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オムロン、ドライバーが運転に集中できる状態か判断する見守り車載センサー

 オムロンは、ドライバーが運転に集中できる状態かを判断する技術を搭載した「ドライバー見守り車載センサー」を開発、メディア向けの技術説明会を開催した。

ドライバーが運転に集中できる状態かを判断する技術を搭載した「ドライバー見守り車載センサー」を開発した
センサーは、車体前方に配置されている

 ドライバーが運転に集中できる状態か判断する車載センサー。近年、自動運転に関する法整備が進んでおり、様々な議論が進んでいるが、オムロンでは、現時点での自動運転はまだ完全ではなく、車の中でドライバーをモニターする必要性がある、と話す。

 「今後、当面主流となる自動運転については、ドライバーに責任がある。自動運転には、レベル0からレベル5まで6段階あるが、今後20年間くらいは、部分的に自動運転となるレベル2以下の進化が続くだろう」(オムロン 技術・知財本部 センシング研究開発センタ 画像センシング研究室 川出雅人氏)。

オムロン 技術・知財本部 センシング研究開発センタ 画像センシング研究室 川出雅人氏
自動運転には、レベル0からレベル5まで6段階ある。今後20年間くらいは、部分的に自動運転となるレベル2以下の進化が続くという

 実際、高速道路を自動運転中に大型トレーラーと衝突するという事故が2016年にアメリカで発生。その後の調べによるとドライバーは事故当時、映画を鑑賞していたとみられる。「レベル2以下の自動運転では、自動運転とドライバーの運転が交互に発生する。そのときにドライバーが運転に責任を持てる状態か否かを、モニタリングする必要がある」(川出氏)。

高速道路を自動運転中に大型トレーラーと衝突するという事故が2016年にアメリカで発生。その後の調べによるとドライバーは事故当時、映画を鑑賞していたという
自動運転から手動運転に切り替える時に、運転手が運転に責任を持てる状態かどうかをモニタリングする必要がある

 今回開発した「ドライバー見守り車載センサー」では、3つの指標を搭載する。

 まず、ドライバーが車の進行方向や周囲の状況を重視しているかどうかを目の開閉状態や視線の方向から、注視している、していない(Eyes ON/OFF)の2段階で判断。次にドライバーが運転に復帰できる状態かを、準備ができている、短時間でできる、復帰するまで時間がかかる(Readiness High/Mid/Low)の3段階で判断する。3つ目に、ドライバーが運転席に座っているかを、座っている、座っていない(Seating ON/OFF)の2段階で判断する。

車の進行方向や周囲の状況を重視しているかどうかを目の開閉状態や視線の方向から、注視している、していない(Eyes ON/OFF)の2段階で判断
ドライバーが運転に復帰できる状態かを、準備ができている、短時間でできる、復帰するまで時間がかかる(Readiness High/Mid/Low)の3段階で判断する
例えば運転席でスマートフォンをいじっている場合
視線は前方方向を向いていないので「OFF」に、運転に復帰できる状態かについては、短時間でできる「Mid」に判断されている。席に座っているのでSeatingは「ON」となっている

 同社が20年以上研究を続けている顔画像センシング技術「OKAO vision」による、顔情報を細部まで取得。認識の精度を大幅に向上させたことで、マスクやサングラスの着用で顔が隠れている状態でも眼の開閉や視線、顔の向きを判断させることが可能になった。

最新ディープラーニング技術により、マスクやサングラスの着用で顔が隠れている状態でも眼の開閉や視線、顔の向きを判断させることが可能になった
サングラスをしている状態でも、眼の動きを検知する
マスクをしている場合
マスクをしている時でも顔の向きを正確に判断できる

 オムロンでは、今回開発した「ドライバー見守り車載センサー」と心電や脈拍を測る生体センサーを一般家庭の自家用車を含む幅広い車に搭載、運転中のドライバーの多種多様なデータを収集する実証実験を、名古屋大学未来社会創造機構および、文科省が推進する産学連携プロジェクトにおいて名古屋大学が提唱する「人と協奏する知能機械の創出」を目指すHMMSコンソーシアム(Human Machine Harmonization System Consortium)と共同で進める。この取組を通じて収集した実走行データを更なる技術開発に活用していくという。

 一方で、今回発表したセンサーについては「2020年までの量産化を決めている」という。「昨年行なった、車載センサーの発表はあくまで技術発表だったが、今年は市場のメドがついてきた。今後色々な車メーカーとも協議しながら、タクシーやトラック運転手などプロユースも含めた検討を重ねていきたい」(オムロン オートモーティブエレクトロニクス 企画室 経営企画部 小板橋宏礼氏)。

「ドライバー見守り車載センサー」本体
オムロン オートモーティブエレクトロニクス 企画室 経営企画部 小板橋宏礼氏