三洋の「電解ミスト」、付着菌を30分で99%除菌と発表

~“接触感染”の予防に効果

「電解ミスト」機能が搭載されている、三洋電機の空気清浄機「ABC-VW26B」
 三洋電機は、同社の空気清浄機や加湿器に搭載されている「電解ミスト」機能が、付着菌を30分で99%以上除菌すると発表した。

 「電解ミスト」とは、同社の空気清浄機に搭載されている技術で、水道水を電気分解して生成した電解水を、空気中に放出するというもの。電解ミストには、「次亜塩素酸」と「OHラジカル」という2種類の活性酸素が含まれており、これまでにも空気中のウイルスや菌などを除去する効果があることを、第三者機関より証明されている。同社ではこの電解水技術を「ウイルスウォッシャー」と呼んでいる。

水道水から電解水を作り出す仕組み「電解ミスト」の機構。超音波で電解水をミスト化し拡散する


 今回の実験では、電解ミストを放出することにより、机や衣服などに付着している菌、いわゆる「付着菌」を、30分で99%以上除菌したことを、北里環境科学センターの検証実験で実証したという。

 付着菌は手に付くことで、食事などで体に取り込まれる危険性がある。インフルエンザでも、同ウイルスが手に付着し感染する“接触感染”が、くしゃみや咳による“飛沫感染”、空気中のウイルスを吸い込む“空気感染”と並び、感染経路の1つとして挙げられている。

 実験内容は、同社の空気清浄機「ABC-VW26B」を設置した1立方mの試験空間に、菌(黄色ブドウ球菌)を含む液を塗布した試験片を置き、空気清浄機の電解ミスト運転を行なうというもの。

 この結果、試験片1枚辺りの菌の数は、試験開始時は30,000CFU(colony forming unit:菌数の単位)だったのに対し、電解ミスト放出後の30分では41CFU、90分後では1CFU未満という数値になったという。一方で、電解ミストを放出しない場合は、30分後で21,000CFU、90分後で5,000CFUという結果だった。同社ではこのことから、30分で99%以上の付着菌除菌効果が認められたとしている。

実験には、一般家庭向けに発売される「ABC-VW26B」を使用し、試験片に塗布した菌の数の変化を見るというものこの結果、電解ミストを使用しない場合と比べ、30分で付着菌を99%(正確には99.8%)減少するという効果が見られた

 他社の空気清浄機に搭載されているイオン機能でも、付着菌に対する効果が謳われている例はあるが、99%以上除菌するのに数時間掛かるというものが多い。電解ミストの除菌スピードの早さについて、三洋電機 研究開発本部 エコロジー技術研究所 所長の米崎孝広氏は「電解水には、持続性のある次亜塩素酸も含まれており、1立方cmの中に含まれる活性酸素の数が非常に多い」ことを指摘している。同研究所 環境システム研究部 課長の黒河圭子氏は、他社製品と比べて「しっかりした効果が欲しい人には、(電解ミストを)お勧めしたい」としている。

 また、今回は付着した“菌”に対する効果のみとなったが、黒河氏は「インフルエンザウイルスは空気中では菌よりも弱く、2~8時間ほどでなくなる」ことから、「(付着した)インフルエンザウイルスに対しても同様の効果があるのではないか」としている。同社の電解水技術は、既にインフルエンザウイルスに対する抑制効果を実証、発表している。

三洋電機 研究開発本部 エコロジー技術研究所 所長 米崎孝広氏三洋電機 研究開発本部 エコロジー技術研究所 環境システム研究部  課長 黒河圭子氏

 なお、付着菌に関する効果は、一般家庭向け空気清浄機に搭載される電解ミストのみとなっている。同社の業務用空調機器、および大型の加湿器に搭載される、電解水を含むフィルターに空気を通す「除菌エレメント方式」は対象外となっている。

「電解ミスト」は、運転中に白いミストが見える点も特徴



(正藤 慶一)

2009年12月9日 17:37