家電製品ミニレビュー
貝印「アイスクリームメーカー DL-0272」
■暑い! だからアイスクリームが食べたくなった
貝印「アイスクリームメーカー DL-0272」 |
暑さが増してきたある日、アイスクリームが食べたくなった。冷凍庫を開けてみたが買い置きがない。近くのコンビニまで買いに行ってもいいのだが、なんとなく面倒だ。「うちでアイスクリームが作れればいつでも好きなだけ食べられるのに」 1年を通して常に減量したいと思っている人間の発想としては実に不適切だが、これが発端である。
子供の頃、母がよくシャーベットを作ってくれた。製氷機にジュースを流し込み、短い割り箸を入れて凍らせただけというシンプルなものだが、汗だくになって遊ぶ子供にとって、棒のついた「ジュースの氷」はご馳走だった。時々アイスクリーム作りにも挑戦していたが、何度もかき混ぜては冷凍庫に戻すなど、非常に面倒そうだったことを覚えている。おかげでアイスクリーム作りは大変なんじゃないかと思うようになっていたのだ。
改めてアイスクリームのレシピを探してみたところ、卵と生クリーム、砂糖、バニラエッセンスをよく混ぜて冷凍庫で冷やし固めれば懐かしい風味のバニラアイスが完成すると判明。卵の黄身、白身、生クリームを別々に十分泡立て、さらに混ぜてからミキサーなどでよく攪拌するのポイントだ。
しかし固まるまで待たねばならないため、すぐには食べられないというデメリットがある。そこで見つけたのが、材料を流し込めば約20分程度でアイスクリームが完成するという貝印のアイスクリームメーカー」である。
メーカー | 貝印 |
製品名 | アイスクリームメーカー DL-0272 |
希望小売価格 | 8,925円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 2,930円 |
■保冷ポットが冷凍庫に入るかどうかがカギ!
「アイスクリームメーカー」において、アイスクリームが完成するまでの工程は実に簡単。あらかじめよく冷やした保冷ポットの中に材料を流し込み、グルグルと攪拌していくうちに、ポットの冷却効果で材料が固まる―というのがの大まかな仕組みだ。この攪拌を手動で行なうおもちゃもよく見られるが、電気の力で自動的に行なうのが貝印の「アイスクリームメーカー」である。
この貝印の「アイスクリームメーカー DL-0272」(以下、DL-0272)は、直径20.7cm、高さ23cm。重量は約2.3kgとなっている。電源スイッチ、およびモーター部のついたフタと、回転軸、パドル、保冷ポットという構成になっており、最大1リットまでのアイスクリームが作れる。このほかレシピ付きの取扱説明書が1冊付属する。
製品の全構成。上から保冷ポット、フタ、パドル、取扱説明書 | 保冷ポットは3つのパーツに分解できる。冷却する際はバラさない | 冷却ポットのサイズ感 |
冷却ポットの内側 | 組み立てやすいように目印がついている | 回転軸(左)とパドル(右) |
このパドルのおかげでアイスクリームが均一に仕上がる | フタの裏側。モーター部分は取り外し可能 | フタに回転軸とパドルを装着した様子 |
冷凍庫にうまく収まるかどうかが鍵になる |
保冷ポットのみの高さは約14.5cm程度だ。実はこのサイズが重要。さまざまな製品が存在するが、今回貝印の「DL-0272」を選んだのは、保冷ポットが自宅の冷凍庫に入りそうだと思ったからだ。製品によってサイズが異なるが、各ご家庭の冷凍庫のサイズもそれぞれなので、せっかく購入しても自宅の冷凍庫に入らないのでは全く意味がないのである。
保冷ポットを冷凍庫で冷やす必要のない、電気で冷却するタイプの製造器もあるが、完成までに数時間かかるようだ。これでは冷凍庫で冷やし固めるのと時間的には変わらないため、あえて完成までの時間が短く、自宅の冷凍庫に入りそうな手頃なサイズということで「DL-0272」を選んだというわけ。
組み立て後のアイスクリームメーカー | 横から見たアイスクリームメーカー |
背後から見たアイスクリームメーカー | 上から見たアイスクリームメーカー。スイッチが確認できる |
■スイッチを入れるだけでアイスクリームができる
改めて「DL-0272」の使い方を見て見よう。まず使用する前に保冷ポットを庫内温度がマイナス18℃以下になる冷凍庫で約10~18時間冷やしておく。作る量が300ml程度なら約10時間、600mlなら約18時間以上は冷却が必要だ。
次にモーターのついたフタに回転軸とパドルを取り付ける。鍋つかみを使うなどして、手がくっつかないよう注意しながら、冷凍庫から冷やした保冷ポットを取り出し、フタを取り付け、電源プラグを差し込んだら、フタの先端に用意されたスイッチをONにする。パドルが周り始めたのを確認したら、材料投入口から冷やしたアイスクリームの材料を流し込むのだ。あとはキッチンタイマーなどで時間をセットしておまかせするのみ。約20~40分程度でアイスクリームができあがっている。
あとは電源スイッチをOFFにし、フタとパドルを取り外してアイスクリームを食べるだけ。お好みで小分けして冷凍庫で冷やし固めると、またいつでも好きなときに手作りアイスクリームが楽しめるようになる。
仕上がりの見極めはパドルの周り具合で判断する。回らなくなったら完成だが、気温や室温、材料の温度によっても仕上がり具合は異なるようで、筆者の環境では40分回しても回らなくなることはなかった。やや固めのソフトクリーム状になったら完成と見なし、あらかじめ用意しておいた容器に分けて冷凍した。
それでは実際にどのようなアイスクリームになるのかを見て見よう。
■バニラアイスクリーム(攪拌バージョン)
材料は卵2コ、生クリーム200ml、砂糖60g、バニラエッセンス少々。アイスクリームメーカーなしでも作れるバニラアイスの材料を「DL-0272」に流し込んでみたのだ。
ハンドミキサーを使って、砂糖入り生クリーム、卵黄、卵白を個別に十分攪拌してからボウルであわせ、さらによく混ぜたら「DL-0272」に流し入れて約30分パドルを回転させてみた。
これがアイスクリームの材料となる。左から砂糖、卵、生クリーム | 卵白を固めに泡立てる | 生クリームも十分泡立てる |
するとどうだろう。アイスクリームメーカーを使わなかった時に比べ格段においしさが違ったのだ。まずできたてを一口食べて、「これはうまい!」と思わず独り言が口を突いて出てしまったほど。コーンを用意しておけば、まさにおうちカフェ状態だ。
残りは直径6cm程度のカップに小分けして冷凍してみたが、口溶けが滑らかになり、よりアイスクリームらしい仕上がりになった。これならおもてなし用のデザートとして十分使える。
冷凍庫から保冷ポットを取り出す | フタをして材料を流し込むだけ | 完成したアイスクリーム |
ちなみにできたアイスクリームを大きめの容器にまとめて入れて冷凍すれば、抱えて食べられそうな錯覚に陥るが、まとめてしまうとタイミングによっては固くてスプーンが入らなくなってしまうようだ。1食分ずつ小分けして冷凍すると、スプーンで食べられる固さがキープできるようなのでお試しいただきたい。
パドルについたアイスクリームをキレイにとるのは結構大変 | 作ったアイスクリームは小分けしてさらに冷やして固める | 滑らかな自家製アイスクリームを堪能する |
■バニラアイスクリーム(簡単に混ぜるだけバージョン)
すべての材料を1つにまとめ、一気に混ぜてしまう |
前回はハンドミキサーでこれでもかというくらい材料を攪拌したわけだが、全体を泡立てるのにかなり時間を有するのは事実。そこで、全部まとめてからハンドミキサーで混ぜる程度にとどめてみた。材料は今回も卵2コ、生クリーム200ml、砂糖60g、バニラエッセンス少々である。
ボウルの中に卵と生クリームと砂糖とバニラエッセンスを加え、まとめて泡立て器で攪拌後、回転中の「DL-0272」の中に流し込んだ。すると約30分でソフトクリームレベルにまで固まり、そのボリューム感は攪拌バージョンとほとんど変わらない量にまで増えていた。しかもできあがったアイスクリームの舌触りも全く変わらなかったのである。
これは嬉しい。生クリームを角が立つまで泡立てなくてもいいのだ! ハンドミキサーがなくても、普通の泡立て器で満遍なく混ぜるだけでいい。となると、材料の準備時間が大幅に短縮される。生クリームは1パック200mlだから、砂糖の計量さえ早ければ、5分程度で準備完了だ。保冷ポットを冷却するという手間は生じるが、まさに手軽にアイスクリームが作れるというわけである。
完成したアイスクリームをさらに小分けして冷やした状態。事前に泡立てていなくても、ボリュームは変わらない | オレオのクッキーの上にトッピングして食べるとおいしい! | 砕いたクッキーを混ぜるとさらにおいしい! |
アイスクリームができるまでのダイジェスト。多少モーター音はするが、やかましいほどではない |
■植物性のホイップクリームでバニラアイスクリームを作る
植物性脂肪のスジャータホイップでアイスクリーム作りに挑戦 |
これまでは普通の生クリーム、つまり動物性脂肪の生クリームを使っていたわけだが、作る頻度が上がるにつれて、カロリーや材料費が気になってきた。そこで、植物性のスジャータホイップを使ってバニラアイスクリームを作って見た。材料はこれまでの生クリームが植物性に変わるだけだ。(スジャータホイップ200ml、卵2個、砂糖60g、バニラエッセンス少々)
材料すべてをボウルに入れてよくかき混ぜ、回転中の「DL-0272」に流し込んだ。少々気温の高い日だったせいか、時間的には合計40分ほどを要したが、まったく問題なく舌触りも滑らかなおいしいアイスクリームができあがった。
このときつい出来心で溶かしたチョコレートを加えてしまい、カロリーを上げてしまうというアクシデントが発生したが、おいしかったことはいうまでもない。
15分も経過するとこの通り! | 完成したアイスクリーム。気温のせいもあり、やや柔らかめ | 溶かしたチョコレートを素早く混ぜて見た |
■バナナジュースでシャーベットを作る
取扱説明書付属のレシピには、オレンジジュースを使ったシャーベットの作り方が紹介されていた。そこでミキサーで作ったバナナジュースの残りを入れてみたところ、約25分で見事なシャーベットになった。バナナの香りがする不思議なデザートの完成だ。
もともとシャーベット用の味付けではないが、さっぱりしていておいしい。スプーンですくって食べてもよいし、そのままストロー付きのカップに入れればドリンクにもなる。夏、コンビニのレジ横に現れるあのシャーベット状のドリンクが作れるのだ。いつものジュースも違った味わい方ができるというのは嬉しい。
バナナジュースの残りを入れてみることに | 最初はヒタヒタ程度の量だったが…… | 30分後にはこの通り! |
見事なシャーベットが完成した | シャーベットはこってりした料理の後のお口直しに最適だ |
■夏だけでなく、年間を通して楽しみたい製品
アイスクリームメーカーがなくてもアイスクリームは作れるが、やはりアイスクリームメーカーのほうが仕上がりがより滑らかになるというのは嬉しい発見だ。一度使用したらよく洗い、水気を拭き取って再び冷凍庫に入れて冷やす必要があるため、常に冷凍庫がいっぱいの状態になってしまうのはちょっと困るが、本格的なアイスクリームができあがる様子を見ていると幸せな気分になれるに違いない。ホームパーティで使用すれば盛り上がりそうだ。ホットプレートで焼肉を楽しんだあと、自家製のグレープフルーツ風味のシャーベットも振る舞えたらかなり株があがりそうである。
使い終わったパドルからアイスを取り除くのが少々大変で、毎回ゴムべらで格闘しているのだが、子供がいるご家庭ならそのまま渡せば相当喜ばれる可能性大。ただし、小さいお子さんと一緒に楽しむ場合は、冷えたボウルに直接手を触れないように十分気をつけていただきたい。
このほか、レシピにはオレンジシャーベット、イタリアンジェラード(バニラ)、抹茶アイスクリーム、小豆アイスクリーム、チョコレートアイスクリーム、ストリベリーアイスクリームなどが紹介されている。自由なバリエーションを楽しもう!
2009年8月10日 00:00