シャープ株式会社は、イオンの力でアレル物質やカビ菌を取り除くエアコン「キレイオン SXシリーズ」を、11月1日に発売する。価格はすべてオープンプライス。ラインナップは以下の表の通り。
品番 | 電源 | 冷房能力 | 冷房時 適応床面積 | APF | 店頭予想価格 | 発売日 | 本体サイズ (幅×奥行き×高さ) |
AY-Y22SX | 単相100V | 2.2kW | 6畳程度 | 6.0 | 22万円前後 | 11月15日 | 798×302×260mm |
AY-Y25SX | 2.5kW | 8畳程度 | 23万円前後 |
AY-Y28SX | 2.8kW | 10畳程度 | 5.9 | 24万円前後 | 11月1日 |
AY-Y40SX | 単相200V | 4.0kW | 14畳程度 | 6.0 | 27万円前後 | 894×331×278mm |
AY-Y50SX | 5.0kW | 16畳程度 | 5.7 | 29万円前後 | 11月15日 |
AY-Y63SX | 6.3kW | 20畳程度 | 5.0 | 32万円前後 |
AY-Y71SX | 7.1kW | 23畳程度 | 4.5 | 35万円前後 |
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製品外観。冷房能力が2.8kW以下のタイプ(下)は、幅が798mmのコンパクトサイズとなる
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KIREION(キレイオン)のロゴ
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プラズマクラスターイオンの発生デバイスを搭載。イオンはエアコンの風に乗って、室内のすみずみへ飛んでいく
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SXシリーズは、同社のエアコンのラインナップで最上位ランクに位置する製品で、同社独自の技術「高濃度プラズマクラスターイオン」を発生するデバイスを空気の吹出し口付近に搭載した点が特徴。運転中は、プラスイオン「H+」とマイナスイオン「O2-」が、エアコンから吹き出る風に乗って部屋中に放出される。
これらのイオンは、空気中の菌やウイルスに付着すると、酸化力の強い「OHラジカル」に変化し、菌やウイルス表面のタンパク質を除去し、無力化する効果がある。浮遊するダニのフンや死骸などのアレル物質なら99.9%、浮遊ウイルスも10分間で99%分解・除去できるという。さらに、カーテンやソファーに染み付いたタバコのニオイの脱臭や、梅雨に発生しやすい窓サッシ枠のカビの増殖も防げるという。
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写真中央の緑色の装置がプラズマクラスターイオン発生装置
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プラズマクラスターイオンが菌やウイルスを囲み、無力化する仕組み
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アレル物質/ウイルス/カビ菌/付着臭を分解・除去できる
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外気温が低い場合、室外機の熱交換器に付着した霜を取る「除霜運転」を行なうが、その際に室内機の熱交換器が冷え、室温が低下してしまう
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暖房性能にもこだわった。エアコン暖房では、外気温が約5℃を下回った場合、室外機の熱交換器が氷点下まで冷やされるため、熱交換器のフィンに霜が付着し、暖房ができなくなることがある。この場合、エアコンは自動で室外機の熱交換器を暖める「除霜運転」を行なうが、除霜運転中は逆に室内機の熱交換器が冷えるため、室内機に霜が発生し、室内が冷えてしまう問題があった。外気温が2℃の場合は、室内機の熱交換器の温度はマイナス27℃になってしまうこともあるという。
「エアコン暖房を利用する人が増える一方で、寒い日にエアコン暖房が効かない、暖かくないという不満が続出した。2007年度の冬シーズンは、2006年度と比べて2.6倍の問い合わせがあった」(シャープ株式会社 健康・環境システム事業本部 環境システム事業部 商品企画部長 隅謙造氏)
そこで本製品では、室外機と室内機の熱交換器の間に、冷媒のバイパスを設置。これにより、室外機に霜が発生したのを検知した際に、室外機と室内機の熱交換器を同時に温めることで、室内温度の低下を抑えながら除霜ができるようになった。同社ではこれを「ノンストップ暖房」としており、室外機の除湿中も、室内機の熱交換器を30℃と高く保ち、室温の低下を防げるという。
隅氏によると、ノンストップ暖房のような室温の低下を押さえる除霜機能は、他社の寒冷地向けエアコンでも搭載されていたという。しかし「1日の平均気温が5℃を下回る日は、2007年12月から2月にかけて、東京の世田谷で42日間、八王子で59日間あった」ことから、全国向けとなる本製品でも採用している。
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エアコンを暖房として使用する人が増えてきたが、それにともなって「暖まらない」という苦情も増えてきた
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シャープ株式会社 健康・環境システム事業本部 環境システム事業部 商品企画部長の隅謙造氏
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室外機の除霜運転中は、室内機の熱交換器の温度が低下。逆に室内機に霜が発生し、室温の低下につながるという(写真は昨年度のSXシリーズ)
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「ノンストップ暖房」では、室内機と室外機の熱交換器をともに温めることで、室温の低下を抑える
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また、シャープのエアコンの特徴でもある、冷房は上から、暖房は下から風を吹き出す「上下両開きロングパネル」、左右の壁方向へ同時に風邪を送る流体力学を応用した気流「つつみ込む気流」は、今回も継続して採用。本製品ではさらに、吹き出す風を押さえつけて、よりパワフルな気流を実現する「パワー集中ガイド」を、従来よりも15mm伸ばした。これにより、床面の温度が従来製品から2℃高くなった。また暖かさを感じるエリアも拡大した。
省エネ性能の面では、前述の「パワー集中ガイド」などの気流制御により、効率的な冷暖房が可能になった。省エネ基準値は全タイプでクリアしており、中でも同社が「今後の需要の中心」と位置付ける冷房能力5.0kWタイプでは「業界No.1」の省エネを達成。買い替えサイクルとなる12年前の機種と比べると、年間の電気代を約46,100円分カットできるという。
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「上下両開きロングパネル」など、シャープのエアコンの特徴である気流技術を引き続き継承
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「快適性と省エネを両立する気流制御技術」として、日本流体力学会の「流体力学技術賞」を受賞した
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「パワー集中ガイド」を伸ばし、風速をアップ
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床面の温度が約2℃向上し、さらに暖かいスペースも広がった
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12年前の機種と比べると、年間の電気代を約46,100円分カットできるという
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運転モードとしては、ボタンひとつで自動で省エネ運転する「おすすめエコ」モードを搭載した。これは室内機に搭載されたセンサーが自動で床面の温度を見張り、床よりも±2℃の空調を行なうことで、暖めすぎ、冷やしすぎを防ぐというもの。センサーがない場合と比べて最大20%の省エネ効果が得られるという。
このほか、室内機のフィルターの自動掃除機能、プラズマクラスターイオンを用いた本体内の清浄運転、室温や設定温度を表示する前面モニターなども備えている。
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写真中央部がセンサー。部屋の床面を8分割して見張る
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「おすすめエコ」運転では、床面よりも2℃高い/低い温度を送風し、電気代を節約した空調を行なう
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リモコン
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室温・設定温度を表示するモニターも採用
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執行役員 健康・環境システム事業本部長 高橋興三氏
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執行役員 健康・環境システム事業本部長の高橋興三氏は「エアコンは文字通り生活空間の健康・快適を作る道具であり、本製品で搭載されているような空中での除菌機能は、エアコンの基本機能であるといえる」と語り、プラズマクラスターイオンの発生装置を搭載したことに対する自信を見せた。
なお、実売想定価格が昨年度の製品よりも3~5%高くなっているが、これについて隅氏は「単純に原材料が上がったから上げる、下がったから下がるということは考えていない。そういった部分は基本的に企業努力となる。商品の価値に見合う価格として設定している」と、原材料の高騰が原因との見方を否定した。
■URL
シャープ株式会社
http://www.sharp.co.jp/
ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/081023-b.html
エアコン 関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/aircon.htm
■ 関連記事
・ そこが知りたい家電の新技術 シャープ エアコン「U-SXシリーズ」(2007/06/13)
・ 第5回:エアコンのスペック値「COP/APF」とは(2008/06/11)
( 本誌:正藤 慶一 )
2008/10/23 16:29
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