やじうまミニレビュー

住友スリーエム「落下抑制テープ 書棚用」

~貼るだけで本やファイルが落ちにくくなるテープ

やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです

書棚から本やファイルが落ちることを防ぐ

3M「落下抑制テープ 書棚用」

 社会人になりたてのころに住んでいた部屋は、6畳間に書棚を5本入れていた。敷きっぱなしの布団は、書棚に囲まれており、少し大きめの地震があると、本が数冊落ちてきた。

 その後、阪神・淡路大震災があり、その教訓から、書棚と寝室を分けるようにしたが、それまでに大きな地震が来なかったのは、運が良かったと思う。過去の地震では、書棚から落ちた本に埋もれて犠牲になった方もいらっしゃるからだ。

 また、東日本大震災のとき、編集部の入っているフロアは2階だったので、ほとんど被害がなかったが、ビルの上の階では、多数の棚からファイル類が飛び出して、床一面に散らばり、後片付けに、何日もかかっていた。人的被害はなくても、手間を考えると、なんらかの対策があっても良いだろう。

 住友スリーエムが3Mブランドで出している「落下抑制テープ 書棚用」というテープは、そういう用途に向けた製品だ。扉のないオープンタイプの書棚から、本やファイルなどが飛び出さないようにするという。図書館でも多数採用されているというので、編集部のフロアにある書棚で試してみた。

メーカー住友スリーエム
ブランド3M
製品名落下抑制テープ 書棚用 GN-180
希望小売価格976円
購入先Amazon.co.jp
購入価格740円

スチール家具に最適、カラーボックスは不適

 落下抑制テープのパッケージは、高さ5cmぐらいのクリアケースで、手の平に載る大きさだ。

小さなクリアタイプのパッケージ
「落下抑制」「地震対策」などの文字が大きい
スチール家具に向いている

 このテープに向いているのは、凹凸がない金属やガラスとされているので、スチール家具が最適だ。逆に、凹凸があるものや、無垢材、プラスチックなどは向いていない。家具でいうとカラーボックスなどは向いていないという。

 テープの幅は25mmで、長さは180cmある。家庭用の普通の棚は、90cm幅のものが多いから、1パッケージで棚2つ分というわけだ。大量に使用する場合には、長さ9mという業務用の「GN-900」(希望小売価格:4,200円)という製品もある。

 テープ自体は、少し厚みのある柔らかい素材で、色は透明というよりは半透明に近い。あまり目立たないが、貼ってあることはわかる、という感じだ。テープの糊は片面で、台紙が付いている。

テープはごく小さい巻だ
台紙が付いているので、テープは黄色に見える
裏面に台紙が付いている

取り付けは簡単、真っ直ぐに貼ることだけ注意

 さっそく取り付けてみる。

 まず、ぞうきんやウェットティッシュなどで、棚の貼り付ける部分を掃除する。オフィスの棚などは、意外と汚れているので、予想外に手間がかかった。

今回試した本棚。ごく一般的なものだ
貼り付けの手順

 棚の幅に合わせて、テープをハサミで切る。続いて、テープから、少し台紙を剥がし、端から貼っていく。

 落下抑制テープは、少し厚みがあるので、あまり曲がらず貼りやすい。それでも、少しずつ貼っていく方がうまく貼れる。

 テープが全部貼れたら、乾いた布などで軽く撫でる。うまく圧着すると、透明度が上がって、目立ちにくくなる。

 作業は簡単で、パッケージの注意事項さえ読んでおけば問題はないだろう。棚からはみ出さずに、真っ直ぐに貼ることだけ注意しておけば良い。

ウェットティッシュで、貼る場所をきれいにする
テープを棚にあてて、ちょうど良い長さで切る
テープから台紙を剥がす
棚の端からゆっくりと貼っていく

表面の抵抗が大きく、効果はある

テープの表面には抵抗があり、本を引き出そうとすると止まる。ベトついたりはしない

 棚に貼ったテープの表面は、ちょっとゴムのような感触で、かなり滑りにくくなっている。ただ、表面は粘着質ではないので、ベトベトしたり、ホコリがつきやすくなったりはしない。

 指で撫でてみても、スベスベとしたスチール製の棚に比べると、表面の抵抗が大きいのが良くわかる。本を棚から引き出すときも、ガクッという感じで止まる。

 もちろん、このテープを貼っておけば本が落ちないというわけではない。まず、書棚自体がきちんと固定されていなければ、棚ごと倒れてしまう。

 また、文庫や新書などでは、テープの部分を飛び越えてしまうことも考えられる。小さい本よりも、ファイルや大判の単行本の方が、より有効だろう。パッケージにも、「この落下抑制テープは棚から書類が落下するリスクを低減させますが、落下抑制を100%保証するものではありません」と書かれている。

 単に地震の際に、ファイルや本が飛び出さなければ良いというのであれば、扉の付いたスチールキャビネットを使えば良い。しかし、扉のないオープンな書棚は、その背表紙の並び自体が1つの情報であり、できれば扉で閉めたくない。また、オープンにしていることで、その部署なりスタッフの共有資産であるということを示しているので、そういう意味でもオープンな書棚をゼロにすることは難しい。

 とりあえず、オープンな書棚の被災リスクを下げるという意味で、1本買って試して見ることをお勧めしたい。

伊達 浩二