長期レビュー

シャープ「ウォーターオーブン ヘルシオ AX-X2」 その2

~水で焼く、油で揚げない揚げ物に挑戦!
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



 ヘルシオ AX-X2(以下、ヘルシオ)で作れる料理は、蒸し物、揚げ物、焼き物、煮物のほかに、2品同時調理ができるなど実に多彩だ。おもてなしメニューも豊富で、かなりゴージャスである。とはいえ、300を超えるメニューのすべてをご紹介するわけにはいかないので、本レビューでは、紹介されているレシピの中でも最も庶民的かつ身近な料理で、カロリーダウン効果が期待できるものを試してみた。

 2回目となる今回はダイエットの天敵「揚げ物」である。このためにヘルシオを買ったと言っても過言ではない。果たしてどんな仕上がりになるのか!?

 ヘルシオの機能や、製品の使い方を詳しく説明している1回目はこちらから。

 

フライドポテトと手羽元のから揚げでファーストフード気分を味わう

 ヘルシオの自動調理メニューには「フライドポテト」と「手羽元のから揚げ」がある。この2品を組み合わせてホットコーヒーでも添えたら、自宅でファーストフード気分が味わえそうだ。

<フライドポテトを作る>

 よく洗ったじゃがいも2個を皮ごと8等分のクシ切りにし、ビニール袋の中で小さじ2杯のサラダオイルに絡める。角皿にアルミホイルを敷き、その上に重ならないようにじゃがいもを並べる。角皿をヘルシオ上段に入れ、自動調理メニューから「フライドポテト」を選択。あとは、塩を振れば準備完了だ。

2個分のじゃがいもをクシ切りに水タンクは1のラインまで水を入れてセットビニール袋にじゃがいもを入れ、小さじ2杯のサラダオイル入れる
サラダオイルを全体によくなじませる角皿にアルミホイルを敷き、じゃがいもを並べる[健康サポートメニュー]→[から揚げ・フライ]→[フライドポテト]を選択

 約28分後、軽い焦げ目のついたポテトができた。揚げない「フライドポテト」のからくりは、油で絡めて「ウォーターグリル」することだったのだ。表面はカリっとして、中はホクホクである。油分は少ないがこれはかなり満足できるかもしれない。今回は「標準」の仕上がりで試したが、もっとこんがりさせると雰囲気がアップしそうな気がする。

写真が表示されたあと、自動的にカロリーダウン効果のアニメーションが始まる従来は一人分85kcalのところが、75kcalに減るという
角皿をセットする高さを確認したら加熱スタートウォーターグリルでじゃがいもの表面が焼けていく

まぶした油だけでいい音をたてているフライドポテト

<手羽元のから揚げを作る>

 ポテトが完成したら、次は手羽元のから揚げだ。手羽元6本(2人前)を用意し、フォークで表面に穴を開けておく。次にビニール袋の中で、酒大さじ2、しょうゆ大さじ1と手羽元をあえ、ビニール袋のままそのまま冷蔵庫で10分寝かせる。別の袋にから揚げ粉を入れ、下ごしらえした手羽元にまぶす。あとは角皿に油を塗布した調理網をのせて肉を並べ、自動調理メニューから「手羽元のから揚げ」の2人前を選んで加熱(ウォーターグリル)する。

手羽元にフォークで穴をあけるビニール袋で酒としょうゆをまぶし、下味をつける別のビニール袋でから揚げ粉をまぶしつける
角皿に調理網をのせ、肉を並べるヘルシオにセットメニューから鶏のから揚げ(手羽元)を選択

 約23分後、ヘルシオを開けるとジューという音が聞こえてきてかなりテンションが上がった。表面の色を見る限りまるで油で揚げたような仕上がりになっている。

42kcal減って、266kcalが224kcalになると教えられる加熱中の手羽元
完成した、油で揚げない手羽元のから揚げ表面がカリッとした感じになっている

油で揚げなくてもいい焼き色がつき、余分な脂が落ちているのが分かる

 調理の都合上、フライドポテトが冷めてしまったのが残念だが、あとは盛りつければ完成だ。どちらもさっぱりしていておいしい。これからはフライドポテトと手羽元のから揚げに揚げ油はいらない! 何よりもポテト8切れ(1個分)と手羽元3本を合わせても400kcal以下で収まっているというのが一番嬉しい効果である。(表示カロリーによる)

久しぶりにガッツリ食べられた手羽元のから揚げフライドポテトも食べ応えありこれでフライドポテトは2人前(約150kcal)、手羽元は1人前(224kcal)、合計で374kcalとはにわかには信じがたい

 どちらも30分近い加熱時間はかかるが、加熱中はその場を離れられるし、油の準備や後片付けをしなくていいので、揚げ物の準備や手間を考えるとヘルシオのほうが全然楽だ。カロリーも抑えられるし、買って正解だと実感した。フライドポテトと同時調理できると熱いうちに両方楽しめるのだが。

いつもの味付けで「鶏もも肉のから揚げ」を作ってみたら……

 普段料理されている方なら、ヘルシオの手羽元のから揚げレシピを見たら「なぜ下味をつけたあとに、さらに市販のから揚げ粉を使うのだ?」と疑問に思うかもしれない。実は筆者もその一人。普通なら下味をつけたら小麦粉、市販のから揚げ粉なら味がついているので、下味をつけずにいきなりまぶすだろう。(好みもあるだろうが)

鶏のもも肉2枚ビニール袋の中でじっくりと下味をつける小麦粉をまぶして、調理網に並べる
ヘルシオにセットメニューで「鶏のから揚げ(もも肉)」を選んで加熱開始ヘルシオで作れば約39kcal減らせるという

 そこで、今度は手羽元ではなく鶏もも肉を使って、揚げ油を使って作るから揚げの要領で味付けしてみることにした。用意したのは鶏もも肉2枚分。これを醤油、みりん、生姜で1時間漬け、小麦粉をまぶし、自動調理メニューの「鶏のから揚げ(もも肉)」で加熱してみた。おいしくできたら知人に振る舞うつもりだった。

完成した「鶏のから揚げ(もも肉)」かなり油が落ちている

 するとどうだろう。できあがったから揚げは小麦粉が残ってしまい、見た目がなんだかとても残念な感じだ。さらに一口食べてみてびっくり。中はジューシーなのだが、醤油、みりん、生姜で1時間も漬けたのに、味が薄くてとても食べられたものではないのだ。

から揚げにしてはインパクトの薄い仕上がり実は味も薄かった!

 そう。過熱水蒸気加熱は塩分を落としてしまうのである。このとき初めて「ヘルシオ」の意味を理解した気がした。から揚げの場合、揚げ油を使わないことがカロリーダウン効果なわけで、塩分(味)まで落としてしまってはおいしく食べられない。つまり塩分が落ちてしまうことを前提に、味は濃いめにしておかないといけないのだ。から揚げ粉は味がついているし色付きも良い、だから、使うのだろう。


「とんかつ」の下準備で「こんがりパン粉」を作る

 次は「とんかつ」に挑戦するのだが、その前に1つやることがあった。それは「こんがりパン粉」作りである。「こんがりパン粉」とは、パン粉を少量の油でこんがりと色づくまで焼いたもの。ヘルシオでパン粉の衣をまとった揚げ物(?)作りに欠かせない材料。冷凍保存可能なので用意しておくと便利なのだ。

 方法は2つ。レンジで何度も加熱してきつね色にするという方法と、フライパンで炒める方法。今回はそのどちらも試してみた。

 まずレンジだ。耐熱皿にパン粉60gとサラダオイル大さじ3杯を入れてよく混ぜ、ヘルシオに入れる。レンジの手動加熱を選択し、600Wで約2分20秒加熱する。加熱後パン粉を混ぜ、さらに1分50秒延長加熱する。パン粉は底のほうから色づいていくので、何度も混ぜ、様子をみながら延長機能を使って40~50秒ずつ加熱し続けるのだ。全体がきつね色になったら完成である。

1回分の調理に十分なパン粉60g耐熱皿でサラダオイルとパン粉を合わせてよく混ぜるレンジに入れて手動加熱を選択
最初は600Wで約2分20秒加熱し、少しずつ時間を短くしながら延長を繰り返す1回の加熱が終了したら都度取り出して混ぜる。底から色づいていくようだ加熱終了後は1分以内なら同じ設定で時間だけ延長して再加熱ができる。なかなか便利だ

 途中から数えるのを忘れるほど延長加熱を繰り返した。出しては混ぜ、また入れての繰り返し。所要時間にして10分もかかってないはずだが、手間の分だけ長く感じた。ちょっと面倒かもしれない。

完成した「こんがりパン粉」少々ムラが生じてしまった

レンジで加熱すると底から色が変わるため、よく混ぜてから再度加熱する

 次はフライパンを使ってみた。フライパンに同量のサラダオイルを入れ、パン粉を入れたら中火で焼いていく。フライパンを振りながら全体を満遍なく混ぜていくと、これが意外と早く色が変わってくれた。5分も経たないうちにきつね色の「こんがりパン粉」が完成である。しかも色はレンジ調理よりおいしそうだ。「こんがりパン粉」作りはフライパンがお勧めといえよう。たくさん作って冷凍しておけばいつでも調理に使える。

ノンフライの「とんかつ」を作る

 「こんがりパン粉」をご覧になれば、すでに「とんかつ」のからくりも想像がつくのではないだろうか。つまりヘルシオで作る「とんかつ」は、あらかじめ焼き色をつけたパン粉をまぶしてグリルすることだったのだ。

作り方は通常のとんかつと変わらないが、唯一違うのがこんがりパン粉を使用するという点加熱前から表面だけは“こんがり”しているのだ

 とんかつ用の豚肉を購入してきて、表面をたたき、柔らかくなったところで塩胡椒で下味をつける。薄力粉、とき卵、こんがりパン粉の順で衣をつけ、調理網に並べたら、メニューで「とんかつ」を選んでグリルする。鶏肉のから揚げでは「ウォーターグリル」だったが、「とんかつ」は水を使用しない普通のグリルだ。

メニューで「とんかつ」を選択揚げないので、約123kcalもダウンするという加熱中には犬とウォーキングする女性のアニメーションが表示される

とんかつが完成した様子

 できあがった「とんかつ」はノンフライとは思えない仕上がり。衣が油を吸っていない分、ややジューシーさには欠けるが、ソースをかければ全然気にならない。この食感でカロリーが抑えられるなら嬉しい限りだ。

できあがった「とんかつ」ノンフライとは思えない見栄えだ中まで十分加熱されている



揚げない「なすのあげ浸し」は、だし汁も同時調理

 クックブックに掲載されたメニューの中でも約129kcalの料理が75kcalになってしまうという、驚きの低カロリー料理が「なすのあげ浸し」。低カロリーでも食べ応えのある料理を探しているなら、これを見逃してはいけない。

 通常ならなすとピーマンを一度油で素揚げしてからだし汁に浸すのだが、ここでもやはり材料を切って、ビニール袋で油と醤油を揉み込んで“ウォーターオーブン”で焼くというのがヘルシオ流。しかも野菜を焼きながら、同時にだし汁も調理してしまうというから驚きである。

なすとピーマンを用意カットしたなすとピーマンをビニール袋にいれて、サラダオイルとしょうゆをよくまぶす調理網にならべる
浸し用のだし汁もつくり、耐熱容器にいれて別の角皿へ上段に野菜、下段にだし汁をのせた角皿をセット

 作ってみたら、これがかなりおいしかった! なすは揚げるとかなり油を吸い込んでしまうが、最小限の量をまぶしているだけなのでカロリーが抑えられる。それでも味がしっかりしていて、食べごたえもある。おかずの組み合わせ次第でかなり重宝しそうな一品になるだろう。

メニューで「なすの揚げびたし」を選択一人分がわずか75kcalになってしまうという!焼き上がったなすとピーマン
生姜入りのだし汁をかける焼いて浸して完成しょうゆと油が落ちた角皿



油を一切使わない「酢豚」を一気に作る

 今回は油で揚げない揚げ物料理をご紹介してきたが、最後は「酢豚」だ。酢豚といえば、肉は揚げ、野菜は炒めるわけだが、ヘルシオでは焼くにも炒めるにも一滴の油も使わないのである。

 酢豚用の豚肉はビニール袋を使って下味をつけておく。浸している間に玉ねぎをクシ切りにして角皿に並べ、耐熱ボウルでタレの材料を混ぜたら、中に野菜を入れ、玉ねぎと同じ角皿へのせる。最後に豚肉の水気を切り、片栗粉をまぶして調理網にのせ、ヘルシオに2段でセット。つまりここでも肉と野菜をウォーターオーブンで同時調理するわけだ。メニューで「酢豚」を選んで加熱開始だ。所要時間は約22分。加熱が終了したらすべての材料を混ぜあわせて完成となる。

酢豚用の豚肉をビニール袋で味付けしつつ、その他の材料も用意する玉ねぎはアルミホイルを敷いて並べ、耐熱ボウルにはタレとその他の野菜類を入れる下味をつけ、片栗粉をまぶした豚肉。(実は豚肉だけ間違えて4人分を用意していた)
角皿をセット。調理の際は、もちろん水タンクの用意も忘れてはいけないメニューで「酢豚」を選択。ウォーターオーブンでの加熱となる22分後、豚肉のから揚げが完成
豚肉自身の脂だけで、この通り耐熱ボウル内の野菜と玉ねぎも調理済み豚肉は焼いていたのに、タレは煮込まれたという不思議な状態


上段では豚肉のから揚げが、下段では野菜入りのタレと玉ねぎがそれぞれ完成した様子

 これがなかなかの出来映えで驚いた。一切油を使っていないので味はさっぱりしているが立派な酢豚である。カロリーが気になる方でも肉や野菜がしっかり食べられるうれしい一品だろう。タレと合わせる前の豚肉はそのまま食べてもおいしい。ただし、鶏のから揚げ同様に少々味は薄めだが。
材料を全て合わせてよく混ぜるととろみがでてくる完成した「酢豚」。揚げてないとは思えない仕上がり肉にもしっかり味が絡んでおいしい

 豚肉を揚げて、炒めて、片付けてという手間が気になって、普段全く酢豚など作りもしなかった筆者だが、これなら作ってもいいと思った。しかも一人前が308kcalなのだ。作ってもいいというより「作らなきゃ!」とすら思う。

 以上が油を抑えた料理のほんの一例である。ダイエットのために控えていたから揚げやとんかつが食べられて幸せだ。それだけでも導入した甲斐があるというものだ。油の摂りすぎはよくないが、減らしすぎもよくない。上手にコントロールしながら活用していきたいところだ。

 次回は焼き物や蒸し物、トーストの例をご紹介する予定だ。




2009年11月18日 00:00