やじうまミニレビュー

ぺんてる「ビクーニャ」

〜まるで水性ペン! 書き味なめらかな油性ボールペン
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ぺんてる「ビクーニャ」
 ボールペンというと、鉛筆、シャープペンに並んで、もっとも広く使われている筆記用具の1つだ。ボールペンにはインクの種類ごと、油性、水性、ゲルインクの3つに分類されるが、それぞれに特徴がある。油性は書いた後、落ちにくく、にじみや裏移りが少ないが、水性インクに比べ粘りがあるため、伸びが悪い。一方、水性は伸びがよくなめらかに書けるが、書いた面をこするとすぐにインクが落ちてしまう。

 そして、水性のインクに粘りをつけ、両者のいいとこどりを目指したのが、ゲルインクである。ゲルインクは1990年代に登場して以来、一気にボールペンの主役へと踊り出た。そうした状況がしばらく続いたが、それを打ち破ったのが、純油性で滑りもよいという、2006年に発売された三菱鉛筆のジェットストリームである。ジェットストリームは文具通の口コミをきっかけにヒット商品となり、一気に三菱鉛筆の顔となる製品になった。それから3年、ぺんてるが“ジェットストリームキラー”として投入したのが、今日紹介する油性ボールペン「ビクーニャ」である。


メーカーぺんてる
製品名ビクーニャ
購入価格157円
購入店舗伊東屋

 ビクーニャは、0.7mm軸、黒・赤・青の3色が用意された、油性ボールペンだが、結論から言おう。こんなに滑りが良く、発色が良い油性ボールペンは初めてだ。さすが、後発で出すだけあって、私が普段、気に入って使っているジェットストリームに比べ、滑りの良さは確実に上回っているし、発色も同等かそれ以上と断言できる。

 

グリップ部分はラバー製芯は交換できる現在は0.7mm、黒・赤・青がラインナップされている
 特に驚くのがまるで水性ペンのような書き味の軽さ。油性ボールペンにありがちなゴリゴリっという、筆圧を強めにかけなければいけない感じが全くない。同じことはジェットストリームが登場したときにも感じたことだが、この滑らかさはその上を行く。

 また、発色も美しい。具体的に言えば、色が濃い。従来型インクの油性ボールペン(トンボ リポーター)、ジェットストリーム、ビクーニャを比べてみたのが下の画像。文字の鮮明さがはっきりと、リポーター<ジェットストリーム<ビクーニャ、となっているのがわかる。

 

3色を比べたもの。画像はトリミング以外、補正していない
黒インクを比較したもの。画像はトリミング以外、補正していない
コピー用紙だが、裏移りはない
 色を濃くするのに一番簡単なアプローチは、インクの流量を増やすことだが、増やすと滲みや裏移りの原因となる。量を絞りつつ、いかにきれいに見せるかがメーカーの腕の見せ所。先ほどの比較で一番濃く見えたビクーニャだが、コピー用紙で試すかぎり、裏移りも滲みもない。

 次に、コピー用紙より紙が薄い、手帳で試してみた。サンプルは1日1ページなのに厚みがなく、紙質がよいことでも知られる「ほぼ日手帳」だ。結果から言うと、やはり滲みも裏移りもない。だが、色が濃いことは確かなので、透けて見やすい。このあたりはペンの質うんぬんではなく、適材適所がある、ということになるだろう。

 

ほぼ日手帳(2009年版)に黒インクで書いてみた裏移りはないが、インクの濃さの順に目立つことは確かだ
 また、一般的に油性ボールペンが苦手とする書き始めのインクの出過ぎ、もしくはかすれだが、これもほとんどない。この点はライバルのジェットストリームも同様で、サンプルの写真を見れば、普通のボールペンがかすれてるのに対し、残りの2つははじめからきっちり色が出ていることがわかるだろう。

 発表資料によると、この滑らかさは従来の油性ボールペン用インクの約1/40の粘度となる、新開発のインクがキモだという。インクの成分から、水性のような粘度のインクを送り出すペン先のチップに至るまで、ゼロから開発することで実現したということだ。

 というわけで、明らかに書き味、そして発色で普通の油性ボールペンを凌駕するこのビクーニャだが、今、ジェットストリームに劣る点は製品のバリエーションだろう。ビクーニャは黒、赤、青の3色、そして0.7mm軸、単色ペンだけである。ここからさらに、緑や0.5mm軸、多色ペンなどへの展開を期待したい。なかでも、近年のボールペンの流行は、ペン先の細いものが牽引している。手帳など、細かい文字の筆記に適した0.5mm軸への対応は急務だろう。

 これまで、普通の油性ボールペンしか使ってこなかった人に、ぜひ一度、店頭で試して欲しい製品だ。






2010年 3月 19日   00:00