藤山哲人のモバイルバッテリー診断

Anker「Astro M3」

〜スリムで大容量なAmazon大人気モデル【訂正版】

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)

【お詫びと訂正】初出時にバッテリー容量を「18,000mAh」と誤って記載しておりました。お詫びして訂正させていただきます。バッテリー効率も再計算し「72%」が正しい値となっています。また、図版類についても差し替えております。ご迷惑をおかけした皆様にお詫び申し上げます。(編集部)

 今回紹介するのは、モバイラーに安く高性能と評価の高いAnker社の製品。中でも愛用者が多い13,000mAhという大容量のAnker「Astro M3」だ。特徴的なのは、その形。大容量バッテリーの多くはメモ帳の束のようなお弁当箱型をしているが、Astro M3は細長いリモコン型になっている。ただそれだけのことなのだが、このようなデザインは意外に少なく、カバンにある小さな仕切りポケットなどにスッポリ収まるので都合がいい。

Anker「Astro M3」。写真はUSB ACアダプタもセットになったamazon限定セット
大容量バッテリーだがリモコンサイズで細長いため、カバンの小さい仕切りポケットなどにも入れやすい

 もうひとつは、信頼のおけるアメリカのメーカーであるという点。モバイルバッテリーメーカーの多くは、国内の数社を除くとほとんどがあまりよく知らない会社だ。しかしAnker社はアメリカの企業で、Google出身の若手が起業したデジタルガジェットメーカーということもあり、信頼性や技術の評価が高い。一般的な製品の保証期間は長くても1年だが、本製品は1年半と長く安心。しかも価格が安いので、愛用者も多いというのが特徴だ。

メーカー名 Anker
品名・型番 Astro M3
バッテリー容量 13,000mAh
繰り返し利用回数 500回
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
62×147×22mm
重量 304g
カラー・モデル ホワイトのみ
Amazon限定モデルあり
実売価格 3,480円程度
上部。左から1A出力、充電用コネクタとLED懐中電灯、2.1A出力
上部から見て右側が少し平らになっているので、この面を下にした立たせることも可能
天面。電源ボタンと4段階のバッテリー残量計
下部。特になし
上部から見て左側はとくになし。不安定だが立たせることも可能
底面。出力などの表記
ケーブルは非常に長く、普段は持て余してしまうだろう

 ネットの口コミなどでは「意外にずっしり重い」という評価もあるようだ。もちろん容量が少ない5,400mAhに比べれば、倍以上に重く「意外にずっしり」と感じるかもしれない。しかし、同容量のモバイルバッテリーと比べても、相応の重さと言える。

 なお、添付のUSB-Micro USBの充電用ケーブルは、長さ65cmと非常に長い。大は小を兼ねるので、どんな場合でも使えて便利なのだが、カバンの中で充電する場合には少し長すぎるので、別途短いケーブルを用意したい。

iPhoneなら6回、2,000mAhのAndroidなら4回以上充電可能

 さていつもなら、製品紹介のあとにスマートフォンを実際に何回充電できるかをテストするところだが、大容量なので実験に時間がかかりすぎる点と、何回も充電すると誤差が大きくなってしまうという問題がある。つまり計算で出す充電回数より、実際に実験した充電回数の方が誤差が大きくなるという逆転現象が起きてしまうのだ。

 そこで大容量バッテリーは、計算による理論値のみをお伝えしていきたい。とはいえこれまで、いくつものモバイルバッテリーを検証してきたデータがあるので、実際に充電するのとほぼ変わらない精度の充電回数となっている。

 では、実機を使っての実験は省略して、独自の測定器を使いバッテリー実容量を調べてみよう。

 なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。

連続電圧変移
連続電流変移

 電圧は、5Vでピタリと安定。ところどころノコギリの刃のように変化している部分があるが0.05V以下の揺らぎなので、これは誤差レベルと考えていい。

 電流は、一般的なモバイルバッテリーと同様に900mAを中心±50mAで安定している。出力に関しては、まったく不安定さが見られず、安定した出力と言っていい。

 これらの実験結果を元に、13,000mAhという表示容量に対して、実際にスマートフォンの充電に使える実容量を計算したところ、およそ72%で9,340mAhとなった。

 これは一般的なモバイルバッテリーに比較すると、トップクラスのロスの少なさ。これまでの最高実容量は69%なので、いかにロスが少ないかがわかるだろう。

実容量ロス率

 なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレットをおよそ何回充電できるかは、次のとおり。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目 詳細
バッテリー表示容量 13,000mAh
連続利用時の実用量 9,340mAh(72%)
連続実用量1,000mAhあたりの価格 373円
充電回数(理論値) Android(1,300mAh):7.2回
Android(1,500mAh):6.2回
Android(1,800mAh):5.2回
Android(2,000mAh):4.7回
Android(2,200mAh):4.2回
Android(2,500mAh):3.7回
Android(3,000mAh):3.1回
iPhone4s/5/5s/5c(1,500mAh):6.2回
iPad(11,560mAh):0.8回
iPad mini(6,471mAh):1.4回
小容量タブレット(6,000mAh):1.6回
大容量タブレット(12,000mAh):0.8回

 さて、Anker社の表記の仕方が一般のモバイルバッテリーと異なるため、1Aと2.1Aの出力が同時に使えない/使えるで混乱している方もいるようだ。筆者は、充電時に2.1Aを必要とするiPad 3を持っていないため、擬似的に1Aと2.1Aを同時に出力させてみた。同時利用は可能だが合計で2.1Aの制限があるようだ。

 ただし、保護回路が働き電源が切れるということはない。つまり見た目では、スマートフォンとタブレットの2台をつなげるし、どちらも充電できるように見えるが、スマホやタブレットが急速充電モードに入らないという状態になっているようだ。

マニュアルなどに明記されていないが、最大出力は合計で2.1Aとなっているようだ。スマートフォン2台の急速充電がギリギリ
電源ボタンとバッテリー残量計。自動で電源が切れるので、カバンの中で勝手に電源が入ってしまっても安心
スマートフォンを接続するだけでも自動的に電源が入る。フル充電になると自動で電源OFFするので便利
直視できないほど眩しいLED懐中電灯

 なお、電源ボタンを長押しするかスマートフォンを接続すると、モバイルバッテリーの電源が入る。電源ボタンによる強制電源OFFはできず、スマートフォンをフル充電できた場合やUSBケーブルを外したときに、電源がOFFになる。またLED懐中電灯は、ダブルクリックでON/OFFできる。

 何回か使ってみて気になったのは、バッテリー残量計が容量のわりに4段階とザックリしている点だ。2,000mAhクラスのバッテリーを内蔵しているAndroid端末なら、充電回数が4回なので4段階の残量計で問題ない。しかしiPhoneをはじめとした1,500mAhクラスの内蔵バッテリーの場合は6回充電できるので、4段階の残量計だと少し残量を把握しづらいだろう。

充電時間はおよそ12時間でUSB-ACアダプタの熱さに注意

 充電にかかる時間は、カタログスペックで、1.5A出力できるUSB-ACアダプタの場合9時間とあった。今回は、2A出力できるUSB-ACアダプタが添付されたAmazon限定モデルを購入したので、付属のUSB-ACアダプタで実際の充電時間を調べてみた。

 その結果、4回充電した平均の充電時間は11時間53分と、ほぼ12時間かかるようだった。さすがにフル充電まで12時間もかかると、寝ている間だけでは充電できないので、不便さを感じる人も多く出るだろう。

 また少し気になったのは、USB-ACアダプタがかなり熱くなる点。2Aの出力ながら、3cm四方で厚みが2cmと非常に小さいため、本体全体が熱くなる。場所によっては、50℃以上になることもある。普段使いは問題ないが、書類や布などで熱がこもってしまわないように注意して欲しい。

添付のUSB-ACアダプタは2.0A出力のもの。充電にはおよそ12時間かかる
充電中に触ったら熱くてビックリ。温度を測ってみたが、部分的には60℃近くある
【本体充電スペック】
項目 詳細
本体充電用コネクタ Micro USB
付属充電器(仕様) USB-ACアダプタ(2A出力)
充電時間(カタログ値) 9時間(1.5A出力USB ACアダプタ利用時)
充電時間(実測) 11時間53分
繰り返し利用回数 500回

2,000mA以上のスマートフォンやタブレットに最適

 USB-ACアダプタが付属する13,000mAhのモバイルバッテリーが、3,500円程度で購入できるというのは非常に魅力的だ。価格は身元不明の中国製のバッテリーと大差ないが、Astro M3はアメリカのガジェットメーカー製(本体は中国製)で保証も1年半と非常に長く、信頼性はある。

 ベストマッチするスマートフォンは、内蔵バッテリーが2,000mAh以上のAndroid系やタブレットだろう。ただし、最大出力が2ポート合計で2.1Aとなっているらしく、スマートフォンとタブレットを2台同時に急速充電できない。スマートフォン2台の急速充電がギリギリという感じだ。

 充電は12時間近くかかるので、充電時間に余裕のある人向けと言える。また、ロスの少なさでモバイルバッテリーを選んでいる人にもオススメしたい。実容量率でおよそ72%、13,000mAhのうち約9,340mAhをスマートフォンの充電に使える上に、スマートフォンを接続すれば自動的に電源ONとなり充電開始。フルチャージになったり、電線が抜けてしまった場合は自動的に電源OFFになるため、ムダにバッテリー残量を消費しない点においても、しっかり配慮されている。

【総合評価】
メーカー・品名 Anker Astro M3
ロスの少なさ  ★★★★☆(4)
持ち歩きやすさ ★★★★☆(4)
単位容量の安さ ★★★★★(5)
充電の早さ   ★☆☆☆☆(1)
使い勝手のよさ ★★★☆☆(2)

(藤山 哲人)

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