LED電球、どれを買う?
NEC「一般電球形 全周配光タイプ LDA17L-G」
~サイズは大きいが、光が広がる100W形LED電球では最高の明るさ
by 藤原 大蔵(2013/7/8 00:00)
大きめだが、100W形白熱電球に全く引けをとらない余裕の明るさ
明るいLED電球の実現には、放熱がカギと言われている。LEDは熱に弱い一方で、明るくなるほど素子が高温になるため、効率良く熱を放出する機構が必要になる。近頃はこの放熱の問題をクリアした製品が多く出るようになり、一般電球100W相当の明るさのLED電球も揃い始め、目的に合わせて選べるようになってきた。
今回はその中から、電球色で“業界トップクラス”の明るさを謳う、NECライティングのLED電球「LIFELED'S(ライフレッズ) 全周配光180°LDA17L-G」を紹介しよう。日本照明工業会基準で一般電球100W形相当の全光束、1,520lmを達成した、明るいLED電球だ。
メーカー名 | NECライティング |
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シリーズ名 | 一般電球形 全般配光形 LDA17L-G |
全光束 | 1,520lm |
定格消費電力 | 17W |
口金タイプ | E26 |
光色 | 電球色相当 |
白熱電球と比較した光量 | 100W形相当(ランプ単体) |
定格寿命 | 40,000時間 |
調光器対応 | - |
密閉器具対応 | ○ |
配光角度 | 180度 |
演色評価数 | Ra80 |
希望小売価格 | オープン |
実売価格 | 5,280円(yodobashi.com) |
本製品の最大の特徴は、「部屋の隅々まで届く、力強い明るさ」だろう。全てのシーンで100W形白熱電球の明るさを軽く超え、部屋全体がしっかりと明るくなった。堅固な放熱部と大きな高拡散カバーの採用で、電球はきわめて大きいが、その分100W形白熱電球に全く引けをとらない余裕の明るさが実感できた。
LED電球なので、40W、60W用の器具にも使用でき、密閉器具にも対応する。定格寿命は一般的なLED電球と同様に40,000時間だ。
※※※100W形電球形蛍光灯は、パナソニックの 「パルックボールプレミア A25形」(1,780円で購入)を使用
サイズ比較
実測したサイズは69×141mm(直径×高さ)。100W形白熱電球より32mm背が高く、100W形蛍光灯よりもさらに5mm背が高い。さらにいえば、光源のグローブの直径は、白熱電球よりも9mm大きい。常識的な電球のサイズのギリギリの大きさという印象だ。
放熱部は凹凸のあるフィンタイプで、口金付近の直径は40mm近くある。これは、白熱電球よりも21mm太い。ある程度、電球を意識したフォルムではあるものの、サイズはかなり大きいので、取り付ける器具の確認は事前に必要だろう。
重量は実測で244gだった。白熱電球の約10倍の重さは、重めの100W形LED電球の中でも特に重い。撮影中に器具が傾くようなことは起こらなかったが、多灯タイプや華奢な器具に取り付けるなら、注意が必要だ。
器具に取り付けたようす
撮影に使った器具とのバランスはイマイチだった。シェード(笠)内に電球は収まっているが、光源となる大きなグローブがせり出し、放熱部も見えやすい。器具との一体感が損なわれる印象だ。電球があまり目立たない天井付近の器具や、電球が隠れる密閉器具に取り付けるならば、大きさはさほど問題にならないだろう。
光の広がりかたと配光性
光は光源部を中心に横方向や床方向へもしっかり広がる。配光角度は180度だが、口金付近にも光が届いている。光は全体的に均一に、力強く拡散する印象だ。
電気スタンド型の器具に付けてみる。シェードから漏れる光は上方の方が強いが、下方へもしっかり届いた。器具のシェードは、全体の半分近く明るく輝き、器具の雰囲気を引き出している。このような電球が見えないスタイルの器具ならば、電球の大きさは気にならないだろう。
明るさ(55cm直下の照度)
直下照度は1,443lxだった。100W形白熱電球の1,250lxを軽く超える明るさになる。この数値は、前回レビューした日立の100W形LED電球「一般電球形 広配光タイプ LDA17L-G」よりも130lx以上高い。これまで試した広配光タイプのLED電球では最高の数値で、“業界トップクラス”の明るさを謳うのも納得だ。その分、日立の方が電球のサイズが一回り小さく、一般的な大きさとなる。
光は直下だけでなく、テーブル全体に光がたっぷり広がり、壁面も大幅に明るくなった。確実に100W形白熱電球の上を行く明るさがあるため、100W形白熱電球と取り替えても不満は一切感じられないだろう。
なお、点灯中は電球からジーという雑音も無ければ、ラジオにノイズが乗ることもなかった。
なんと言っても印象的なのが、100W形白熱電球を凌駕する明るさだ。大きくて重いという欠点はあるが、電球が目立たない1灯タイプの器具ならば、それも気にならないだろう。拡散性も高いので、空間全体を明るく照らすのに向いていそうだ。
ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探っていく。密閉器具にも対応しているため、浴室や密閉型のインテリアライトにも使用した。
玄関
100W形白熱電球を凌ぐ明るさになった。光はたっぷりと広がり、写真上の手前までしっかり明るくなった。光色は白熱電球よりも赤みが抑えられる電球色で、暖かみ、親しみがあり、玄関によく映える。床面、壁面の広い範囲がバッチリ明るくなるので、天井が高く、広い玄関でも飛躍的に明るくなるだろう。
浴室
浴室の照明器具に、背の高い本製品が取り付けられるか心配だったが、結果的には高さ約170mmの密閉型器具にちゃんと収まった。
浴室全体は100W形白熱電球を軽く超える明るさになった。細かいことを言えば、電球とシェードの隙間が狭いため、シェードに光のムラが浮かんでしまったが、密閉器具に取り付けても本来の明るさがまったく落ちず、床面も含めて浴室全体が隅々まで明るい。光色は異なるが、肌色は健康的に見え、心地良い入浴ができるだろう。
※浴室で使用する場合は、器具が防滴構造であることが条件となります
トイレ
トイレはさすがに明るすぎた。しかも、我が家のトイレの天井は低いので、電球の大きさも気になった。短時間しか過ごさない場所なので、よほど高い天井か、広いトイレでない限り、本製品は必要ない。低価格化が進んだ一般型のLED電球で十分だ。
なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。
リビングルーム
リビングルームでは2灯タイプの器具を使用するが、取り付ける電球は1灯のみとした。100W形タイプ2灯だと、私のリビングルームでは明るすぎるからだ。
透過タイプ、非透過タイプ共に、明るさの点では100W形白熱電球の取り替えて申し分なかった。どちらの器具でも、直下は余裕で白熱電球以上の明るさになり、それぞれの器具が持つ表情も引き出している。どちらも白熱電球のような雰囲気が演出できた。
フロアスタンドならば、電球の大きさはまったく問題にならない。窓際や部屋の隅に置けば、光源がほとんど目に触れないので、不快な眩しさを感じず、快適だ。100W形白熱電球よりも天井の広い面積が明るく照らされ、間接光だけで部屋全体が心地良い明るさに包まれる。シェード下方の光は上方よりも落ちるが、本は問題なく読めるほど。光の表情を大きく変えず、眩しさを抑えた、リビングルームにとても似合う豊かな明るさだ。
リビングルーム(インテリア照明)
直径が25cm程度の密閉型のインテリア用照明器具に、本製品はさすがに明るすぎる。100W形白熱電球よりもさらに明るく、器具から数m以上離れないと相当眩しい。電球の背が高いぶん、器具に明るさのムラも現れた。もっと径の大きな器具に取り付け、広いリビングルームの局所照明としてなら向いているだろう。
食事の風景
食事のシーンの印象はとても良かった。平均演色評価数がRa80だけに、食材の自然な色を引き出し、食事全体がとてもおいしそうに映える。ハムや目玉焼きの白味もくすまない。白熱電球の赤みを抑えた光色だが、食器の材質による違い、ランチョンマットの本来の色合いも自然な見え方だった。テーブルの木目の色合いも良く見える。明るく、色のバランスの良い食卓が演出できるだろう。
100W形白熱電球と交換で、元が取れるのは【1年1カ月】
カタログ上の消費電力は17Wだが、実測では16Wだった。どのシーンにおいても100W形白熱電球の明るさを上回るのに、消費電力は1/5以下になる。明るさをよりアップしながら、大きく節電できるだろう。
初期費用となる電球代の5,000円強は、低価格化が進むLED電球の中では相当高価だ。だが、100W形白熱電球の交換で、1年1カ月と早い時期に電球代が回収できる試算となった。回収してから、余裕で10年以上も使える。
100W形の電球形蛍光灯との取り替えなら、それほど急ぐ必要はないだろう。それでも、蛍光灯を3個目に取り替える前の6年9カ月で、蛍光灯代と電気代を足したランニングコストが逆転する試算となった。これは高価で明るいLED電球の中では早めなので、蛍光灯からLED電球への交換をお考えならばお勧めしたい。電球形蛍光灯が足元にも及ばない明るさと高い演色性が揃い、点灯した瞬間から明るく、点滅回数に因る影響も無い。交換すれば快適性がグンと上がるのは間違いない。
光源 | 実測 消費 電力 | 1カ月 | 3カ月 | 半年 | 1年 | 1年 1カ月 | 1年 11カ月 | 2年 | 4年 | 6年 9カ月 |
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NEC LDA17L-G | 16W | 5,366円 | 5,537円 | 5,765円 | 6,309円 | 6,395円 | 7,253円 | 7,339円 | 9,397円 | 12,228円 |
白熱電球 60W | 58W | 377円 | 987円 | 1,974円 | 3,876円 | 4,252円 | 7,446円 | 7,751円 | 15,502円 | 26,213円 |
白熱電球 100W | 89W | 581円 | 1,534円 | 3,068円 | 6,031円 | 6,612円 | 11,586円 | 12,062円 | 24,124円 | 40,787円 |
電球形蛍光灯 100W | 20W | 1,887円 | 2,101円 | 2,422円 | 3,065円 | 3,172円 | 4,243円 | 4,350円 | 8,699円 | 14,232円 |
※白熱電球には4カ月ごと、電球型蛍光灯は3年6カ月ごとに 電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算
明るさ・拡散性・演色性という「3つの明かりの質」が揃う
本製品の特徴を一言で言えば、「器具さえ合えば、明るさが広がり演色性も高いLED電球」だろう。電球が大きく目立ちやすいため、器具や取り付ける位置は選ぶ。だが、100W形白熱電球を余裕で超える明るさ、伸びやかに広がる拡散性、自然な色の見え方など、明かりに求められる3つの明かりの質がバランス良く揃っている。
特に明るさと演色性は、100W形LED電球の中では間違いなくトップクラスだ。実質的に本製品1灯(16W)で、60W形白熱電球2灯にも負けない明るさになる。電球代も1年強で回収できるので、明かりの質の高さを十分に発揮できる器具、場所ならば、選んで損はないだろう。
お勧めの使い方は、フロアスタンドに取り付けてリビングルームの明かり、ダイニングテーブルから80cm以上離れた大きめのペンダントなどに向いている。明るさと拡散性、演色性の良さの全てが活かせるだろう。密閉器具を含む40W、60W用の器具にも、ワット数の上限を気にせず取り付けられるので、高い天井の玄関や浴室、洗面所、階段にも大いにお勧したい。100W形白熱電球を余裕で超える豊かな明るさで、パッと明るい生活空間を演出してみてはいかがだろうか。
・電球は大きいが、100W形白熱電球や他の100W形LED電球を上回る明るさ
・演色性が良く、光が力強く広がる。「明るさ・拡散性・演色性」の3拍子が揃う
・密閉器具にも対応。器具のサイズには気をつけて
・100W形白熱電球と交換した場合、1年1カ月で電球代が回収できる(1日8時間使用)