●“みっしり感”が解消できそうな、静かなエクササイズを求めて

ショップジャパン「LEG MAGIC X」

　鏡に映る自分のボディラインを見て、これは真剣にまずいと認識したのは、徐々に太陽の日差しが強くなった初夏のある朝である。夏用のTシャツを出して着てみたところ、昨年ちょうどよかったシャツの中に、自分がみっしり詰まっているではないか!　太った人間にとって夏のシャツは風通しが大事。ピッタリしたシャツを着ていると、それだけで地球温暖化に貢献してしまいそうだからだ。

　自宅に引きこもっては座りっぱなしの毎日なので、やはり運動せねば。過去に「コアリズム」に挑戦し、確かにウエストが引き締まるのを実感したが、木造家屋の2階という筆者の住宅環境で激しい運動はかなり迷惑だ。以前は寝静まった深夜に挑戦していたが、真夜中にハードな運動を続けていると、翌日疲れが抜けにくくて困るはめに(苦笑)。　運動するなら若くないこともしっかり認識せねばならない。

　そこで選んだのが本誌でも過去に清水理史氏がレビューされた「LEG MAGIC」である。簡単に言えば、マシンの上にのって足を左右に動かすだけのエクササイズマシンだ。これならドンドン音を立てなくて済むし、振動で周囲に迷惑をかけることもなく、体幹や内ももなど、普段鍛えにくい筋肉を刺激できそうだ。なにより1日3分というのがいい(笑)。　現在では「X」に進化したということもあり、5月下旬頃に入手した次第である。

●より保管しやすいようリニューアル

「LEG MAGIC X」のパッケージ。大きな箱で驚いた

　筆者が購入したのは、DVDが1枚付属するだけのシンプルなタイプ。構成はメインユニットにハンドルバー、足に取り付ける前キャップ2個、後キャップ1個、ハンドルバーやキャップをメインユニットに固定するネジ3本に、T型プラスドライバー、そしてDVDだ。

　開梱したらハンドルバーと、メインユニットに前キャップと後キャップ、ハンドルバーを取り付ける。組み立ては意外と簡単なので、女性でも一人でできるだろう。ただし付属のドライバーではネジ穴がダメになりそうだったので、自前のマイナスドライバーを使用した。

取り出してみると、意外とコンパクトだった	付属のネジで各部品を取り付ける。ドライバーは付属だが、ネジ穴がつぶれそうだったので、自前のマイナスドライバーを使用している

　「LEG MAGIC X」に進化して変わった点といえば、色はもちろんだが、ハンドルバーにクッションが加わり、レールの端に「ストッパー」がつき、「ホルダーストラップ」がついて、折りたたんだ際にレールを固定できるようになったため、保管しやすくなったことである。音のうるささについてはあまり気にならなかった。外側のストッパーめがけて思い切りスライドさせればそれなりに音は出るが、そもそもエクササイズ上では音が出るほどぶつけてはいけないのだ。

旧バージョンからはハンドルが改良された	レールにはストッパーがついた

折りたたんだところ	勝手に開かないように「ホルダーストラップ」がついている

●付属のDVDはかなりハードだった!

DVDでエクササイズするときはヨガマットがあると便利

　付属の「インストラクションDVD」では、世界的なフィットネスエキスパートというロザリー・ブラウン氏による13分間のエクササイズが紹介されている。彼女の指示に従って一緒にエクササイズすることで効果的に脂肪を燃焼させようというものだ。

　「LEG MAGIC X」を1分、降りてワークアウトを1分、再び「LEG MAGIC X」で1分、というように、1分ずつ交互に筋トレが入るのである。「LEG MAGIC X」での動きも、都度振り幅を変えたり、スピードが変わったりと変化に富んでいる。最終的に腹筋や腕立て伏せも含まれるため、マットがあるほうが便利なようだ。まともに続けていれば間違いなく引き締まるだろうというのは見ていて分かった。

　しかしやってみるとこれがかなりキツい!　「たった13分で」というが、運動不足の人間にとって足を休みなく動かし続けるというのはかなり酷である。サーキットトレーニングジムでも、同じ部位への負荷が続くと疲労で動かなくなってしまうため、できるだけ分散させるよう配慮されていた。それがDVDではひたすら足に負荷をかけ続ける。後半、腹筋や腕立て伏せも含まれるが、やはりメインは足だ。最初からついて行けると思わないほうがいいだろう。自分のペースに合わせて休んでよいことになっているので、素直に従うほうがよい。しかし画面の中のロザリー氏は顔色1つ変えず、笑顔のまま13分間動ききっている。しかもしゃべりながらである。そのプロ根性に脱帽だ。

　もしDVDのエクササイズを行なう方は、「LEG MAGIC X」用のスペースに加えて、ヨガマット1枚分のスペースも必要だ。タタミ2畳分といったところだろうか。

●初回は1分も持たず……想像以上に負荷がかかる!

　まず1分間試したところ、最初の10秒で音を上げそうになった。テレビコマーシャルでは軽々やっているように見えるが、想像以上に内ももと股関節付近の筋肉を使う。最後の10秒は握っているバーに体重のほとんどを預けないと続かないくらいだった。

　1日合計3分間ということなので、最初の1週間は1分の休憩を挟みながら、まとめて3分やってみた。内ももの筋肉は確実に成長しているのは分かったが、体型が変わったような気はしなかった。連続してやると3セット目が相当つらい。

初めて利用したときの様子。たるんでいることもあり動きも重くぎこちない。音を確認するためにあえてレールの両サイドにぶつけているが、本来はストッパーにあたらないように動かさなくてはいけない

　2週目は劇的な効果を期待し、DVDを見ながら13分間のエクササイズに挑戦してみた。毎回終わるとぐったりしてしまうので、行なうのは1日の終わり、特に入浴前だ。かなりの発汗を伴うので効果を期待したが、数値上は期待するほどの成果は得られなかった。足の疲れで途中でめげそうになるため、筆者の体力では日々のモチベーションの維持が難しいというのも気になった。DVDは1分間が多少楽に感じられるようになってからチャレンジしたほうがいいかもしれない。

　そこで3週目からは、スタンダードな方法に切り替え、1日のうち3回、適当なときに1分ずつ乗るようにしてみた。DVDで紹介されていた動きを参考に、初回は普通にスライドさせ、2回目はレールの外側で、端にぶつけないようにしながら細かく動かした。3回目はゆっくり6つ数えながら内側にスライドさせ、7、8カウント目でゆるめるようにした(外側にはぶつけない)。できればアームを握らず動かすというのも時々意識してみた。これは結構続けやすい。やはり素人には1回1分を1日3回というのがちょうど良いようだ。

●焦らず長期間続けていると、じわじわと効果を実感

　使い始めてから1カ月半が経過しているが、途中で何度かサボってしまったこともあり、今のところ体重は開始した当初に比べて1kg少々減った程度で、体脂肪ともども大きな変化はない。しかし、Tシャツを着たときに、ゆとりを感じるようになった。背筋を伸ばすよう意識したことで、背中を中心に引き締まってきたようなのだ。また両足の外側と、お尻の上の部分のラインにわずかな変化を感じている。サイズダウンには至っていないが、「垂れないボディ作り」には効果ありそうだ。さらに、内ももにもハッキリとした筋肉が感じられるようになった。筋肉ができるということは基礎代謝量に影響するのでいいことである。

　もちろん向き不向きもあるし、結果には個人差がある。体質によって効果の出方も違うだろう。筆者の場合、もともと筋肉量は平均以上あるが、頑固な脂肪も全身に満遍なく蓄えているという固太り体質のため、一筋縄ではいかないのは認識している。しかも仕事柄作っては食べるという減量には不向きなライフスタイルなので、“痩せる”というより、“これ以上太らない”方向に作用してくれているような気もしている。

　家から一歩も出ないという日が3～4日続いたりする運動不足な生活において、省スペースで運動可能な「LEG MAGIC X」は結構ありがたい存在だ。過去にステッパー系のマシンも試したことがあるのだが、「LEG MAGIC X」のほうが続いていることからしても、筆者には向いているようだ。

　最近では当初に比べて持久力がつき、動きにキレも生まれつつある。ここで止めたらもったない。年齢的にもかなり痩せにくい体質になっているため、今後はストレッチやマッサージを組み合わせながら継続し、筋力を落とさず脂肪が落ちるよう努力したいと考えている。