やじうまミニレビュー

手書きの文字を一瞬でデータ化&クラウド連携できるデジタルノート

やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです
コクヨS&T「デジタルノート CamiApp S NST-CAS-NA5」

 ノートに書いた筆記文書を、書いたそばから「一瞬」でデータ化(デジタル化)できる、スグレモノの筆記具が登場した。コクヨS&Tの「デジタルノート CamiApp S」を紹介しよう。

メーカー名コクヨS&T
製品名デジタルノート CamiApp S
品番NST-CAS-NA5
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格22,000円

 筆記した文書が一瞬でデータ化される秘密は、本体パッドと専用ペンにある。パッドの上に置いたノートに専用ペンで書くと、パッドに仕込まれた電磁誘導センサーが、詳細にペンの軌跡を読み取ってデータ化する。データ化するのにカメラもスキャナーも要らないのだ。

 データ化された文書は、スマホに転送して、管理・編集できるほか、筆記文字のテキスト化、クラウドへのアップロードも手間をかけずにできる。アクションマーカー機能を使えば、瞬時に共有もできる。

 シリーズのラインアップは、見開きの「ノートブックタイプ」と「メモパッドタイプ」の2種類に、それぞれAndroid版とiOS版があり、合計で4種類となる。今回はその中から、ノートブックタイプのAndroid版を購入した。

 デジタルノート CamiApp Sは、パッド(本体)、専用ノート、専用ペンと筆記具らしいシンプルな構成だ。

 閉じた状態でノートを含むサイズは179×258×38mm(幅×奥行き×高さ)。ペンは長さ16㎝、重さは18g。長さも重さも一般的なものと同じだが、先端の直径は12mmと若干太い。ノートとペンをまとめた重さは755g。多少ずっしり感はあるが、カバーを付けたiPad 2とほぼ同じ。ペンホルダーとカバーベルトも付いているので、スマートに携帯できる。

左から、ソフトカバーで覆われたパッド本体、専用ペン、専用ノート
専用ノートは3種類ある。左から「打合せ記録」、「5mm方眼罫」、「横罫」。チェックマークの位置がそれぞれ異なる。形式の違うノートを使う時には、必ず認識チェックさせる

 使う前の準備は、大きく分けて4つある。

(1) 電池をパッド本体に装着し、充電する
(2) 専用ノートをパッドに貼り付けて固定し、ノートの種類を設定する
(3) 手持ちのAndroid端末に、専用アプリを2種インストールする
(4) 本体と端末をBluetoothでペアリングする(NFCにも対応している)

(1)~(2)の前準備の様子。電池を装着して手持ちのMini-USBケーブルで充電する。充電が終了すると赤いLEDは消える(左)。専用ノートの四隅をパッドの段差に合わせて貼り付ける。粘着部は何度も貼り直しがきき、ノートを傷つけない
(3)~(4)の前準備の様子。手持ちのスマートフォンに、「CamiApp」と「CamiApp S」の2つのアプリをインストールする(左)。電源、Bluetooth設定ボタン、LEDランプの様子(右上)。ノートの種類をパッドに認識させる(右下)

 前準備は、取り扱い説明書に沿って行なえば、(充電時間を除いて)30分ぐらいで済んだ。詳細は、ホームページの「設定マニュアル」で確認していただきたい。

 準備の補足として、充電に必要なMicro USBケーブルが同梱されていないので、充電は手持ちのAndroid端末の充電ケーブルとACアダプターを利用した。満充電までは一晩もかからない。満充電後の連続筆記時間は4時間。専用ペンに電池は不要だ。

 準備が済んだらいよいよ使ってみよう。使い方は至極簡単。ノートにペンで書く感覚と全く同じだ。ノートは、「打合せ記録」ノートを使っている。

書く→保存する

ノートに専用ペンで書くだけで、データとしてパッドに蓄積されていく(上)。紙面右下の「SAVE」ボックスにチェックマークを入れるだけで、パッドに保存される

 書いて保存は本当に簡単だ。本体の電源を入れたら(ステータスLEDが緑色に点灯)、あとはいつものようにペンを持って、ノートにどんどん書きこんでいけばいい。書いた軌跡はパッド面が読み取る。その間、ステータスLEDが緑色からオレンジ色に変わり確認できる。

 保存は一瞬で終わる。書き終えたら、紙面右下にある「SAVE」ボックスに「チェックマーク」を入れるだけで保存が完了する。保存が確定すると、ステータスLEDが3回点滅して知らせてくれる。

 書き進めるなら、ページをめくって書き進み、同じようにチェックし、ページごとに保存していく。スイッチを入れる以外、普通のノートに書くのと同じ感覚で進められる。

保存したデータをスマホで取得、確認する

 パッドに保存した筆記データを、スマホで取得するのもとても簡単だ。データは、インストールしたアプリの「CamiApp」内に取り込まれ、アプリ内で管理・編集ができるようになる。取り込み方法は、設定時に手動/自動と選択できる。

【手動取り込み】
 本体の電源は入れたまま、スマホのアプリ「CamiApp」を開く(Bluetoothの接続を確認)。CamiAppのトップ画面下、「チェックマーク」をタップすると、本体へパッドに保存されたデータの取り込みが始まる。

【自動取り込み】
 自動取り込みならば、文書作成の前に「CamiApp S」アプリ内で設定しておく。アプリを立ち上げ(Bluetoothの接続状態で)、画面内の「本体設定」をタップし、「自動取り込み」にチェックを入れる。

 設定しておけば、ノート紙面右下の「SAVE」ボックスに「チェックマーク」を入れた10秒以内に、スマホアプリへの取り込みが自動で行なわれる。自分の使い方に合わせて、手動/自動を選ぶといいだろう。

手動で保存したデータをスマホで取得、確認する様子。ノートに書いた通りにデータ化され、スマホに表示された(右)。悪筆の様子までしっかりわかるほど精度が良い。詳細画面(中央)の「>」マークがついているものは任意に編集できる
自動で取り込むなら、「CamiApp S」アプリで設定する。ここで「自動取り込み」「手書き文字認識」の他、ノートブック設定、文字の太さなどが変更できる
左はアップロード用にノートに書いたオリジナル、右はアプリに保存されたデータ(右)

【文書の確認】
 取り込んだ文書の確認は、「CamiApp」アプリでできる。アプリのトップ画面の「すべて」をタップして「すべて画面」に切り替える。タイトルとサムネイルが表示された中から、確認したいデータをタップすると、「詳細画面」に切り替わる。表示されたノートの画像をタップすれば、書いたものが画面いっぱいに表示される。

 表示されたデータは、ノートをそのまま撮影した画像のように鮮明だ。細かな文字もハッキリ読め、筆跡のクセまでそのまま再現されていた。

 1画面戻って「詳細画面」を見ると、文書にはタイトル、作成日なども自動で付いている。これなら後でも整理しやすい。驚いたことに、図形こそ認識されないが、コメント欄には手書きした文書が「テキストデータ化」されていた。

 書き方の癖や書き順などで、文字認識の精度は左右されるが、コメント欄にあるテキストは、スマホのキーボードで即座に編集できる。このテキストデータは、文書の検索のキーワードに使えるところがポイントだ。

取り込んだ筆記データをアップロードする

 取り込んだデータをクラウドサービスへ簡単にアップロード(共有)できる点も、本製品の大きな特徴だ。対応クラウドサービスは、お馴染みのEvernote、Dropbox、Googleカレンダー、Yahooボックスをはじめ、全部で12種類と多彩。もちろん、スマホ内のアルバム等へもアップロードできる。

 クラウドサービスの設定は、設定マニュアル参照して「CamiApp S」アプリでしておく。設定は数ステップでできた。クラウドサービスの目的に合わせて、JPG、PDF、情報付PDFの中から変換形式が選べる。

 アップロードは「CamiApp」アプリ内で簡単にできる。共有したいファイルを「詳細画面」で表示させ、次に画面左下のマークをタップすると、先に設定したクラウドサービスへの「共有先画面」が立ち上がる。その中から希望のサービスを選べばアップロードが完了する。

 実際にPDFファイルに変換し、DropboxとGoogleカレンダーへアップロードした。

 PCのブラウザーでDropboxを確認してみると、すでに「CamiApp」フォルダーができていた。その中に、転送したデータがPDFファイルとして筆記した姿のまま確認できた。これをPCにダウンロードすれば、スマホとは全く別に管理、応用ができるだろう。

 Googleカレンダーに転送したものは、データを作成した(保存した)日時に「予定」の1つとしてアップロードされていた。カレンダー内の「説明」には、テキスト化されたデータが入っており、これも編集できる。いつ、そのノートを書いたのか忘れずに覚えておけるだろう。

「CamiApp S」アプリの「詳細画面」の左下のマークが共有先ボタン。クリックすると共有先が表示される(右)。共有先を選べばアップロードされる
実際にアップロードされた結果。Dropboxでは、PDFの筆記データとして転送された(上)。Googleカレンダーでは、ノートを保存した日時に、1つの「予定」として転送された

 以上のように、1つの筆記ファイルを元に、目的に応じて複数のクラウドサービスへ何度でも使い回しができるのだ。

瞬時に自動タグ付け&自動アップロードができる、アクションマーカー機能

 ここまでは、手書きでノートを書いて保存→スマホの「CamiApp」アプリへ取り込み・確認→クラウドサービスへアップロードを段階に分けて手順を追ってきた。

 ところが、ノートを書いて保存したら、一発でアップロードまでできる方法があるのだ。それが「アクションマーカー機能」だ。この機能を使えば、スマホに取り込んだ瞬間に、データには自動でタグが付き、クラウドサービスへ自動でアップロードしてくれるようになる。

 もちろん、そのためには前もって設定をしなければならない。だが、この設定も「CamiApp」アプリ内でできる。

アクションマーカー機能を設定する様子。1つの番号(マーカー)に複数のアクション、タグが設定できる(右端)
アクションマーカーを実行するなら、ノート右下のACTIONに番号を書き、SAVEをチェックすればOK。アプリに取り込むと同時に、この文書は「Doropbox」にアップロードされ、「アイデア」と「プライベート」のタグが自動で付けられる

 アプリのトップ画面右下の歯車マークをタップすると、「設定」画面に変わる。設定画面の「アクションマーカー設定」をタップすると、数字とマーク(※)が並んだ「アクションマーカー設定」に切り替わる。

(※数字横のマークは、従来のCamiAppがスマートフォンと連携したアナログノートと互換性を維持しているそうだ)

 その中の番号をタップすると、「アクション設定」画面に切り替わるので、用途に応じて「アップロードするサービス」と「タグ」を選ぶ。それぞれ自由に組み合わせられる(クラウドサービスとタグの種類は、設定マニュアルを参照して前もって設定しておくこと)。

 アクションマーカーを実行するのに、特別な手順は何も要らない。ノートに書き終えたら、「SAVE」ボックスの左にある「Action」ボックスに、アクションマーカーの「番号」をかき入れ、最後に「チェック」を入れればマーカー付き文書で保存される。

 手動取得なら、スマホにデータを取り込んだ瞬間にタグ付けと同時に、クラウドサービスへアップロードが実行される。自動取得なら、ノートにチェックした10秒以内にどちらも実行される。書いたそばからアップロードされるので、とにかく面倒臭さが微塵もない。

 デジタルノート CamiApp Sは、ビジネスシーンに特に威力を発揮する魅力的なツールになるだろう。というのも、商談中や訪問先でPCやスマホを操作するのは相当ためらうものだが、本製品はソフトカバーの付いた普通のノートに見えるので、堂々と広げられる。それでいて、書きながら同時進行でスマホに取り込み、共有までできてしまう。あとで議事録を起こすのも相当ラクになるだろう。

 価格は必ずしも手頃ではない。だが、思い立った時に、ササッと絵も文字も書ける「手書きの良さ」と、管理、編集、共有、検索が容易な「デジタルの良さ」が同時に得られるのは、他ではなかなか見当たらない。まさに、ハイブリッド筆記具の決定版として、仕事にプライベートに大いに活用してはいかがだろうか。

藤原 大蔵