● サイクロン式はすごい勢いで進化していた
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シャープ「キレイオン EC-VX200」。シルバーのせいか、近未来的でロボットのよう
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紙パック式があたりまえだった掃除機に、画期的なサイクロン式が登場して数年。最近では主要メーカーの最新型掃除機はサイクロン式に傾きつつあるようです。
個人的に、サイクロン式が登場したてのころ安いサイクロン式掃除機を使ったら、紙パック式にはない不便な部分が気になって、結局紙パック式に買い替えたことがありました。そのため、世の中の「サイクロン式」がものすごい勢いで進化していることにあまり気がついていなかったのですが、今回試したシャープの“KIREION(キレイオン)”「ハイグレードタイプ サイクロンクリーナー EC-VX200」に、その認識を一気に変えられました。
メーカー | シャープ |
製品名 | キレイオン EC-VX200 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 59,800円 |
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本体背面
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コンパクトにすると高さ約60cmにまとまる。パイプとホースは外してフックで接続
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● メカ風の高級感。落ち着いた動きのパワーヘッド
「EC-VX200」は、「プラズマクラスター」技術を使った除菌機能や、約48~44dBという静かな駆動音が特徴のサイクロン式掃除機。価格も7万円台後半という高級機です。
7万円の家電というとかなりの高級品ですが、サイクロン式の元祖として有名なダイソンの製品には10万円近くするモデルもありますし、主要各社のサイクロン式掃除機も最上位モデルとなると6~7万円台のものが多いので、飛び抜けて高いわけではありません。また、紙パックを必要としない分ランニングコストが低いので、長く使うことを考えれば紙パック式の高級機との価格差もかなり縮まるともいえます。
「EC-VX200」の第一印象は、とてもメカっぽい雰囲気だなというもの。カラーがシルバーだからかもしれませんが、家電というよりロボットのような雰囲気。すっきりとした丸みのあるデザインで、なおかつ高級機としての迫力も感じます。「EC-VX200」には、この「EC-VX200-S(シルバー系・プラチナシルバー)」のほかに、より渋い色合いでオレンジがポイントに入った「EC-VX200-D(オレンジ系・ガンメタリックオレンジ)」、全体的にパールピンクの色合いが入ったかわいい「EC-VX200-P(ピンク系・メタリックロゼ)」の3種類があり、それぞれかなり印象が違うので、好きな雰囲気のものを選べます。
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ホースを本体から外したところ
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本体上部
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本体側面、高級感があって“かっこいい”雰囲気
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大きなでっぱりはなく収納しやすい
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ズームパイプ、吸込口、ホース。ズームパイプは、パイプ根元にある白いボタンを押しながら伸ばす
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付属品のベンリホース、、2段階収縮すき間ノズル、ベンリブラシ、ベンリヘッド。ベンリホースはS字のベンリフックでまとめておける
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本体寸法は、250×420×262mmと平均的。特別とがった部分もなく、立てたときも安定感がありますから、収納しやすく感じました。立てたときの上面についている「本体前ハンドル」がとてもしっかりしているので、持ち運びはラク。掃除中は大きな「本体ハンドル」を持って移動しますが、薄くシャープな印象よりは持ちやすく、違和感は感じません。
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持ち運びに使用する本体ハンドルは普段本体のデザインの一部としてすっきり収まっている
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薄いが持ちにくくはない
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タイヤ部分は固めのゴム製で、幅は薄いのですが動きは十分スムーズ。無理にひっぱって、ひっくりがえしてしまった場面もありましたが、全体的には安定していて、「気がついたら転がったままひっぱっていた」というようなことはありません。
また、掃除機の中には吸込口がパワフルで浮いているような軽さを感じるタイプもありますが、この掃除機の場合、吸込口が自分で前に動くような感覚はありません。音が静かなのもあって、バタつかない落ち着いた掃除機だなという印象を受けました。
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ホースの根元にある本体前ハンドルはかなりしっかりしていて持ちやすい
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タイヤは固めのゴム製なので柔らかい床でも傷の心配がなくていい
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● ゴミを圧縮することでゴミ捨て回数が半減
もともと、シャープのサイクロン式掃除機は2001年から毎年発売されてきましたが、直近のモデルである昨年の「EC-VX2」と今年の「EC-VX200」を比べると、いちばん大きいのは「スクリュー遠心分離サイクロン」技術になったこと。カップのなかのスクリューフィンがねじ状に変更されており、カップの底にゴミを集めてフィンで圧縮するというしくみになっています。
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スイッチを切ると、HEPAクリーンフィルターをカタカタと掃除して、スクリューがゴミを圧縮する。パワーの状態によってイルミネーションの点灯のスピードも変わる
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渦巻き状のスクリュー。これがゴミのプレスもしている
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スクリュー部分
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カップは上部からもとれる。ゴミがからまったときはここを開けて取り去る
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このゴミ満量ラインを超える前にゴミ捨てをする
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これにより、繊維系のゴミは約1/2に圧縮され、ゴミ捨て頻度は半減。紙パックに比べてどうしても増えるゴミ捨ての回数が減るのは大きな変化です。
実際に使ってみるとカップの形状も下部をパカッと開けてゴミを簡単に捨てられるしくみに変更されているなど、手入れしやすくなっているのを実感できます。ちなみに、スペック上昨年モデル「EC-VX2」の集じん容積は0.8Lで、「EC-VX200」は0.4Lに減っているのですが、もともと「EC-VX2」のごみ捨て推奨ラインまでの容量は同じ0.4Lだったので、圧縮できる分、捨てる回数が1/2に減っているわけです。
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本体側面の「カップ取り出し」ボタン
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ゴミがたまったらボタンを押してカップを取り出す
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ダストカップセットはまるごと取り出せる
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ダストカップを取り出した後の本体
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ダストカップ周辺はパッキンなどで密閉度が高くなるよう設計されている
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以前はカップごと取り外す必要があったが、今回からは底面をあけるだけでよくなった
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ダストカップセットのフタを取り外すとHEPAクリーンフィルターが表れる
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上部の3カ所にある針金のような部分でHEPAクリーンフィルターのゴミをふるい落とす
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HEPAクリーンフィルターの裏面には、フィルターから落ちたホコリをダストカップに落とすためのチリ落としワイパーがある
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また、かなりの静音設計がされており、運転音は業界最小の48dB(※2008年10月23日現在、家庭用掃除機の運転音において)。普段我が家で使っている紙パック式の掃除機と比べても静かで、サイクロン式掃除機でもこんなに静かになるんだなぁととても印象に残りました。
● 「エコ掃除」でパワーを自動でコントロール
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床面に合わせて自動でパワーをコントロールする「エコ掃除」機能を搭載
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「EC-VX200」の手元ハンドルにあるのは、ブラシの「切/入」と、パワーの「強/弱」、そして「エコ掃除」のボタンです。この「エコ掃除」は、以前はなかったモードで、床面や掃除の動作に合わせて、吸引力を自動でコントロールする機能。このモードなら、じゅうたんの上では「強」になりますし、フローリングの上では「中」に切り替わります。反応も速いので自分で強度を切り替えることはほとんどありませんでした。
ちなみにこのエコ掃除で強度が切り替わると、本体のブルーのイルミネーションも切り替わってパワーの強さの違いを表すのですが、せっかくのキレイなイルミネーションも、掃除中はあまり掃除機本体を見ることはないのでちょっと残念です。
吸込口上部両サイドのダクトからは、吸込口舞い上がったホコリやダニ粉じんを吸い込む機能付き。さらにパワーヘッド内部の回転ブラシには、抗菌効果の高いAg+イオンが練り込まれたブラシや、フローリングや畳の目地のホコリを絡め取る「極細ループから拭きブラシ」も搭載しています。
最近ではどのメーカーのものも色とりどりの複雑なブラシが搭載されていますが、このモデルは特に大口径。それに合わせてヘッドも大きめで、ヘッドとパイプのつなぎめである根元がボール状でどっしりしています。使っていて、段差があるところに入ってしまうとこの根元部分がちょっと邪魔に感じることもありましたが、普段平面を掃除しているときには、このボール状の根元のおかげでふらつかず、パワーヘッドが安定していました。
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パワーブラシの根元は、動きが自在なボール型
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大きめの回転ブラシが入っている分、パワーブラシ全体も大きめ
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パワーブラシ裏面。ボール型の根元を支えるためT字形になっている
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色とりどりのブラシが搭載された回転ブラシ
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回転ブラシはヘッド側面のネジを回して取り外す
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取り外した回転ブラシ。糸や髪の毛などはどうしてもからみやすいのでまめに手入れしたい
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回転ブラシを取り外したあとのヘッド部分
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大きめのパワーブラシだが、ぴったり平たくなるのでソファーの下などのすき間にも入りやすい
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● 高濃度の「プラズマクラスターイオン」で空気も清浄
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高濃度の「プラズマクラスターイオン」を室内に放出することで室内の空気も清浄
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実際に使っていると、サイクロン式に慣れていない私にとっては、カップの中をゴミがぐるぐる回るようすは何度見ても不思議でした。とはいえ、使い勝手に関しては、紙パック式との差はまったくありません。
また、排気に乗せて高濃度の「プラズマクラスターイオン」を室内に放出して空気も清浄するという技術は、アレルギー体質の我が家ではかなり魅力的。そもそも、我が家は高層住宅のため、小さい空気窓しかなく、空気清浄機と24時間換気に頼っているのですが、掃除機でさらにアレル物質を分解・除去できると意識すると、掃除の意欲も増しました。
これまでの私にとっては、吸引力が持続するというサイクロン式の利点は、ゴミ捨てやフィルターの手入れの面倒くささで打ち消されてしまっていました。それが、今回このモデルを使ってみると、ゴミ捨ての簡単さに衝撃を受けました。カップからフィルターまでまるごと水洗いできる清潔感は、紙パックにはないもので、サイクロン式への印象がかなり変わりました。
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駆動音でほとんど聞こえないが、チチチという小さな音がしてこの部分からイオンが放出される
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HEAPクリーンフィルターは使っているとこのようにチリがたまる。両方ともまるごと水洗いできる
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購入時の状態と比べると違いは一目瞭然だ
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気になったのは、掃除するたびに、ゴミを圧縮する一連の動作が行なわれることです。ちょっと掃除しただけでも、スイッチを切るたびにスクリュープレスでゴミをぎゅっと圧縮するので、部屋を移動するときや物の移動で一時的に電源を切るときには、「そんなにひんぱんにしなくてもいいのに……」という気持ちになりました。
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「クリーニングモード」ボタンを1秒以上長押しすると、手動でフィルターやスクリュープレスのクリーニングができる
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「切」を押すとこの作業は止められますし、自動でこの作業を行なわない設定にすることもできるので、気になるときは設定して「クリーニングモード」ボタンを手動で押すようにしてもいいかもしれません。
アタッチメントも豊富で、60cmまで伸縮可能な「2段伸縮すき間ノズル」や、パイプに付けておけるので使いたいときにすぐ使える「ベンリブラシ」、ペットの毛や花粉対策に便利な「2WAYベンリヘッド&ベンリホース」などがあります。特に「2WAYベンリヘッド&ベンリホース」の威力には驚きました。ペットのいる家庭ではソファやベッドにつく抜け毛は悩みの種ですが、このヘッドがあると掃除がかなり簡単です。
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付属品のベンリホースとベンリヘッドはセットで使う
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ベンリヘッドはペットの毛や花粉対策に便利
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ヘッドの角度を回すことで、ふとん・カーテン用と、ペットの抜け毛用でパワーを使い分けられる
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ペットの抜け毛用に設定したところ
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S字のベンリフックでまとめたところ。すっきり収納しておける
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ソファなどの布製品の掃除に便利
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2段階収縮すき間ノズルは伸縮式
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伸ばした状態
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先はブラシ状
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天井のエアコンのホコリ取りにも十分届く
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先はかなり細いのですき間もラクラク
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フィルターのホコリ取りなどにもこのブラシが役に立つ
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ハンドル根元に取り付けておけるベンリブラシ
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使用するときは吸込み口にセットする
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● 使い勝手が練られた、完成度の高い最上位モデル
最上位モデルとして最新の機能を搭載した“ハイグレードタイプ”の「EC-VX200」。スクリュープレスでゴミ捨てが簡単で、動作音が静かなサイクロン式のこのモデルは、夜に掃除することが多い方には特に便利そうです。
空気清浄やゴミの圧縮、パワーヘッドの自動コントロールなど、これまでのモデルと比べても使い勝手がかなり練られていて、これ以上改良するといっても思いつかない完成度の高いモデルです。
会社で仕事をしていると、平日はもちろん夜しか時間がとれないので夜に思い立って掃除したくなる、なんてこともあるものです。思いきり部屋を掃除したときのすっきり感と充実感を、この高機能なサイクロン式掃除機でアップさせられるのではないでしょうか。
■URL
シャープ株式会社
http://www.sharp.co.jp/
製品情報
http://www.sharp.co.jp/products/living/cleaner/prod04/ecvx200s/index.html
掃除機関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/cleaner.htm
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2008/12/12 00:02
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