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ナショナル「TK-PA20/TK-PA10」
~水道水からミネラルウォーターができるポット型浄水器
Reported by 本誌:伊藤 大地
ナショナル「TK-PA20」
東京や大阪など大都市では、オゾンを使った最新鋭の浄水システムで、クオリティの高い水道水が得られると聞く。しかし、水道水がまずい原因は、浄水場ではなくて、どちらかというと住宅まわりの水道施設にあるのではないか。
学生の頃、集合住宅の貯水タンクを掃除するアルバイトを経験したことがあるが、その凄まじい光景はここで書くのもはばかられるほど。とてもではないが、蛇口から出た水を、そのまま飲む気にはなれない。
そうした集合住宅の住民の強い味方がポット型浄水器だ。なにしろ、取り付け工事が不要で、買ってきてすぐにおいしい水が作れるのが魅力。今回は、ナショナルが送り出す初のポット型浄水器「TK-PA20」をレビューしたい。メーカー希望小売価格はオープンプライス。Amazon.co.jpでの購入価格は4,279円だった。
当たり前だが、浄水器は水道水をフィルターで濾過して不純物を取り除く機器である。この製品が新しいのは、物質を取り除くだけではなく、体によい成分を「加える」機能があることだ。これまでの浄水器では除去できる不純物の種類やランニングコストで競っていたが、一歩進んだ新しい発想だ。
フィルターの構成は、活性炭&セラミック層、中空糸膜層、ミネラル層の3層構造。活性炭やセラミック、中空糸膜は、いずれも浄水器のフィルター素材としては一般的に用いられているもので、特に目新しいわけではない。
フィルター
フィルター上部
フィルター底部
この製品のキモとなるのはミネラル層。ミネラル層の中には硫酸カルシウムが入っており、それが溶け出すことで、日本人が“おいしい”と感じる硬度60~90mg/Lの水に仕上がるという。
製品パッケージの裏面にはフィルターの説明が細かく記載されている
水道水がミネラル浄水になるまでの流れ
フィルターで除くことができる物質は13種類
製品のバリエーションは2種類。浄水部の容量が2Lの「TK-PA20」と、1.2Lの「TK-PA10」だ。2Lタイプは浄水前の水が貯められる容量も含めると、トータルで3Lの容積があり、それなりに大きい。ただ、奥行きが抑えられているので、冷蔵庫のドアポケットにも十分入るサイズだ。一方、1.2Lタイプは、取っ手がないこともあり、2Lペットボトルとさほど変わらない感覚で使える。
1.2Lタイプの「TK-PA10」の販売価格は3,849円(Amazon.co.jp)。2Lタイプとの価格差は約400円で、思ったほど差がない。
容量が2LのTK-PA20の製品パッケージ
容量が1.2LのTK-PA10の製品パッケージ
2製品を並べて置いたところ
1.2Lタイプは取っ手がなく、ペットボトルのように持つ
2Lタイプを持ったところ
ほかのポット型浄水器同様、使う前には準備がいる。(1)カートリッジの保護シールを剥がし、(2)20分間水に浸けて空気を逃がし、(3)一回濾過させ、その水を捨てる、という手順だ。作業が面倒であることは確かだが、この製品に限ったことではなく、仕方のないところだ。
まずカートリッジの保護シールをはがす
本体にカートリッジを設置する
使い始めるときにダイヤルをセットすると、交換時期が自動的にわかる仕組みになっている
カートリッジの寿命は4カ月。本体グリップにあるダイヤルは、1~12月の各月に上旬、中旬、下旬の目盛りがついている。ダイヤルの周囲には、「開始」「交換」の2つの矢印が付いている。カートリッジを交換したときに、「開始」の位置にダイヤルを合わせれば、自動的に、交換する月の数字に「交換」の矢印が向く、というわけだ。日本語で「開始」「交換」と書かれているので、考えずに使える点はよい。
準備工程を終えて、さっそく濾過する。1分間に60mlとかなりゆっくり。水を切らした場合、水を追加で入れてもすぐに浄水できないので、その点は注意が必要だ。濾過した水は常温で約24時間、冷蔵庫保管で約48時間、飲用できる。
フタの天面には水を注ぎ入れるための窓が付いており、毎回フタを取る必要はない。ブリタの最上位機種のように、自動開閉タイプではないが、これがあるだけでもかなり便利だ。
フタの天面には水を入れるための窓が付いている
水を入れているところ
濾過した水は冷蔵庫保管で約48時間飲用できる
さっそく濾過した水を飲んでみると、うん、たしかにうまい。濾過していない水道水と比べるとその差は歴然。生の水道水特有のニオイや変な味が消えただけでなく、まろやかな飲み口になった気がする。この製品のウリであるミネラル効果のほどを確認するのはなかなか難しいが、いずれにせよ、ゴクゴク飲めるおいしい水である。日本茶にも合いそうな味だ。
水がおいしいとなれば、次に気になるのはランニングコストだろう。対抗馬となるブリタのマクストラカートリッジの販売価格は3個セットで3,980円(Amazon.co.jp)、これは1個で約8週間使用できるので、24週間で約4,000円、1週間あたりにすると約165円といったところ。
一方、ナショナルの方はカートリッジは2個パックで3,789円(Amazon.co.jp)。単価だけを見るとブリタより高いのだが、フィルターの寿命が約4カ月と長い。1個あたり16週間、2個セットで32週間分とすると、1週間あたりのコストは約118円となり、ブリタより安いことになる。
しかし、このカートリッジの寿命目安は業界基準がなく、いずれも自社基準のため、横並びでの比較がしにくい。
たとえば、ブリタは8週間を交換スパンとしているが、その間に浄水できる水の量を200Lと見積もっている。先ほどの価格で換算すると、1Lあたり単価は6.63円だ。一方、ナショナルの方は、1日2L計算で4カ月(≒120日)なので、水量に換算すると約240L、1Lあたりが約7.89円となり、期間ベースでの計算とは逆の結果になってしまう。
ただ、濾過させた水の量を把握する仕組みがない以上、ユーザーが交換時期を判断するのは経過期間を示す表示になるので、ナショナルの方がランニングコストは安い、といってしまって差し支えないだろう。
手入れの面では、食器洗い乾燥機(食洗機)が使えるのがありがたい。カートリッジを除くすべてのパーツが耐熱仕様となっており、食洗機で洗浄から乾燥までこなせる。このあたりはさすが食洗機も作っている家電メーカーということだろう。
全体的に先行したライバルたちをよく研究した成果が見られる。水も十分おいしく、ランニングコストも合格点。使い勝手も悪くない。あとは、交換カートリッジが、家電系の販売チャネルだけでなく、スーパーやドラッグストアなど、より日常に近い小売店で手に入れられるかどうかがポイントになりそうだ。
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URL
ナショナル(松下電器産業株式会社)
http://national.jp/
製品情報
http://ctlg.national.jp/product/lineup.do?pg=03&scd=00005751
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2008/04/03 00:03
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