東芝、消費電力45Wの小電力運転で冷暖房できるエアコン「大清快VOiCE」

~音声での操作も可能。スマホによる遠隔操作も
大清快VOiCE EDRシリーズ

 東芝ホームアプライアンスは、“業界トップクラス”の最小能力で冷暖房運転ができるエアコン「大清快VOiCE EDRシリーズ」9機種を、10月下旬より順次発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は21~33万円前後。


東芝独自の「デュアルコンプレッサー」で、消費電力45Wの冷暖房が可能

東芝独自のコンプレッサー(圧縮機)「デュアルコンプレッサー」を室外機に搭載している

 同社のエアコンでは最上位クラスに当たる製品。室外機のコンプレッサー(圧縮機)に、東芝独自の「デュアルコンプレッサー」を搭載することで、能力を抑えた運転ができる点が特徴となる。

 エアコンは一般的に、部屋をすぐに冷やしたい、もしくは暖房したい場合は、コンプレッサー内部のシリンダーの回転数を早め、設定温度に到達した後は、シリンダーの回転数を遅くすることで、能力を抑えている。しかし従来型のエアコンでは、回転数を落としきれず、コンプレッサーを断続運転することで能力を抑えていたため、室内の温度が上がったり、消費電力が増加するなどの問題があったという。

 デュアルコンプレッサーでは、内部の2つのシリンダーのうち、片方だけを動くように自動で切り替えられる点が特徴。そのため、コンプレッサーを断続運転することなく、シリンダーを回転したまま能力を絞った運転ができるため、非常に少ない電力で、温度変化の少ない運転ができるという。

 EDRシリーズでは、「業界トップクラス」という0.2kWの最小能力で、コンプレッサーが断続運転するのを抑えながら運転できる「涼風」「保温」モードを搭載した。「涼風」は、室温を32℃以下に保つ、冷房が苦手な女性や高齢者、乳幼児向けのモードで、冷えすぎが気になる場合や就寝時に使えるという。「保温」は室温を17℃以上に保つモードで、少しの間だけ部屋を出る際、春先の肌寒い日にお勧めという。

デュアルコンプレッサーのカットモデル。縦に2つ並んだ銀色の円形の装置がシリンダー2つに並んだシリンダーのうち、片方だけが動かせるのがデュアルコンプレッサーの特徴デュアルコンプレッサー(右)と、従来型のツインロータリーコンプレッサーの運転の違い。デュアルコンプレッサーなら、シリンダーの回転を止めることなく連続運転し、室温が維持できる

 「涼風」「保温」モードの消費電力の目安は45Wだが、RAS-402EDRとRAS-562EDRでは55W、RAS-632EDRとRAS-712EDRでは60Wとなる。

 EDRシリーズで搭載されるデュアルコンプレッサーは、前年モデル「NDRシリーズ」よりも能力が高い“大容量モデル”となっている。外気温2℃時の暖房能力は、前年モデル「RAS-402NDR」の7.4kWに対し、新製品の「RAS-402EDR」では、8.3kWに向上した。これは10年前の同社同等クラスと比べて、20%高い数値という。

EDRシリーズでは、新しいデュアルコンプレッサーを採用。暖房能力が従来モデルと比べて上がったというデュアルコンプレッサーは東芝だけの技術となる

人と明るさと天気を検知して自動節電。不在時は運転をストップ

室内機には、3つのセンサーを搭載。生活に合わせた運転を行なうことで省エネする

 また、省エネを優先した運転モードとして、生活シーンに合わせて電気の無駄を省く「ecoモード」も搭載した。

 同モードでは、「人」「明るさ」「天気」3つのセンサーによって、気流の向きと冷暖房能力を自動で制御する。「人」では人の位置と活動量を、「明るさ」は室内の明るさを、「天気」は気圧の推移を検知する。

 同モードではまた、エアコンを消し忘れた場合でも、30分以上の不在を検知すると、自動で最小能力運転に移行し、任意の設定時間以上の不在を検知すると、オートオフになる。時間は1/2/3時間から設定可能。さらに、部屋の照明を消すと、自動で能力を弱めて節電運転する。

ECOモードで利用される3つのセンサー

 室内機では、吹出口の形状を変更。幅いっぱいのフルサイズ設計とすることで、広角180度、到達距離20mの気流が実現できるようになったという。

 また、室内機正面の「リアルタイムモニター」では、消費電力、今日の電気代、室内温度を切り替えて表示する。さらに、現在運転中のモードを、「冷房=青」「暖房=オレンジ」「除湿=グリーン」のようにランプの色で表示する機能も備えている。

室内機の吹き出し口を大型化。広角180度、到達距離20mの気流が実現できるという室内機には、リアルタイムで消費電力を表示するモニターも搭載

 暖房機能では、予め時刻を設定しておくと、暖房運転開始後に“業界最短”の約1分で40℃の温風が吹き出す「ダッシュ暖房」機能を搭載。1日2回まで好みの時刻が設定できる。

 メンテナンス機能としては、運転停止後に、エアフィルター、内部乾燥のクリーニング運転を自動で行なう。また、冷房・除湿時に発生するドレン水を利用して、熱交換器に付着した汚れを落とす仕様となっている。

音声での操作、スマートフォンでの操作も可能

声を認識する「ボイスコントローラ」を、従来モデルに引き続き採用。なお、通常の赤外線リモコンも用意される

 操作面では、従来モデルに引き続き、声を認識してエアコンが操作できる「ボイスコントローラ」が付属。あらかじめ登録された音声認識ワード「暖房」「切タイマー」「暑い」「寒い」などを発することで、これらの言葉に対応した運転を行なう。

 今回は新たに、東芝のワイヤレスリモコン機能付きLED照明器具と連動する言葉も登録。例えば「おやすみ」と話しかけると、エアコンは1時間の切タイマー運転となり、LED照明器具は消灯する。

 さらに新メニューとして、天気予報機能も搭載。エアコン室内機が予測した、約9時間後の天気予測情報を、ボイスコントローラが赤外線で受信し、「お天気は晴れになるでしょう」などの音声で知らせる。

 このほか、東芝の家庭向けITシステム「フェミニティ」と接続することで、スマートフォンで運転状態を確認したり、運転や停止などの遠隔操作が可能。帰宅前に冷暖房を運転したり、エアコンを消し忘れた際の停止などに使えるという。

 なお、利用には別売りのITアクセスポイント、エアコン用のアダプタ、東芝のWebサイト「フェミニティ倶楽部」の利用料が必要になる。また、HEMS構築のための標準インターフェース「ECHONET Lite」にも対応する予定となっている。

東芝の家庭向けITシステム「フェミニティ」との連携も可能スマートフォンでエアコンが操作できる運転のON/OFFはもちろん、冷房・暖房やECOモードの選択も可能





(正藤 慶一)

2012年8月30日 00:00