やじうまミニレビュー

京セラ「セラミックぺティナイフ」

~扱いやすく、さびない小包丁
by 但見 裕子


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


京セラ「セラミックぺティナイフ」

 独身時代、セラミック包丁を使っていたことがあった。手入れが楽で、切れ味が良いところが気に入って重宝していた。ところが、ある日そのセラミック包丁をキッチンの床に落としてしまい、真っ2つに割れてしまったのだ。「包丁が割れる」という事態にかなり心が驚いたものだ。

 セラミックが陶器だという知識は何となくあったが、包丁の形をしたものが割れるというのはちょっとショックだった。金属の包丁は、欠けることがあっても、割れることはないからだ。

 今回紹介する「京セラ セラミックペティナイフ」は、そのセラミックならではの割れやすさを改良し、強さを10倍(同社比)にした製品だという。



メーカー京セラ
製品名セラミックナイフ(ぺティナイフ) FKR-130X-FP
希望小売価格オープンプライス
購入場所楽天市場
購入価格3,810円


 同社ホームページによれば、セラミックは非常に硬い材質である反面、金属に比べ靱性(粘り)値が低いため、衝撃に対するもろさがあった。京セラでは、セラミック材料の改良によって粘りと強度をアップ、さらに刃の形を工夫し、万一落としたときの衝撃をやわらげるようにしたという。

 ちなみにペティナイフとは、小型包丁というほどの意味で、手に収まりやすく細かい仕事に向いているといわれている。大きさ的には「果物ナイフ」より少し大きいものを想像してもらうといいと思う。

パッケージにはこのように収納されている握り手には、握りやすく滑りにくいラバーグリップを使用上から、一般的な金属の包丁、京セラのぺティナイフ、30cmの物差し

 ホームページに「超軽量」と書かれているだけあって、本体重量は58g。今使っている金属製の万能包丁が144gなのに比較すると、重さは2分の1以下で、とても軽くて持ちやすい。

 刃渡りは約13.5cm、全長は約25cmだ。

 実際に握ってみると、軽く手に収まり、とりまわしが楽な印象だ。白いセラミックの刃はとても薄く、刃の裏側を手でさわってみると透けて見えるほどだ。いわゆる金属包丁、刃が銀色に光り、刃渡りが大きい包丁は、使い慣れない人には見るだけでこわい印象があるものだ。しかしこの製品には、その種の圧迫感がない。昔使っていたセラミック包丁に比べても、軽くて薄い印象で、製品の進化を感じた。

上から見たところ。刃が非常に薄いこのように裏側が透けて見える。貼りついているのはショウガ

 実際に使ってみよう。とりあえず、日常的な料理として「豚ロースのショウガ焼き、刻みキャベツ添え」を作ってみた。

 まずは、つけ合わせのキャベツを刻む。ストストといい音がして、うまく刻める。刃の薄さが有効に働いているようだ

 次はショウガだ。皮を気持ちよく、くるりと剥くことができた。りんごの皮を剥くときのように、抵抗なく刃を進めることができた。ショウガは繊維質か強く、固い野菜なので、いいかげんな包丁ではこうはいかない。

 皮を剥いたショウガをすりおろしたら、次はお肉の準備だ。豚ロース肉を焼くときは、脂身と赤身の間の筋を何カ所か切っておくと、きれいに焼ける。筋を切らないまま焼くと、加熱中に筋が縮んでねじ曲がってくるため、肉がめくれ上がってきてしまう。筋を切っておくことで、焼きやすくなり、お皿に盛った時の見栄えもよくなる。

 この筋切りも、包丁の先でチョンと入れるだけで楽にできた。

キャベツを刻んだところ固いショウガの皮がすんなりむけた肉の筋を切る

 お肉をフライパンで焼き、おろししょうが、料理酒、しょうゆを入れて焼きつけて、キャベツを添えた。

焼いて完成

 次に試したのは、スズキの薄造りだ。マグロやカツオのような赤身の魚は、やや厚く切ってお醤油で食べるのがおいしいが、白身の魚を薄めに切ってポン酢で食べるのがおいしい。

 腹身の方のやわらかいところは少し難しかったが、尾の方に近い固いところはきちんと包丁目を立てて切ることができた。料理屋さんに比べれば、当然見劣りするが、家でするわりには相当程度のいい薄造りができた。

 食べてみても、切り身の断面がなめらかで、角が立っている感じがする。ポン酢とともに添える青ネギも、トントンと大量に切って添え、おいしく食べることができた。

スズキの刺身を切る刺身のカドが立っている薬味のネギも気持ちよく切れた

 普通の包丁よりサイズが小さいぺティナイフ1本で、ここまでできれば上出来だ。ゴボウなどの固いものから、コンニャクなどの柔らかいものまで十分対応できた。お刺身を含め一通りの料理は十分にできると言い切っていいと思う。

 また、手入れが楽なこと、金属と違って「絶対にさびない」こともポイントが高い。

 金属の包丁の場合、レモンなど酸っぱい果物で包丁がさびてしまう。切ったあとは必ず水で流しておかなければいけない。

 セラミックなら切りっぱなしでしばらく置いておいても何の問題もない。さらには、漂白剤でつけおき除菌をしてもいいし、食器洗い乾燥機で洗い、乾かすこともできる。

 もちろん、できないこともある。1つは、カニの殻、骨つき肉、カボチャなどの固い食材に用いることができないというところ。欠ける可能性があるので使ってはいけない。

 もう1つは、砥石で研ぐことができないということだ。セラミックは非常に固い特性を持っているので、切れ味が長いこと変わらないが、永遠にというわけにはいかない。長年にわたって使っているうちに切れ味が最初ほどではなくなってくるらしい。

 この製品には、その場合に備えて無料研ぎ直し券がついている。包丁にこの券を添えてサービスセンターに送ると、一回限り無料で研ぎ直してくれる(2回目からは1,000円負担)。

 切れ味がいいことももちろんだが、手頃な大きさで扱いやすいことと、手入れの楽なことが、それ以上に印象に残った。1人暮らしをはじめたのでとりあえず包丁が必要だという人は、これ1本だけ持っていればたいていのことはできるし、先々楽に使っていけると思う。

 また、料理は好きだが実際に料理する頻度が低い人、あるいはキッチンの道具は数少なくシンプルにしたいという人にも、おすすめできると思う。




2010年 6月 25日   00:00