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ブラウン「プロソニック BS9795」
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朝起きて真っ先にすることと言えば「歯磨きとヒゲ剃り」。ここから男の一日が始まることに異論を唱える人は少ないはずだ。寝起きのぼーっとした感覚のまま顔を洗い歯を磨く、そしてヒゲを剃りながら徐々に頭を覚醒させ「通勤モード」(いわば戦闘モード)へと切り替える。世の働く男連中は、こうしたモード変更を行なってから職場という戦場に向かう。かく言う筆者も4年ほど前までは、この一連の切り替え作業を行なって会社に通勤する企業戦士の一員だった。
しかし「毎日が日曜日」のズボラな生活が似合うライターへと職を変え、ズボラ生活に磨きをかけた挙げ句、ヒゲを剃ることまで放棄してしまった。その結果筆者のヒゲは伸び放題でいつの間にか毎朝のモード切り換えの歯磨きとヒゲ剃りなど忘却の彼方へと追いやられてしまった。
そんな筆者がシェーバーを改めて購入しようと思ったのはごくごく最近のことだ。相変わらず筆者のヒゲは伸び放題だが、我が家は両親との同居なのでヒゲ剃りが必要な男(実父)がもう一人いる。その父親はシェーバーを利用せず長い間T字カミソリユーザーだったのだが父の日に初めて息子らしい行動を取ることにした。シェーバーを父の日のプレゼントとして贈ったのである。
選択したのはブラウンの「プロソニック BS9795」(以下、BS9795)という製品だ。価格はオープンプライスでヨドバシカメラでの販売価格は24,990円だ。プロソニックシリーズはブラウン製シェーバーの最上位に当たるシリーズで中でもBS9795はシリーズ最上位モデルとなる。その実売価格は昨年のリニューアル登場時と比べると7,000円近くも安くなっており、お買い得感も非常に高い。
この製品を選択したのは、本コーナーでも数多く原稿を執筆している筆者の友人であるライター平澤氏の自宅で「フレックス シンクロシステム」を搭載するブラウン製のシェーバーを以前から羨望の眼差しで見ていたからだ。昨年彼が新調した「コントゥアプロ BS8385」を実際に見てうらやましく思っていたこともあり、もしシェーバーを購入するのであれば同じ製品ではなくもうちょっと上を狙いたいという変な対抗意識もあった。
自宅に届いたBS9795は、ちょっと大袈裟だがパッケージからして違うと感じた。数年振りにシェーバーを購入したためなのか、新しいモノが届くだけで浮き浮きしてしまう筆者の性格からなのか、支払った金額に見合った喜びを満たしてくれるに足るパッケージだ。そのパッケージを開けると中にはBS9795本体や自動洗浄ユニットなどが整然と並べられており、ちょっとした良い買い物をしたという気分にさせてくれる。付属するのは本体を収納するケース、AC電源、そして洗浄ユニット、アルコール洗浄液(1個)、メンテナンス用のアプライアンスオイル(潤滑オイル)、清掃用ブラシに説明書類といったものだ。
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届いた製品パッケージ。上質紙を使ったカバーには「Premium」という文字に加え、5つ星が描かれている。最上位シリーズの最上位モデルといった「持っている満足感」を満たしてくれる
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パッケージを開けると本体や自動洗浄ユニットなどが整然と並べられている。ちょっとした買い物をした、いい気分にさせてくれる
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本体以外の同梱類は本体を収納するケース、AC電源、そして洗浄ユニット、アルコール洗浄液(1個)、メンテナンス用のアプライアンスオイル(潤滑オイル)、清掃用ブラシに説明書類となっている
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早速パッケージからBS9795を取り出して眺めてみる。グリップ部分はちょうど握りやすい太さで右手でも左手でもフィットするように丸味を持たせてある。スイッチはグリップ部の中央より若干下に設置してあり、ちょっと窪みを持たせた丸い押しボタンになっている。
電源が入るとスイッチ内部に設けられたLEDが発光する仕組みだ。このスイッチの設置位置だが、ヒゲを剃る態勢にしてグリップを握っても指が届かないような部分に位置しており、ヒゲ剃りの最中に間違って押すようなことがないような絶妙な位置に配置されている。かといって押しにくい位置にあるわけではなく、グリップを握っている親指を移動させればすぐにスイッチに届くようになっている。ヘッド部分はグリップ部に対して幅広になっており、正面から見るとちょっと太らせたT字カミソリみたいなデザインだ。
肝心のヘッド部分だがプロソニックシリーズの最大のポイントがここだ。このヘッド部分にミクロレベルの振動を発生させ、その振動が肌に伝わることで肌を波立たせ、短くなって剃りづらいヒゲを毛穴から押し出し剃ることができるようになっている。この仕組みを「ソニックヘッド」と呼び、これがプロソニックシリーズの名前の由来にもなっている。ソニックヘッドによって肌に深く押しつけることなく短くて剃りづらいヒゲまでフォローできるため肌に優しくヒゲ剃り負けの多い人にも向く。
ソニックヘッド以外の部分はコントゥアプロなどの別シリーズもこれに準じた機能を持つ。例えば肌の曲面に合わせヘッドが自動的に前後左右に追従する「センソフレックスシステム」や一体化された外刃と内刃により両刃間の隙間をできるだけ小さくして剃り残しを抑える「アクティブタイトニングシステム」などといった機能だ。BS9795に使用する網刃は「マルチパターン網刃 5×5」(網刃・内刃カセット F/C 9000)と呼ばれるプロソニックシリーズ共通の網刃だ。なお、ヘッドの首振り機能だが最大限傾けた状態で首を振らないようにロックできる。これはヘッドを動かさず固定した方が都合の良い場所などを剃りたい場合に使う。実際、狭い範囲を限定して剃りたい場合などに役立ちそうだ。
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別シリーズにも通じるが正面から見るとT字カミソリを太らせたようなデザインだ
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右側面。ロック機能を使い首振りヘッドを固定した状態。この固定した状態のまま使うことも可能だ。手前側に振れる最大角度がここになる
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ロックを解除して反対側の最大角度にヘッドを振ったところ。フリーの状態では手前側と反対側へ自由に首を振って追従するようになっているわけだ
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グリップ中央より下側にある丸い窪みの中央にあるボタンがスイッチ。電源が入るとこの中央部がブルーに発光する
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スイッチの上部を上側にスライドさせると際ぞり刃(トリマー)が飛び出すギミックになっている
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本体背面はACアダプタの接続コネクタと自動洗浄ユニット接続時の端子が用意されている程度とシンプル
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● ズボラな人向けの自動洗浄システム「クリーン&リニュー」機能
次に、筆者がブラウンのシェーバーを欲しいと思った最大の理由とも言える自動洗浄システムについて見てみよう。
筆者が第二次性微期(いわゆる思春期)を迎えたときに父親に与えられたのは電気シェーバーだった。以降、大人の男の証としてシェーバーを使い続けていた筆者がシェーバー利用を止めた理由は「日々の手入れが面倒になった」という単純な理由からだ。シェーバーにヒゲくずや皮脂が溜まって行くとどんどん剃り味は悪化し剃り残しが増える。
会社員になった当初もシェーバーを使っていたのだが、毎朝のヒゲ剃り後に行きの電車の中で剃り残しを見つけるとそれが気になって仕方がなくなり、その日の業務にまで影響してしまうほどであった。そこで職場に別のシェーバーを用意し職場に着くや否やジョリジョリと剃り残しを解消するという実に無駄なことをしていた(職場に出勤したら早速ジョリジョリやっている同僚や上司がいたら、そういう神経質な人だと理解するとよい)。
シェーバーをきちんと手入れすればよいのはわかっていたがズボラな性格ゆえについつい忘れ、毎朝自宅と職場でジョリジョリとやっていたのである。シェーバーメーカーもそうした連中がいることを理解していたのだろう。ヘッドの水洗いが可能になったり自動洗浄システムというとても便利な機能を搭載するなどシェーバーは進化し、いまや手入れが面倒という人でもきちんとメンテナンスされたシェーバーを毎日使えるようになったわけだ。
ブラウン独自の自動洗浄システムは「クリーン&リニュー」機能と呼ばれ、本体を自動洗浄ユニットに装着するだけで洗浄から乾燥、本体の充電といった一連のメンテナンスを自動的に行なってくれるのでズボラな人でも安心だ。
ブラウンのシェーバーはプロソニックシリーズ以外のシリーズでも「クリーン&リニュー」機能を採用しているのでこの機能に大きな違いはないと思うかもしれないが細かい点で違いがある。
BS9795の自動洗浄システムは、BS9795本体と組み合わせることで、より詳細に洗浄処理が可能で、さすが最上位モデルと言えるようなシステムになっている。具体的には自動洗浄ユニットにシェーバーの使用状況(汚れ具合)を感知する機能が備わっており、その状況によって「短時間洗浄(eco)」「通常洗浄(normal)」「強力洗浄(intensive)」の3段階の洗浄処理(これを洗浄プログラムと呼ぶ)のうちどの洗浄処理が必要なのかを表示してくれる。これに「洗浄不要(clean)」が加わるため4つのLEDで状況が表示される。
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自動洗浄ユニット。最上位シリーズだけあってスイッチ類に加えLEDなども搭載されている点がブラウンの別の「クリーン&リニュー」機能との違いだ
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ヒゲ剃り後にBS9795本体を自動洗浄ユニットに装着すると使用状況を感知して洗浄レベルをLEDで表示してくれるようになっている
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「クリーン&リニュー」機能で利用するアルコール洗浄液は、フタを取ってから自動洗浄ユニットに装着する
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本体側にも「シェーバーディスプレイ」と呼ばれる液晶モニタが搭載される。これはバッテリー(battery)の充電残量とヘッドの清潔度(hygiene)を6段階に分けて表示したり替え刃の交換時期が来るとそれを知らせてくれる機能を持つ。
おそらく本体側で検知したヘッドの清潔度情報を自動洗浄ユニットが受け表示させる洗浄段階を決めていると思われる。ヘッドの洗浄だが洗浄液によるヘッドの洗浄の回数によってレベルが違い、ヘッドの換装時間を含めた処理時間は32分から43分となっている。いずれの場合もLEDで段階が表示された後に洗浄開始ボタン(start cleaning)を押すことでそのレベルで洗浄が開始されるようになっている。
また、洗浄開始ボタンを押し忘れてしまったときなどのために「急速洗浄(fast clean)」ボタンが搭載されており、これを押すと乾燥処理を省き約25秒間のヘッド洗浄が行なわれる。急速洗浄を選択した場合はヘッドに洗浄液が残ってしまうのでふき取り作業が必要になる点に注意したい。なお、急速充電以外の処理では、洗浄処理後にバッテリーへの充電が開始される。バッテリーがエンプティ状態からからフル充電まで1時間程度で完了する。
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本体の底面には「シェーバーディスプレイ」と呼ばれる液晶ディスプレイを装備する。ここでバッテリー(battery)の充電残量とヘッドの清潔度(hygiene)を網刃・内刃ユニットの交換時期をチェック可能だ
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必要な洗浄段階をLEDで確認したら、この洗浄開始ボタン(start cleaning)を押すと洗浄が開始される。下部は急速洗浄(fast clean)用のボタンだ
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洗浄処理と乾燥までが完了するとLEDはこのように「洗浄不要(clean)」表示となり、充電はこの後から開始される
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また、当然ながらヘッドの水洗いも可能で網刃部分にハンドソープなどを塗布したら電源を入れ、後は水か40℃程度のぬるま湯で洗い流す。またはヘッド部分から網刃・内刃カセットを取り外しそれぞれを水洗いすることでより細かくクリーニングすることも可能だ。ただし、水洗い後はしっかりと乾燥させることに加えアプライアンスオイル(潤滑オイル)を使って網刃・内刃カセットの潤滑化処理が必要になる。
そのほか、シェーバーの手入れとしては原始的なブラシ清掃も可能だがブラシ清掃ではヘッド内部の清掃だけで網刃・内刃カセットには使えない。通常利用では自動洗浄ユニットによる洗浄処理と水洗いの併用、旅行先では水洗いといったように使い分ければよいだろう。
● 上手に深剃りするには慣れが必要だがその剃り味は抜群
気になるBS9795のソニックヘッドの剃り味だが、上手に使いこなすには慣れが必要のようだ。つい深剃りを望んでしまうためヘッドを肌に強く押し付けてしまい、かえってミクロの振動を殺してしまうのだ。ソニックヘッドの振動効果によって肌に強く押し付ける必要なく深剃りできるということを意識しつつ弱めに肌に当てる必要がある。つまり従来のシェーバーを使ってきた人がその感覚のまま使うと「意外と深剃りできない」という間違ったイメージを持つ可能性が高い。
つまり普段無意識に使ってきたシェーバーの使い方を変えることを強く意識しないといけないわけで、それには慣れが必要だ。この点に注意すればソニックヘッドの威力は充分に実感できるはずだ。上手に剃るコツはいつもより弱めを意識すること。それだけでソニックヘッドは確かに有効だと実感できるほどの剃り味を見せてくれる。「こんなに押し付けが弱くても剃れるんだ」という驚きも感じるはずだ。
今までブラウンのマルチパターン網刃は深剃り度合いが低いというイメージを持っていたユーザーなら、ソニックヘッドは良い意味でそれを裏切ってくれる。しかも弱めに当てればよいわけで圧倒的に肌に優しいというメリットまで付いてくる。父親へのプレゼントとして購入したBS9795だが贈るのが惜しいと思えるほどの快適さだ。肌に優しいシェーバーを探している。より深剃りが可能なシェーバーが欲しいというなら選択候補の最右翼として自信を持っておすすめしたい。
■URL
ブラウン
http://www.braun.co.jp/default.html
製品情報
http://www.braun.co.jp/products/shaver/prosonic_1.html
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http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/m_shaver.htm
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2008/07/03 00:07
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