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【二十四節気10】9月上旬は草木に露結ぶ「白露」、気候の変化に注意

1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、「処暑」の次は草木が朝露を結ぶ時季「白露(はくろ)」です。今回は、9月9日の「重陽(ちょうよう)の節句」や、旬の食べ物「ナシ」と「秋刀魚」について紹介します。この時季は、夏の暑さが和らいで秋らしくなり過ごしやすい一方、天候の変化によって体調を崩しやすいので、先人から伝わる暮らしの知恵を上手に取り入れて乗り越えていきましょう。

 

朝の冷え込みが露を結ぶ「白露」

2018年の「白露(はくろ)」は、9月8日から秋分の日前日の9月22日まで。この時期、夏の名残りで湿度が高い日が続くものの、だんだんと秋らしい気配を感じられるようになります。「白露」とは、朝晩と日中の気温差が開くために、早朝の草木が露を結ぶことに由来しています。またこのころから、夏を日本で過ごしたツバメは、冬を越すために暖かい地を求めて南へ渡り始めます。

 

9月9日は、菊の節句「重陽節(ちょうようせつ)」

「白露」に入って間もない9月9日は、五節句の1つ「重陽節(ちょうようせつ)」です。中国が発祥の陰陽思想では奇数を「陽」の数と考え、なかでも「9」は最大の1桁の数字なので「陽」の気が強いとされていました。9月9日は、「陽が重なる=重陽」で気が強すぎて不吉なため、厄払いの行事として重陽節が始まりました。後に、陽が重なるのは吉祥として長寿を願う節句となり、長寿をもたらすという「菊」を使って、菊酒、菊湯、菊枕と菊づくしでお祝いしました。重陽節の旧暦9月9日は、現在の10月下旬で菊の時期と重なっていましたが、新暦では菊にはまだ早かったため、菊の節句は現代の暮らしには馴染みの薄い行事になってしまいました。

 

脂が乗り旬を迎える、秋の味覚「サンマ」

秋に旬を迎えるサンマは、「サンマ祭り」が各地で開催されるほど日本人に広く愛される大衆魚です。サンマは、“秋”に獲れる“刀”のような形をした“魚”ということから「秋刀魚」と書きます。旬を迎えたサンマは、脂が乗り栄養価が高いうえ、安く手に入るので人々はたくさん食べて元気になることから、「秋刀魚(サンマ)が出ると按摩(アンマ)が引っ込む」という諺もあるほど。悪玉コレステロールを減らすと言われるドコサヘキサエン酸も多く含み、積極的に食べたい秋の食材の1つです。塩焼き、蒲焼き、炊き込みごはん、マリネなど、レシピの幅が広く、食卓に並べやすい点も魅力ですね。

 

気温の差が激しい「白露」は、ナシを食べて体調管理

厳しい暑さで夏の疲れが残る「白露」の時季、旬を迎える果物に「ナシ」があります。ナシは水分が多く長期保存に向かないため、リンゴのように年中出回らず、旬を感じやすい果物ですね。薬膳でナシは、熱がこもった体を冷まし、肺の乾燥からくる咳や喉の渇きを和らげると言われています。また、胃に優しく、夏の暑さに疲れた体でも食べやすい果物です。暑さがぶり返したと思ったら急に冷え込んだりして、体に負担が掛かりやすい季節の変わり目に、ナシはピッタリの食材ですね。下記URLを参考に、ナシを薬膳でいただいてみてはいかがでしょうか。

 

 

白露の次は、夏至と冬至を真ん中で分けた「秋分」

空が高く、うろこ雲が広がって秋らしい日が続くようになると、次の節気「秋分」を迎えます。夏至と冬至のちょうど真ん中で、昼と夜の時間がほぼ同じになる秋分は、その前後3日間ずつを含め「彼岸」の時期にあたります。次回は、亡くなった人を偲ぶ日本独自の行事「彼岸参り」や、先祖供養のために供える「おはぎ」について紹介します。お楽しみに!

 

 

高橋尚美

愛知県の渥美半島生まれ。東京での会社員生活から結婚出産を経て、2009年に夫の実家がある岐阜市へ。几帳面な戌年の長女、自由奔放な子年の次女、愛嬌いっぱいの辰年の三女を育てる母ライフを満喫しつつ、qufourのリサーチ記事や地元で発行している食育冊子の記事を執筆しています。