“ナノイー”で野菜のカビを防ぐ食品庫、LEDで節電する洗面化粧台
――パナソニック電工、新しい住設商品を披露


新製品のラインナップ
 パナソニック電工は、システムキッチンや洗面化粧台など、住設商品の新製品説明会を、同社の幸田工場で開催した。

 説明会で披露された製品は、システムキッチンの「Living Station(リビングステーション)」、洗面化粧台の「NEWウツクシーズ」、システム収納の「CUBIOS(キュビオス)」、バスルームの「ココチーノ」、床材の「オーマイティフロアーA シグノ」の5点。いずれの製品も、新築住宅やリフォーム時に導入する商品となる。


年間の新築住宅は100万戸を割る時代、“オールパナソニック”など独自の価値で生き抜く


パナソニック電工 取締役 住建事業本部長 北野亮氏
 パナソニック電工 取締役 住建事業本部長の北野亮氏は、冒頭の挨拶にて、2009年度の新築住宅の着工件数を、リーマンショックによる世界同時不況により、100万戸を割る75万戸と予測。「家が建たないうえに、住宅の床面積の小型化、低価格化もあり、トリプルの非常に厳しい状況にあるというのが偽らざる状況」(北野氏)と、住宅業界の苦しい現状を明らかにした。

 今後の事業の方針については、海外では中国を中心としたアラウーノの世界展開、国内ではこれまで不得意としていた賃貸住宅へ切り込んでいくという。また、家電全体を含めた“オールパナソニック”での住宅提案や、「イタコナ(ものづくりを板や粉の段階まで徹底的に価格ダウンすること)」の徹底などで、ボリュームゾーン(最も売れ筋の価格帯)でも勝ち抜いていくとしている。

 北野氏は「現状にボヤいていても、新築の住宅件数は増えない。新築件数が80万戸でも、シェアが2倍になれば、帳尻が合う。そういう点では、いかに同質の競争から脱皮できるか、という点がポイント。他社にできるようなものをやっていては仕方がない。パナソニックにあって他社にないサービスを提供していきたい」と、パナソニック独自の付加価値を提供していく方針を表わした。

新築住宅の着工件数は、リーマンショック以降、大きく沈んでいる。同社では2009年度は75万戸と予測している海外展開や国内の集合住宅など新市場を開拓するとともに、生活家電も含めた“オールパナソニック”の提案も行なっていくという


野菜のカビを「ナノイー」で抑制――システムキッチン「リビングステーション」


システムキッチンの「リビングステーション」
 「リビングステーション」は、シンクやIHクッキングヒーター、食品庫やレンジフードなど、キッチン設備が一体となったシステムキッチン。価格は組み合わせによって異なるが、同社ホームページで公開されているプラン例は935,760円から。

 新商品では、ジャガイモやタマネギなどの常温保存野菜を入れる食品庫に、同社独自のイオン機能「nanoe(ナノイー)」の発生装置を搭載した「根菜キーパー」機能が特徴となる。

 ナノイーは、空気清浄機などパナソニックの生活家電にも搭載されている除菌・脱臭技術で、空気中の菌やウイルスなどを防ぐ効果がある。「根菜キーパー」では、ナノイーを食品庫内に発生することで、野菜にカビが発生するのを防ぐ効果があるという。

 食品庫にはこのほか、湿度を調節する調湿材「しつど番」も採用。高湿時には湿気を吸い込み、乾燥時には湿気を放出する仕組みになっている。

 また食器収納棚には、奥に入れた食器も取りやすいよう、回転式のアミカゴを採用している。

 IHクッキングヒーターは、3ツ口を横一列に並べた「トリプルワイドIH」を採用。加熱中は赤いランプが点灯する。

収納スペース内の食品庫に、ナノイーの発生装置を備えた点が特徴。食品のカビの発生を抑える効果があるという奥に入れた食器も取り出しやすい「回転アミカゴ」も備えるIHクッキングヒーターは横一列の「トリプルワイドIH」を採用。加熱中が一目でわかる「光るリング」機能も搭載している


センサー式水栓で節水、LED照明で節電を――エコな洗面洗面台「NEWウツクシーズ」


洗面化粧台「NEWウツクシーズ」
 「NEWウツクシーズ」は、節水や節電など、“エコ”をメインテーマとした洗面化粧台。価格は組み合わせによって異なるが、タッチレス水洗とLED照明付きのプランは246,750円から。

 節水の面では、センサー式のタッチレス水栓「すぐピタ」を搭載している。手洗い時に石鹸を泡立てている間など、水の出しっぱなしが防げるという。同社によれば、4人家族の場合、1日に24Lが節水できるとしている。

 展示されていたすぐピタを使用したところ、手を差し出すとすぐに水が流れ、離すとすぐに止まった。店舗やオフィスのトイレに備えられている一般的なセンサー水栓と比べると、反応が良いように感じられた。なお、水を溜める場合はセンサーを解除し手動での操作も可能。蛇口を引き出してシャワーのように使うこともできる。

センサー式の水栓「すぐピタ」をつかっているところ。反応が早い

照明の光源にはLEDを採用。展示されたウツクシーズでは、LEDが全部で10灯内蔵されているという
 節電では、主照明に“業界初”となるLEDを採用。消費電力は14.4Wで、同じ明るさの白熱電球と比べて約88%、蛍光灯と比べると約30%抑えられるという。なおLEDは、必要な範囲だけを明るく照らすよう、光源の光を集約させ、洗面台前方に光が届くようにしている。

 また、鏡の中には、ドライヤーや電動歯ブラシ、シェーバーといった、洗面台で使用することの多い理美容家電の収納スペースとなっている。内部にはコンセントも用意されている。同社によれば、大きな家電から小さな化粧品までたくさん収納できるよう、棚のサイズやコンセントの位置に工夫を凝らしているという。なお、左右の鏡は内側に開けることで三面鏡としても利用できる。

 このほか、洗面カウンターの素材には、アラウーノと同様に、汚れが付きにくい有機ガラス系の新素材を採用しているという。

ウツクシーズに採用されている、LED照明のサンプル。前方に向かって強い光を発するが……その逆の面では、光が前方に届いていない。少ないLEDで必要な光を照らすための工夫だ
正面の鏡を開けると、中にはドライヤーやシェーバーなど理美容家電が収納できるスペースが用意されている。もちろんコンセントもある鏡を内側に開ければ、三面鏡としても使用できる


家電で溢れかえるリビングを美しくまとめる――“家電専用”のシステム収納「CUBIOS」

“家電専用”のシステム収納「CUBIOS(キュビオス)」。薄型テレビは写真のように壁掛けで取り付けられる
 次々に市場に投入される家電製品を購入していると、いつのまにやらリビングが家電だらけになってしまった、という人も中にはいるのではないか。日々を快適に暮らすための家電なのに、そのせいで窮屈な暮らしを強いられてしまうのでは本末転倒だ。

 「CUBIOS(キュビオス)」は、リビングに置いてある家電を、“美しく収納する”ことを目的としたシステム収納だ。価格は組み合わせによって異なるが、同社ホームページで公開されているプラン例は228,480円から。

 収納できる家電は、32~65Vまでの薄型テレビ、スピーカー、コンポ、HDDレコーダーやCS放送のチューナーなどのAV家電、パソコンやプリンタなどのPC関連機器、掃除機に空気清浄機などの生活家電、FAX電話機やゲームやDVDソフト……など。つまり、リビングで使用するほとんどの家電が収納できる。さらには格納式のデスクまでも用意されている。

テレビの上には、HDDレコーダーやCS放送のチューナーなどを置くスペースも用意されているスピーカーを内蔵するための縦長のスペースも用意されている収納式の机もある

 また収納スペース内には、コンセントや配線穴の設置も可能。ごちゃつきがちな配線を、表に見せずにスッキリとまとめることができる。なおコンセントは、LAN付きのタイプやCS対応のマルチメディアコンセントなども選べる。

 なお、収納ユニットの組み合わせや扉の素材・カラーなどは、ユーザー自らが自由に選択できる。パナソニック電工のホームページでは、パソコン上でCUBIOSの組み合わせがシミュレーションできるツールも配布されている。



 このほか、ワイドに開くシャワー水流で、浴室掃除中の無駄な水を省くバスルーム設備「ココチーノ」や、ダニの死がいや花粉などのアレル物質を抑制する床材「オーマイティフロアーA シグノ」も、12月1日に発売した商品として展示されていた。

バスルーム「ココチーノ」では、風呂掃除時に使用するシャワーを節水する「W節水シャワー」を採用(写真右)従来型のシャワーノズルと比べると、水の使用量を抑えられるアレル物質を抑制する床材の「オーマイティフロアーA シグノ」。木目調や石目調など、さまざまなパターンが用意されている



(正藤 慶一)

2009年12月15日 15:41