フィリップス、家庭用LED電球とオフィス向け直管型LED市場に参入

~LED電球は独自の光学技術を採用。直管形はRa85の高演色

 フィリップス エレクトロニクス ジャパンは、家庭用やオフィス用の照明事業に参入すると発表した。一般家庭用の製品では、LED電球「LED myVision」(LEDマイビジョン)を、オフィス用製品では直管型蛍光灯に置き換わる直管型LEDランプ「MASTER LEDtube」(マスターLEDチューブ)を発売する。LED電球の発売日は今秋、直管型LEDランプは発売中。


LED電球は、均一な光の実現を狙った光学技術「リモートフォスファー」を採用

フィリップスのLED電球「LEDマイビジョン」。写真は600lmで電球40W相当タイプ(昼光色)

 LED電球「LEDマイビジョン」は、白熱電球との交換を狙ったLED電球。白熱電球20W形、30W形、40W形に相当する3シリーズ5製品が用意される。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は40W形相当が3,000円前後、30W形相当が2,500円前後、20W形相当が2,000円前後。

 全機種がすべてE26口金のソケット用で、それぞれ白熱電球と比較して、消費電力を最大80%削減できるという。寿命は40,000時間。密閉型器具、調光器には対応しない。

 また昼光色タイプでは、光のムラを抑えた均一な光を実現するために、同社独自の光学技術「リモートフォスファー」を採用した。これは、LEDモジュール内部で混光した複数個の青色LEDの光を、蛍光体を練りこんだ1枚の大きな拡散板で、一括変換するというもの。同社ではこれにより、滑らかでキレイな白色光が実現できるとしており、また配光角度も180度と広くなるという。

LEDマイビジョンのラインナップLED電球の内部には、独自の光学技術「リモートフォスファー」が組み込まれている600lmで電球40W相当タイプ(昼光色)の消灯時のようす。電球カバーに黄色く透けて見えるのがリモートフォスファーだ
リモートフォスファーのはたらきにより、配光角度は180度と広い電球のパッケージ
昼光色350lmタイプ。こちらも消灯時には黄色いリモートフォスファーが見える電球色350lmタイプには、リモートフォスファーが組み込まれておらず、配光角も130度となる電球色250lmタイプでは、ヒートシンクがなくツルっとした仕上がりになっている

【LED電球 ラインナップ】
製品名LED myVision(LEDマイビジョン)
白熱電球
相当W数
20W形相当30W形相当40W形相当
光色タイプ電球色
(2,700K)
昼光色
(6,500K)
電球色
(2,700K)
昼光色
(6,500K)
昼光色
(6,500K)
明るさ(全光束)250lm350lm600lm
消費電力5W7W5W9W
口金タイプE26
店頭予想価格2,000円前後2,500円前後3,000円前後

 同社のLED電球は、白熱電球と置き換え用の「myVision」シリーズのほか、装飾用の「myAccent」(マイアクセント)、光の質にこだわった「myAmbience」という3つの商品シリーズで展開していくという。このうちmyAmbienceからは、配光角度が310度と広いLED電球も、2011年末に発売される予定という。

 家庭向け照明ではLED電球のほか、電源内蔵形の照明モジュール「Fortimo LED disk」(フォルティモ LEDディスク)の開発も進められている。ダウンライトやシーリングライト、廊下のブラケットなどとして、照明機器メーカーと共同でセミカスタマイズ仕様品となる予定。

2011年末に発売予定の、配光角度310度のLED電球「myAmbience」電源内蔵形の照明モジュール「Fortimo LED disk」の開発も進められている

既存のG13口金に取り付けられる直管形LEDランプ

直管形LEDランプ「マスターLEDチューブ」。写真上が4,000Kタイプ、下が昼光色タイプ

 オフィス向けには、直管形蛍光灯に置き換わる、長さ1,200mmタイプの直管形LEDランプ「マスターLEDチューブ」を発売する。現在発売中で、価格はオープンプライス。蛍光灯1本当たりの想定価格は、ランプ単体が8,000円前後、工事費が2,000円前後。色温度は白色相当の4,000Kタイプと、昼光色相当の6,500Kタイプが用意される。

 口金は従来の直管形蛍光灯と同じG13口金で、ランプ本体に直流電源を内蔵しているため、既存・既設の直管形蛍光灯の照明器具にそのまま、もしくは最小限の電気工事で簡単にLED照明にリニューアルできるという。

 同社の調べによると、直管形蛍光灯「FLR40W」タイプと交換した場合、消費電力は約50%カット、高効率タイプの「FHF32W」タイプと比較しても、約40%の省エネが実現できるという(器具側の電力ロス10%を加味した場合)。

既存のG13口金に設置できるソケット部直管の半分はヒートシンク部となる
 演色性については“業界最高レベル”を謳うRa85とした。また、ランプ交換時の安全性に配慮し、片側だけに電気を通すことで、もう片側の口金に触れてもも感電しない設計を採用している。

 定格消費電力は22Wで、全光束は1,650lm。ビーム角度は140度。寿命は40,000時間。 

製品ラインアップ演色性はRa85(リリース記載値)で、“業界最高レベル”を謳う
消費電力は約50%カット。電源内蔵のため、器具側のロスも少ないという初期投資額の回収にかかる期間は約4年マスターLEDチューブの配線。安定器を介さないため、ランプの片方だけに電気が通る

自社オフィスに直管形LED導入で45%の節電

フィリップス エレクトロニクス ジャパンのライティング事業部 岸和紀事業部長

 フィリップス エレクトロニクス ジャパンのライティング事業部 岸和紀事業部長は、家庭とオフィスの照明事業に参入する理由について「節電対策やCO2削減をひとつのテーマとして、社会に貢献していきたいと考えている。また、日本における事業も、2ケタ成長の売り上げを目指している」と説明。また、すでに自社の品川本社オフィスにもマスターLEDチューブを採用することで、従来比45%の節電を実現したという。

 「(節電対策として蛍光灯を)間引いていたためオフィスは暗かったが 明るさを取り戻し、働きやすいオフィス環境を実現した」(岸事業部長)

フィリップスでは、本社ビルの照明をマスターLEDチューブに交換。従来比45%の節電を実現したというすでにマスターLEDチューブに交換している会社もいくつかある
ライティング事業部 ゼネラルライティングの久保徳次マーケティングリーダー

 また、直管形蛍光灯の交換に関するコストについては、ライティング事業部 ゼネラルライティングの久保徳次マーケティングリーダーは「電気代のランニングコストを考慮すれば、(初期投資額は)約4年で回収できる。導入をためらわれる場合にはリース契約も用意しており、リース会社とのタイアップも進めている」と説明した。

 さらに、フィリップスのLEDの特徴については「鮮やかさ、演色性がポイント。従来光源と交換することで、一部では“顔が青白く見える”というクレームもあるようですが、(フィリップスのLEDは)蛍光灯とほとんど変わらない」とアピールした。

 なお、業界団体の日本電球工業会では、直管形LEDの新しい口金の規格としてL字口金(L16口金)を採用している。これについて岸事業部長は「当社は基本的にはG13を中心にやっていきたい。L字口金は日本電球工業会で最終決定されていないため、決定された場合には準じたい」と述べた。






(正藤 慶一)

2011年8月24日 00:00