パナソニック、“花粉に強い”ナノイーイオンの説明会

ナノイーイオンの発生機能を搭載した、パナソニックの空調機器

 パナソニックは、同社の家電製品に搭載されているイオン機能「ナノイーイオン」の花粉に関する説明会「2011花粉大飛散!! 事実、花粉に強い スゴイー! ナノイー」を、2日に開催した。

 ナノイーイオンは、空気清浄機やエアコン、冷蔵庫などに搭載されている、パナソニック独自のイオン機能で、水に高電圧をかけることで生成されるナノサイズの帯電微粒子水のこと。これまでに、スギ花粉やウイルス、臭いを抑制したり、肌の水分量を整えるといった効果が、第三者機関により検証されている。

 この10月には、ヒノキやカモガヤ(イネ科)、ブタクサの花粉に対する抑制効果についても検証されている。パナソニックでは、ナノイーイオンを使うことで「年間を通じた代表的な花粉アレル物質のタンパク量を低減させる効果がある」としている。

ナノイーイオンの発生デバイス。年々小型化しているスギをはじめ、ヒノキ/ブタクサ/カモガヤの花粉を抑制する効果も検証されているヒノキ/カモガヤ/ブタクサに対する効果が検証されたことで、花粉に関して年間を通じた効果があるとしている
パナソニック電工 電気事業本部 電器R&Dセンター 技監の山内俊幸氏。ナノイーの発生デバイスに最初から携わっているという

 説明会には、ナノイーの開発に携わったパナソニック電工 電気事業本部 電器R&Dセンター 技監の山内俊幸氏が登壇。山内氏はまず、花粉の飛散量が近年増加しており、特に2011年は花粉が大量に飛散する状況が整っていることを指摘。「2010年の夏は記録的な猛暑で、日照時間が長く、降水量も少なかったため、関東から関西にかけては、2010年の10倍以上飛散する恐れがある」とした。

 花粉を室内に持ち込まない対策としては、飛散量の多い13~19時の外出を避ける、マスクやメガネを使う、ウールなど花粉が付着やすい衣類を避ける、などのポイントを挙げた。また犬や猫などのペットも、花粉を家に持ち込む原因になるという。

 室内に侵入した花粉には、ナノイーが有効という。「ナノイーは、空気イオンよりも6倍寿命が長く、ナノサイズと小さいため、繊維の奥まで入り込むという特徴がある。また、水に包まれているため、空気中の酸素や窒素などと結合せず、花粉に直接届きやすい」などのメリットがあるという。なお、ナノイーのイオン1個当たりの寿命は600秒(10分)。

日本気象協会によると、2011年は花粉が大量に飛散する見通し花粉対策としては、花粉の多い時間帯の外出を避ける、マスクやメガネを着用し、花粉が付きにくい衣類を着ないなどが有効というペットも室内に花粉を持ち込む原因となるという
ナノイーは空気中の酸素や窒素と結合しにくいため、空気イオンよりも寿命が約6倍長持ちというナノイーの直径は約5~20nm(ナノメートル)と微細。繊維の奥まで浸透しやすいという
信州大学繊維学部 木村睦准教授。ナノイーのヒノキ/カモガヤ/ブタクサ花粉に対する抑制効果を実験で検証した

 続いて、信州大学繊維学部の木村睦准教授が登壇。木村准教授はナノイーのヒノキ/カモガヤ/ブタクサ花粉に対する抑制効果を検証した。

 木村准教授は、花粉によりアレルギー反応が起こる人体の仕組みを説明。「花粉など、体の中に異物を取り込むと、人体の防御機構『抗原抗体反応』が発生する。(体に取り込んだ異物の)量が少なければ問題ないが、多いと鼻水、涙など過剰な反応が出る」という。しかし、ナノイーで花粉表面のタンパク質を破壊することで、「体の中に取り込んでも、反応が起きず、花粉をスルーできる」としている。

 ちなみに、ナノイーの花粉に対する効果は、現在スギ/ヒノキ/カモガヤ/ブタクサの4つが検証されているが、シラカバ(シラカンバ)やヨモギなどの花粉も花粉症の原因となる。これについて木村睦准教授は「基本的に花粉などアレル物質はタンパク質を持っているので、同じような効果が期待できるのでは」とした。

ナノイーが花粉のタンパク質を破壊することで、花粉が体内に入っても、抗原抗体反応が起きないという花粉抑制試験装置の見本
 
こちらは木村准教授が花粉抑制試験に使用した装置。タンパク質を分析する「電気泳動法」を採用する試験の結果、スギはもちろん、ヒノキ/カモガヤ/ブタクサに関しても、抑制効果が検証されたという
パナソニックのアプライアンス ウェルネス マーケティング本部 商品グループの原大介氏

 パナソニックのアプライアンス ウェルネス マーケティング本部 商品グループの原大介氏は、花粉対策のためのナノイー関連製品の使い方を提案。例えば玄関なら、コンパクトで下駄箱の上にも置ける「ナノイー発生機」を、リビングには床上30cmの空気が吸い込める空気清浄機「F-VXF65」、またはナノイー単独運転機能を備えたエアコンを推奨した。さらに、花粉が衣類に付きやすい洗濯物では、イヤなニオイを抑えながら部屋干しできる除湿乾燥機、または1回約15円の電気代で洗濯~乾燥ができるななめドラム式洗濯乾燥機もお勧めとした。

 原氏は空気清浄機の市場について、「2009年度は新型インフルエンザの流行で200万台を越える市場に成長した。最近は沈静化してきたが、(花粉の飛散量が増えることで)2010年度は再び200万台を越すのでは」と見通した。シェアは3割を目指している。

 またパナソニックでは、トイレ空間や部屋干し用のファンなど住宅設備商品でも、ナノイーの発生装置を搭載しており、ナノイーによる「お家まるごと花粉対策」の実現を目指している。

玄関にはコンパクトなナノイー発生機が良いというリビングには空気清浄機とエアコンがお勧めという。床に落ちた花粉は、掃除機で吸い取るデスクなど狭い空間には、ナノイー発生機またはナノイー加湿発生機が勧められた
花粉の付着を避けるため部屋干しをする際には、ナノイー発生機能付きの除湿乾燥機も良いというヒートポンプ搭載のななめドラム式洗濯乾燥機なら、ドラム内で乾燥できるため、花粉が付着する恐れがない2010年度の空気清浄機市場は約200万台の予測
パナソニック電工の住宅設備商品にも、ナノイーの発生装置が搭載されているパナソニックでは、ナノイーによる「お家まるごと花粉対策」の実現を目指している

空気清浄機「うるおいエアーリッチ F-VXF65」の「メガキャッチャー」機能。本体前面から、高さ30cmほどの空気が吸い込める。なお、動画ではドライアイスを吸い込んでいる





(正藤 慶一)

2010年12月2日 15:19