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【ダウン症児と私34】4歳を迎え1人で歩けず、身障者手帳でインソール制作

つたい歩きはできるものの、まだ1人で立っては歩けないユキトくん。今回は、4歳の誕生日を迎え、歩けるようになるために、整形外科でインソールを作ることになったときのお話しを伺いました。インソールを作るために、新たに身体障害者手帳を取得することになり、理学療法士の先生にチェックを受け、医師の診断書をもらいに行くことになりました。

 

1人で歩くために、靴の中に入れるインソールの購入を検討

Q.身体障害者手帳の取得を勧められた理由はなんですか?

A.ユキトは、4歳の誕生日を迎えてもまだ歩くことができませんでした。特に大きな内臓疾患もないので、もうすぐ歩けるようになるよと言われ続けていたのですが、なかなか歩けるようになりません。2歳からつかまり立ちをはじめ、2歳半過ぎからつたい歩きをしていましたが、そこから1年半かけてもまだ1人で歩くことができませんでした。そこで、歩けるようになるために、靴の中に入れるインソールを使うことを勧められたのです。

 

Q.身体障害者手帳を持っていると、どんな補助を受けられるのですか?

A.身体障害者手帳を持っていると、厚生労働省の補助具費支給制度が適用されるので、義肢や装具の購入に補助を受けられるようになります。この制度を使って、靴の中に入れるインソールを作ることになりました。

 

身体障害者手帳を取得するために、診断を受けて申請

Q.身体障害者手帳の取得にはどのような手続きが必要ですか?

A.身体障害者手帳を取得するには、区役所で書類をもらい、理学療法士の先生に体の様子をチェックしてもらいます。手足の稼働域やどこまで体が使えているのかを、丁寧にひとつずつ診てもらいました。その後、自治体が認めた医師に診断書を書いてもらいました。ユキトの診断は、ダウン症による四肢体幹機能不全でした。この診断書と理学療法の先生の書類を区役所へ提出しました。

 

Q.申請から発給まではどのくらいかかりましたか?

A.手帳をもらうのに2カ月くらいかかると言われていましたが、ちょうど1カ月で発給してもらえました。早速、インソールを作ってもらうために、整形外科を予約しました。

 

Q.身体障害者手帳を取得して、便利になったことはありますか?

A.ユキトは知的障害の療育手帳は持っているので、すでに税金の免除や障害者手当の給付などは受けていましたが、身体障害者手帳を取得ししたことで、車椅子マークの駐車場を利用できるようになりました。

 

身体障害者手帳を取得するかどうかは、発育状況次第

Q.ダウン症の子どもでも、全員が身体障害手帳を取得するわけではないと思いますが、ユキトくんはどの程度の診断だったのですか?

A.ダウン症児は、筋緊張が低く関節も柔らかいという特徴があります。全身関節弛緩(ぜんしんかんせつしかん)性が高いとも言いますが、関節がゆるい状態で、足に体重が掛かるとバランスがくずれて外反扁平足になりやすいのです。外反扁平足とは、土ふまずが不明瞭でさらにカカトの骨が内側に倒れている症状です。同じダウン症でも、筋緊張や関節の柔らかさには個人差があります。全く問題なく走り回れる子もいれば、ロングブーツのような大きな装具を着けないと立てない子もいます。ユキトの症状は中等度で、立つと膝や足首がぐらぐらしてカカトと土踏まずが内側に傾いてしまうので、足首が不安定になり歩きにくいという状態でした。

 

Q.どのようなインソールを作ることになるのですか?

A. 小児外反扁平足の予防には、足の裏の筋肉の発達を促すことが大切なのですが、全身関節弛緩性が高いダウン症児の場合は、カカト部分がしっかりしている靴や、インソールを装着するのが有効だと言われています。そのためユキトには、普段から足首くらいまであるハイカットの靴を履かせています。今回、身体障害者手帳を取得できたので、靴の中に入れるインソールを作ってもらいます。整形外科を受診するのが楽しみです。

 

ダウン症基礎知識34:身体障害者手帳を利用した補装具の申請

「補装具費支給制度」は、身体障害者が日常生活を送るうえで必要となる、移動や就労場面での能率を向上させ、将来社会人として独立自活するための補助装具の購入費用を支給する制度です。療育施設や医師の判定や意見に基づいて、市町村から支給を受けられます。補装具の種類は義肢や装具以外に、車椅子や杖、補聴器や義眼なども含まれていて、16種類に分類されています。費用支給の対象となるのは、治療を目的としたものではなく、将来の自立や就学や就労を目的として、長期間使用する補装具です。治療を目的とした補装具費用は、健康保険適用の対象となります。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。