では、実際の使い勝手はどうなのか。ここでは、現在主要となっているリキッド式とファン式の違い、さらには製品の細かい違いについて見ていきたい。ちなみに製品の効果については最後にまとめてあるので、そちらをご覧いただきたい。
今回は、取り上げた製品は蚊取り用品の国内主要ブランド、「アース」、「キンチョー」、「フマキラー」のもので、それぞれファン式、リキッド式のものを1つずつ購入した。詳しい製品名、価格は以下の表の通りだ。
|
|
|
金鳥「蚊に効くカトリス」(ファン式)
|
アース「電池でノーマット」(ファン式)
|
フマキラー「どこでもベープ」(ファン式)
|
|
|
|
金鳥「キンチョウリキッドセット」(リキッド式)
|
アース「アースノーマット」(リキッド式)
|
フマキラー「ベープリキッドセット」(リキッド式)
|
ジャンル | 製品名 | ブランド | 効用時間 | 販売価格 (ケンコーコム) |
ファン式 | 蚊に効くカトリスお部屋用 | 金鳥 | 480時間 | 979円 |
電池でノーマット | アース | 480時間 | 1,115円 |
どこでもベープ蚊取り(ブルー) | フマキラー | 480時間 | 979円 |
リキッド式 | キンチョウリキッド | 金鳥 | 720時間 | 1,080円 |
アースノーマット | アース | 720時間 | 924円 |
ベープリキッド | フマキラー | 792時間 | 934円 |
● ファン式は設置方法に差が出る ~薬剤や電池のセット方法をチェックしよう
今回試した3製品は、効用時間も同じ480時間、値段の差もそれほどないものを選んだが、各メーカーごとの特色が意外なほどハッキリと出た。特に差が出たのが、電池や薬剤などの設置方法。電池残量と薬剤残量がそれぞれ表示される「電池でノーマット」、電池と薬剤がセットになっていて同時に設置できる「どこでもベープ」、カートリッジによって電池本数を変える「蚊に効くカトリス」といった具合だ。ここでは、各製品の特徴を紹介しながら、その使い勝手や適した場所に関して細かく見ていこう。
|
|
|
3製品を並べて電源を入れたところ。左からアース「電池でノーマット」、フマキラー「どこでもベープ」、金鳥「蚊に効くカトリス」
|
周囲が暗いときのLED表示の様子。電池でノーマットだけLEDで数値表示が2箇所にある
|
本体底部。左からアース「電池でノーマット」、フマキラー「どこでもベープ」、金鳥「蚊に効くカトリス」
|
● 3段階の残量表示で安心の使い心地のノーマット
アースの「電池でノーマット」の特色はなんといっても、3段階で電池と薬剤の残量が表示されるLEDが設置されている点だ。ファン式、リキッド式通して、ここまで細かい表示がされていたのは、この製品だけ。例え薬剤を変えたばかりでも、電池残量が少ないと薬剤散布効率は下がってしまうが、この表示方法ならしっかりと残量をチェックできるので、効率的に本体を運転させられる。その分交換の手間は感じるかもしれないが、効き目重視で使用するならこの表示は有効だ。
|
|
アース「電池でノーマット」本体
|
本体正面には、薬剤残量とと電池残量がそれぞれ3段階で表示される。ここまで細かい表示がされているのはファン式、リキッド式含めてこの製品だけだ
|
● 電池と薬剤が一体で手間いらずなベープ
設置の手間がかからないのが、フマキラーの「どこでもベープ」だ。電池と薬剤が同じケースにセットされていて、ケースだけセットすればすぐに使い始められる。薬剤を電池と薬剤を別々にセットする手間が省略され、また薬剤を直接触ることもないので、使い始めるまでの手順は一番楽だった。電池と薬剤は使用期限もリンクしているので、交換の手間も一度で済む。
|
|
|
フマキラー「どこでもベープ」
|
電池と薬剤が一体になったケースが付属する
|
ケースを本体にセットすればすぐに使い始められる
|
● デザイン重視のカトリス
|
金鳥「蚊に効くカトリス」。ほかの2製品とは違う平べったい形状
|
「蚊に効くカトリス」では、電池でノーマットと同様に薬剤と電池を別々にセットする方式を採用している。この製品で変わっているのが交換するカートリッジによって必要とする電池の数が変わる点だ。60日セット(480時間)ならば単三電池4本、30日分(240時間)ならば単三電池2本、90日分(720時間)ならば単三電池6本をセットする。パワーの違う複数のカートリッジを、使用する電力まで替えて使うという発想はほかの製品では見られない。
発想が変わっているのは電池だけではない。これまで蚊取りグッズを“おしゃれなモノ”として考えたことはなかったが、この製品ではこれまでにないおしゃれな本体デザインを起用している。本体はほかの2製品とは明らかに異なる平べったい形だ。カラーリングもブルーと白で清潔感を演出している。
|
|
|
並べてみると、デザインの奇抜さがわかる
|
本体は縦置きにも対応している。縦置きにすると、他の製品と同じくらいの高さになる
|
本体底部。左から左からアース「電池でノーマット」、フマキラー「どこでもベープ」、金鳥「蚊に効くカトリス」
|
● リキッド式はデザインで選べ!!
次にリキッド式の製品に見ていこう。まずは製品の特徴を簡単に述べると、マットにも対応している「ベープリキッド」、LED表示が目立たなく寝室の使用に適しているのが「アースノーマット」、デザイン性が高いのが「キンチョーリキッド」といったところだ。基本的な性能に関しては完成されている印象で、ファン式に比べると製品間の差は少ないように思う。では、さらに細かく見ていこう。
|
|
3製品を並べて置いたところ。本体サイズはどれも似たようなものだが、デザインにはそれぞれ違う
|
本体底部。ファン式とは異なり、リキッド式では底がなく、中にリキッドボトルが浮いた状態になっている
|
● マットにも対応したシンプルなベープ
「ベープリキッド」はファン式同様シンプルで、主張が少ないデザインだ。LED表示部分は黄色系の色が採用されていて色味が目立たないよう工夫されている。また、この製品はカートリッジとして、専用のリキッドボトルのほか、マットにも対応している。
|
|
|
フマキラー「ベープリキッド」本体。ファン式と共通するシンプルな本体デザイン
|
本体上部の薬剤散布口
|
本体側面の電源スイッチ。スイッチは透明で中の薬剤の残量が見えるようになっている
|
● LED表示の工夫が光る!寝室で使うならアースノーマット
「アースノーマット」はありがちなホワイトだけでなく、写真のような派手なブルーや、ビビッドなピンクなど原色のカラーが用意されているのが特徴だ。派手なカラーがある一方で、LEDランプはとにかく控えめ。実はこのLEDランプ、表面ではなく、本体内部で点灯しており、LEDの灯りは上から見ないと分からないようになっているのだ。正面から見ても、LEDのまぶしさを感じなくて良い。これは、寝室などで使うにはぴったりの機能だ。明るいときは自己主張し、暗いときはひっそりと、メリハリの効いた製品と言えるだろう。
|
|
|
アース「アースノーマット」。本体カラーは今回扱った製品の中では最も目立つブルーだ
|
本体側面にグレーを効かしたツートンカラーを採用している
|
本体側面の窓から薬剤残量を確認する
|
|
|
電源を付けている状態。本体中央部のランプが点灯しているはず……が、正面から確認することはできない
|
本体上部から見ると、内部のLED点灯を確認できる
|
|
|
|
3製品の電源を入れた状態。左から「アースノーマット」、「ベープリキッド」、「キンチョーリキッド」
|
電気を消して正面から見た状態。一番左にアースノーマットが置いてあるが、正面からだと全く明かりを確認できない
|
上部から撮影したところ。左に小さくポツっと光る点がアースノーマットのもの。ほとんど目立たないので寝室など明かりが気になる場所での使用にはピッタリだ
|
● 女性を意識した要素が満載のキンチョーリキッド
「キンチョーリキッド」はデザインを重視した本体構造で、リキッド残量が外から見えない。そのためリキッドの残量を自分で確認する必要があるが、その分デザインは優れている。ファン式と同様、ブルーと白を使用した柔らかい色遣いや薬の散布口が花びら型になっていたりと、女性を意識した工夫が目立つ。
|
|
金鳥「キンチョーリキッド」。ブルーと白を貴重にした女性らしい本体デザイン
|
本体上部の薬の散布口。花びらを象ったような形が採用されている
|
|
|
本体側面には中の薬剤残量をチェックする窓はない
|
薬剤残量は本体底部で確認することになる
|
● 製品の特徴をまとめた表
ジャンル | 特徴 | 製品名 | 製品の特徴 |
ファン式 | ・電源不要で設置場所を選ばない ・安全性が高い ・持ち運びが楽 ・ニオイがない | アース「電池でノーマット」 | 電池、薬剤残量が3段階で表示される |
フマキラー「どこでもベープ」 | 電池と薬剤が一体になっている/交換時期が一緒 |
金鳥「蚊に効くカトリス」 | 取り替え用カートリッジによって電池本数を変える 本体デザインに力をいれている |
リキッド式 | ・効き目が高い ・取り替え用カートリッジの種類が豊富 ・ニオイや煙がある | アース「アースノーマット」 | LED表示が上から見ないとわからない/本体カラーが派手なタイプもある |
ベープリキッド | マットにも対応している/シンプルなデザイン |
金鳥「キンチョウリキッド」 | 薬剤残量が外から見えない/女性を意識したデザイン |
● 結局のところどっちが効くのか
以上、ここまで製品の特徴、使い勝手などを中心に比較してきたが、肝心の効き目はどうなのか。
実際に製品を使った実感としては、リキッド式の方が効き目は強いように思う。まず、ファン式の薬剤は本体に内蔵されたマットからしみ出る薬剤を散布しているので、単純に考えてリキッドの方が薬剤が広がりやすいということ。それはときおりツンと鼻をつく薬剤のニオイでも確認できる。
リキッド式の実力を決定づけたのが、リキッド式の製品の上を飛んでいた蚊が急にポタっと撃沈した姿だ。テレビCMのような光景に、思わずカメラを探したほどだ。ファン式の製品を使っている時には同じ部屋で蚊が飛び回っていたことを考えると、リキッド式の実力はやっぱり認めざるを得ない。これには散布口の向きが関係しているように思う。多くのリキッド式の多くは散布口が上にあるため、薬が上方向に散布される。そのためしばらく設置すると薬剤が本体の表面にヌルッと付着してしまうのが難点。
一方、ファン式の場合、散布口は製品によって異なるが、ファンは本体内部に縦型に設置されていることが多く、薬が散布されるのは上というよりも、本体の横や周辺などだ。そのため、ファン式の本体上部に蚊が止まっているような光景もしばしば見かけた……
|
|
|
リキッド式の薬剤散布口は本体上部に設置されている。そのため薬剤が部屋全体に広がりやすい。が、本体表面に薬剤が付着しベタつくことがある
|
ファン式の場合、薬剤を散布するためのファンが本体に縦型に内蔵されていることが多く、本体周辺に横に薬剤が散布されるイメージだ
|
金鳥「蚊に効くカトリス」でも、ファンが縦型に内蔵されている。が、蚊に効くカトリスの場合は横置き、縦置き両方に対応しているので、場所に応じて置き方を工夫するのもいいかもしれない
|
手軽さや安全性ではもちろん、ファン式に分があると思うが、蚊取り本来の機能性でいうとリキッド式の実力はかなり高そうだ。
2008/07/17 00:06
- ページの先頭へ-
|