを作ってみた。作り方は、バジルの葉を20枚程度とパセリ1本、そしてニンニク1かけをフードプロセッサに入れ、オリーブオイルと塩、そしてコショウで味を加えるだけ。
ノートブック Blackとは関係無いけれど、ちょっと洒落て「バジル&パセリソース」を作ってみた。バジルの葉20枚、パセリ1本、ニンニク1かけをフードプロセッサに入れた。ここではフードプロセッサを使っているが、キャンプ場ならみじん切りにすればOK | サッパリとしたバジル&パセリソースは、脂っこいものにピッタリ |
BBQコンロのおいしさは、余分な油が落ち、煙で軽くスモークされるところだ。モモ肉の皮が苦手な子どもたちも、パリパリの皮に大喜び。味は焼き鳥屋のあの香ばしさだ。またヒレ肉はペーコンから余分な脂が落ち、ヒレ肉がベーコンのうまみを吸ってとってもジューシーな一品にしあがった。
今回は2時間ほどコンロを使っていたが、コンロ真下のコンクリートはまったく熱くならず、手で触るとほんのり温かい程度。これなら芝生のキャンプサイトでBBQをしても、芝をいためることはないだろう。ただしキャンプ場によっては、コンロの下に必ずコンクリートブロックなどを置くように決められている場合もあるので、ルールに従って使おう。
少し不便さを感じたのは、炭床が荒い網になっているため、長時間使っていると小さくなった炭が炭床から落ちてしまい、火力が落ちてしまうところだ。
一般的なコンロなら、小さくなった燃えかすの炭を集めて、夕食が終わったあとの晩酌タイムで、スルメや畳いわしを弱火で焙って、酒と一緒にチビチビ楽しめる。しかし本製品は、小さくなった炭が、およそ20cmほど下に落ちてしまうので火力が落ちてしまうのだ。こうなると遠火の弱火になってしまうので、スルメを焼くのにかなり時間がかかってしまう。食後のあとの楽しみが減ってしまうのは悲しい。
燃えて小さくなった炭は、まだまだBBQに使える。だが本製品では、炭床の網から落ちてしまうのが残念 |
■イギリス製でも日本の鉄板プレートなどもマッチ
さて、ここで気になるのが、焼き網との相性だ。コンロ自体は長持ちするが、焼き網は10回も使うと錆びたり大きく歪んだりするため、交換が必要になる。しかし、イギリスは通常インチで長さを測るため、消耗品の焼き網が日本製のものでも合うかが心配。
そこで近所のD.I.Yショップに行なって、このコンロに合うサイズの焼き網を探してみたところ、コンロからはみ出すものの、大きな網を使えば代用ができるようだ。また代理店のDLD社のWebショップでも、1枚1,470円に手に入る。
小さめの鉄板プレートを横置きにすれば、焼きソバも作れる。これで半分は焼き網、半分は鉄板として使える |
また、焼きソバなどを作るための鉄板は同梱されていないが、小さめの鉄板を別途用意し、横置きにすることで使えそうだ。最近は焼きソバを作るための大きなアルミ皿なども売っているので、それを焼き網の上に乗せて使ってもいいだろう。
ただし代用パーツは、折りたたんで小さくたたんだコンロ内に収納できない点に注意して欲しい。
■BBQコンロの大きさに困っている人や初心者にオススメ
このBBQコンロの最大の特徴は、とにかく火起こしが楽という点だ。キャンプではテントやタープ(雨除け)張りも難関だが、実は火起こしが一番大変。慣れていない人が火起こしをすると、1時間ぐらいかかる場合すらある。筆者もキャンプ場に夕方到着した場合は、新聞紙で火起こしをしている時間がないので、ガスバーナーを使って手抜きしてしまうこともある。その点このノートブック Blackは、初心者でも簡単に火起こしできる。
またBBQコンロが大きくて、車に乗せるのが大変という場合や、大人数でBBQを楽しむ場合に、コンパクトさや広げたときの大きさが役立つだろう。シーズンオフのときは、倉庫に入れておいてもほとんどスペースを食わないという点も見逃せない。
価格は4~5人用のBBQコンロとさほど変わりないので、初めてBBQコンロを買う人にはとくにオススメの一品だ。
ヤベ! BBQで炭のニオイをかいでたら、無性にキャンプしたくなってきた! 11月の3連休は、コイツを持って今年最後のキャンプをエンジョイしに行くぞ!
2012年 10月 19日 00:00
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