LED照明市場は前年比2.7倍に拡大――富士経済調べ

~LED電球は低価格化で前年比4.3倍の151億円

 富士経済は、LED照明などの光源、照明市場についてまとめた調査報告書「Special Appli.光源/照明市場 実態・技術・予測 2011年版(上巻:市場動向編)」の販売を開始した。価格は101,850円。

 LED照明関連製品の国内市場は、低価格化や改正省エネ法の施行を受けて急速に拡大しており、2010年は前年比2.7倍の865億円となった。

 照明器具全体におけるLED照明器具のシェアは、金額ベースで13.9%となり、前年の4.9%から大幅に増加した。なかでも、LED照明器具の70%以上を占める白熱灯代替形では、前年比3.6倍と大幅に伸びた。

 LED照明器具の市場拡大の要因としては、低価格化に加え、長寿命で省電力のLEDが環境への負荷軽減に繋がることや、改正省エネ法の施行により、業務・産業分野での需要が高まったことが挙げられるという。

 今度の見通しについて同社では、LED照明と関連製品の市場は2020年度に3,180億円に成長し、また、2010年の3.7倍となると予測している。2010年には住宅照明のシーリングライトも登場してきたことから、今後は主照明におけるLED照明器具の普及が期待されるという。さらに、ハロゲンランプ代替形やHIDランプ代替形も登場しており、LED管球ランプの裾野は広がりつつあり、市場は導入期から成長期へシフトしているとしている。

LED照明の国内市場

 2010年の製品分野別では、LED電球が前年比4.3倍の151億円と大幅に増加。直管形蛍光灯に置き換わる「LED蛍光灯」も、前年比10%増の33億円を記録した。管球ランプ全体におけるLED管球ランプのシェアは、金額ベースで8.2%となった。

 2010年のLED電球市場は、2009年にシャープが低価格製品を投入し、他メーカーも追随したことで、販売実績が急増した。また、東芝ライテックが白熱電球の生産をほぼ終了し、他メーカーも生産終了を予定していることや、LED電球がエコポイント制度の交換対象となったこと、小売店が積極的な拡販を展開したことなども、市場拡大の要因となったという。

 一方、長寿命であるがゆえに今後の交換需要がほとんど見込めないことから、成長は鈍化していく見通しであり、2020年の市場は2010年比2.3倍の345億円に留まると予測され、2020年頃には新規需要の一方で交換需要も徐々に期待されるという。

 LED蛍光灯市場は、2010年に日本電球工業会が安全性の規格を制定し、パナソニック電工と東芝ライテックが同規格に準拠した製品を発売しており、今後本格的に市場が拡大する見通しという。ただし、この規格は独自の口金のため、既存の蛍光灯照明器具をそのまま使用できない。また、蛍光灯は元々白熱電球に比べて省電力、長寿命であることから、LEDの利点を生かしにくいという課題もある。そのため、まずはコストやメンテナンスなどの点で、蛍光灯よりもLED蛍光灯が優位な分野を中心に導入が進むと考えられ、2020年には2010年比で7.4倍の243億円が予測されるという。

管球ランプの注目市場となるLED電球とLED蛍光灯




(小林 樹)

2011年4月20日 00:00