家電製品ミニレビュー

日立のスティッククリーナーは、あらゆる場所で高いパフォーマンスを見せてくれた

 以前行なったスティッククリーナーのレビューで使いはじめてから、押入れからキャニスター型の掃除機を取り出して掃除するのが面倒になってしまった。そこで、さらに便利になると言われているコードレス/充電式のスティッククリーナーを試してみることにした。

日立アプライアンスの「パワーブーストサイクロン PV-BD700」

 まずは、日立アプライアンスから発売されている「パワーブーストサイクロン PV-BD700」を使ってみた。強力な吸引力が、ちまたで噂のモデル。また手元のレバーを引くだけで、スティック部が簡単に伸縮できるのが魅力だ。

メーカー名日立アプライアンス
型番パワーブーストサイクロン PV-BD700
価格63,800円(Amazon)
充電台にセットしたところ
充電台から外しても、サッと自立してくれるのが助かる
正面から見ると、意外とスリムなシルエット
充電中はLEDが赤く光り、フル充電になると緑に点灯
手元のレバーを引くと、スティック部を伸縮させられる
スティックの長さ調整は、ほとんど片手で行なえる

 筆者がスティッククリーナーに求めるのは、最低限の吸引力を備えていることと、自立できること。自立可能なクリーナーの利点は、掃除を始めてからゴミや家具などの障害物に気がついた時に、サッとクリーナーから手を離してどかせられるから。パワーブーストサイクロンは、これらを難なくクリアしてくれる使いやすいクリーナーだった。

意識して掃除しなくても、ペットの長い毛や、細かい砂利まで吸い込んでいた

意外と嬉しかった6灯のLEDライト

 複数のノズルが用意されている中で、一番使うことになったパワーヘッドの前方には、LEDライトが6つ搭載されている。クリーナーの電源を入れると、自動的にLEDライトが点灯する仕組みだ。説明書によれば、バッテリーが少なくなると、消灯する場合もあるようだが、自分で消すことはできない。

 はじめこそ「LEDは必要ないのになぁ」と思いながら使っていたが、これが役立つ場所が部屋にはあちこちあることに気がついた。収納庫の中、テーブルや棚の下の空間はもちろん、特段、陰になっているわけでもない壁際などでも、ライトが照らしている部分は、ゴミや埃がクッキリと見える。そのため、細かい汚れは気にしない筆者でも、隅々までしっかりと掃除することになった。

それほど暗いわけでもない場所のゴミや埃も、クッキリと照らしだす
壁際の埃が浮かび上がって見えるので、隅までキレイにしたくなる
もちろん棚の下の陰の場所は、段違いに汚さがわかりやすい

 ヘッド部分のクネクネ具合も良く、テーブルの下や狭い場所も掃除しやすかった。例えばテーブル下では、ほぼスティック部(持ち手部分)を床に付けられるほど、ペタリと床に這わせて掃除できる。狭いすき間の掃除では、ヘッドを横に曲げて入り込ませられた。

スティック部をペタリと這わせて掃除できるので、テーブルの下の掃除もスイスイできる
ヘッド部を真横に向けられるので、狭いすき間の掃除も難なくこなしてくれた

場所に応じて最適なノズルが付属

 フローリングや和室に関しては、パワーヘッドを使って掃除した。広い部屋でもグイグイと引っ張られるように掃除できるので、手が楽、なのは他の掃除機と同様だった。

 コードレスなので、ノズルを付け替えることで車の掃除にも活用の幅が広げられる。凹凸や生地の縫い目にある溝が多い車内の掃除については、内蔵のハンディブラシと、付属のすきま用吸口を使って、隅々まで難なくキレイにできた。掃除中はわからなかったが、終わった後にゴミの中を見てみると、ペットの毛や細かい砂利まで吸い取ってくれているのが分かった。

 若干気になったのが、電源ボタンがスティックとして使っている場合にだけ、扱いやすいように設置されている点。ハンディとして使う場合には、指先に電源ボタンがなく、電源をオフしたりモードを変更する時に、左手が必要になるなど少し手間なのだ。

すきま用吸口で、シート生地の縫い目の溝も、効率的に掃除できた
凹凸の多い床は、内蔵ハンディブラシで対応。煎餅のかすや砂利も難なく吸い込む

 手の届かない場所にある神棚や、家の梁の上は、伸縮吸口にワイドブラシを合体させるといい。

伸縮吸口にワイドブラシを合体させたところ
ワイドブラシは角度を変えられる
天井に近い梁の上を掃除してみると埃がたっぷり
椅子を使っても手が届かない場所にある神棚を掃除したのも年末以来

 付属の、ふとん掃除用の吸口は、ふとんやソファを掃除するのにも重宝した。吸口には凹凸の付いたローラーが搭載されていて、ふとんやソファの上で使っても、無駄に吸い付いて離れない! なんてことはなく、スイスイと掃除していける。さらに人やペットの長い毛も、しっかりと吸い取ってくれていた。

ふとん用の吸口
無駄に吸い付くことがないので、スイスイと掃除できた。意外に多い犬の毛にびっくり

ダストケースからのゴミ捨ては、パカっとワンタッチ

 ダストケースのメンテナンスもしやすかった。特に頻繁に行なうことになる、ダストケースのゴミ捨ては、ケース横の青いボタンを押すだけ。パカっとケースの蓋が開き、中に詰まったゴミや埃がゴソッと落ちる。細かい埃は残るものの、気持ち良いくらいにケース内のゴミがなくなる。

ダストケースを本体から外したら、青いボタンを押す
パカっとケースの蓋が開いて、ゴミがゴソッと落ちる

 もっとしっかりとメンテナンスしたい場合は、ダストケースごと水洗いできる。ケース/内筒キャップ/キャップケース/スポンジフィルター/クリーンフィルター/フィルターカバーに分割でき、それぞれを水でバシャバシャと洗うと、すっきりとキレイになる。洗い終わったら、ベランダに置いて乾かし、組み立てる。

 部品が多いため、分解する時にスマートフォンで写真を撮っておくといいだろう。もちろん、説明書を見ながら組み立てるのもいい。組み立てていく順番さえ分かれば、復元するのは難しくなかった。

掃除後のパワーヘッド
ローラーを外して水で丸洗いできる

 パワーヘッドのメンテナンスも簡単だ。ヘッドの脇にあるストッパーを外せば、搭載されたローラーが簡単に取れる。あとは、絡んだ髪や毛を取って、水洗いもできる。

あらゆる場所で高いパフォーマンスを見せてくれるクリーナー

 コードレスクリーナー全てに言える利点でもあり弱点なのが、バッテリー駆動である点。コードがないから掃除はしやすいのだけれど、バッテリーが切れると文字通り無用の長物となってしまう。

 パワーブーストサイクロンの強モードでの駆動時間は、カタログ値で約8分、実際に使いながら計った時には約10分弱だった。コードレスのスティッククリーナーとしては、ごく一般的な電池の持ち。

 だが、電源を入れると、まず強モードで駆動し始める。もちろん運転スイッチを一度押すだけ、約40分の駆動が可能になる標準モードに変更できるのだが、筆者は標準モードの吸引力で満足していたので、まず初めに「標準モード」にして欲しかった。

 その他の点は、とても満足のいくパフォーマンスを見せてくれた。「強モード」ではもちろん、「標準モード」でも吸引力が強いのもいい。自立する設計や、ハンディブラシがサッと使える仕様になっているのも嬉しい。床だけでなく、梁や棚の上、エアコンのフィルター(外側)も、掃除しやすかった。部屋はもちろん、車の中も、平均以上の満足度で掃除ができる、オールラウンダー型のスティッククリーナーと言える。

河原塚 英信