家電製品ミニレビュー
三洋電機「リビング扇風機 EF-30THF5」
■好みの涼しさを求めて
三洋電機のリビング扇「EF-30THF5」 |
本格的な夏が始まる少し前、6月から7月頃にかけての時期が一番温度の調節が難しい。
蒸し暑いからとエアコンを付けてはみたものの、しばらくすると寒く感じてくる。かといってエアコンを止めると、じめじめとして耐えられなくなってくる。
筆者もそうだが、暑がりなのにエアコンが苦手という、実にわがままな体質の場合、好みの涼しさを得るというのは、なかなか難しいことが多いのだ。
もちろん、最近のエアコンは温度調節が細かくでき、直風を避けることなどもできるようになっている。しかし、エアコンを買い換えるとなると出費も大きいうえ、工事などの手間もかかる。
そこで紹介したいのが三洋電機のリビング扇風機「EF-30THF5」だ。ちょっとした暑さならこれだけでも過ごせるうえ、本格的な夏場にはエアコンとの併用もできる扇風機だ。
メーカー | 三洋電機 |
製品名 | EF-30THF5 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 9,612円 |
側面 | リモコン | 基本的にはリビング用となる扇風機。ただし、温度センサー運転やルーバーを搭載し、寝室、浴室など幅広い場所で利用できる |
■侮れない実力
最近では夏場の主役をエアコンに取られ、すっかり脇役となってしまった感のある扇風機。しかし、今回の「EF-30THF5」の実力はなかなか侮れないものがある。
温度センサーを搭載し、室温に応じた運転ができるようになっている |
最大の特徴は、温度センサーを搭載している点。台座部分に温度センサーが内蔵されており、ここで室温を感知し、温度に応じた運転ができるようになっている。
一般的な扇風機の場合、温度の調節は、弱~強などの風量でしか調節することができないことが多い。このため、好みの涼しさに調節するには自分でスイッチを切り替えるしかなかった。
しかし、このEF-30THF5なら、そんな調節は必要ない。台座部分のボタン、もしくはリモコンのスイッチで「温度センサー運転」を開始すると、以下のように温度に応じて風量を自動的の調節してくれる。
モード | 停止時 | ソフト運転 | 弱運転 |
低モード | 約25℃以下 | 約25~28℃ | 約28℃以上 |
中モード | 約27℃以下 | 約27~30℃ | 約30℃以上 |
高モード | 約29℃以下 | 約29~32℃ | 約32℃以上 |
運転モードの「低」「中」「高」はセンサーの感度を示すため、より冷やしたい場合は「低」にするなど、場合によっては感覚と逆な印象も受けるが、とにかくこのセンサーによって手間なく、快適な涼しさを手に入れることができるわけだ。
温度センサー運転を利用するとエアコンとの併用がとても効果的。リビングなどでの利用はもちろんのこと寝室で寝るときに使うと便利 |
このような温度センサー運転は、普段、リビングなどで使うときも便利なのだが、寝るとき、しかもエアコンと併用して使うととても便利だ。
たとえば、寝る前に寝室をエアコンで冷やしておき、同時に温度センサー運転でEF-30THF5をオンにしておく。この状態では、寝室が十分に冷えているので扇風機は回転しない。
そこで1時間切れくらいにエアコンをセットして就寝する。そのまま涼しければ朝までぐっすりだが、万が一、エアコンが停止してから温度が上がったとしよう。すると、今度はEF-30THF5が運転を開始し、風によって寝苦しさを解消してくれるというわけだ。
一般的な扇風機の場合、時間によるタイマー動作となるため、停止後、たとえ暑くなったとしても夜中や明け方に手動で電源をオン/オフしなければらなない。しかし、EF-30THF5の場合、室温を基準とした動作ができるので、その動作はセンサー任せで済む。よって、エアコンと併用したときにうまく連携してくれるというわけだ。
もちろん、実際に好みの運転をさせるためには、エアコン側のタイマーや温度設定、EF-30THF5側の温度センサー運転のモード(低・中・高)をどのように組み合わせるかという試行錯誤が必要だが、1週間も使えば好みの組み合わせで使えるようになるだろう。
動作の様子。通常運転でソフト→弱→強と切り替えた後、温度センサー運転の高に切り替え。最後は電源を切ったわけではなく、温度センサー運転時で室温が低いため停止した状態になっている |
■好みの風を演出
このように、温度センサーの搭載によって、エアコンと併用する場合でも、単なる部屋の空気の撹拌という役割だけでなく、温度による細かな連携運転ができるEF-30THF5だが、もう1つユニークな特徴を持っている。
羽の部分に取り付けられているルーバーだ。扇風機の羽のような形状をしているため、一見、風を送るための羽が前後に2列配置されているのかのように見えるが、前面側はモーターでは回転せず、ダイヤルを左右に回すことで角度を調節できるようになっている。
ルーバーをワイド側にした状態 | スポット側にした状態 |
切り替えの様子 |
時計回りに回転させると、正面から見てルーバーが横方向に広がり、ワイド側に切り替わる。すると、羽によって送られた風がルーバーによって遮られ、風速が約26%ダウンし、「ソフト」モードよりもよりやさしい風を送ることができるようになる。
一方、反対側の反時計回りにダイヤルを回転すると、今度はルーバーが縦方向になり、スポット側に切り替わる。すると、風を正面へと効率的に送ることができるようになり、通常の1.4倍まで遠くに風を送ることが可能となる。
これは、利用シーンによって使い分けると便利だ。たとえば、お風呂上がりに扇風機の前で体を冷やすことがあるが、こういったときはスポット側にすることで、強い風で短時間で涼むことができる。また、リビングから一時的にキッチン側へと風を送りたいときなど、特定の場所に遠くなどから風を送りたいときなどにも便利だ。
個人的には、ワイド側が非常に気に入った。扇風機の風は長時間当たっていると寒くなりすぎたり、目が乾いたりすることがあるのだが、ソフト運転+ワイドルーバーで動作させると、とてもやさしい風がかすかに送られてくる印象となり、非常にさわやかだ。エアコンが苦手、直風が苦手という人でも、これなら快適に使えるだろう。
■エアコン時代の名脇役
以上、三洋電機のリビング扇風機「EF-30THF5」を実際に使ってみたが、温度センサーやルーバーなど、快適な風を送るためのさまざまな工夫がなされており、扇風機としてはかなり使いやすい。
特にエアコンとの併用は便利で、いわゆるサーキュレーター的な使い方にとどまらず、温度センサーによるエアコンとの連携までもが可能となっている点は、まさにエアコン時代の名脇役といった印象だ。
高さもワンタッチで790~1,050mmまで調節できるうえ、首振り角度も狭・中・広の3段階に調節することもできる。また、温度センサーだけでなく、時間によるタイマー動作(切タイマー)も可能となっており、機能的にも申し分ない。
唯一、残念な点を挙げるとすれば、首振りと固定の切り替えが、昔ながらの構造となっており、モーター部分のスイッチを押したり、引いたりしないと切り替えられない点だろう。
高さは1050mmまで高くすることが可能 | 少々見にくいが、背面のスイッチで首振りの角度も調節可能 | 首振りのオン/オフが昔ながらのスイッチなのが唯一残念 |
扇風機としては抜群の機能と使いやすさを備えており、これから扇風機を購入しようと考えている人にぜひおすすめしたい製品だ。
2009年7月1日 00:00