やじうまミニレビュー

住友スリーエム「スコッチ チタンコート シザーズ 1468」

~粘着テープもサクサク切れる高級ハサミ
by 小林 樹


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


耐久力がありベトつかないハサミ

3M/住友スリーエム「スコッチ チタンコート シザーズ 1468」

 「ハサミの正しい使い方は、ハサミじゃなくて、紙のほうを動かしながら切るのよ」そんな幼稚園の先生の言葉に発奮して、空の雲の形や、花びら、飼育小屋にいたウサギの形を切り抜いていた時からウン十年。会社に勤めてからは、送られてくるダンボールの山にハサミの刃をつきたてるようになった。

しかし日頃、送付物を梱包したり、開封していると、テープの粘着物質がハサミの刃にベチョッとくっつく。ハサミの切れ味も悪くなるし取れにくいし、困り果てていた。今回はそんな悩みを解決する高性能のハサミを紹介したい。




メーカー住友スリーエム
製品名スコッチ チタンコート シザーズ 1468
希望小売価格1,890円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格1,877円

 このハサミは希望小売価格が1,890円と、ハサミにしてはかなり高級な部類に入る。そのぶん錆びに強く、シャキッとした切れ味が長く続くように、刃に高硬度チタン合金がコーティングされている。さらに、刃にシリコーン加工が施された「ベタつき防止加工」までされているという。

 カラーは柄から刃までがシックなブラウンで統一されていて、価格なりの高級感が漂っている。刃とグリップ部が一体化したデザインだ。ラバーグリップ部はややアイボリーに近い落ち着いたホワイトで、洗練された印象を受ける。この優れたデザインは「日本文具大賞」の第19回デザイン部門優秀賞にも選ばれている。材質は、柄がポリプロピレンとオレフィン系ゴムで、刃が刃物用特殊ステンレス鋼の高硬度チタンコーティングだ。

パッケージ背面。「シャープな切れ味が持続」と「テープ・のりがつきにくい」と訴求している柄から刃までブラウンで統一されている。白いグリップとのコントラストが美しいチタンコートされた刃先は高級感がある

普通のハサミにはない安定感

刃を開いたときの、シャキッシャキッという感触が期待感を高める

 さっそく握ってみる。サイズは213×77×85mm(長さ×幅×刃渡り)。手の小さい女性が日常的に使うには、やや大きい感じがする。長時間持てないというほどではないが、一般的なハサミに比べると少し重ためなので、紙一枚を切るだけなら重装備かもしれない。ただ重量感があるぶん、グッと握った時も安定しているので、紙をまっすぐ切りたい時や、ダンボールなどの大きな相手に立ち向かう時には心強い味方になってくれそうだ。

 ホワイトのラバーグリップ部には、ラバーゴム特有の手になじむしっとり感がある。滑りにくく、触れた指にしっくりくる。硬いものを切るときや、長時間使っても、指が痛くなりにくそうな絶妙な柔らかさだ。ただ、注意したいのは、この素材は結構よごれやほこりがつきやすいようだ。このレビューを書いている数日間デスクの上にハサミを置いていたが、ラバーゴム部分にほこりがついてしまう。化粧直し後に持ったら、アイシャドーのラメがついてキラキラしていた。

 実際にハサミを構えて動かしてみると、刃と刃の噛みあわせが非常に良いのがすぐわかる。安いハサミだと噛みあわせがスカスカで、切れ味も悪いことが多々あるのだが、このハサミには独特の重量感があり、刃と刃がじりじりと隙間なく重なり合っていく。刃を動かしてもブレがない。このハサミを動かした時のシャキシャキ音は、いつものハサミよりも少し低めで落ち着きを感じる。

 まずは普通のコピー用紙を切ってみる。1枚2枚と重ねて行って、4枚、8枚と切っていくと、16枚までならなんとか重ねて切れる。ハサミが大きくグリップがしっかりしているので力が入れやすいのだ。ただ、これだけの枚数になるとさすがに断面が乱れてしまうので、普通は数枚重ね程度で使う方がいいだろう。

 次に、普通のハサミでは切れにくいティッシュペーパーを試して見る。これもサクッとまっすぐに切れる。安物のハサミでは、ティッシュが刃の間に挟って切れにくいが、このハサミでは2枚の刃がうまく噛み合って紙が逃げない。

 さらに手ぬぐいにも挑戦した。普通のハサミだと、布が刃から逃げてしまって切りにくいのだが、このハサミではスムーズに切れた。4枚重ねにした状態でも、問題ない。ペーパータオル、ダンボールなども試してみたが、切れ味の良さは変わらなかった。

普通のコピー用紙を16枚重ねて切ったところティッシュがサクッと切れるのには驚いた重ねた手ぬぐいも、裁ちばさみのようにすっきり切れた

 切る素材の薄さや厚さを選ばずに何でも良く切れるのは、さすが2,000円近くするハサミだけのことはある。

テープがくっつかないからサクサク切れる

 このハサミの、もう1つの特徴である、「ベタつき防止加工」の効果を検証してみよう。

 まずは、ガムテープを切ってみる。粘着面を上にして刃を入れても、全くベトつかない。どんどん切ってみた。50回切ったらさすがに刃に少し粘着物質がついたが、ペーパータオルや爪先でこすればすぐ除去できた。刃を立てて切れば、薄い紙を切る時に近い切れ味の良さを体感できるだろう。

普通の紙を切っているようなサクッとした切れ味だ

 もう1つ、同じ住友スリーエムから出ている「透明梱包用テープ 48mm幅×50m巻 313」を切ってみた。ベタつき防止加工の効果が、同じブランドのテープにきちんと対応しているのか確認したかったのだ。

 刃を入れると、いたって普通の感触で、なんら問題なくまっすぐに切れた。が何度か切っているうちに、刃にテープがまとわりついてきた感じがした。刃先に目をやると、ネバッとしたテープの粘着物質が少しついていた。もちろん、普通のハサミと比べたら圧倒的にベタつきは少ないし、こすればすぐに取れるのは、ガムテープと同様だ。

 この、ベタつき防止加工は、まったくべたつかなくなるというのではなく、べたつきが刃に付きにくく、ついた場合でも簡単にぬぐい去れると受け取った方が良さそうだ。

テープとハサミ刃を入れる瞬間粘着テープを切ると、多少の汚れは残ってしまう

家庭からオフィスまで幅広く使えるハサミ

 いくら良く切れるハサミでも、すぐに切れなくなってはしょうがない。その点、この製品はパッケージに「10万回切断できます」と謳われている。数日の使用で検証できる数字ではないが、色々な素材に対応でき、かつ何度切っても切れ味が落ちないというのは実感できた。この数字を信用してもいいかなと思える機能の高さと質感は確かにある。

 このハサミは、一般的な事務用ハサミよりも小さな力で大きなものが切れるので、手にかかる負担が少なく済み、長時間の作業に適していると言えよう。オフィスでダンボールを開ける作業や、何枚も厚紙を切るような軽作業の時に助けとなってくれそうだ。

 もちろん家庭用にも使える。通販をよく利用する人は開封時の手間が省けるだろうし、ゴミの分別で厚紙やプラスチックを切り刻んで細かくしたり、古い布きれを切って雑巾にする時にも重宝するはずだ。

 個人的な話をすると、私はオークションで競り落とした商品や贈り物などの小包が、端をまっすぐに切りそろえてあるテープで包まれていると、気分がいい。こんな高級なハサミでテープの端を切りそろえて、心を込めて贈り物をする余裕を持ちたいと思った。

 100円ショップや近くのコンビニに行けば、安いハサミはすぐ手に入る。でも、こういうちょっとモダンでおしゃれな高機能な道具を職場のデスクのペン立てにさしておくだけで、少しだけ仕事のモチベーションが上がる気がするのだ。




2010年 8月 4日   00:00