三菱、特許取得の炊飯技術でごはんをふっくらと炊く「本炭釜」
本炭釜 NJ-VW102 |
三菱電機は、炭素材の内釜を搭載した炊飯器「本炭釜」シリーズに、ふっくらと炊ける炊飯技術を追加した新モデル「NJ-VW102」を、8月21日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は8万円前後。
■初代から続いたデザインをリニューアル。独自の炊飯技術「連続激沸騰」でふっくらと炊く
純度99.9%の炭素素材を削り出して作られた内釜「本炭釜」を採用 |
5.5合炊きのIH式炊飯器で、純度99.9%の炭素素材を削り出した内釜「本炭釜」を採用した高級炊飯器の4代目モデル。炭はIH方式の炊飯と相性が良いため、磁力線が釜の素材の中に深く浸透し、釜全体が発熱。その後、釜底の中央部から多くの熱が発生。大きな泡が沸き立ち、この泡が米を押し上げながら通り抜けていくことで、ごはんの1粒1粒がふっくらと炊きあがるという。
本炭釜はIHとの相性がよく、釜全体から発熱する | 本炭釜と、一般的な金属製内釜との沸騰時の比較 |
左は2006年に発売された“初代”本炭釜。今回で4代目となる |
新製品では、2006年の発売から採用してきた本体形状をリニューアルし、同社の蒸気を出さない炊飯器「蒸気レスIH 本炭釜」シリーズのようなスクエアデザインに変更。これに合わせて、炊飯時に発生する蒸気と旨みを分離する機構「内蔵カートリッジ」を内蓋の放熱板に採用することで、三菱電機独自の炊飯技術「連続激沸騰」が可能になった。
連続激沸騰とは、沸騰後も火力を落とさず、連続加熱で沸騰状態を継続する炊飯方法。一般的な炊飯器では、沸騰後にふきこぼれを防ぐために、加熱と停止を繰り返す“間欠加熱”となっていたが、本製品では内蔵カートリッジを採用することで、炊飯時に内釜から沸き上がる“おねば”を回収。うまみと蒸気に分離した後、蒸気だけを本体外に排出することで、うまみが吹きこぼれにくい構造としているという。
蒸気と分離したあとのうまみは蓄積され、蒸らし時にごはんに還元される。これにより、かまどで炊いたようなおいしさが引き出せるという。なお三菱電機では、この連続激沸騰について、特許を取得している。
内蓋に内蔵カートリッジを搭載。従来モデル(右)では内蓋には搭載されていなかった | 内蔵カートリッジが、効率よく蒸気とうまみを分離するという | 内蔵カートリッジが蒸気とうまみを分離する仕組み |
IHコイルには、新たに3重のトリプルリングを採用した |
また、本体に内蔵されたIHコイルも、従来までの「ダブルリング」から、3重の「トリプルリング」に変更。より均一に加熱できるようになったという。
同社では、これらの機能により、炊飯時のごはんのふっくら度が向上したとしている。2009年に発売した3代目の本炭釜「NJ-WS10B」と比べると、炊きあがりのごはんの高さが、49mmから54mmに高くなったという(3合の場合)。
■こだわりの炊飯モード「合ピタ」も搭載。サラサラとした食感の「中華粥」も作れる
炊飯量に適した火力で炊き上げる「合ピタ」機能も搭載。炊飯量は1合から0.5単位で設定できる |
炊飯モードでは、通常の炊飯より時間をかけて甘みを熟成するモード「匠芳潤炊き」を搭載。同モードでは、予め炊飯量を指定しておくことで、その量に最適な火力で炊き上げる「合ピタ」機能も備えている。
また、消費電力を通常より17%カットする炊飯モード「エコ炊飯」モードも搭載。同モードでは蒸気も通常より77%カットする効果もあるという。
ごはん以外の調理メニューでは、新たに「中華粥」モードを搭載。ごはんに対する水分量が多いため低カロリーで、サラサラした食感が味わえるという。調理時間は、「おかゆ」モードの約56分よりも10分長い約66分。
中華粥の調理例 | 器によそったところ。味付けには鶏ガラスープの素を使用する。この状態でも十分においしい。サラッとした食感で、小腹が空いたときに向きそうだ |
生姜やザーサイ、メンマなどの薬味をトッピングすることで、よりおいしく楽しめる | 写真はメンマを入れたところ。個人的には生姜が香り高くておいしかった | 炊飯時に使用した米はたった0.5合(75g) |
保温機能では、おひつに移したごはんと同じ温度で、乾燥を抑えながら保温する「たべごろ保温」モードを搭載。保温時に蒸気排出口を塞ぐ「潤保湿ボール」も用意される。さらに、保温時間が12時間を超えると、液晶モニターの葉っぱマークが点滅する機能も備える。同社によると、12時間保温した場合の消費電力量は、炊飯1回分に相当するという。
デザイン面では、本体サイズがコンパクト化。従来の本炭釜シリーズはサイズが266×307×218mm(幅×奥行き×高さ)だったが、本製品では237×292×215mm(同)となった。また沸騰時には、蒸気が発生していることを知らせるために、本体上面の「沸騰お知らせランプ」が赤く点灯する。
このほか、内蔵カートリッジは内蓋に一体型となっているため、内蓋の洗浄時に一緒に洗うことができる。
沸騰中は、本体上面パネルの「沸騰お知らせランプ」が赤く点灯する | 内蔵カートリッジは内蓋と一体型となっている。内蓋と一緒に洗浄できる | 初代「本炭釜」との本体表示の比較。モニターもボタンも大きくなった |
本体重量は4.9kg。最大消費電力は1,350W。内蓋の厚さは5mmで、釜底中央部は7.5mm。本体カラーはピアノブラック。1升炊きタイプは用意されない。
■内蔵カートリッジやエコ炊飯モードを標準装備の下位モデルも
下位モデルとして、内蔵カートリッジやトリプルリングのIHコイル、エコ炊飯モードも備えたIH式炊飯器「NJ-VX」「NJ-VV」「NJ-VE」シリーズも、同時に発売する。内釜は全機種が、金属多層釜を炭コーティングした「炭炊釜」を採用する。
下位モデルも同時に発売される。写真はNJ-VXシリーズ | NJ-VV シリーズ。写真右のロイヤルネイビーは、炊飯器では余り見られない青系のカラーだ | NJ-VE シリーズ |
シリーズ名 | NJ-VW シリーズ | NJ-VX シリーズ | NJ-VV シリーズ | NJ-VE シリーズ | |||
型番 | NJ-VW102 | NJ-VX102 | NJ-VX182 | NJ-VV102 | NJ-VV182 | NJ-VE102 | NJ-VE182 |
最大 炊飯容量 | 5.5合 | 5.5合 | 1升 | 5.5合 | 1升 | 5.5合 | 1升 |
店頭 予想価格 | 8万円前後 | 6万円 前後 | 6万3千円 前後 | 4万円 前後 | 4万3千円 前後 | 3万円 前後 | 3万3千円 前後 |
内釜 | 本炭釜 | 炭炊釜 (金属5層・厚さ3.5mm) | 炭炊釜 (金属5層・厚さ2.5mm) | 炭炊釜 (金属2層・厚さ1.8mm) | |||
内蔵カートリッジ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
連続沸騰 | 連続激沸騰 | 連続大沸騰 | |||||
トリプルリングIH | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
遠赤炭コート放熱板 | ○ | ○ | ○ | - | - | - | - |
潤保湿ボール | ○ | ○ | ○ | - | - | - | - |
超音波吸水 | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
匠芳潤炊き | ○ | 芳潤炊き | |||||
合ピタ | ○ | ○※ | ○※ | - | - | - | - |
エコ炊飯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
中華粥モード | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - |
たべごろ保温 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
液晶 | 大型バックライト | 大型オレンジ | 大型グレー | グレー | |||
本体カラー | ピアノブラック | ルビーレッド ピアノブラック | チャコールレッド ロイヤルネイビー | ピュアホワイト |
【お詫びと訂正】初出時、合ピタ機能について誤りがありました。※マークの機種にも搭載されています。お詫びして訂正させていただきます。
(正藤 慶一)
2011年7月8日 00:00