|
ジューサーミキサー(ミル機能付き) IFM-6GR3
|
自炊生活を10年も続けていると食卓に並ぶ料理が決まりきってしまい、作ることにも食べることにもなんとなく新鮮味が薄れてしまう。新しい味覚を求めて料理本を買ってみたりもするのだが、下ごしらえが面倒だったりしてなかなか普段使いのレパートリーに取り入れるまでに至らない。
独り身でものぐさな筆者は、いくらできあがった料理がおいしくても、調理が面倒だとどうやら続かないようなのだ。
そんなわけで日々の調理が一手間省け、かつ料理のレパートリーを増やすのに貢献しそうな調理家電はないものかと、主婦歴○年を誇るお料理上手な友人に恥を忍んで聞いてみた。
彼女いはく、ものぐささんはジューサーやミルを活用するといいらしい。フルーツや野菜のジュースを作るだけでなく、ゆでた野菜からペーストを作って料理の隠し味やスープにしたり、煮干しや昆布でふりかけを作ったりできるとのこと。ジューサーやミルならば材料を放り込んでスイッチを押すだけなので簡単だ。ただ、実は筆者は数年前にジューサーを購入したのだが、ガラス製のボトル部が重たくて取り扱いづらい上に本体部が大きくて設置場所が取れず、ついついしまい込んでしまって活用できていないという事情があった。そこも聞いてみたところ、最近では軽い樹脂製ボトルで取り扱いやすく、コンパクトな製品も豊富にあるという。
アドバイスをもとに家電量販店やオンラインショップをいくつか見て回った結果、実物がすぐに見に行けてデザイン性と価格のバランスがよい無印良品の「ジューサーミキサー(ミル機能付き) IFM-6GR3」を購入することにした。価格は5,900円だった。
● シンプルなデザインと直感的な使い勝手
IFM-6GR3は、10cm四方、高さ15cmの四角柱状のコンパクトな本体と500ml容量のポリカーボネイト製ジュース用ボトルとそのふた、75ml容量のミル容器とふた状のミルカッター、保存用ふたキャップ、ミル容器用スイッチカバーがセットになったものだ。カッターはステンレス製で毎分約2万回転する。デザインは無印良品らしくホワイトでまとめたシンプルかつ清潔感あふれるもので、見た目にこだわるオシャレさんでも満足できるだろう。
ジューサーの使い方は、ジュース用ボトルに食材を入れてふたをしめ、ボトル正面のやや右よりに刻印されている「▽」マークと本体の「はずす」マークを合わせてボトルを本体に垂直に装着する。「カチッ」と音がするまでボトルを時計回りに回してボトルの▽マークと本体の「つける」マークを合わせた状態でボトル正面の白い「PUSH」ボタンを押せば、モーターが作動して食材の粉砕が始まる。取り外すときは、▽マークを「はずす」側に動かして垂直に引き上げればよい。
|
|
|
ジュース用ボトルを本体に装着し、ボトルの▽マークを本体の「つける」マークに合わせたところ。正面の白いボタンを押すと作動する
|
カッターはボトル下部に直付けされている
|
モーターに過負荷がかかった際は自動的に電源が切れる安全装置が搭載されている。その場合は本体底面の赤いリセットスイッチを押すと復帰する
|
ミルは、ミル容器に食材を入れてミルカッターでふたをし、ミルカッター部を下にした状態でミルカッターの3カ所の突起と本体の合わせみぞを合わせて本体に装着する。ミル容器の上からスイッチカバーをかぶせ、手でスイッチカバーを本体に押し込むとモーターが作動する。なお、手を離せば自動的に回転が止まる仕組みになっている。
ジューサー、ミルともに取り扱い方法は直感的で間違いようもなく、説明書に目を通すまでもなく使いこなせるだろう。また、ジュース用ボトルやミル容器が本体に正しく装着できていない場合はモーターが回転しないようになっているので、小さなお子さんがいるご家庭でも安心して利用できる。
説明書によると作動時間の目安は、ジュース用ボトル7割ほどの分量で30~50秒、ミル容器3分の1程度のコーヒー豆が約10秒、煮干しの細かなパウダーが約30秒、煮干しや桜エビのふりかけが5~10秒程度だ。なお、連続稼働時間の合計は1分以内で、それを越える場合は30分ほどの待機時間をおくよう指示されている。
|
|
ミル容器にミルカッターをつけ、本体に装着したところ。この状態では作動しない
|
ミルスイッチをミル容器の上からかぶせて、ミルスイッチの突起を本体のスイッチ部のスリットに差し込むことでモーターが作動する
|
|
|
ミルスイッチ
|
ミル容器に保存用ふたキャップをつけると、そのまま食材を保存できる
|
● ジューサーは粉砕力・メンテナンスにやや難あり……?
さて、実際にいちごと牛乳を使っていちごジュースを作ってみることにした。ジュース用ボトルの400mlの線までへたを取り除いたいちごを入れて牛乳を300mlの線まで注ぎ、砂糖を適量投入する。この状態で50秒ほど連続稼働させてみた。
まず驚いたのがモーター音の大きさだ。なにせ2万回転もの高速回転なのだからある程度の騒音は致し方ないところだが、それでもやはり「キュイーン!」という中高音域の耳障りな稼働音にはびっくりさせられる。集合住宅に住んでいる身としては、ご近所に配慮するならば新鮮な手作りジュースや挽きたての豆で淹れた薫り高いコーヒーを毎朝食卓に、という甘い夢は捨てた方がよいだろうと感じてしまった。
また、肝心の粉砕能力についても少々頼りないというのが正直な感想だ。できあがったいちごジュースをグラスに注いでみたところ、なんとかなり大きな果肉の固まりがごろごろとまだ残っていたのだ。説明書に従ってフラッシュ運転(1秒間に1~2回素早くスイッチを押すことでカッターの回転を促進する運転方法)を取り入れてみたり、牛乳の量を減らしてみたり、はたまた食材の量を増減してみたりしたのだが、それでも完全に果肉の固まりの発生を抑えることはできなかった。
これは電子レンジで加熱調理した野菜や肉などのほかの食材でも同じ傾向だった。かなり柔らかくなるまで下ゆでをするか、あらかじめつぶしたり刻んだりすれば、ちゃんとなめらかなペースト状になるのだが、調理の手間を省くのがジューサー導入の動機なのにこんなに下準備が必要になるとは本末転倒だ。筆者が所持していた旧ジューサーではこんなことはなかったので、残念ながらこの事態はIFM-6GR3の粉砕能力の問題と結論づけざるを得ない。
もう1つ気になったことが、ジュース用ボトルの洗浄についてだ。ジュース用ボトルは、底に向かってすぼまったグラス状で底にカッターが直付けされている。そのため、使用後にスポンジをボトルの底まで押し込んでも、ただでさえ手を動かしにくい上に、カッターの刃が邪魔になって、カッターの軸や刃の裏などの細かい部分をきちんと洗いきれない。においが強いものや脂分があるもの、粘性が高いものをジューサーにかけた時はきちんと汚れが落ちたかが気になって何度も洗浄した。さらに、次回使う時はカビくさくないかにおいをチェックした上で使うようになってしまった。これはボトルの底を取り外し可能なキャップ状にして、カッター部分を洗浄しやすく改善した方が、より清潔で安心して利用できるだろう。
● ミルの使用感は抜群
続いてミルを試してみる。オリジナルブレンドのマサラティー(すりつぶしたスパイスと一緒に煮だしたミルクティー)を作るべく、ミル容器にある程度の大きさに折ったシナモンスティックやカルダモン、クローブなどのスパイスをいれて粉砕する。これらのスパイスはそれほど固いものではないが、大きさがまちまちな上にシナモンスティックについては少し繊維があるものなので、うまく粉砕できないだろうと筆者は予想していた。が、実際に粉砕してみるとシナモンスティックの繊維もなんのそので30~40秒ほどでみごとなスパイスパウダーができあがった。
|
|
大きさや種類がバラバラのスパイスも…
|
細かなパウダー状に粉砕できる
|
これに気をよくしてコーヒー豆やごま、緑茶などいろいろな食材を試してみたが、どれもむらなく粉末状にできるほか、バターにガーリックやパセリを練り込んでガーリックバターを作るといった応用技も編み出すなど、なかなか便利に使いこなせている。さらに作ったパウダーがあまった場合でも、ミルカッターを保存用ふたキャップに取り替えれば、そのままミル容器が保存容器に早変わりするのも、洗い物を減らせてものぐさな筆者にはぴったりだ。なお、ジュース用ボトルで気になっていた洗浄のしやすさについては、ミルではミルカッターを取り外せるのでほぼ理想通りと言ってよいだろう。
IFM-6GR3は、「一番欲しい機能はミルだけど、できればいざという時にはジューサー代わりにもなると嬉しいな」という欲張りなニーズを6,000円を切る価格で実現している。たしかに同価格帯のミル機能付きジューサーミキサーはさほど珍しくはないが、「無印良品」ブランドで育まれた使い勝手とデザイン性を加味するならば充分魅力的な製品ではないだろうか。
■URL
無印良品(株式会社良品計画)
http://www.muji.net/
製品情報
http://www.muji.net/store/cmdty/detail/4548076852735
■ 関連記事
・ 家電製品ミニレビュー テスコム ミキサー「TM805M」(2006/10/18)
・ ナショナル、食物繊維の量を調節できるジューサーミキサー(2006/12/04)
2007/02/26 00:02
- ページの先頭へ-
|