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日立、2台のカメラで間取りも検知して節電するエアコン

~吹出口にもステンレス採用。床暖房のように足元を暖める機能も

 日立アプライアンスは、人の数や活動量に加えて、間取りも検知して節電運転するエアコン「ステンレス・クリーン 白くまくん Zシリーズ」を、10月下旬に発売する。6畳~26畳向けの9機種が用意され、価格はすべてオープンプライス。店頭予想価格は230,000~350,000円前後。

2台のカメラが人と温度、距離と間取りを検知して節電。日立製作所の技術を利用

ステンレス・クリーン 白くまくん Zシリーズ

 同社のエアコンでは最高級モデルに当たる製品で、センサー機能「くらしカメラ」を強化することで、節電性能を高めた点が特徴。従来のくらしカメラは、画像で在室者の数や活動量、位置を検知し、それに合わせて自動で節電するが、新製品では床や壁、在室者の温度など、人の周囲の温度を検知するカメラを搭載した。

 従来機種では温度を調べる際、室内機に吸い込む風で検知して運転を制御していたため、人がいる場所の温度が正確に検知できず、冷やし過ぎや暖め過ぎが発生していたという。新製品では、人のいる場所の温度を検知することで、過剰な空調を抑えてより節電できるという。

 同社ではこの2つのカメラを「くらしカメラ ツイン」と称しており、この2つのカメラを活用した自動運転モード「[ecoこれっきり]運転」を使うことで、人や部屋の状況をより細かくセンシングし、素早く節電することと快適に空調することを両立するという。

室内機の風の吹き出し口付近にある青く丸いものが「くらしカメラ ツイン」
くらしカメラ単体。従来は画像カメラのみだったが、新製品では温度カメラも加わった
くらしカメラが1つだけだった、従来モデルとの冷房運転(設定26℃)の比較。人の周囲の温度は設定どおりの26℃となり、消費電力の無駄を省いた運転ができるようになった
従来モデルでは、設定温度の26℃に対し、人の周囲温度が25℃とやや冷えすぎだが、新製品では26℃となっている

 さらに、室内機から在室者までの距離を測り、人の居場所に応じて風量を自動で調節する機能も備えている。

 このほか、部屋の間取りを検知するセンシング機能も搭載する。部屋の形や間仕切りの開閉を検知することで、風向きを自動で調節する。例えばリビングと隣室が二間続きとなっている場合、間仕切りを閉じている際はリビングに合わせて、間仕切りが開いているときはリビングと隣室の二間を空調するように、左右にスイングして送風する。

 この間取りのセンシング技術は、日立製作所 中央研究所の画像処理技術を利用したという。

在室者とエアコンの間の距離を測定し、それに合わせた運転もできる。たとえばキッチンで炊事をする人にも気流が届けられるという。
鍋料理中に暖房運転を抑えるといった運転もできるという
間仕切りの開閉を検知し、それに応じた運転もできる
エアコンが付いているA室と、エアコンが付いておらず、A室との間にカーテンが敷かれているB室を空調する例も紹介された
カーテンが閉まっている際は、風を左右にスイングさせながら、部屋全体に風を送る
カーテンが開いた場合、B室に向かう風を送る時間が長くなる
間取りのサーチ機能をON/OFFにした場合の暖房効果の比較。OFFの場合は、ほとんど暖房効果はないが、ONの場合は、設定温度に向かって室温がだんだんと伸びている
サーモグラフィーで見た、間取りサーチ機能のON/OFFによる暖房効果の違い。ONの場合、B室まで熱が届いている

2枚のフラップもステンレス。足元を床暖房のように暖める機能も

 室内機の内部には、除菌効果があるステンレスを、従来モデルから引き続き採用。今回は新たに、風の吹き出し口の2枚のフラップ(翼)にも、ステンレスを採り入れた。

日立のエアコンは、室内機の内部に除菌効果のあるステンレスを採用している点が特徴
新製品では、風の吹き出し口の2枚のフラップにステンレスを採り入れた

 暖房機能では、足元を床暖房のように暖める「ゆか暖 30」モードを搭載。暖房運転中に「温風プラス」ボタンと「くらし気流」ボタンを押すことで運転を開始し、在室者の足元を中心に、足元を約30℃で暖める。このほか、約55℃の高温風を30分間送る「温風プラス」、約30秒という早さで温風を吹き出す「すぐ暖房 30」も用意される。

足元を床暖房のように暖める「ゆか暖 30」モードを搭載
「ゆか暖 30」がOFFの場合は、床の温度は30℃未満
ONにすると、30℃以上まで暖かくなった

冷媒は地球温暖化係数を抑えた「R32」を採用

冷媒には地球温暖化係数が少ない新冷媒「R32」を採用。コンプレッサーもR32の特性に合わせている

 冷媒には、従来の冷媒「R410A」に比べて、地球温暖化係数を約1/3に抑えた新冷媒「R32」を採用。コンプレッサーはR32の特性に合わせた設計とすることで、冷媒の漏れによる損失を低減している。

 熱交換器では、直径5mmの細い伝熱管を高密度に実装し、さらに配置の最適化により、風の流れを損なわない構造としている。これにより、伝熱性と通風抵抗の低減が両立されているという。またファンには、直径115mmの「ビッグ&ウェーブファン」を採用することで、送風効率を約12%向上し、運転音も抑えている。

熱交換器は、直径5mmの細い伝熱管を高密度に実装した
ファンは送風効率の高い、直径115mmの「ビッグ&ウェーブファン」を採用
リモコンは細長くスリム

 本体サイズは、室内機が798×329×295mm(幅×奥行き×高さ)。室外機は、100V電源用が750×288×570mm(同)、200V電源用が799×299×629mm(同)。室内機のカラーはクリアホワイト。

 なお、26畳向けの「RAS-Z80D2」のみ、発売日が2014年3月中旬となる。店頭予想価格は現在のところ未定。

日立のエアコンは、高級クラスではトップシェア

日立アプライアンス 常務取締役の飯塚愼一 空調事業部長

 発表会に登壇した、日立アプライアンス 常務取締役の飯塚愼一 空調事業部長は、今夏の同社のエアコンについて「非常に猛暑で、対前年で大きく数字を伸ばした」と、好調だったことをアピール。特に高級クラスのエアコンは年々右肩上がりでシェアを伸ばしており、27~28%前後のシェアがあるという。飯塚氏はつづけて「新製品は、さらにその上をいく」と自信を見せた。

エアコンの業界全体の需要動向。2013年は猛暑で数字が伸びたという
昨年から搭載された「くらしカメラ」は、ユーザーの購入の決め手でトップになるなど、人気を博している

正藤 慶一