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家電製品ミニレビュー ダイニチ「HD-RX308」
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~インテリアになじむ、静かで美しい加湿器
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Reported by
藤原 大蔵
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ダイニチ「HD-RX308」
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乾燥は健康と快適性を損なう大きな原因の1つだ。呼吸器系の粘膜を痛める原因となり、乾燥によって活発になったウィルスが体内に入りやすくなり、風邪をひきやすい状態となってしまう。また室内が乾燥状態にあると体から出る水分蒸散量が増えるため、体感温度が低くなり、ついつい暖房の設定温度を上げてしまい、それにより更に室内が乾燥するという悪循環になってしまう。筆者の部屋は、この季節になると、寝室と仕事部屋をも兼ねている湿度が30%前後になってしまう。健康に、そして快適に冬を乗り越えるためにも加湿器を購入した。
家電量販店でたくさんの加湿器を見たが、種類がたくさんありすぎて、一体どれを選んでよいのか大いに迷ったが、購入にあたって2つの点を重視した。
1.部屋のインテリアになじみやすく、水タンクの扱いがラクなもの
2.加湿方式は、環境に応じて加湿スタイルが選べるハイブリッド式のもの
この2点から、石油ファンヒーターなどで有名な、ダイニチの「HD-RX308」のビターブラウンを選んだ。
我が家の床のほとんどが木目、壁はオフホワイト、家具は明るい木目調やアースカラーのものが多い。ダークブラウンとベージュで構成されるダイニチのHD-RX308はとてもなじみやすいデザインだ。露出する水タンクもそのデザインの中に組み込まれており、とてもスマートな印象だ。
メーカー | ダイニチ |
製品名 | HD-RX308 |
希望小売価格 | 21,000円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 12,672円 |
● ハイブリッド方式とは
一般的に見られる加湿器の方式は4種類ある。スチーム式、ヒーターレス(気化)式、超長音波式、そしてハイブリッド式だ。
それぞれの方式を簡単に説明すると、スチーム式はヤカンでお湯を沸かし、その蒸気を部屋に発散させるイメージ。ヒーターレス式は濡れタオルに扇風機で風をあて、水分を気化するイメージ。超音波式は水に振動を与えて、水を霧状にして空気中に放出するイメージ。そしてハイブリッド式は、濡れタオルにドライヤーというイメージである。
現在もっとも理想的な加湿器の方式といわれているのがハイブリッド式。湿度が低い時は「温風気化式」ですばやく加湿し、設定湿度に近づくと、温風を使わない「気化式」に切り替えて加湿量を調整する方式だ。HD-RX308でもこのハイブリッド式を採用している。スチーム式より電気代が安く、ヒーターレス式よりも効率的、超音波式よりも掃除がラクという利点もある。
HD-RX308では、トレイが簡単にはずせるので、こまめな手入れがしやすい設計となっている。蒸気や霧で器具の周りを濡らしてしまう事がなく、吹出口からはまったく熱くない風が吹出すので、ヤケドの心配がなく安全だ。転倒自動停止装置、室温異常自動停止装置も搭載されている。
● スッキリとした本体デザイン
本体サイズは、325×153×325mm(幅×奥行き×高さ)で、それぞれの面に凹凸が少なく箱型。重さも水が入っていない状態では3.3kgだ。
外見的には四角形で構成されたデザインで、とてもスッキリしている。水タンクも含め、しっかりデザインされているのに、「デザインいたしました!」という圧迫感がなく、洋室、和室、家具などにとてもなじみやすい抑えたデザインが特徴だ。そして扱い方がわかりやすく、コントロールパネル部も、どのボタンが何をするためなのか、一目でわかりやすい。
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ブラウン部には細いストライプの溝があり、全ての仕上げはつや消し
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水タンク側からみたところ。水の量が一目瞭然
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背面には吸気口、湿度センサーが配されており、警告文が記されている
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左側面部デザインにも気が配られている
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ボタン、表示ランプ共にとてもわかりやすい
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● 扱いやすい大容量の水タンク
本体の加湿能力は、木造和室なら5畳、プレハブ洋室なら8畳向けで、加湿量は最大300mL/h。タンク容量が大きく3.2Lの容量を持つ。たっぷり10時間は運転できるので、一晩中運転していても水がなくなってしまうことはないだろう。タンクもスッキリと直方体で水を入れる際にも座りの良いかたちである。水タンクが本体内部にしまうタイプではないので、水の量が一目瞭然で、扱いも簡単だ。
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取っ手を持ち、タンクを持ち上げるだけで取り外せる
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タンクを本体にセットするときは、トレイ部に差込み、タンクと本体の溝を合わせるだけ
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直方体のタンクは逆さにしても座りが良く、キャップは95mmと扱いやすい大きさ
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タンクの開口部は、直径が80mmあり手がラクに入る大きさ
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● 30分前後で50%前後の湿度を得られる

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コントロールパネルの横に吹出口があり、ここから湿った空気が放出される
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本体に搭載されている運転モードは標準、省エネ、のど・肌加湿運転の3種類。まずは、暖房を付けていない状態の室内で使った場合を見てみよう。
製品を使用した時の室内の状況は、プレハブ洋室、室温25℃前後、湿度35%だ。
まずは標準運転の場合。設定は50%で標準運転(ハイブリッド運転)をしたところ、気温の変化は特になく、1時間以内には湿度は50%前後に上昇し、最大51%あたりで安定した。消費電力は160W前後。
続いて、省エネ運転に切り替えてみたところ、30分後には48%ぐらいに湿度が落ちた。消費電力は10Wだ。
上記の状態から、のど・肌加湿に切り替えてみたところ、30分後には湿度が55%あたりで安定した。消費電力は160W前後。
次にガスファンヒーターで室内を暖めた状態で運転してみよう。製品使用前の室内温度は26℃前後で、湿度42%だ。まず、湿度設定50%で標準運転(ハイブリッド運転)をしたところ、30分以内には湿度は50%前後に上昇しそのまま安定した。消費電力は160W前後。
上記の状態で湿度が安定したあと、省エネ運転に切り替えてみたところ、30分後には48~49%ぐらいに湿度が落ち、そのまま安定する。消費電力は10Wだ。
そのまま、のど・肌加湿に切り替えてみたところ、1時間後には湿度が53~55%あたりで安定に入る。消費電力は160W前後だった。
まだ真冬ではないものの暖房の有無に関わらず、30分前後で50%近くの湿度が得られる。気温がある程度高く、元の湿度が40%ぐらいあると、省エネモードで消費電力を大きく抑えた状態でも十分な加湿が期待できた。温度計・湿度計を使用する室内に設置し、様子を見ながら省エネモードを活用する事により、大きく消費電力が抑えられる。
のど・肌加湿モードは、のど・肌の潤いを守る湿度に自動でコントロールして加湿する。特に消費電力が上がるわけではないので、特に乾燥する冬場には積極的に使いたいモードだ。
● 蒸気や霧は見えない

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運転時、吹出口の真横から見ても、蒸気や霧は確認されない
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抗菌気化フィルターに風をあてて、湿った空気を送り出す加湿方式のため、スチーム式や超音波式のように蒸気や霧が見えない。
スチーム式や、超音波式の場合、はっきりと蒸気や霧が見える。視覚的に「加湿している」という実感は得やすいが、湿度の状態によっては放出された蒸気や霧が、空中で完全に気化せず、器具の周りに水滴を作ってしまう場合がある。それは周りの壁紙や家具を傷める原因となってしまう事もありうる。気化式や、ハイブリッド式の加湿器は水分が完全に気化した状態で発散されるので、周りの家具などへの影響が少ないと考えられる。
気化しているとはいえ、しっかりと湿気を帯びた空気が排出されている事を確かめるために、以下の動画を作成した。少し冷たい水をグラスに用意し、どのぐらい結露するのかをお見せしたい。
ほとんど結露していないグラスを吹出口上に置いた瞬間、グラスの周りに結露が始まる。吹出口からしっかり湿り気を帯びた空気が放出されているのが確認できると思う。
● 寝室においても問題ない静かな運転音
運転音はとにかく静か。時折水がタンクから流れる音が聞こえるくらいだ。常にファンが回っている状態なのだが、最大時でも運転音はたったの25dB。30dBで郊外の深夜、ささやき声程度と言われるが、それよりもさらに5dB低い。20dBで木の葉のふれあう音や、1m先の置時計の秒針の音といわれるので、就寝中でもまったく気にならない静かさである。
運転モードには「静音モード」というのもあり、風量を弱めて自動で加湿量を調整するモードがある。その際の運転音はさらに低く15dBとなる。標準モードで就寝中にも使用してみたが、睡眠の妨げになるような運転音には程遠い静かさなので、静音モードの必要性はあまり感じなかった。
動画を見ていただくと判るが、スイッチを入れた瞬間だけ風切り音が聞こえるが、すぐに静かになる。標準モード、省エネモードでは風量は変わらない。静音モードになると風量が抑えられているのがわかるだろう。標準モードでも強風が吹き出すという感じではなく、空気が立ち昇る感じで排出される。
ちなみに、この加湿器はフィルターに温風をあてて加湿する。水が気化する時には熱が奪われているので、吹出口より排出される風はまったく温かくない。気温が26℃の時、ハイブリッド運転時の吹出口から吹出す風の温度は23℃。省エネモードの場合、吹出口から吹出す風のの温度は19℃だった。それによって気温が下がってしまうという事は、今回は見られなかった。
● 手入れが簡単な構造
快適に長く使用するためには普段の手入れがとても重要になる。パーツが複雑だったり入り混んだ作りになっていると、手入れが億劫になってしまいがちだ。その点、この加湿器はとても手入れがしやすい設計となっている。
まず。空気を吸い込む吸気グリルは簡単に外れるようになっている
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軽い汚れなら、吸気グリルをはずさずに掃除機などで埃を吸い取る
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吸気グリルはドライバーの必要もなく片手で簡単に取りはずせる
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汚れがひどい場合は、吸気グリルをはずし、除菌フィルターも取り外して手入れが可能
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吸気グリルの汚れがひどくなると、雑菌が繁殖し悪臭が発生したり、加湿量の低下や送風音が大きくなる原因となるので、こまめに手入れが必要だ。週に1度はきれいにしたい。
またトレイ部分のお手入れも器具を使わずに簡単にトレイ部分が引き出せ、手入れができる。以下、画像で説明する
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水タンクを取り外すと見える部分がトレイ
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トレイ部分を引き出すと本体から簡単に分離する
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トレイが本体部分より引き出されたところ
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トレイは本体より完全に分離できる
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トレイを丸ごと水洗いし、表記されているパーツを、取り扱い説明書の方法に従って手入れをする
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使用しているうちに、抗菌気化フィルターやトレイに水アカが付着する。手入れをせずに使用を続けけるとカビや雑菌が繁殖し悪臭が発生したり、加湿量の低下や送風音が大きくなる原因となるため、2週間に一度の手入れが必要だ。
また、1カ月に1回程度、抗菌気化フィルターを取扱説明書に則ってクエン酸で清浄するのが勧められている。それを行なうことによって、3シーズンの使用が可能になるので、是非実行したいと思う。健康にも影響を与える加湿器なので、きちんと手入れを行ない清潔に保ち、快適に使用したいものである。
● 特に気をつけなければならない注意点
かなり気に入って使っている製品だが、使用上いくつかの注意点がある。まず、使用する水は水道水のみ。芳香剤の使用もご法度である。
2つめに残ったタンク内の水は捨て、タンクをきれいな水ですすぎ、毎日新しい水道水と入れ替えること。また、この加湿器の水タンクは、本体部に乗せてあるだけである。移動する際には水タンクを取り外し、本体底辺部にある取っ手を両手で持って、傾けないように静かに運ぶ事。
これらの注意点は今回の製品に限ったことではなく、加湿器を使う上ではごく一般的なもの。これまで加湿器を使ったことのある人なら特に問題なく使用できるだろう。
● 運転音もデザインも主張しすぎないのが良い

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木目、アースカラーを基調としたリビングにも合わせやすいデザイン
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運転最大時でも25dBと、とても静かな設計。寝室での使用に非常に適している。3つの運転モードを効率的に使用できるのも長所だ。
多々ある加湿器の中で、落ち着いた主張しすぎないデザインがとても良い。和室、洋室を問わず、インテリアにとてもなじみやすいデザインが大変魅力的だ。適切な加湿を行ない、健康で快適な冬を過ごそうではないか。
■URL
ダイニチ工業株式会社
http://www.dainichi-net.co.jp/index.htm
製品情報
http://www.dainichi-net.co.jp/products/hd/rx308.htm
加湿器関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/air.htm#stove
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