長期レビュー

エレクトロラックス「UltraOne」 その3

~キレイな排気と手軽なお手入れ
by 清水 理史

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



排気にも気配り


エレクトロラックスの「UltraOne(ウルトラ ワン)」
 これまで、その概要(第1回)と実際の掃除(第2回)について紹介してきたエレクトロラックスの「UltraOne(ウルトラワン)」。最終回となる今回は、健康への配慮から最近注目されている排気についてと、お手入れの方法、そしてココが惜しいという要望について紹介していくことにしよう。

 まずは排気について。ゴミや空気をガンガン吸い込む強烈な吸引力のUltraOne。ただ、たくさん吸い込むとなれば、その分、当然空気も出さなければならない。となると気になるのは、やはり排気だろう。せっかく吸い込んだホコリなども大量の空気と一緒に排出されてしまっては、床はキレイになっても、空気が汚れてしまう。これを防止するためにUltraOneでは、排気の清潔性に徹底的にこだわっている。

 具体的には、吸引力のところでも紹介した密閉性の高いエアフローが第1の特徴。ノズルから吸い込んだゴミと空気が、万が一、途中で漏れてしまうと、吸引力も落ちるが、汚れた空気も部屋に漏れてしまう。このため、ノズルからパイプ、ホースという経路を密閉し、本体へのエアフローがスムーズになるように工夫している。

本体後部の排気口。密閉構造と高性能フィルターで排気される空気もキレイエアフローが重視されており、ノズルから吸い込んだ空気が確実に本体のダストバッグやフィルターを通過するように設計されているジョイント部分が長く、キッチリとはまり込む構造で空気の漏れを防止

 このように吸い込んだ空気やゴミは、途中での漏れなく、確実に本体へと送られる。すると、今度は、ダストバックやフィルターで、空気からゴミやホコリを徹底的に取り除かれる。ここががUltraOneのキレイな排気の第二の特徴だ。

 UltraOneでは、空気が通りやすく目詰まりもしにくい合成繊維のダストバッグが採用されている。一般的な掃除機の紙パックとはひと味違う、むしろ布バッグといった印象のダストバッグだ。このダストバッグにより、吸い込まれた空気中のゴミやホコリのうち99%(0.1μm以上)はここでしっかりとキャッチされ、空気中に二度と戻ることがないようになっている。

 残りの1%、もしくはさらに小さなホコリは、というと、その後に控えるフィルターで徹底的に排除される。UltraOneでは、ダストバックの後ろにモーターフィルター、排気口の直前にHEPAフィルターが装着されており、ここで0.05~0.15μm以上の微細なチリも99.95%キャッチされるようになっている。

 つまり、吸い込んだ空気を漏れなく、確実にダストバッグやフィルターへと送り、ここで確実にキレイにしてから部屋に戻すというサイクルになっているわけだ。

 実際、本体後部の排気口に顔を近づけてみても、若干、暖かく感じられるだけで、いやなニオイやホコリっぽさは一切感じられない。また、何度も紹介したように、UltraOneは強烈なパワーというより、高い効率によって吸引力を実現しているため、排気される空気自体もさほど勢いがあるわけではなく、まわりのゴミを巻き上げるような心配もない。実にスマートでキレイな排気だ。

フロントのカバーを開けるとダストバッグが姿を現す。合成繊維による高性能なダストバッグだダストバッグの後部にはモーターフィルターを設置後部の排気口の部分には高性能なHEPAフィルターを搭載。これにより、細かなチリなども高い確率で捕獲できる


パック式ならではの手軽なお手入れ

 もちろん、これまでに紹介してきたような高い吸引力、キレイな排気を維持するためには、こまめなお手入れを欠かすことができない。

 と言っても、お手入れは簡単だ。本体のS-BAGインジケーターが点灯するか、吸引力が落ちてきたと感じられたら、本体前面のカバーを開き、板紙のところにある取っ手をグィッと引っ張ってダストバッグをポイッと捨てれば良いだけだ。こういったお手入れの手軽さはパック式ならではのメリットだろう。

 しかも、このダストバッグ、取り外しに使う取っ手の部分がシャッターの機構も兼ねており、取っ手を引っ張ると、ダストバッグの吸気口が閉まるようになっている。これにより、ダストバッグを取り外したときにホコリが舞ったり、捨てるときに周辺にゴミがまき散らされてしまうことも防止できるようになっている。なかなか細かな気配りだ。

 価格はというと、3枚セットの交換用Sバッグが実売で1,000円前後となっている。国内メーカーの高級掃除機用の紙パックなども、ほぼ同等の価格となっているので、コスト的にもさほど負担にはならないだろう。

ダストバッグを取り外すときは台紙の取っ手を引っ張るだけ取っ手はシャッター機構も兼ねており、引っ張ると吸気口が閉じてゴミをちらかさない

HEPAフィルターは水洗いするだけでお手入れできる
 一方、フィルターはというと、モーターフィルターはダストバッグを4回交換するのを目安に交換、排気口手前のHEPAフィルターは年に2回ほどお手入れすることが推奨されている(交換は10~15回の洗浄後)。年2回となると少々面倒なイメージがあるが、HEPAフィルターの洗浄は汚れている面を軽く水で流して乾燥させるだけなので手間はまったくかからないだろう。

 掃除機の場合、その方式が何であろうと、結局のところ吸引力を維持するためにこまめなお手入れが欠かせない。そういった意味では、手軽にお手入れができるUltraOneは長期間の使用でも、その高い吸引力やキレイな排気という特徴が損なわれることはないだろう。

スイッチ操作に慣れが必要

 以上、3回にわたってエレクトロラックスのUltraOneを紹介してきたが、最後にいくつか気になった点を上げておく。

 1つは、そのサイズだ。国内メーカーの掃除機と比べると一回り大きく、重量もノズルやホースなどを含めると8.9kgにもなる。マンションなど平面の移動で済む場合は問題ないが、戸建てで階段を使って部屋を移動しながら掃除する場合は少々体力がいる。

 もう1つは、些細なことなのだが、スイッチの位置だ。初回で紹介したように、UltraOneの電源スイッチやパワー切り替えスイッチは本体に搭載されている。国内メーカー製の掃除機では、パイプの取っ手部分で電源やパワーなどを操作できるようになっているため、このような操作の違いに慣れるまでに時間がかかる。最初のうちは、パイプを持っていざ掃除しようと思っても、スイッチが手元になく、わざわざ振り返ってスイッチを入れるという動作に戸惑うことだろう。

サイズが大きく、重いので、持って階段を上り下りするのは一苦労スイッチが本体にあるので操作に慣れが必要。手元で若干パワー調節もできるが本格的なモード切替も本体側のスイッチで操作する

 とは言え、ゴテゴテで派手な掃除機が多い中、シンプルな美しさを実現したUltraOneのデザインは秀逸なうえ、その吸引力も感動モノだ。既存の掃除機のデザインや性能にいまひとつつ満足できないという人に、ぜひおすすめしたい1台だ。



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2010年1月27日 00:00