やじうまミニレビュー
無印良品「トイレットペーパー型消臭器」
■存在感が強い消臭剤
無印良品「トイレットペーパー型消臭器」 |
消臭器や消臭剤というのは難しいもので、そこにそれがあることで、かえって悪臭があるということを感じさせてしまう。悪臭があると誰かが感じて消臭器を置いたということが、かえって悪臭を意識させてしまうのだ。
だから消臭剤は、できるだけ目立たないでほしいと思うのだが、なぜか色も臭いも強烈なデザインのものが多い。むせるほど強烈な芳香や、ピンクや紫の原色のボトルが主流なのは不思議なことだ。たぶん、消臭剤が目立つことによって、ほら脱臭しているんですよ、という言い訳が成り立つことが大事なのかもしれない。
そういう一般の消臭剤と、まったく逆の方向を目指しているのが、今回紹介する無印良品の新製品「トイレットペーパー型消臭器」だ。この製品が目指しているのは、存在感のない消臭器だ。そこに消臭器があることが意識されず、悪臭が消えることだけが目的なのだ。
メーカー | 無印良品 |
製品名 | トイレットペーパー型消臭器 |
販売価格 | 2,500円 |
購入場所 | 無印良品ネットストア |
しかし、脱臭するための器具には一定の大きさが必要で、目立たなくすることは難しい。この製品は、そこにあって不自然ではないモノを装うことで、それを実現している。つまり、消臭剤が一番使用される、トイレという場所に必要な存在であるトイレットペーパーとよく似たデザインなのだ。
まさに「木を隠すには森の中」というか、「木の葉に擬態する蝶」のような発想であり、世の中には面白いことを考える人がいるものだ。
■トイレットペーパーそっくりの外観
購入した製品の外箱は、最近の無印良品に多い半透明のパッケージで、中にトイレットペーパーの形をしたものが入っているとは思えない上品さだ。
取り出した本体は、ごく普通のトイレットペーパーと同じぐらいの大きさで、真っ白ではない微妙な色合いも、再生紙系のトイレットペーパーをよく再現している。
半透明なパッケージ | 開けるとトイレットペーパー(型脱臭器)が出てくる | 30cm定規と大きさを比較 |
取扱説明書は紙一枚で、電池と消臭剤のセットの仕方が中心だ。なお、取扱説明書によれば、製品の型番は「TP-D01」、製品の供給元は三栄コーポレーションで、デロンギなどとも取引実績のある商社だ。
消臭器としての構造は簡単で、本体内部のファンで、下から空気を吸い上げ、上へ吹き出す。その途中に消臭剤が置かれていて、空気を脱臭する仕組みだ。消臭剤は、アミノ酸系で無香料のタイプだ。製品ページでは、原理を“アミノ酸が水とともに気化し、悪臭成分とのみ結合、化学変化をおこして無臭化します”としている。全体の構造や機能は、以前レビューした東芝の消臭器「エアリオン・スリム」に似ている。
下から空気を吸い込み、カートリッジに触れたあとで、上に吹き出す | 本体底面。カバーと本体の隙間から吸気される |
なお、吸気は本体とカバーの隙間から行なわれる。カバーは、本体に固定されていないので、持ち上げるときは、ちょっと注意が必要。これは固定できるようにしてほしかった。
ファンを回す電池は、単三アルカリ乾電池4本が付属している。常にファンが回っていると電池が消耗するためか、約30秒回転すると、約10分休止する。乾電池と消臭剤の寿命は、ともに約2カ月とされている。つまり、電池の寿命をカートリッジ交換のきっかけにしているわけだ。今回の試用ではエネループを使ったが、交換時期を知るためには、推奨通りにアルカリ乾電池を使った方が良いだろう。交換用の消臭剤カートリッジは400円だ。
中に消臭用のカートリッジを入れる | 消臭カートリッジからフタを外し、シールを剥がしてからセットする | 本体底部に単三4本を入れる。ここではエネループを使っているが、アルカリ乾電池が推奨されている |
電池を入れて、本体の底にある電源スイッチを入れてみる。緑色のLEDが常時点灯しており、動作中であることがわかる。このLEDが消えると電池の寿命ということで、電池と消臭剤を交換することになる。ファンが回っている時も動作音は小さく、ごく近くでないと聞こえない。
■目立たなさは秀逸
自宅のトイレに置いてみた。棚に積み上げてあるトイレットペーパーに溶け込んでしまい。まったく目立たない。トイレットペーパーに擬態するというのは、なかなか秀逸なアイデアだ。トイレットペーパーと重ねても、空気の吹き出し口が、中心の穴と同じ位置にあるので、空気の流れには影響しない。よく考えられている。
本物のトイレットペーパーと並べてみた | こういう形で重ねて設置することもできる |
排気口がトイレットペーパーの中心の穴と同じ大きさなので、重ねても動作に問題はない | すっかりトイレットペーパーに溶け込んでいる |
しかし、芳香で悪臭をマスクする通常の消臭剤とちがって、置いてすぐに効果が感じられるわけではない。そういう期待をすると、がっかりしてしまうかもしれない。半日ほど置いておくと、そういえば普段より臭いが少ないかなぁ、というぐらいのさりげなさだ。
ファンも常時回っているわけではないので、即効性は期待できない。空気の流通量が少なめなので、狭くて密閉度の高いトイレほど有効だと思う。逆に、いつも換気されているトイレや、広いトイレでは有効性がわかりにくいだろう。
使ってみて、外観も効果も、さりげなく目立たないという性格の製品なのだと思った。そういう意味では、LEDを常時点灯するようにした設計者の気持ちもわかる。このLEDがなければ、存在が忘れられてしまいそうなところがあるのだ。
劇的な効果を期待すると肩すかしをくらう可能性はあるが、強い存在感のある芳香剤になじめない人や、この発想を愛でて楽しむ余裕がある人にとっては、貴重な製品だ。
2010年 12月 14日 00:00
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