やじうまミニレビュー
主婦の友社「シリコンスチームなべつき 使いこなしレシピBOOK」
主婦の友社「シリコンスチームなべつき 使いこなしレシピBOOK」 |
豪華付録付きの雑誌が、すっかり多くなった。書店やコンビニの店頭には、バッグやポーチなどの付録をつけた雑誌が並び、「付録の箱の方が雑誌より大きい」「どっちが付録だか分からない」と思うものが増えている。
そんな中、ついにシリコン調理器具つきの料理ムックが出た。
メーカー | 主婦の友社 |
製品名 | シリコンスチームなべつき 使いこなしレシピBOOK |
希望小売価格 | 1,680円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 1,680円 |
左からパッケージ、レシピブック、スチームなべ |
■価格はかなりお得
電子レンジで簡単に料理ができると話題のシリコン調理器具だが、私はまだ使ったことがない。その大きな理由の1つは、価格にあった。
小さなものでも3,000円台はざらだし、ルクエ、ヴィヴといった有名ブランドだと5,000円台も珍しくない。もしうまく使えなかったら、ただの無駄遣いになってしまう。
今回の「スチームなべ」は1,680円で、しかもレシピブックつきだから、とりあえずお手軽だと思い、購入することにした。シリコン調理器具というものを試してみたいと前から思っていたのだ。
「シリコンスチームなべつき 使いこなしレシピBOOK」は、スチームなべを梱包したケースと、レシピブックからなっている。大きさはA4、厚さは4cm強で、百科事典のような形だ。重さは全体で603g(実測)だ。
全52ページのレシピブックは、背の部分がパッケージと一体化した状態で売られているが、きれいに取り外すことができる。
シリコンなべは、ペタンとたたんだ状態で梱包されていた。たたんだ状態での高さは2㎝ほどだ。素材はゴムのように柔らかく、引っぱると楽に曲がる。以下の動画のように、パタンと伸ばして大きくした。
シリコン素材で軟らかいので、押せば曲がる | 平たくたたんだ常態で梱包されていた | 広げて大きくした状態 |
なべを広げて大きくする様子 |
裏側に加工された凸凹が、マイクロ波の通り道を作るので、効率よく加熱できる |
レシピブックの表2にあるシリコンなべのスペックは、使用時240×200×100㎜(幅、奥行き、高さ)となっている。これはふたを含めたサイズであり、なべ本体の高さは実測で約70mmだ。
裏側に、円周状の凸凹が加工されているが、これが電子レンジのマイクロ波の通り道を作り、効率よく加熱できるという。低温ではマイナス40℃から、高温では230℃まで対応、230℃以下の設定ならオーブン調理もできる。では、さっそく使ってみよう。
■レシピ通りに「アスパラとソーセージのケチャップ炒め」
まずはレシピブックにあった「アスパラとソーセージのケチャップ炒め」を作る。材料は、アスパラガスとソーセージ、玉ねぎだ。アスパラとソーセージは、斜め切りにする、玉ねぎは1cmくらいの太さに切る。
シリコンなべは下の方に熱の通りにくいものを入れるのが基本なのだそうだ。下から順に、玉ねぎ、アスパラガス、ソーセージの順番に重ねて入れる。
そして、ケチャップと中濃ソース、砂糖少々をあわせたものを上からかけ、ふたをして電子レンジに入れる。600Wで4分間加熱する。500Wのときは4分30秒だ。
「アスパラガスとソーセージのケチャップ炒め」の材料 | アスパラガス、玉ねぎ、ソーセージを切ってシリコンなべに入れ、ケチャップや砂糖などを混ぜた合わせ調味料をかける | 電子レンジに4分間かける |
ちなみに、レシピブックには、電子レンジのW数別の加熱時間対応表がついていて、700W、900Wの場合にも応用できる。親切な記載といえると思う。
4分経って、シリコンなべを取り出す。持ち手はあまり熱くならないので素手で持てる気がするが、中からもれる蒸気でやけどをする可能性があるとして、ミトンで持つことが推奨されている。なべ全体が軟らかくてたわむので、熱い料理が入ったものを持ち上げるのは少しだけこわい。
ふたを開けると、香ばしいケチャップの匂いとともに、湯気が激しく上がり、とてもおいしそうだ。ここに、バター10gを加えて、よく混ぜる。バターが溶けて見えなくなったところでできあがりだ。
説明書には、「料理が完成したらそのまま食卓へ」と推奨されている。フライパンなどと違い、鍋底が熱くなりすぎることがないので、食卓にじかに置いても大丈夫だ。
最後にバターを入れて混ぜる | 白い皿に盛りつけた |
レシピブック | W数別の加熱時間対応表がついているので、手持ちの電子レンジにあわせて使える |
「ケチャップ炒め」という料理名とはいえ、全然炒めていないわけなのだが、これがおいしい。フライパンで炒めたときのようなこげた香りはないものの、炒めものでたまに起こるような野菜の火通りのムラがなく、どこを食べても安定しているのもいい。
「炒める」という料理は、フライパンを熱して油を入れ、材料を入れるわけだが、その時「ジャーッ」と激しく水分が反応し、はねる。これがこわいし、手元に熱い油が飛んできそうなので、料理をやりつけない人には抵抗がある。シリコンなべでの調理なら、それがない。
たとえば「お母さんが留守にするときに、ソーセージや野菜をシリコンなべに仕込んで冷蔵庫に入れておき、家族はそれを規定時間チンして食べる」という使い方もありそうだ。冷えたおかずの温めなおしとはひと味違う、できたての味のおかずが食べられるはずだ。
ただ、私の口には少し甘いと感じられた。巻末に離乳食のレシピがあることでわかるように、どちらかというと小さい子供がいる若い家庭向けに作られたレシピなのかもしれない。このレシピをもとに料理する人は、それを頭に入れて味つけを調整すればいいだろう。
■あさりバターを作る
今度は「あさりバター」に挑戦。主材料はあさりとバターだけだ。砂出しのすんだ、水につけた状態で売っているあさりを用意した。まず、あさりをよく洗って、スチームなべに入れ、日本酒をかけて、600Wで3分加熱する。この加熱時間は「あさりとソーセージのパエリア」レシピの、下ごしらえの部分を参考にした。
きれいにフタが開いたところへ、コショウ少々をふり、バターをのせる。あさりの塩気があるので味つけは他にいらない。ソーセージの時のように、そのまま混ぜてバターを溶かしてもいいのだろうが、ここは、あと30秒加熱して、完全に溶かすことにした。
貝の味にバターがからんで、身も、煮汁もおいしい。包丁を使わないし、簡単なおつまみとしておすすめできる。
あさりバターの材料 | 3分であさりが開くので、バターをのせる |
■白菜と豚肉、きのこでなべものを作る
次は、いま冷蔵庫にあるもので、煮込む料理を作ってみることにした。材料を入れる順、加熱時間などは、レシピブックの「白菜と鮭の蒸しなべ」「豚肉とキャベツのなべ」を参考にした。
シリコンなべに、豚薄切り肉と、大きめにザクザク切った白菜を交互に重ねる感じで入れ、最後に火の通りやすいシイタケとエノキをのせて、市販の寄せ鍋スープをひたひたにかける。600Wで10分加熱する。
最初は、野菜がかさばってふたが閉まりきらないが大丈夫だ。火が通るにつれて野菜がしんなりするので、自然にふたが閉まる。
10分経ったのでレンジから取り出した。今回は、ケチャップ炒めやあさりバターと違って、熱い煮汁がたっぷり入っていて重いので、さらにちょっと扱いに慎重を期す必要がある。
白菜と豚肉、きのこでなべものを作る | 10分加熱でほどよく煮えた。きのこは一番上に置いたので、しゃっきり感が残っている |
これはおいしい。白菜はよく煮えているし、豚肉は固くならないでほどよい食感だ。一番上にのせたキノコは、火が通りすぎずしゃっきりしている。普通の鍋に、全部の具材を入れて10分煮ただけでは、このような円満な仕上がりにならない。強火でやれば早く煮立つだろうが、肉は固くなるし、きのこは縮んでしまう。
具を食べてしまったあとのスープに、冷凍うどんを入れて食べることにした。加熱時間の見当はわからなかったが、自己責任で、600Wで5分加熱してみた。
5分経過、よく湯気があがっておいしそうになったが、まだ、ほぐれないで少し固まっている。そこで、うどんをよくほぐしておいてから、もう1分加熱してみたところ、うまくいった。熱々のスープがからんで、とてもおいしい。この鍋の購入は大成功だと確信した。
白菜を切ることと、えのきの根を切るほかは、あまり包丁を使わないし、加熱時間さえ気をつけておけば、コツも何もいらない。ふだんあまり料理をしない一人暮らしの人にも向いていると思う。シメのうどんで食事としても完成だ。
冷凍うどん、市販の粉末うどんスープ、総菜のかきあげで作った天ぷらうどん | やはり水から加熱 |
■インスタントラーメン、冷凍ごはんのあたためも
さらに、もっと簡単な料理、インスタントラーメンを作ってみた。これはもちろんレシピには載っていない。
袋の表示通りの水をシリコンなべに入れ、麺を入れてふたをし、600Wで5分加熱した。レンジから取り出して、粉末スープを入れてよく混ぜたらできあがりだ。普通に作ったのと同じようにちゃんとできた。
この「インスタントラーメン、水から入れてチン」は、普通のドンブリに入れてラップをかけたのではうまくできない。以前、好奇心からやってみたことがあるのだが、10分近く時間をかけても麺がうまくもどらなかった。それに比べ、シリコンなべは有効だといえる。
インスタントラーメンを作ってみた | 水を入れて加熱してみたら、うまくできた |
今度は、ごはんの解凍を試した。前夜食べ残したごはんを、シリコンなべに入れて冷凍しておいた。これをレンジにかけて温める。
これもレシピには記載がないので、調理時間に少し迷ったが、試しに「オート」でやってみたところ、うまくできてしまった。
うちのレンジの「オート」は、ちょっとムラがあって、市販の冷凍食品の調理をする時など、まん中がまだ冷たいことがあるのだ。しかしシリコンなべの熱効果だろう、むらなくホカホカに温まった。
ソーセージ炒めのところでも感じたが、「むらなく加熱できる」というところが、このスチームなべの長所の1つである。
ごはんを入れて冷凍する。シリコンなべはマイナス35℃までの低温に耐える | 凍ったまま、レンジで解凍。むらなくホカホカに温まった |
■欠点もあるが便利なグッズ
使ってみて、慣れにくい、違和感があると感じたところは、「材質が軟らかい」ということだった。もちろん、材質が軟らかいというのは、シリコンだから当然ではあるが、いくつか困ったことがあった。
たとえば、使用後にスポンジで洗うときだ。くにゃっとしてつかみどころがなく、キュッキュッとこすりにくいため、何だか洗ったような気がしない。両手で持ち上げて洗うのではなく、流しに置いて押しつけるように洗うと、わりとこすりやすいようだ。ちなみに、高温に耐えるので食器洗い機にも対応する。
また、調理時にも、材料を入れて持ち上げると、わずかにたわむ。テーブルの上で動かすと、微妙だがゆがむ。そのたびに「あれっ」と、ほんの少しだが奇妙な気持ちになってしまう。「調理器や食器が軟らかい」という事態に、人生で初めて出会ったので、頭ではわかってもなかなか気持ちがついていかないらしい。
派手できれいな赤色も、食べ物によってはおいしく見えない時があって気になる。このことは、シリコンなべで料理したものを普通の食器に移しかえることで解決できるが、「加熱調理にも、そのままテーブルに出して食器としても使える」というせっかくの良さを活かせなくなってしまう。
使用上の注意としては、電子レンジ用の調理器具なので、直火にかけてはいけない、という点。そんなことする人がいるのか、と思う方もいるかもしれないが、 「なべの形をしている」というのがクセモノで、少しぼんやりした人なら直火にかけかねない。これについては、レシピブックの冒頭にある使用上の注意「必ず知っておきたい12のポイント」の 11番目に挙げられている。ただ、他の項目に比べ、扱いが小さく、写真もないので、パッケージの外側とか、レシピの表紙に、もっと大きく書いておくた方が良いと思う。
と、細かいことを言ってしまったが、色々な使い方を試してみて、電子レンジ向けの調理器具として優秀だと思った。とにかく「早く熱が回る」「むらなく調理ができる」ところが大きな魅力だ。マイナス40℃から230℃までと、低温から高温まで耐えるので、冷凍から高温調理までこなせるのもポイントが高い。「シリコン調理器に興味がある。使ってみたい」という人なら、試しに買うのを大いにおすすめする。私自身使ってみて楽しかったし、おいしかった。相性が合えば、とてもいいキッチンツールになるだろう。
2010年 11月 10日 00:00
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