パナソニック、“ひと粒”のLEDでムラのない光を放つ照明シリーズ
パナソニック電工は、LEDをワンコア(ひと粒)に集約し、均一な光を照射する店舗・施設用のLEDダウンライト、および住宅用LED照明「EVERLEDS(エバーレッズ)」シリーズ合計244品番を、4月21日より順次発売する。
同社のこれまでのLED照明は、LEDパッケージを器具内に複数配置するものが中心だったが、今回発売はLEDを“ひと粒”に集約し、ワンコアのLEDとした点が特徴となる。
従来のパッケージが複数のLEDの場合、光源が複数あることで、光にムラができたり、影が何重にも発生するなどの課題があったという。しかし、光源をひとつにまとめたワンコアのLEDでは、多重影を抑えた自然な光で、白熱灯などの従来光源のような均一でムラのない、美しい光を実現したという。
ワンコアのLEDダウンライト。電球色タイプ | 昼白色タイプ | 壁面に光を当てたところ。多重影が発生せず、均一な明かりが広がっている |
これまで問題とされていた、従来LEDの課題。光にムラがあったり、多重影ができていたという | LEDパッケージを複数配置した、従来のダウンライト | 新しいワンコアタイプのLEDダウンライト |
従来品(写真上)と比べ、多重影を抑えることができるという | 従来品(写真上)と新製品(下)との、光と影の比較。壁面に映った影が、従来品では多重に重なっている | 消費電力も従来品(写真上)と比べて少なくなった |
住宅用には、ダウンライトをはじめ、ペンダント/ブラケット/シーリングライト/スポットライトなど、全178品番を用意。LEDをワンコアとすることで、器具の存在感を抑えたコンパクトデザインも可能になったという。
ダウンライトでは、広範囲に光をまわす拡散タイプと、光を集めて“あかりだまり”を作る集光タイプを用意。約5%から100%に自在に調光できる「明るさフリー」タイプも用意する。また、故障など万が一の場合、器具を残しLED部分だけが交換できるLEDユニットも、一部器具で採用している。
ワンコアタイプの住宅用照明の希望小売価格は、LEDダウンライトが13,440円~25,200円。LEDダイニングペンダントが26,250円~38,850円、LEDペンダント・シーリングライトが69,300円~116,550円。LEDブラケットが28,350円~37,800円。光の向きが自在に変えられる「LEDスポットライト」が24,150円~26,250円、玄関に設置する「LEDポーチライト」は23,100円~51,975円。
住宅用ダウンライトのスペック表 | 住宅用ダウンライトは配光やデザイン、色温度の違いなどで、全76品番が用意される | 配光は集光タイプと拡散タイプが用意される |
一部の器具では、LED部分だけが交換できるユニットタイプとなっている | ダウンライトを含め、全178品番がラインナップされる |
住宅用照明の具体例。写真はペンダントライトの「LGB10984W」。希望小売価格は115,500円で、6月発売予定 | 玄関に取り付ける「LEDポーチライト XLGEC101」。希望小売価格は51,975円。6月発売予定 | 光の向きが自在に調節できる「LEDスポットライト LGB84221」。希望小売価格は24,150円。5月発売予定 |
店舗・施設向けに展開されるダウンライトは、放熱性能を改善することで、同等の明るさの蛍光灯ダウンライトと比べて、消費電力を45Wから23.3Wへと、約48%削減。従来モデルのLEDダウンライトと比べても、約17%の消費電力カットになった。また、消費電力1W当たりのエネルギー効率は86lm/Wとなり、同社では“業界最高水準の固有エネルギー消費効率”としている。
品揃えとしては、色温度は昼白色(5,000K)、白色(4,000K)、温白色(3,500K)、電球色(2,800K)の4色が、配光角度は、直下照度を重視した「広角タイプ」と、壁面を明るく照らす「拡散タイプ」の2タイプが、それぞれ用意される。広角タイプでは、発光部をコンパクト化し、銀色の鏡面反射仕上げの反射板を採用することで、明るさを保ちながら不快なまぶしさ(グレア)をカットしているという。
店舗・施設用LEDダウンライトの、従来光源と比較したスペック表 | グレアを抑えるために、光源の位置は低めに設置。熱対策としては、セラミック基板と高放熱の密着構造を採用している | ホテルやカフェなど、落ち着いた雰囲気が演出できるという |
●“LEDだからちょっと我慢してもらおう”ではなく、LEDだからこそ『快適とエコ』の両立を
パナソニック電工 照明事業本部 松蔭邦彰本部長 |
パナソニック電工 照明事業本部 松蔭邦彰本部長は、今回の“ワンコア”採用により、LED照明の『快適とエコ』をともに実現する狙いがあることを明らかにした。
「LEDには、ムラや不快なまぶしさ、演色性、多重影など光の質に課題があるが、これらの問題を解決を追求することで、これまではトレードオフの関係にあった『快適とエコ』が両立できる。“LEDだからちょっと我慢してもらおう”ということではなく、快適とエコを両立したものを、EVERLEDSでは目指す」
ワンコアタイプについては、同社ではこれまでにも発売していたが、「もともと高価値商品という形で出していたが、これが好評だった。今回は一気にボリュームゾーンに広げたい。今まではワンコアは20品番だったが、10倍以上の244品番に広げていく」という。
松蔭氏はまた、パナソニック電工の照明の強みとして、独自の明るさの指標「Feu(フー)」や、配光や光の反射から壁の素材や色・形状までCGでイメージ化する可視過ツール「リアルCG」など、“ソフト面”が揃っている点についても言及。
「Feuは、“明るさ感”を世界で初めて数値化したもの。これまでは照度を基準としてきたが、Feuは人間が感じる感性を数値化するため、“やわらか”“しっとり”といったイメージでお客様から要望をうかがい、理論的、定量的な観点から、満足いただける空間を提供できる。またリアルCGは、最終的な状態を光の映り込みまで再現し、設計段階でお客様と打ち合わせできる。光というものはなかなか体感できないが、私たちは照明ソフトと可視過ツールで、お客様に快適でエコな空間が提供できる」と、ソフト面をアピールした。
ワンコアタイプの市場目標。2015年には250億円を目標としている | パナソニック電工では、人間が明るさを感じる感性を数値化する「Feu」という独自の指標を開発している | 照明空間のできあがりの状態を、CGで再現する「リアルCG」。光の反射や壁の素材も再現できる。写真は左がリアルCG、右が実際の駅のようす |
(正藤 慶一)
2011年3月8日 17:32