東京電力管内、今夏の節電効果はピーク時に約900万kW以上

~8月の実績で16.8%節電

 東京電力は26日、今夏の電力需給状況についての資料を発表した。本文はほとんどなく、資料中心の公開となっている。ここでも、資料に沿った形で解説を行なう。

最大電力と気温のグラフ

 7月と8月について、最大電力と最大気温をまとめたグラフが公開されている。最大気温は8月18日(木)15時の4,922万kWとなっている。東京電力では、今夏の最大需要は5,500万kWと見積もっていたが、今夏は5,000万kWを越えることがなかった。

 また、8月18日の気温は今年最高の36.1度で、気温が上昇すると冷房需要によって最大電力が増加するという関係が確認できる。8月18日については、例年ではお盆の夏期休暇開けで電力需要が増加する時期だが、今夏は節電のため夏期休暇が長期化しており、営業していない企業が多かったことも5,000万kWに届かなかった一因と推察される。

節電の効果

 昨年夏と比べ、同じ気温であれば、約900~1,000万kWほど、最大電力が下がっている。東京電力では断言していないが、この分が節電による効果と見て良いだろう。

昨年と今年の最大電力日の内訳

 また、昨年と今年で、最大電力が大きかった日について、契約内容別に分けた資料が公開されている。

 まず、大口需要家は、電力事業法27条による電力使用制限が課せられたことも影響し、29%も削減されている。しかし、使用制限が課せられていない小口需要家でも19%削減され、目標の15%を越えた。一般家庭の削減分は6%に留まっているが、この日は気温が高く冷房需要が増加したためとされている。

契約別販売電力量の昨年同期比

 7月と8月の販売電力量を昨年と比べると、7月1は11.0%、8月は16.8%、合わせて14.0%の削減となった。本格的に節電が呼びかけられた8月は削減量が大きい。家庭用でも8月は17.0%の削減となっており、節電の効果が大きかったことがわかる。

東北電力への電力融通実績

 以上のように、気温が上がらなかったことと、節電効果が大きかったことから、東京電力管内は当初の予想よりも電力に余裕があった。一方、東北電力管内では、東日本大震災で被害を受けた発電所の復旧が遅れ、風水害による水力発電所の被害もあって電力需給が逼迫した。

 これを受けて、東京電力では、8月4日から東北電力への電力融通を開始した。電力融通は、北海道電力から送電されている60万kWのうち、本来は東京電力分である30万kWを、東北電力へ渡す形で開始された。ピークである8月10日には、東京電力からの直接送電分140万kWと合わせ、合計170万kWが融通された。

 なお、このグラフでは8月分のみ表示されているが、9月に入っても電力融通は続いており、9月16日にも70万kWの融通が行なわれた。






(伊達 浩二)

2011年9月28日 14:21